過去問から見る出題傾向 選択科目Ⅱー1
【 技術士 二次試験対策 】
選択科目Ⅱー1の予想と対策
前回は、必須科目Ⅰの予想ランキングをお届けしました。都市及び地方計画の予想のみとなってしまい恐縮ですが、予想の仕方はどの分野も同じです。考え方を参考にしていただき、ご自身で予想することと施策の理解につながります。
さて、選択科目Ⅱー1は何度も申し上げていますが、選択科目の中でも鬼門です。選択科目は、範囲が広く予想は非常に難しいです。しかし、必須科目Ⅰと同様に時事問題が出題されやす事は変わりません。また、予想はむずかしいものの、4問の中から選択するので数打ちゃ当たる戦法でいきましょう。
つまり、より多くの知識を身に付けることが大切です。そうなると憶えることがたくさんあって無理だなぁと諦めてはいけません。選択科目Ⅱー1は解答用紙1枚と少なく、文章構成も悩むことはないでしょう。よって、広く浅く学ぶことが大切です。知ってさえいれば、何とかなると思ってください。
よって、練習論文の作成と並行して、キーワード学習を行いましょう。キーワード学習では、概要をはじめ、特徴、メリット・デメリット、類似施策などをまとめると良いでしょう。また、具体的な説明をする上で必要になるのが、事例の把握です。施策等を理解する上でも、事例に目を通すことが大切です。
このキーワード集を隙間時間に繰り返し読み込みましょう。読み込んでいくうちに、新たな疑問が生まれたらすぐさま調べて、キーワード集を修正していくと良いでしょう。論文を書くのが飽きたら、キーワード集を作る、読み返すといった作業を行うと、勉強も飽きずにできると思います。
「都市及び地方計画」の出題傾向
都市及び地方計画は、以下の4つのジャンルに区分されます。建築や公園は他の専門分野に内包できないためか、都市及び地方計画にてその知識が問われます。つまり、この2分野は欠かさず出やすいと考えてよいでしょう(令和5年度では出題されていませんが、傾向は変わらないと思います)。残りの都市づくり、市街地整備は都市及び地方計画の王道分野と言えます。
- 都市づくり関連
- 市街地整備関連
- 建築関連
- 公園関連
都市づくり関連
- R1 → エリアマネジメント
- R2 → 対流促進型国土の形成(国土形成計画)
- R3 → 東日本大震災復興
- R4 → 災害ハザードエリア
- R5 → 土砂災害・盛土規制法
→ 都市交通実態調査
→ 立地適正化計画
都市づくり関連の出題傾向は、ぱっと見「災害関係」の話題が多いですね。今年に入ってからは、能登半島地震や千葉のスロースリップ、台湾地震、さらには昨日の愛媛沖地震など多くの災害が発生しています。このように時事的に見ても大注目ですし、必須科目ⅠではR5に巨大地震がすでに出題されているので、必須科目で災害関連が出題されにくいことからも、多くのキーワードを想定しておく必要があります。
一方、私が注目しているのは、R2に出題されている対流促進型国土の形成(国土形成計画)です。令和5年7月に新たな国土形成計画が閣議決定(計画を見たい人はコチラ)されたので、出題される可能性が高いとにらんでいます(解説記事はコチラ)。これは、投稿いただいている受験生も感じ取っているようで、投稿論文も寄せられています。ここは、確実に押さえておきましょう!
市街地整備関連
- R1 → 区画整理の「換地照応の原則」
- R2 → 立体都市計画制度
- R3 → 都市のスポンジ化
- R4 → B/Cの算定方法
- R5 → なし(都市交通実態調査)
市街地整備は、R1~3までは整備手法を問われる傾向にありました。当然、令和6年度もスポンジ化対策やスタンダードな市街地整備手法は、引き続き押さえておく必要があります。また、最近では立地適正化計画の議論が盛んになっていますので、この計画に関連する制度も把握しましょう。
しかし、R4はB/C、R5はなしとしていますが都市づくり関連に区分した都市交通実態調査は本区分にも属すると考えられますことから、最近の傾向は評価・調査手法が問われています。調査、検討手法にもデジタル化の波が押し寄せていますので、ここらへんの動向を把握する必要がありそうです。
建築関連
- R1 → 高度利用地区、再開発等促進区
- R2 → 空き家対策
- R3 → 既存建築物の用途変更
- R4 → 道路状況に応じた建築基準法の規制
- R5 → なし(土砂災害・盛土規制法)
建築関係は、法制度に関する出題が目立ちます。特に、都市及び地方計画にふさわしい都市計画法の用途地域、地域地区、地区計画といった内容です。やはり、建築関係の技術者をターゲットにしていると考えられます。
法関連問ことで言えば、災害関連の都市づくりということで分類した土砂災害・盛土規制法もこのジャンルに区分できると思います。ということで、法制度の活用や理解が必要になりますので、最近の法改正やトレンドを踏まえた対策が必要になります。
公園関連
- R1 → 公園緑地の多面的な機能
- R2 → 都市公園のバリアフリー
- R3 → 生物多様性の推進に必要な公園等の役割
- R4 → 特定生産緑地制度
- R5 → 特別緑地保全地区制度
公園(緑地)関係は必ず出題されるので、専門ではない人もチェックすべきです。都市緑地法も改正されるので、時事的にもバッチリです。今年も欠くことなく出題されるでしょう。都市緑地法の改正は、特別緑地保全地区の支援制度が中心ですが、すでにR5に出題されています。
注目は、R1に出題されている公園緑地の多面的な機能と、R3に出題されている生物多様性です。令和元年に「グリーンインフラ戦略」が策定されており、この年に公園緑地の多面的な機能が出題されています。そして、昨年「グリーンインフラ推進戦略2023」が策定されましたので、出題される可能性は高いと考えます(グリーンインフラの過去記事はコチラ)。
選択科目Ⅱー1 R6予想問題
「完全に当てにいっているじゃないか!」と笑われてしまいそうな予想です。でも、いいんです。この時期は、どんな論文を用意するのかが重要で、変に的を絞ってしまうと勉強するネタが少なくなってしまいます。では、ちょっとだけ私の推しキーワードを述べますね。
都市づくり関連は、やはり「国土形成計画」が大本命ですね。あとは、傾向が顕著な災害関連が注目されます。特に、流域治水対策は、「流域治水プロジェクト2.0」が発表されていますので要チェックです。
市街地整備関連は、従来からのスポンジ化対策に加え、最近また議論が活発化している立地適正化計画に関連している制度は押さえておきましょう。さらに、近年の出題傾向から、調査・評価手法が問われることが予想だれますので、デジタル化関連施策を説明できるようにしましょう。
次に、建築関連ですが、これは先に説明した通り法制度ジャンルとも言えますので、2023年4月に改正した省エネ法、令和6年度から課税される森林環境税などを背景に、省エネ、木材利用促進といったあたりがきな臭いです。
最後は、約束されたジャンル公園関連です。ここは、問答無用の「グリーンインフラ戦略2023」をしっかり把握しましょう。これに起因した、ネイチャーポジティブ、NbSなども理解しておきましょう。
さあ、今年は鬼門のⅡー1を当ててやるぞ!みなさんも、注目のキーワードがあったら、メールで教えてくださいね。それでは、GWに向けどんどん情報収集をしましょう。