グリーンインフラ
【 技術士 二次試験対策 】
先日、100投稿記念でも解説しましたが、ネイチャーポジティブが熱いです!!!
令和4年度の必須科目Ⅰでは、前年度の令和3年に示された「地球温暖化た施策計画」、「国土交通グリーンチャレンジ」、「国土交通省環境行動計画」を背景にカーボンニュートラルが出題されています。必須科目Ⅰは、比較的に広い視野に立った取り組みを説明させるケースが多いです。
令和6年度の出題問題の背景として、生物多様性条約COP15(2022年12月7日~19日、カナダ(モントリオール)で開催。(議長国:中国). 2030年までの新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択された。)を受け、ネイチャーポジティブつまり自然再興の潮流が注目されます。環境省のHPに分かりやす変遷が記された資料がありましたので、掲載しておきますね。
図 昆明・モントリオール生物多様性枠組 検討の流れ(環境省HPより抜粋)※クリックで環境省省へ
では、ネイチャーポジティブに向け、国土交通省では何をやっているのかというと。「グリーンインフラ推進戦略2023」を策定しています。流域治水やインフラメンテナンス同様に第2フェーズ突入ということです(令和元年に「グリーンインフラ推進戦略」を策定済み)。いつもの流れだと「グリーンインフラ推進戦略2.0」だと思うんですが、グリーンインフラは”2023”表記ですね。
インフラメンテナンスが第2フェーズ突入を契機に令和5年度に出題されていることを踏まえると、令和6年度は「流域治水」、「地域公共交通」、「グリーンインフラ」あたりは強烈にきな臭いですね。流域治水とグリーンインフラは雨水貯留をというキーワードで結ばれています。また、自然を活用して問題解決するという観点はどちらも共通しています。すなわち、NbSの考えが、どちらにも取り入れられているのです。だからこそ、ネイチャーポジティブが注目されるという仕組みですよね。
今回策定された「グリーンインフラ推進戦略203」では、どのような方向性が示されたのか見ていきましょう。先日、8/9に報道発表されたお題目では、『グリーンインフラの推進を通じて「自然と共生する社会」の実現に取り組みます』とありました。「自然と共生する社会」とは随分と使い古された用語を持ってきましたねぇ。しかし、記事の詳細を読み進めてみると「本戦略では、新たにグリーンインフラの目指す姿(「自然と共生する社会」)や、取組に当たっての視点を示すとともに、官と民が両輪となって、あらゆる分野・場面でグリーンインフラを普及・ビルトインすることを目指し、国土交通省の取組を総合的・体系的に位置づけました。」とありました。目新しく、かつ的確に表現されていました「グリーンインフラをビルトインする」←コレ論文に使えそうです!?
具体的な内容を見てみましょう。
図 グリーンインフラ推進戦略2023の概要(国土交通省HPより抜粋)※クリックで国土交通省へ
この概要図では、左側の枠に前述の背景が記載されています。ネイチャーポジティブに加え、カーボンニュートラル・GXもあります。そして、グリーンインフラに注目する訳として、災害対応、人口減少、SDGs、Well-beingなどが下段に示されています。この部分は、そのまま問題文になりそうな情報です。
本題の戦略の概要は、先に古臭いといった「自然と共生する社会」を目指す姿とし、実現させるための社会像を4つ示しています。この社会像が、解答論文の”課題(括弧書き部分は観点)”にあたる部分になると思います。この4つの社会像を実現させるための手段が、7つの視点から説明されており、より具体的な施策は中央部に箇条書きで示されています。この箇条書き部分が”解決策”になると思います。
ご自身が選択する分野に合わせて、課題や解決策を選択すればもう一つ練習論文が書きあがりそうですね。このテーマで論文を用意しておいて損はないと思います。
4つの社会像はどのような意図があるのか見ていきましょう。
(1)「自然の力に支えられ、安全・安心に暮らせる社会」
水田、畑地、湿地→雨水の貯留・浸透機能→水害の軽減
森林→海岸の防風・防砂、津波被害の軽減、山の土砂災害を防止・軽減
(2)「自然の中で、健康で快適に暮らし、クリエイティブに楽しく活動できる社会」
土壌、植物→空気・水の浄化、水源の涵養機能→健康な暮らし
植物→蒸発散機能で気温上昇を抑制→快適な都市空間を提供
自然→リラックス効果・ストレス軽減→幸福度の向上・生産性の向上・創造性の向上
(3)「自然を通じて、安らぎとつながりが生まれ、子どもたちが健やかに育つ社会」
地域の自然→愛着・誇りを高める→コミュニティの醸成
自然→教育の場、遊びの場→子どもたちの健全な成長・ Well-being の向上
(4)「自然を活かした地域活性化により、豊かさや賑わいのある社会」
自然→農産物の生産、景観の形成→豊かさ・賑わいの創出
エコロジカルネットワーク→生物多様性、人と自然とのふれあいの場→地域社会・経済への効果
まさに、自然の力を活用して社会問題を解決しようという試みです。「んっ」これは、もはやNbSですはないですか! 本編では、『グリーンインフラの「グリーン」は、「ネイチャー(自然)」であり、樹木や花等の「緑」のみならず、土壌、水、風、地形といったものも含まれる。』とハッキリ言っちゃってます。ネイチャーポジティブの達成には、緑という小さい枠にとらわれず、自然を相手にしなければいけませんよね。この流れは必然といえます。
本編も箇条書きで非常に読みやすいです。また、昨今、注目されるキーワードが随所に現れますので、是非一度目を通してみてはいかがでしょうか。日常的に、国の考えに触れておくことが、筆記試験合格の近道です。試験直前は、論文を書きまくるので、今の時期に情報収集することが大切になってきます。