-環境負荷の小さな都市の実現技術-
【 技術士 二次試験対策】
本日ご紹介するのは、新たな問題を作り投稿いただいています。テーマは、「環境負荷の小さな都市の実現」になります。予想ランキング第2位のGXと類似した内容であり、良いアプローチだと思います。
問題の内容は、次の通りです。
【問題】
(1) 我が国において、環境負荷の小さな都市を実現する上で、環境負荷の小さな都市を目指すこととなった環境面での課題を多面的な観点から抽出し述べよ
(2) (1)で抽出した課題のうち最も重要な課題をあげ、課題に対する解決策を複数示せ
(3) (2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策
国土交通省の資料において、環境負荷の小さな都市は、 単に物理的な環境への負荷を削減するだけでなく、持続可能な都市を目指すものという考えが示されています。また、同資料では、一般的な方策として以下の視点が挙げられています。
① コンパクトな都市の実現
② 円滑な都市交通に配慮した都市の実現
③ 水循環・物質循環に配慮した都市の実現
④ 生態系に配慮した都市の実現
⑤ 大気・気象に配慮した都市の実現
このように、持続可能な都市と環境負荷の小さな都市は、密接な関係にありますね。どのちらの表現であっても、根っこの部分は一緒なので、焦らず国の方針を解答すれば一定の解答ができると思います。
それでは、投稿いただいた論文を見てみましょう。
1.環境面での多面的な課題とその観点
(1)いかに、都市の低炭素化を行うか
我が国の温室効果ガス排出量は、都市活動に起因するものが5割近くを占めている。また、パリ協定が定めた「2°上昇のシナリオ」では50mm/時以上の降雨発生率が21世紀末で1.6倍になると予想されている。次世代への気候変動リスク低減のために、地球温暖化の抑制は重要である。よって、温室効果ガス削減の観点から都市の低炭素化を図るかが課題である①。
① 言葉は異なりますが、観点と課題が同じになっています。
(2)いかに、人口②排熱を抑えるか
都市部では地表面がアスファルトやコンクリートで覆われていることや建築物の増加により、地表面からの冷却作用が働きにくくなっている。加えて、産業・社会活動による排熱量は100w/m2相当であり、熱中症リスクの増加等人の健康に与える影響も大きい。よって、健康で快適な都市活動を推進する観点から、いかにヒートアイランド対策を行うかが課題③である。
② 「人口」→「人工」
③ タイトルと課題が異なっています。
(3)いかに、生態系の保全を行うか
都市の開発に伴う森林伐採や里山の減少により、野生動物の生息空間が減少しています。近年では、えさ場を失った野生動物が市街地に出没し、農作物や人に危害を加える事例が多発している。また、獣害として処理されることにより生態系が乱れることも懸念される④。よって、生物多様性確保の観点からいかに生態系の保全に考慮⑤した都市構造を構築するかが課題である。
④ 獣害ではなく、生態系が乱れた場合の悪影響を書くべきと考えます。
⑤ 観点と課題が同じになっています。
(2)最も重要と考える課題とその解決策
次世代及び現世代の環境負荷を低減し、持続可能な都市を構築することは、環境に配慮した都市基盤を整備することが重要である⑥。よって、「いかに、都市の低炭素化を図るか」を最重要課題として選定し、以下に解決策を述べる。
⑥ 3つのうちから選ぶのですから、相対評価であるべきと考えます。
(1)コンパクト+ネットワークの構築
集約型の都市構造を構築し、移動時間縮減⑦による温室効果ガス排出の削減を図る。具体的には、立地適正化計画により⑧医療・福祉・商業施設等を誘導し都市機能の集約を図る。また、MaaSの導入により移動と目的地までの検索・予約・決済をシームレス化し円滑な移動を実現する。導入にあたり、グリーンスローモビリティやLRT等の環境負荷が小さいモビリティの活用を推進する。さらに、目的地までの経路検索機能から温室効果ガス排出量を可視化することで、マイカーから公共交通利用への転換を喚起し、モーダルシフトの促進⑨を図る。
⑦ 移動時間の短縮は違和感があります。むしろ、歩行や自転車での移動が増加することによる効果ではありませんか。
⑧ 「により」→「を策定することで」
⑨ 前と後ろは同じことを言っています。また、都市構造の話から外れています。ネットワークの構築を説明すべきではありませんか。
(2)GXの推進
物流分野:運輸部門における貨物自動車の温室効果ガス排出量は約40%を占めている。そのため、AI技術等の導入により物流の低炭素化を推進する。具体的には、企業間の輸送ルートをデータベース化し共同配送⑩を推進する。加えて、輸送には連結トラックやEVトラック等の環境負荷の小さい車両を導入⑪する。さらに、車両の位置情報からAIによる最適ルート設定による⑫最短時間での輸送を図る。また、倉庫管理システムを併せて導入する。納品先や重量等から温室効果ガス排出量を計算し、輸送モード⑬変更による削減効果のシミュレートを行う。これにより、モーダルシフト効果の可視化を図る。
⑩ AI技術ですか。
⑪ AI技術ですか。
⑫ 「による」が連発しています。
⑬ 分かりづらいです。具体例を添えるなど、もう少し説明した方が良いと思います。
住宅分野:住まいにおける温室効果ガス排出量は年間3.4t⑭に上る。そのため、エネルギー省力化を強化した需給一体型のZEH+を推進する。具体的には、太陽光発電と⑮蓄電システムを併設し、効率の良いエネルギー活用を推進する。加えて、敷地内にEV車の充電設備を整備⑯し、エネルギーの自家消費を図る。さらにHEMSの導入により、家庭内で使用する電気機器の使用量や稼働状態を可視化し、必要に応じて節電モードに切り替える。これらによる⑰、高度なエネルギーマネジメントを推進し、住まい部門の低炭素化を図る。
⑭ 物流は割合だったので、こちらも割合の方が良いと思います。
⑮ 「と」→「に」
⑯ 屋外電源のことですか。「EV車の蓄電池も利用し」で良いのではないでしょうか。
⑰ これらとあるので、「蓄電池の活用や」を追記してはどうでしょうか。
(3)解決策に共通して生じる新たなリスクと対応策
新たなリスク:都市の集約化とデジタル化の進行により、利便性の低い郊外地では空き施設等の未利用地化が進行する懸念がある⑱。また、それにより不法投棄等の発生による環境劣化⑲の恐れがある。
対応策:空き施設を地域コミュニティの活動拠点として活用する。また、コワーキングスペースやオープンスペース等の整備により人の交流⑳を図り、サードプレイスとしての場を提供する。 以上
⑱ なぜ、集約化とデジタル化で未利用地化が進行するのか理解できません。
⑲ これは未利用地になると不法投棄が増えるということですかね?関係性が良くわかりません。もう少し、説明が必要です。
⑳ コワーキングスペースは働く場所ですし、オープンカフェも交流施設と呼ぶのに違和感があります(コワーキングスペースはサードプレイスも違和感あり)。