全問題を分析して見えた“勝ち筋”を徹底解説
【 技術士 二次試験対策 】
合格するための共通戦略
令和8年度の技術士第二次試験(建設部門)の問題文が公表され(問題文はコチラ)、必須科目Ⅰに加え、選択科目Ⅱ・Ⅲの傾向が明確になりました(必須科目はこちらⅠー1、Ⅰー2)。 本記事では、主たる建設部門の問題を俯瞰し、出題の特徴と、どの科目にも共通する「合格答案の作り方」を体系的にまとめます。
技術士試験は「知識量」よりも 論理構造・因果関係・制度理解・技術的妥当性 が問われる試験です。 その観点から、令和8年度の問題は例年以上に “技術者としての判断力” と “体系的な記述力” を重視していることが読み取れます。
令和8年度・選択科目Ⅱの試験傾向
選択科目Ⅱは「施工計画・施工設備・積算」「道路」「河川・砂防」「都市計画」「鋼構造・コンクリート」「土質・基礎」の6分野。 全体を俯瞰すると、以下の共通傾向が明確です。
傾向①:“現場条件 × 技術的判断 × リスクマネジメント” の三点セット化
Ⅱ-2の大問はすべて、 ①現場条件の把握 → ②施工計画の立案 → ③リスク顕在化時の再検討 → ④関係者調整 という流れで構成されています。
これは、国交省が推進する 「施工DX」「施工管理の高度化」「合意形成のプロセス化」 と完全に一致します。
つまり、単なる技術知識ではなく、 ・現場の制約をどう読み解くか ・施工管理項目のトレードオフをどう扱うか ・関係者調整をどう設計するか が問われています。
傾向②:「安全・品質・工程・原価・環境」の5要素の明示が必須化
Ⅱ-2の(2)では、ほぼ全科目で 「安全・品質・工程・原価・環境」の施工管理項目を特定せよ という要求が出ています。
これは、令和7年度の国交省「施工管理の標準化」方針を踏まえた出題であり、 5要素を網羅しない答案は確実に減点されます。
◆傾向③:「関係者調整」の具体性が強く要求される
Ⅱ-2の(3)では、 「丁寧な説明」「わかりやすい情報提供」では評価しない と明記されています。
つまり、 ・誰に(ステークホルダーの特定) ・何を(技術的な解決策) ・どうやって(調整プロセス) を具体的に書く必要があります。
これは、技術士に求められる「技術者倫理」「社会的説明責任」を踏まえた出題です。
傾向④:地盤・地下水・老朽化・災害対応の比重が増加
土質・基礎、河川、道路の各科目で、 ・地下水位 ・軟弱地盤 ・老朽化インフラ ・複合災害 ・国土強靱化 が頻出しています。
令和6年能登半島地震の影響が極めて強く、 「地震 × 豪雨 × 老朽化 × 地盤不確実性」 という複合的なリスクを扱う問題が増えています。
令和8年度・選択科目Ⅲの試験傾向
選択科目Ⅲは、単なる政策論ではなく、“技術者としての判断体系を持っているか” を問う試験です。
今年の問題群をすべて精査すると、以下の5つの深層構造が共通して存在します。
①「観点を明記せよ」は“技術者の評価軸を問う試験”に進化している
観点を明記させる理由は、単なる採点のためではありません。
観点=技術者が課題を評価する際の「価値基準」
であり、国交省が技術士に求めているのは以下の能力です。
●観点設定能力=技術者の“判断のフレームワーク”
観点を誤ると、課題抽出がズレます。
つまり、観点設定は 技術者の思考の起点 であり、ここを試しています。
●観点は「政策目標」とリンクしている
令和8年度の問題文は、すべて最新の政策と連動しています。
例:
施工計画:施工DX、働き方改革
道路:自動物流道路、国土強靱化
河川:複合災害、流域治水
都市計画:立地適正化、事前復興
土質:地盤不確実性、複合災害
鋼構造:事前防災、品質確保と生産性向上
つまり、観点は「政策の目的に沿った評価軸を設定できるか」を聞いています。
②「最も重要な課題を選べ」は“優先順位付け能力”ではなく“資源制約下の意思決定”を問う
表面的には「優先順位付け」だが、実際はもっと深いんです。令和8年度の全問題は「資源制約」を前提にしています
・人材不足
・予算制約
・老朽化インフラの増加
・災害の激甚化
・地盤不確実性の増大
つまり、課題は複数あるが、全部はできません。そのため、技術士は「限られた資源で最大効果を出す課題」を選ぶ必要があります。これは、国交省が技術士に求める“リソース配分の意思決定能力”そのものといえます。
③「専門技術用語を交えて」は“政策と技術を接続する能力”を問う
単に専門用語を使えという意味ではありません。
●政策課題を技術で解決できるか
選択科目Ⅲは政策問題ですが、技術士は政策論者ではありません。技術者としての役割は、「政策課題を技術で解決すること」です。そのため、解決策には必ず以下が必要になると考えます。
●制度 × 技術 × 体制
例:
流域治水 → 貯留施設・遊水地・地下河川
自動物流道路 → 路車協調、C-ITS、専用レーン
複合災害 → 斜面モニタリング、地盤情報統合DB
事前防災 → 耐震補強、免震・制震、地盤改良
生産性向上 → プレキャスト化、BIM/CIM、ロボット施工
つまり、Ⅲの(2)は、政策課題を技術的に解決できるかを問う“技術者の本質試験”です。
④「新たなリスク」は“技術導入の副作用を予測できるか”を問う
これも単なるリスク列挙ではありません。
●技術導入には必ず副作用がある
例:
・ICT施工 → データ依存度増加 → サイバーリスク
・自動物流道路 → 自動運転依存 → システム障害時の大規模停
・流域治水 → 下流負荷の増加 → 新たな氾濫リスク
・事前防災 → 過剰投資 → 財政圧迫
・地盤改良 → 周辺地盤変形 → 近接構造物への影響
つまり、Ⅲの(3)は、「技術導入の副作用を予測し、再度リスクマネジメントできるか」を問う高度な問題です。
これは、国交省が推進する「リスクベースアプローチ」の完全な反映ですね。
⑤選択科目Ⅲは「技術者としての体系的思考」を問う試験に進化した
令和8年度の問題群をすべて読むと、選択科目Ⅲは以下の能力を総合的に問うている。
① 観点設定能力(評価軸の明確化)
→ 技術者の価値基準を問う
② 課題抽出能力(因果構造の理解)
→ 技術的メカニズムを正しく把握できるか
③ 優先順位付け能力(資源制約下の意思決定)
→ 技術者としての判断力
④ 技術的解決能力(制度 × 技術 × 体制)
→ 政策課題を技術で解決できるか
⑤ リスク予測能力(副作用の把握)
→ 技術導入後の新たなリスクを予測できるか
3. 令和8年度の試験全体に共通する「合格するための答案構成」
ここからは、どの科目にも共通する “合格答案の型” を示します。 今年の問題文をすべて分析した結果、以下の構成が最も評価されます。
課題抽出は「観点 → 課題 → 技術的理由」の三段構造
観点を明記し、課題を述べ、技術的理由で裏付ける。 例: 観点:安全性 課題:地下水位上昇に伴う盛土の支持力低下 理由:間隙水圧の増加により有効応力が低下し、せん断抵抗が減少するため
この形式で書くと、技術士としての論理性が明確になります。
原因は「因果一本化」で書く
あなたの好む「因果構造一本化」を踏まえると、 原因 → メカニズム → 結果 の一本線で書くことが重要です。
例: 地下水位上昇 → 有効応力低下 → 盛土の支持力低下 → 変形・沈下の発生
解決策は「制度 × 技術 × 体制」で書く
Ⅲの解決策は、技術だけでは不十分です。
①制度(基準・ガイドライン) ②技術(工法・評価手法) ③体制(施工管理・モニタリング) の三点セットで書くと高評価になります。
Ⅱ-2の施工管理項目は必ず「5要素」を網羅
安全・品質・工程・原価・環境 を必ず明示し、それぞれのトレードオフを説明します。
例: 安全 vs 工程:地下街変位の抑制のため施工速度を落とす必要がある 品質 vs 原価:高精度計測を導入するとコスト増となる
関係者調整は「誰に × 何を × どうやって」で書く
Ⅱ-2の(3)は、抽象的な説明では評価されません。
例: 誰に:地下街管理者・商店会・住民・道路管理者 何を:変位計測結果・施工変更案・安全確保策 どうやって:定例協議・合意形成プロセス・情報共有ツール(CIM)
Ⅲの(3)は「解決策の副作用」を書く
例: ICT施工を導入 → データ依存度が増加 → サイバーリスクの増大 対策:ゼロトラスト・アクセス制御・データバックアップ
文章は「制度整合性 × 技術的妥当性 ×因果構造」で評価される
あなたの好む技術文書の要件と、技術士試験の採点基準は完全に一致しています。
・制度の位置づけを正しく書く ・技術的理由を必ず添える ・因果関係を一本線で示す ・抽象語を排除する
これができれば、どの科目でも合格ラインに到達します。
令和8年度の試験は「技術者としての総合力」を問う
今年の問題を総合すると、技術士に求められているのは以下の能力です。
技術的判断力
現場条件・地盤条件・構造条件を読み解き、 最適な施工方法・対策を選ぶ力
リスクマネジメント力
安全・品質・工程・原価・環境のトレードオフを整理し、 最適解を導く力
合意形成力
関係者の利害を理解し、 技術的根拠をもって調整する力
技術文書作成力
制度整合性・因果構造・技術的妥当性を備えた 論理的な文章を書く力
令和8年度の技術士試験は「論理 × 技術 ×制度 ×体制」を書こう
今年の試験は、単なる知識ではなく、 技術者としての総合的な判断力と文章力 が強く問われています。
特に重要なのは以下の7点です。
◆令和8年度・合格のための7つの共通事項◆
- 観点 → 課題 → 技術的理由 の三段構造で書く
- 因果関係を一本線で示す(抽象語を排除)
- 解決策は 制度 × 技術 × 体制 の三点セット
- 施工管理項目は 安全・品質・工程・原価・環境 を必ず網羅
- 関係者調整は 誰に × 何を × どうやって を具体化
- Ⅲの(3)は「解決策の副作用」を必ず書く
- 技術文書としての 制度整合性・技術的妥当性・因果構造 を徹底する
令和8年度の技術士二次試験は、例年以上に「技術者としての総合力」を問う内容でした。 しかし、出題傾向は極めて体系的であり、正しい答案構成を身につければ確実に合格できます。
さあ、ご自身の答案はどのような具合ですかね?心配な人、合否を早く知りたい人、解答の弱点を知りたい人、本サイトの添削サービスをご検討ください。丁寧な説明で、モヤモヤを解消しましょう。


