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技術士 二次試験対策 建設部門 令和6年度必須科目 Ⅰ 予想問題 「コンパクト・プラス・ネットワーク」チェックバック②

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【 技術士 二次試験対策 】

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令和6年度技術士試験合否決定基準

GWは論文を書き溜める時期です。論文を大量生産するにあたり、筆記試験の合否判定基準を確認し、論文記述の際に意識する点を明らかにしていきましょう。

令和6年度技術士試験合否決定基準(総監除く)
【必須科目】
「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
→60%以上の得点
【選択科目】
「選択科目」についての専門知識及び応用能力に関するもの
「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
→60%以上の得点

合否判定基準は、すでにご覧いただいていると思います。しかし、みなさんがいの一番に確認するのは、何点取ればいいのという点です。60%以上の得点といわれても、採点方法も分かりませんので「ふーん」程度の情報です。

大事なのは、問題の種類等に示されている内容です。評価されるポイントは、専門知識、応用能力、問題解決能力、課題遂行能力の4つの視点です。このうち、専門能力問題解決能力は、技術士のコンピテンシーにどうのような能力なのかが示されています(コンピテンシーはコチラ)。

専門能力と問題解決能力

専門的学識

  • 技術士が専門とする技術分野(技術部門)の業務に必要な、技術部門全般にわたる専門知識及び選択科目に関する専門知識を理解し応用すること。
  • 技術士の業務に必要な、我が国固有の法令等の制度及び社会・自然条件等に関する専門知識を理解し応用すること。

一つ目の項目は、技術全般と選択科目の知識を求められています。たいした情報はないと思いきや、技術全般というところが肝ですね。必須科目は、自分の専門分野のみに偏った提案だと×ということです。幅広い技術力(深い知識は不要)を示す必要があります。

二つ目の項目は、重要なヒントが示されていますね。注目すべきは、国の制度を応用せよとあります。つまり、技術士試験における技術力とは、国の制度を理解し応用することと言えます。

問題解決

  • 業務遂行上直面する複合的な問題に対して、これらの内容を明確にし、調査し、これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。
  • 複合的な問題に関して、相反する要求事項(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)、それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮した上で、複数の選択肢を提起し、これらを踏まえた解決策を合理的に提案し、又は改善すること。

次に、問題解決能力ですが、これは問題そのものと言えます。必須科目の背景と課題設定は、正に要因の抽出と分析ですよね。

2つ目の項目は、相反する要求事項、こっちを立てたらあっちは立たず状態の問題を重要度に応じて何を優先すべきなのかを合理的に提案せよといっています。大事なのは、共感できる合理性を解決策の中に織り込めるかということです。主観的な意見の主張や関連性の希薄な施策提案などは、合理性に欠けるので注意しましょう。

合格レベルに至らない論文は、この合理性に問題があります。筋道の通った説明で、合理性を備えましょう。

論文

本日の論文は、 「コンパクト・プラス・ネットワーク」の2回目のチェックバックになります。いい感じになってきています。合理性という要素を紹介しましたので、これを意識して読んでいただくと読者のスキルもアップすると思います。それでは、早速論文を見てみましょう。

課題

1.多面的な観点から課題を3つ
(1)いかに良質なまちづくりを進めるか:質の観点
 近年、デジタル化が発展しており、様々な分野で活用されている。コンパクトなまちづくりにおいても、デジタル技術を活用していくことが有効である。また、住民や訪問者に親しまれるよう、質の向上も重要である。よって、質の観点から、いかに良質なまちづくりを行うかが課題である。


① 背景では、2つのことが述べられています。「デジタル技術の活用が有効」と「質の向上が重要」です。この二つの事柄は並列で書かれているため、関連性が不明確です。また、人々に親しまれる質の向上とは一体どのようなものなのか、漠然としており読み手に言いたいことが伝わりません。例えば、「デジタル技術を活用した都市機能の向上が重要」といった具合にデジタル技術の関連性と質の具体化を表現する必要があると考えます。

② 課題設定している良質なまちづくりは、①の通りです。観点も課題と類似しているとともに、質の観点とはどのような立場・見方なのか理解できません。後述の解決策を勘案して従前どおり、まちづくりにおけるデジタル化が課題で良いと思います。この場合の観点は、技術面ですかね。


(2)いかに人材育成をするか:人材面の観点
 日本の建設産業の就業者数は1997年の685万人に対して現在は480万人程度であり、ピークから約3割減少している。また、技能労働者のうち約3割が60歳以上であり、10年以内に大半が引退を迎える。このため、今までまちづくりに従事してきた熟練技術者の知識やノウハウが若手技術者に継承されにくくなっている。よって、人材面の観点から、いかにまちづくりを行う人材を育成するかが課題である。


③ 熟練技術者が退職することのみをもって継承されにくくなったとは言えず、継承されにくくなる要因が述べられていないので釈然としません。ここは、現象ではなく重要性にしてはどうでしょう。→「熟練技術者の知識やノウハウを若手技術者に継承していくことが重要である。」


(3)いかに官民連携を進めるか:コストの観点
 日本の建設投資額は1992年の84兆円に対して現在は60兆円程度であり、ピークから約3割減少している。地方自治体の多くは財政状況が逼迫しており、社会資本への投資が難しくなっている。コンパクトなまちづくりを進めるに当たっては、都市基盤整備は不可欠であり、限られた予算の中で最大限の効果を得ることが重要である。この費用対効果を向上させるには、民間企業のノウハウやアイディアの活用が有効である。よって、コストの観点から、いかに官民連携を促進するかが課題である。

解決策

2.最も重要な課題と複数の解決策
 デジタル化はまちづくりだけでなく様々な分野にも応用できるため、「いかに良質なまちづくりを進めるか」を最も重要な課題に選定し、以下に解決策を示す。

(1)MaaSの導入
 複数の公共交通や移動サービスを最適に組み合わせて、検索・予約・決済等を一括で行うことができるMaaSを導入する。今までは、自ら個々の交通手段を細かく調べていた。スマートフォンのアプリを用いて出発地から目的地までの移動手段を検索や予約、決済までを一括で行うことで、移動の質の向上に寄与する。


④ MaaS(マース:Mobility as a Service)とは、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスであり、観光や医療等の目的地における交通以外のサービス等との連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となるものです(国交省HPより抜粋)。MaaSの重要な要素である下線部の考えが示されていません。また、例示においても、具体性はマートフォンのアプリという部分だけで、前段の説明が繰り返されているように見えます。→「また、観光や医療等の目的地における交通以外のサービス等との連携により、移動の利便性向上を図る。例えば、目的地が病院であった場合、診療予約とそれに伴う移動の検索・決済をスマートフォンアプリ等により一括で行えるサービスを提供する。」


(2)都市計画情報のオープンデータ化
 都市計画の分析および検証に用いる基礎データをオープンデータ化する。具体的には、GISのデータが挙げられる。GISは、コンピューター上で人口分布や土地利用状況、建物の利用状況などの地理空間情報を重ね合わせて表示するシステムである。例えば、空き家の分布を可視化することによって、空き家を除去・活用するなど、空き家対策検討が可能になる。まちづくりに関する分析や検証の質の向上に寄与する


⑤ ここでは、解決策(やること)を書くべきです。GISの説明は不要です。

⑥ GISの特徴の重ね合わせを活用した事例になっていません。

⑦ 効果を書くのではなく(特筆すべき効果、波及効果などはOK)、ここでは、解決策(やること)を書くべきです。→「・・・向上を図る」

  • 問題のテーマは、コンパクトプラスネットワークなので、これに貢献することを示唆する内容も記述すると良いでしょう。例えば、「人口分布や重要施設の立地状況とハザード情報を重ね合わせ、集約するエリアを特定する」といった表現などが考えられます。

(3)スマートプランニングの活用
 個人単位の行動データをもとに、人の動きをシミュレーションし、施策実施の効果を予測した上で、施設配置や空間形成、交通施策を検討するスマートプランニングを導入する。下記のように活用することで、まちづくり計画の質の向上に寄与する。
①最適な立地の検討:ビッグデータを活用して、様々な移動特性および施設配置や道路空間に変化させた時の滞在時間の変化を把握する。公共施設の最適な立地の検討が可能になる。


⑧ 把握するものが分かりづらいです。①移動特性、②施設配置、③滞在時間の変化の3つだと思います。①は理解できます。②は公共施設の最適な立地を検討するための施設とは何ですか。③は何を道路空間に変化させるのですか。②と③は説明不足で、何が言いたいのか分かりません。


②都市構造の検討:コンパクトなまちづくりは、集約型の都市構造を構築することで公共施設も集約・再編することができる。スマートプランニングは、これら公共施設の集約再編の検討に用いることが効果的であるこれらの都市構造を検討する際のツールとして有効である。


⑨ コンパクトシティと集約型の都市構造は同義です。どちらか一方は削除しましょう。

⑩ これでは、①最適な検討と同じ内容ではありませんか。小見出しは、都市構造の検討です。

⑪ 公共施設の集約再編の検討は、都市構造の検討ではありません。

新たなリスク

3.懸念事項と対応策:以下へ示す。
 懸念事項は、人口密度の過度な増加によって、電力等の公共サービスの品質が低下することである。対応策は、需要に応じてスマートグリッドを構築して、そのエリアの電力の安定供給を行うことである。


⑫ コンパクトプラスネットワークは、多極分散型の都市構造であり、人口密度の過度な増加を誘発するものではないと考えます。さらに、上記の解決策(デジタル技術の活用)が人口密度の増加とどのような関係にあるのかも分かりません。

⑬ 人口増加で電力が低下する仕組みが分かりません。

⑭ スマートグリッドは、電力の地産地消、災害対応を目的として検討される施策であり、安定供給を目的とするとの表現に違和感があります。


4.業務遂行にあたり必要となる要件と留意点
 業務にあたっては、常に社会全体における公益を確保する観点と、安全・安心な社会資本ストックを構築して維持し続ける観点を持つ必要がある。業務の各段階で常にこれらを意識するように留意する。

 以上。

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