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技術士 二次試験対策 建設部門 令和6年度必須科目 Ⅰ   予想問題 「働き方改革」チェックバック&完成

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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「働き方改革」チェックバック&完成

この論文で、注目すべき点はICT活用という生産性の向上に関する取り組みをフェーズごとにまとめている点です。論文は、きちんと整理整頓されていると読みやすいことは勿論ですが、コミュニケーションや、課題解決といったコンピテンシーが備わっているというアピールができます。

すなわち、技術士としての資質が備わっていると評価されます。今さら感がありますが、改めて合否判定基準の内容を確認してみます。問題の種類等として、専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力が掲げられています。具体的に、問題解決能力とは一体どのように捉えればいいのでしょうか。

その答えは、以下の通り技術士のコンピテンシーに記載されています(技術士のコンピテンシーの全文はコチラ)。このコンピテンシーを脳裏に焼き付けて、課題や解決策を書くと評価につながります。

技術士のコンピテンシー【問題解決】

  • 業務遂行上直面する複合的な問題に対して、これらの内容を明確にし、調査し、これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。
  • 複合的な問題に関して、相反する要求事項(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)、それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮した上で、複数の選択肢を提起し、これらを踏まえた解決策を合理的に提案し、又は改善すること。

論文

今回の添削LIVEは、以前投稿いただいた「働き方改革」のチェックバックです(以前の投稿はコチラ)。さらに、出来が良かったので完成まで一気に見ていきましょう。

問題文

Ⅰ-1 平成31年4月施行の改正労働基準法により、令和6年4月から建設業においても罰則付き時間外労働上限規制の適用がされたところである。さらに、令和元年6月成立の新・担い手3法では、著しく短い工期による請負契約の締結の禁止が規定され、令和2年7月に中央建設業審議会において「工期に関する基準」が作成・勧告されている。このように、時間外労働規制等に適切に対応しつつ、適正な請負代金・工期が確保された請負契約の下で、適切に建設工事が実施される環境づくりが欠かせない。
 また、建設業が持続的に発展していくためには、担い手の処遇改善や働き方改革の取組を推進していくことで、新規入職を促進し、将来の担い手の確保・育成を図っていく必要がある。さらに、働き方改革を推進していくと同時に、物的・人的両側面での生産性の向上を図っていくことは建設業界全体の発展にとって不可欠である。
 他産業と比較しても働きやすく、また、魅力的な勤務環境づくりを果たし、建設業の持続的な発展を実現するため、以下の問いに答えよ。

(1)建設業の働き方改革を推進するに当たり、技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。

課題

1.多面的な観点と課題
(1)いかに生産性を向上させるか
 建設業は、依然として全産業平均と比べて労働時間が長い状況にある。また、令和6年度から時間外労働の上限規制が適用となる等、厳しい労働環境による生産性の低下が危惧されている。よって、生産性の観点からICT技術の活用が課題である。


① 労働環境と生産性の低下に因果関係はないともいます。厳しい労働環境の影響は、「厳しい労働環境→建設業の魅力低下→労働者不足が危惧」というロジックになると思います。これは、時間外労働の上限と同様で懸念事項は、労働力の低下だと考えます。ここは、懸念事項と対応の必要性を分けてはいかがでしょうか。必要性は、結論に結び付ける表現を意識し、ICTの活用による生産性向上を述べると良いと思います。→「・・・適用となり更なる労働力の低下が懸念される。このことから、ICT等の新技術を活用し生産性を高めることで、不足する労働力を補う必要がある。」としてはいかがでしょうか。


(2)いかに適切な賃金水準を確保するか
 建設業を志す人材を確保するためには、能力に見合った適切な賃金の支払いが重要である。技能者は様々な現場の下で経験を積み重ね技能を磨いていくが、その能力が統一的に評価されにくく、果たしている役割が賃金に反映されづらい環境にある。よって、人材面の観点から、適切な賃金水準の確保が課題である。


② 読点削除

③ 前段の「能力」と「果たしている役割」は、実質的に同じことを言っているように見えます。このため、表現が冗長的になっています。→「・・・その経験と能力は適正に評価されず、賃金に反映されづらい環境にある。」

④ 人材面の観点ですと(1)の課題も含まれてしまうので、ここでの観点は「仕組み面の観点」とした方が課題にマッチすると思います。


(3)いかに、請負契約の透明化を図るか
 昨今、建設資材価格は高騰を続けている。請負契約では、受発注間で価格変動のリスク管理が不明確な場合がある。価格変動によるしわ寄せが下請業者に届き不良工事発生等の悪影響が及ぶ恐れがある。よって、制度面の観点から、請負契約の透明化が課題である。


⑤ この場合は、管理ではなく「分担」ではないでしょうか。

⑥ 「しわ寄せが届く」との表現に違和感があります。→「及び」

⑦ 国の動きに品確法の改正がありますので、ここは品質低下を懸念材料とした方が評価につながりやすいともいます。→「不当な請負契約による品質の低下が懸念される。」

解決策

2.最も重要な課題とその理由
 令和6年度以降の改善基準告示に伴う労働力の低下に対し、早急な対策を講じる必要がある。よって、「いかに生産性を向上させるか」を最も重要な課題に選定し、以下に解決策を述べる。

(1)計画・設計フェーズ
①3D都市モデル
 都市部での建設工事では、住環境に配慮した工事車両のアクセスルート検討が重要である。そこで、PLATEAUによるルートシミュレーションを推進する。例えば、現場状況を3D都市モデルから確認し、交差点や道路構造物等への干渉チェックを行う。現地に出向くことなくルート策定を計画することで、現場管理人の負担軽減と業務の効率化を図る


⑧ 例示には住環境配慮だけでなく、搬出入に関する検討が含まれています。よって、「資機材搬出入や」を追記しましょう。

⑨ 重要なのは検討することではなく、検討の結果としての選定であると考えます。→「選定」

⑩ →「3D都市モデルを用いて現場状況を確認し」

⑪ 構造物の干渉は理解できますが、交差点の干渉は違和感があります。よって、「を踏まえたルート検討を行う。」としてはいかがでしょうか。※交差点→「交差点形状」

⑫ 現場管理人という人ではなく業務にすると端的に表現できると思います。→「施工管理の負担軽減と効率化を図る。」


②BIM/CIM
 高架橋等、高低差や複数の支障物を有する現場条件の工事では支保工計画の検討に時間と労力を要する。そこで、UAVにより得られた点群地形データを3Dモデル化し現地形状を再現する。高低差や施工位置を同時に確認することで、精密な検討を短時間で実施し、計画業務の質・量を共に向上させる


⑬ 高架橋と支保工といきなり具体例からの説明になっています。一般化された内容を説明し、具体的な説明という構成が良いと思います。よって、最初の文を一般化しましょう。→「複雑な地形や複数の支障物が存在する工事現場においては、施工計画の検討に多くの時間と労力を要する。」

⑭ ここら辺に具体例としての高架橋と支保工の説明を組み込むと構成上読みやすくなると思います。また、確認というより可視化といった表現の方が3Dモデル化のメリットを表せると思います。→「具体的には、高架橋の支保工計画を検討するにあたり、高低差や施工位置を同時に可視化することで、精密な検討を短時間で実施する。これにより、計画業務の質・量を共に向上させる。」※これにより以降は重複気味なので蛇足ですかね(スペース次第ですね)。


(2)施工フェーズ
①i – Construction
 i-Constructionを導入し、ICT技術による施工管理で作業時間の縮減を図る。例えば路面切削工では、事前に地上型レーザースキャナにより測量を行い、取得した点群データを基に3Dモデル化を行う。設計データを路面切削機に入力したTSにより機械位置を追尾し、設定した切断厚さで切削した後3Dデータから出来形管理を行う。


⑮ i – Constructionを導入とあるので、ICT云々は重複気味ですね。端的に、「・・・導入し、施工管理の作業時間を短縮する。」


②遠隔臨場
 施工確認や材料確認、立会等において遠隔臨場を運用する。具体的には、工事現場にいる受注者がカメラ等で撮影した映像と音声を、WEB会議システムを通じて離れた監督員と共有する。これにより、現場までの移動時間や立会の待ち時間を短縮する。


⑯ →「導入」


(3)維持管理フェーズ
ロボットの活用
近接目視点検を要するインフラ管理の効率化を図るため、AI搭載型ロボットを活用する。例えば、車両搭載型ロボットで走行中に点検画像を取得し、損傷程度の区分を自動判別するAIによりスクリーニングを行う。計測・診断の簡略化により、点検作業の省力化を図ると共に、交通規制による損失時間を削減する。


⑰ →「導入」

⑱ 車両を搭載するロボットとはどのようなものですか。ロボット搭載型車両ではありませんか。また、前述にあるAI搭載型ロボットとの表現と類似するので、読み手が混乱する可能性があります。※前段は「AI機能を有するロボット」といった具合に表現を変えると良いでしょう。

新たなリスク

3.新たなリスクと対応策
 ICT技術に頼り仕組みを理解せずに現場が完成することで、若手技術者の技術力が低下するリスクがある。対応策として、熟練技術者とのOJT教育や技術検定を実施する。また、ECI方式により社外技術者と意見交換を行うことで、技術力の向上を図る。

要点・留意点

4.必要な要件と留意点
 業務にあたっては、常に社会全体における公益を確保する観点と、安全・安心な社会資本ストックを構築して維持し続ける観点を持つ必要がある。業務の各段階で常にこれらを意識するよう留意する。


⑲ 「以上」を書きましょう

完成

1.多面的な観点と課題
(1)いかに生産性を向上させるか
 建設業は、依然として全産業平均と比べ労働時間が長い状況にある。また、令和6年度から時間外労働の上限規制が適用となり更なる労働力の低下が懸念される。このことから、建設業におけるDX化を加速させ 、不足する労働力を補う必要がある。よって、生産性の観点からICT技術の活用が課題である。

(2)いかに適切な賃金水準を確保するか
 建設業を志す人材を確保するためには、適切な賃金の支払いが重要である。技能者は様々な現場の下で経験を積み重ね技能を磨いていくが、その能力が統一的に評価されにくく賃金に反映されづらい環境にある。よって、仕組み面の観点から、能力に見合った 賃金水準の確保が課題である。

(3)いかに請負契約の透明化を図るか
 昨今、建設資材価格は高騰を続けている。請負契約では、受発注間で価格変動のリスク分担が不明確な場合がある。価格変動によるしわ寄せが下請業者に及び、不当な請負契約による品質低下が懸念される。よって、制度面の観点から、請負契約の透明化が課題である。

2.最も重要な課題とその理由
 改善基準告示に伴う労働力低下に対し、早急な対策が求められる。よって、「いかに生産性を向上させるか」を最重要課題に選定し、以下に解決策を述べる。

(1)計画・設計フェーズ
①3D都市モデル
 都市部での建設工事では、資機材搬出入や住環境に配慮した工事車両のアクセスルート選定が重要である。そこで、PLATEAUによるルートシミュレーションを推進する。例えば、3D都市モデルから現場状況を確認し、交差点形状や道路構造物等の影響を踏まえたルート検討を行う。現地に出向くことなくルート を計画することで、施工管理の負担軽減と効率化を図る。

②BIM/CIM
 複雑な地形や複数の支障物が存在する工事現場では、施工計画の検討に時間と労力を要する。そこで、UAVにより得られた点群地形データを3Dモデル化し現地形状を再現する。例えば 、高架橋の支保工計画を検討するにあたり、高低差や施工位置を同時に可視化することで、精密な検討を短時間で実施する。これにより、計画業務の質・量を共に向上させる。

(2)施工フェーズ
①i – Construction
 i-Constructionを導入し、施工管理の作業時間を短縮する。例えば路面切削工では、事前に地上型レーザースキャナにより測量を行い、取得した点群データを基に3Dモデル化を行う。設計データを路面切削機に入力したTSにより機械位置を追尾し、設定した切断厚さで切削した後3Dデータから出来形管理を行う。

②遠隔臨場
 施工確認や材料確認、立会等において遠隔臨場を導入する。具体的には、工事現場にいる受注者がカメラ等で撮影した映像と音声を、WEB会議システムを通じて離れた監督員と共有する。これにより、現場までの移動時間や立会の待ち時間を短縮する。

(3)維持管理フェーズ
ロボットの活用
 近接目視点検を要するインフラ管理の効率化を図るため、AI機能を有するロボットを導入する。例えば、ロボット搭載型車両で走行中に点検画像を取得し、損傷程度の区分を自動判別するAIでスクリーニングを行う。計測・診断の簡略化により点検作業の省力化を図ると共に、交通規制による損失時間を削減する。

3.新たなリスクと対応策
 ICT技術に頼り仕組みを理解せずに現場が完成することで、若手技術者の技術力が低下するリスクがある。対応策として、熟練技術者とのOJT教育や技術検定を実施する。また、ECI方式により社外技術者と意見交換を行うことで、技術力の向上を図る。

4.必要な要件と留意点
 業務にあたっては、常に社会全体における公益を確保する観点と、安全・安心な社会資本ストックを構築して維持し続ける観点を持つ必要がある。業務の各段階で常にこれらを意識するよう留意する。  以上

※赤字は修正箇所

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