PR

技術士 二次試験対策 日本の風景はすばらしい「景観計画の策定」

論文添削
PR
PR

添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

PR

景観を侮るなかれ

2026年最初の添削LIVEは、「景観計画の策定」をテーマにお届けします。お正月といえば、やはり箱根駅伝ですよね。学生たちのドラマチックな戦いには胸を打たれますが、私がつい目を奪われてしまうのは、沿道に広がる風光明媚な景観です。中継映像では、走者とともに風景が刻一刻と変化していきます。工学的には、まさに“シークエンス景観”の好例です。

実は、私が大学院で研究していたのは景観工学でした(特に隠していたわけではありません)。そのため、風景やまちなみには自然と意識が向いてしまいます。近年こそ景観工学は注目されるようになりましたが、私が学んでいた頃は、土木分野ではやや軽視されがちな領域でした。

もちろん、道路や河川といった都市基盤整備は、人命を守り、社会生活を支える最重要インフラです。しかし、人の営みを「生きる」だけの視点で捉えてしまうと、都市はどうしても無味乾燥になります。生活に娯楽や美しさが必要なように、都市基盤にも楽しさや豊かさを織り込むことが欠かせません。

景観を優先して安全性を損なう設計は論外ですが、設計検討の評価パラメータには、もっと景観的な視点が加わってほしいと感じます。景観は後から改善しようとすると莫大な費用がかかるため、初期段階での検討こそが最も効果的です。

その象徴的な例が、日本橋の上を通る首都高速道路です。日本橋周辺の景観・環境改善や回遊性向上を目的に、「日本橋区間地下化事業」が進められています。その事業費は約3,200億円とされ、まさに“後からの景観改善”がいかに大きな投資になるかを示しています。

景観は、都市の価値を静かに、しかし確実に底上げする力を持っています。安全性や機能性と同じように、景観もまた人々の心に働きかけ、都市の魅力を形づくる重要な要素です。だからこそ、景観は「余裕があれば考えるもの」ではなく、初期段階から組み込むべき計画要素なのです。

景観計画の策定

ということで、本日お届けするのは建設部門都市及び地方計画の選択科目Ⅱー2「景観計画の策定」になります。投稿者自らが考えた予想問題です。こうやって、皆で持ち寄れば合理的ですので、みなさんも奮って投稿いただけるとみんなが喜ぶという好循環になりますよ。景観計画は柔軟なイメージがありますが、ゴリゴリの法定手続きになりますので、手順をしっかりと覚える必要があります。それでは、早速論文を見ていきましょう。

「景観計画の策定」初稿

全国で良好な都市景観の形成に取組む地域が増加している。良好な都市景観の形成に向けて、景観計画を策定する責任者として進めるにあたり、下記の内容について記述せよ。
(1)計画を立案するにあたり、事前に調査・検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)効果的、効率的な業務遂行のために調整が必要となる関係者を列挙し、調整方策について述べよ。


1 調査・検討すべき事項と内容
(1)景観特性の調査と景観資源の把握
 地域が有する歴史・文化・観光など、景観が関わる様々な特性を調査する。この特性に基づく特色ある自然や田園、沿道などの景観資源を把握する。
(2)景観づくりの方針検討
 把握した景観資源をもとに、景観づくりの方針を検討する。検討にあたっては、散策路での歩いた景観など多様な視点からの景観も抽出する。


① まず、前段の「散策路での歩いた景観」これが何だか分かりません。シークエンス景観ですかね?さらに例示がよく分からないため、「多様な視点からの景観」も何だか分かりません。多様な視点というと、景観の捉え方にも見えますし、視点場の話をしているようにも見えます。紛れのない、表現を心掛けましょう。


(3)区域の設定
 景観づくりの方針に基づき、景観形成を促進すべき区域を検討する。良好な景観を形成するために、行為の制限等が行える必要で十分な区域を設定する


② 分かりづらい表現です。制限を行う上で必要かつ十分な区域ですかね。また、このパラグラフは、調査・検討すべき事項を述べるところです。設定するという行動は、手順で書くと良いでしょう。


2 業務を進める手順
(1)景観協議会の設置
 行政が主導して、地権者、地元団体、企業、学識経験者など様々な人材による協議会を設置する。協議会では、前述の「1.調査・検討すべき事項と内容」をもとに、計画(案)を作成する。事業に掛るコストの増大や事業期間が過度に長くならないように留意し、協議会は年代や性別が偏らないように工夫する。


③ →「人材で構成された」
④ さすがに一足飛びがすぎます。手順なのですから、この案を作成するするステップが必要です。景観計画は、法定計画なので定める事項が決められています。採点において、この必要事項の検討ステップがないと減点ということになると考えます。景観計画に定める項目は「景観計画の区域」、「良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項」、「景観重要建造物又は景観重要樹木の指定の方針」が必須となっています。これらの項目は、必ず言及する必要があります。


(2)景観計画(案)の意見募集
 計画(案)について、市民に意見を募集する。方法としては、市のホームページで周知するほか、広報紙への掲載や、回覧板を使用して戸別に計画(案)を配布する。また、市役所などでの閲覧や、報道機関に情報提供を行う全市民に知られるように留意し、目安箱など市民が意見を伝えやすい手段を工夫する。


⑤ 内容に何の異論もないのですが、選択科目の解答にはその専門知識を示す必要があります。このように、専門性があまりない項目をがっちり説明しても、あまり得点につながらないと思います。こういったステップは、必要最低限の情報にとどめましょう。つまり、この部分はなくても良いと思います。
⑥ 表現がまどろっこしいですね。また、全市民にというとかなり難易度が高いです。また、何が何でも留意点、工夫点を書かなければならないというわけでもないので、工夫点として書くのも一つの手だと思います。 →「広報誌、webなど多様な手段で意見を募集するなど、市民が意見を述べやすくなるよう工夫する」


(3)計画の策定・公表
 (2)による市民からの意見や関係部署の考えを取りまとめ、修正・調整をした計画を策定する。計画の内容は、ホームページや報道機関により公表する。

3 関係者との調整方策
(1)住民
 計画(案)の作成段階から、住民の意見を反映させる。方策としては、公聴会や説明会の開催、計画の方向性・内容に関するアンケートを行う説明会での説明資料は図や表を多用し、様々な意見がでればホワイトボードに書きとめる。異なる意見は、一致点や相違点を整理して共通点を探すなど、全員で確認しながら合意できる意見をまとめる


⑦ 計画の方向性・内容に関するものであれば、パブコメではないでしょうか。アンケートであれば、検討ステップ(課題や景観要素の抽出など)で実施すべきと考えます。
⑧ 図や表を多用する目的が欲しいところです。また、図や表ですと一般論に見えますので、もう少し技術的に詳しく述べた方が良いと思います(3D都市モデルを活用する、景観資源の分布図を作成するなど)。さらに、ホワイトボードに書き留めるのも理由が欲しいですし、書き留めた後どうするのかも述べた方が良いでしょう。
⑨ ファシリテーションのやり方に見えてしまいます。これも、一致点や相違点を整理して共通点を探した後、どのように合意形成するのかまであると良いと思います(KJやSWOTなどの見える化)。


(2)庁内関係部局
 都市部では、都市計画部局と連携を図る。都市計画マスタープランなど基本的な方針に景観上の考え方を盛り込み、都市計画決定や変更に適合するようにする。また、景観に建築物が含まれる場合は、建築部局と連携する。例えば建築基準法に基づく条例の制定や、総合設計制度の適用に景観上の配慮を図る。意見の相違がある場合は、意見を整理し原因を見つけ、目的の再共有などにより、すり合わせを行う。    以上


⑩ ここで問われているのは、関係者との調整方策です。これは、計画策定に必要なタスクに見えます。つまり、盛り込んだり、適合させたりするための都市計画部局との調整方法を書くべきです。
⑪ これも同じですね。原因を見つけ、目的の再共有などでどうして合意形成が図られるのでしょうか。すり合わせを行うでは、抽象的です。もっと、具体的な調整方策としましょう。

「景観計画の策定」チェックバック

1 調査・検討すべき事項と内容
(1)景観特性の調査と景観資源の把握
 地域が有する歴史・文化・観光など、景観が関わる様々な特性を調査する。この特性に基づく特色ある自然や田園、沿道などの景観資源を把握する。


① →「景観に関する」


(2)住民意識の調査
 地域の特徴や印象を住民がどのように考えているのか調査する。また、事業者に対しては、景観に対する考えや施設整備で配慮している点を調査する。


② 施設整備の配慮事項を聞いているのでディベロッパー等を対象にしているのでしょうか。施設整備に限定している意図がよく分かりません。


(3)課題の整理・目標の検討
 景観を形成するための課題を整理する。課題は、景観を守る必要のある保全要素、イメージが必要な場所に不足している要素、景観を乱している阻害要素に分けて整理する。


③ 見出しには、目標検討とありますが、内容では触れられていません。不整合です。


2 業務を進める手順
(1)景観協議会の設置
 行政が主導して、地権者、地元団体、企業、学識経験者など様々な人材で構成された協議会を設置する。協議会は年代や性別が偏らないように工夫する。


④ 策定の手順はガイドラインがあるので、これに即した記述とすべきでしょう。
ガイドラインに記載されている。主な手順は、次の通りです。
基礎調査→景観計画骨子の検討→景観計画素案の検討→景観行政団体へ移行→景観計画素案の作成→パブコメ→景観計画の策定


(2)景観計画(案)の作成
 協議会では、前述の「1.調査・検討すべき事項と内容」をもとに、計画(案)を作成する。計画(案)には、法定事項である①景観計画区域、②良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項、③景観重要構造物や樹木の指定方針を定める。事業に掛るコストが増大しないように、また事業期間が過度に長くならないように留意する


⑤ 計画(案)を定めるのは景観行政団体であり、協議会は行政の付属機関ではありませんか(答申するだけ)。
⑥ 一般論です。技術的見地から留意点を述べないと得点できません。例えば、前述にある法定事項を決定する際の注意点などを書くべきと考えます。


(3)景観計画(案)の意見募集
 計画(案)について、広報誌やWebなど多様な手段で意見を募集し、市民が意見を述べやすいように工夫する。

(4)計画の策定・公表
 上記(3)による市民からの意見や関係部署の考えを取りまとめ、修正・調整をした計画を策定する。計画の内容は、Webや報道機関により公表する


⑦ このような手続きは合っても良いと思いますが、法定手続きは「告示」です。これをしっかりと書きましょう。


3 関係者との調整方策
(1)住民
 計画(案)の作成段階から、住民の意見を反映させる。方法は、公聴会や説明会の開催、計画の方向性・内容に関するパブリックコメントを行う。説明会資料は、3D都市モデルを活用して景観資源の分布図を作成するなど分かり易いものとする。様々な意見があれば、付箋やホワイトボードを使ってグループ分けをするKJ法や、SWOT分析による見える化を行う。


⑧ これだけでは、行政の一方通行になるので、双方向の意見交換ができるようワークショップの開催なども記述すると良いでしょう。
⑨ 分布図なら2Dで済む話です。3D都市モデルを活用するシーンを例示すべきです。


(2)庁内関係部局
 景観計画は都市計画、建築、道路など関係部局が多くなることから、主管課による事務局が庁内検討会議を設置する。計画段階から関係部局と情報交換を行い、事業について理解を深め、景観計画が関連する法令や計画、施策と齟齬が生じないようにする。   以上


⑩ 計画策定業務なのですから、すべて計画段階です。→「検討の初期段階」
⑪ 事業とは何ですか。会議体を設置、情報交換では、少々技術的な側面に欠けます。理解を深めてもらうための手段を具体的に書くべきです。

「景観計画の策定」完成

1 調査・検討すべき事項と内容
(1)景観特性の調査と景観資源の把握
 地域が有する歴史・文化・観光など、景観に関する様々な特性を調査する。この特性を構成している自然や田園、沿道などの景観資源を把握する。

(2)住民意識調査
 住民に対して、景観に関する認知度や関心度などのアンケート調査を行う。

(3)都市計画の調査
 地区計画や再開発・高度利用地区など都市計画の状況を調査する。

(4)課題の整理と方向性の検討
 (1)で把握した景観資源を保全要素、不足要素、阻害要素に分類し体系的に整理する。これに基づき、(2)の結果や地域特性を踏まえながら、庁内検討組織で地域の将来像と計画の方向性を検討する。

2 業務を進める手順
(1)基礎調査
 前述の調査及び検討を実施する。景観に関する情報は視覚的要素だけでなく、文化・歴史といった情報も収集することに留意する。現地調査では、写真や映像など視覚的に記録するとともに、撮影対象の選定や記録方法に工夫を凝らし、関係者間の共通認識化を促す。

(2)景観計画素案の検討
 景観法に規定されている「景観計画区域」「良好な景観形成のための行為の制限に関する事項」「景観重要構造物や樹木の指定方針」を定める。景観計画区域は、まちの成り立ちなど歴史的経緯や、特徴的な建築物や工作物の分布に留意する。工夫点は、建築物の高さ、色彩などの規制が景観にどのような影響を与えるか分析するため、3D都市モデルを活用する。

(3)景観計画の策定
 作成した素案は、関係部局の意見やパブリックコメントなどによる住民意見を取り纏め、調整し修正する。修正した計画は、広く周知を図り公告・縦覧により策定する。策定にあたっては、都市計画審議会への意見照会が必要であることに留意する。計画を審議する景観協議会には、専門家や利害が異なる関係者、地域住民など様々な人材を登用するように工夫する。

3 関係者との調整方策
(1)住民
 素案の検討段階から、住民意見を計画に反映させるため、ワークショップを開催する。単なる情報提供にとどまらず、双方向で意見交換する。説明資料は、景観を立体的に可視化し、認識を統一する。

(2)庁内関係部局
 景観計画は都市計画、建築、道路など多くの関係部局が関与するため、庁内検討会議を設置する。検討段階から関連法令や既存の計画・施策との整合性を確保し、齟齬が生じないよう調整する。     以上

タイトルとURLをコピーしました