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技術士 二次試験対策 建設部門 令和6年度必須科目 Ⅰ 予想問題 「コンパクト・プラス・ネットワーク」

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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GWの過ごし方

二次試験の申し込みが終わると、待ちに待ったゴールデンウイークに突入します。世間にとっては、行楽や自分の時間を楽しく過ごす最高に楽しい休日です。しかし、技術士受験生にとっては、勉強ができる最高の休日になります。

こんなにまとまった時間を確保できるのは、最初で最後となります。つまり、この時間をどのように過ごすのかが合格への鍵です。可能な人は、もう10連休にしてしまいましょう。大事な一週間であることは、理解していただけたと思いますが、ただ机に向かえば良いという訳ではありません。

1日の目標を立てて、小さなタスクを積み重ねていくことが大切です。試験までに酔いすべき論文は、最低でも6セット(必須科目Ⅰ~選択科目Ⅲ)、できれば8セット以上ほしいところです。GWでは、このうちの半分4セットくらいを最終の成果目標とすると良いでしょう。

1セット9枚ですから、9枚×4セット=36枚となります。暦通りで行けば、7日間の休みがありますから、1日5枚程度書けば良いということになります。これは、1日目は必須科目Ⅰと選択科目Ⅱー1、Ⅱー2、2日目は選択科目Ⅲと必須科目Ⅰという具合に、6枚を1セットに書き進めると良いでしょう。

論文を書く時の注意点

二次試験の勉強は、論文をたくさん書けば良いというものではありません。勉強の目的は、当たり前ですが、二次試験当日に合格レベルの論文を書く能力を身に付けることです。書籍や人が書いた合格レベルの論文を読んだだけでは、その能力は身に付きません(暗記してもダメ)。

やはり、自分自身で悩みながら論文を書くことのみが、能力を身に付ける唯一の方法です。この悩みながらというところがポイントです。合格レベルの論文を書き上げるための各プロセスにおいて、自ら考えるということにほかなりません。

考えるポイントは、そんなに多くありません。次の事項が、重要なポイントと考えます。

① 何を聞かれているのか考える(題意を正確に捉える)

② 何を書くか文章のあらすじを考える(骨子をつくる)

論文を書く(初めての人はひな型に沿って書く)

③ 書き終えたら間違いが必ずあると思って読み返す(推敲する)

この3つのフェーズで思考を巡らせることが重要です。いきなりできませんので、最初は時間がかかります。ゆっくりで大丈夫です。考えることを省略することは、絶対にやめましょう。試験近くになって、スムーズに考えがまとめられることができれば、どんな問題がきても適切に対応できます。

問題の読み方は、予想問題の解説記事を読むと良いでしょう(予想問題:第1弾第2弾第3弾)。また、骨子の作り方も解説がありますので参考にしてください。さらに、推敲方法を身に着けたければ、添削LIVE等でどのような点が指摘されるのか確認してみると良いでしょう。本サイトを上手に活用してくださいね。

論文

本日の論文は、「コンパクト・プラス・ネットワーク」をテーマにしたものです。これは、人口減少を迎える我が国の処方箋となる都市構造です。最近では、この都市構造を実現する立地適正化計画の実効性を高めるための議論も活発化しています。このような状況を踏まえると、必須科目の出題もあるかもしれません。早速、論文をみてみましょう。

問題

ー前文省略ー
地域構造を「コンパクト」+「ネットワーク」という考え方でつくり上げ、国全体の生産性を高めていくことにある。このような状況を踏まえ、以下の問いに答えよ。

(1)「コンパクト」+「ネットワーク」を推進するにあたって, 技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し,それぞれの観点を明記した上で、課題の内容を示せ。

(2) 前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1 つ挙げ, その課題の解決策を複数示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行した上で生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(4)(1)〜(3)を業務として遂行するにあたり必要となる要件を、技術者としての倫理、社会の持続可能性の観点から述べよ。

課題

(1)多面的な観点から課題を3つ
(1)安全でコンパクトなまちづくり:安全面の観点
近年、気候変動の影響による降雨の激甚化・頻発化が顕著になってきているまた都市部は市街化の進行で保水機能が低下しており、河川への流出速度が速まっている。都市部は人家が集約されているため氾濫リスクが高まっていることが問題である安全面の観点から安全でコンパクトなまちづくりが課題である。


① 見出しの付番は、大見出しは「1.」、中見出しは「(1)」、小見出しは「①」としましょう。以下同様。

② 文頭は、1マス空けましょう。

③ 「なってきている」との表現では、「なり始めている」との意味合いが強いです。→「なっている」

④ 接続詞の後ろには、読点を入れましょう。

⑤ 人家が集約しているとなぜ氾濫リスクが高まるのですか。保水機能との関連性で結論づけているのであれば、集約されることによって流出速度が高まる面積が小さくなるのではありませんか。あるいは、人家が集約されているため、被害が拡大するということですかね。そうであるならば、浸水想定区域に人家が密集している場合のみ問題となります。つまり、いずれの場合においても、人家が密集していることを理由として氾濫リスクが高まるという主張は違和感があります。そもそも、コンパクトなまちづくりを行うための課題をかくべきところ、集約化(コンパクト化)の問題点を指摘すること自体、論点がズレていると感じます。

⑥ 「安全面の観点から安全でコンパクトなまちづくり」と表現してしまっては、観点と課題が同じになっています。さらに、この課題は、二つのことを言っています。一つは、安全なまちづくり、もう一つはコンパクトなまちづくりです。安全の確保は目的であり、その手段がコンパクトなまちづくりなのですよね。2つのまちづくりを併記するのはおかしいですね。さらに、コンパクトなまちづくりのみを課題設定した場合でも、適切な解答と言えません。理由は、コンパクト・プラス・ネットワークを推進するための課題を述べよと言われているのに、その課題がコンパクトなまちづくりとしては、「おいしい食べ物を作るコツは何ですか」と問われているのに「おいしい食べ物を作ることです」と答えているようなものです。
※課題設定を見直しましょう。


(2)移動が容易なまちづくり:都市構造の観点
近年、地方都市では市街地の拡散化および公共交通空白地域が発生している。稼働している路線バスについても低頻度運行である場合が多い。このため地域住民にとって日々の生活にかかる移動が困難となっていることが問題である都市構造の観点から、移動が容易なまちづくりを行うことが課題である。


⑦ →「運行」

⑧ →「運行本数が少ない」

⑨ 「困難だ」といっているので、「問題である」は不要です。→「困難となっている」

⑩ この内容も⑥と同様、移動が容易なまちづくりがコンパクト・プラス・ネットワークであり、これを推進するための課題を述べるべきです。(1)ほどではないにせよ、的確な解答と言えるか疑義があります。


(3)環境負荷に考慮したまちづくり:持続性の観点
日本では、「2050年カーボンニュートラル」を宣言している。その一方で日本では再生可能エネルギーの活用が進んでおらずCO2排出量が抑えきれていない。CO2吸収量の観点でも、近年はグリーンインフラの推進で徐々に改善傾向であるが、充分ではない。持続性の観点から環境に考慮したまちづくりが課題である。


⑪ →「環境負荷の軽減を考慮したまちづくり」

⑫ 再生エネルギーの活用はすでにされていますので、普及が進んでいないことが言いたいことではありませんか。また、CO2排出量が抑えきれていないとしていますが、抑制すべき量の説明がない中でのこの表現は唐突感があります。現状を表す程度にしてはいかがでしょうか、→「再生可能エネルギーの普及が進まず、依然としてCO2を排出する化石燃料由来の発電に依存している。」

⑬ グリーンインフラを緑地そのものと捉えていませんか。グリーンインフラは、「自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方」です。グリーンインフラの使い方に違和感があります。

⑭ →「環境を考慮した」または「環境に配慮した」
これも、環境に配慮することで、なぜコンパクト・プラス・ネットワークが推進されるのか分かりません。

解決策

2.最も重要な課題と複数の解決策
(1)最も重要と考える課題:移動が容易なまちづくりである。なぜなら、コンパクト+ ネットワークで生産性を高めていくには移動を容易にし人と人との連携を高めることが最も効果的であると考えるためである。


⑮ なぜ、いきなり生産性の向上が目的になっているのですか。脈絡がなく、主張が理解できません。

⑯ 人と人との連携を高めるとはどのようなことなのか分かりません。また、何に効果を発揮するのですか?題意からするとコンパクト・プラス・ネットワークの推進に効果があるとなりますが、関係性が分からず理由になっていません。


(2)課題に対する複数の解決策:以下に示す。
Maasによる移動の効率化であるMaasは、自転車などのモビリティを単なる手段ではなく、利用者にとっての一元的なサービスと捉える概念である。例えば、スマートフォンのアプリを用いて出発地から目的地までの移動手段を検索や予約、決済までを一括して行うことができる。今まで個別で行なっていたことが一元化できるため効率化となる


⑰ →「MaaS」

⑱ ここは解決策を書くところなので、やることを明確に分かりやすく書きましょう。→「移動の効率化を図るため、MaaSを導入する。」

⑲ MaaSの定義が違います。概念ではなく、サービスの総称です。国土交通省のHPでは、「MaaS(マース:Mobility as a Service)とは、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービス」と定義されています。

⑳ 最初に効率化と述べているので、重複しています。不要。


②コミュニティバスによる支線輸送である。コミュニティバスは主要な公共交通機関がカバーしきれない地域で活用される移動手段である。このような地域では高齢者が居住していることも多い。このため、一般的に移動弱者である高齢者にとって高い需要がある。交通網において幹線までを支線輸送で繋ぐ。車両は低床式にして、高齢者に寄り添ったものとする。これによって交通空白地帯が解消される。


㉑ 人口密度が低い地域にコミュニティバスを走らせると、採算の確保ができず持続可能性という観点から問題が多い交通手段です(施策的にもちょっと古いですね)。このような問題点を踏まえ、近年ではコンパクト・プラス・ネットワークを推進することとなったと考えられます。つまり、フィーダー交通を運行しなくてもすむように、都市を歩いて暮らせるくらいコンパクトにし、コンパクト化された都市(拠点)間を公共交通で結ぶという都市構造がコンパクト・プラス・ネットワークです。そうゆう意味でいうと、この解決策では、薄く広がった都市構造をそのままとした場合に必要となる解決策と言えます。よって、解決策にふさわしくないと思います。

㉒ 最近は、移動弱者は使いません(弱者が差別的なのですかね?)。→「移動制約者」

㉓ 最初に支線輸送と述べているので不要。


③ミズベリングによる、歩きたくなるまちづくりである。日本の河川は治水の観点から連続した強固な堤防が整備されている。一方、まちづくりの観点では景観を阻害する要因にもなっている。ミズベリングで官民一体となって河川空間の魅力向上を行う。例えば河川空間のスペースを活用して「道の駅」や公園を建設する地域住民にとっての新たな観光地としていくことにより、歩きたくなるまちづくりができる。これによって地域活性化がなされる。


㉔ 課題は「移動が容易なまちづくり」ではありませんか。ここでは、歩きたくなるまちづくりが目的になっています。論点がズレています。

㉕ 要因になっているものが、判然としません。おそらく堤防だと思いますが、読み手に想像を要求する説明は、分かりやすい説明と言えません。また、「も」とありますが、もう一方の要因は何ですか。要因が無ければ「も」は不要だと思います。

㉖ 何の説明もなく、いきなり官民連携の話がでてきます。脈絡がなく、読み手は何で官民一体となってなのと疑問をいだきます。つながりのある文章構成にしましょう。

㉗ 問題視しているのは、景観の阻害何ですよね。なぜ、道の駅や公園整備がその解決手段なのですか。後述にある地域活性化が目的であるならば、それに必要な背景・問題提起しないと関係性が分からず一貫性がありません。

㉘ 来訪者ではなく、地域住民のための観光地なのですか。そうであるならば、観光という表現は違和感があります。レクリエーション拠点など表現を適切なものに変えましょう。


(3)波及効果と懸念事項への対応策
波及効果:以下へ示す。
新たな雇用機会の創出である。人々の移動が促進および効率化されることにより、その地域で新たな需要が生まれる。例えば「道の駅」での名産品が挙げられる。名産品の作成や販売といった雇用機会が発生し、求職者の働き口を増やすことができる。
懸念事項への対応策:以下へ示す。
懸念事項:水害リスクの増大である。解決策実施前後で、人間を含む資産分布が変化することが予想される。今まで浸水頻度は高いが資産が無かったために低リスクだった地点でリスクが増大することが懸念される。 対応策:プラトーを用いた水害リスクの可視化である。市民にも分かりやすく周知することで低減を図る


㉙ 番号の付記は、大項目ですね。→「3.」

㉚ 令和5年度は波及効果がなくなっています。

㉛ 新たな需要が抽象的で、どのような需要なのか分かりません。また、なぜ新たな需要が発生するのかも分かりません。

㉜ これは道の駅の効果であり(問題ではすべての解決策を実行したうえで生じる効果とあります)、移動が容易なまちづくりによる効果ではないと思います。しかも、解決策では、地域住民のための道の駅と述べていますから、地元住民が地域名産を積極的に求めるのかも疑義があります。

㉝ なぜ水害リスクが増大するのか、説明を読んでも理解できません。解決策によって、資産分布が変化する理由も、解決策との因果関係も不明です。

㉞ 同じ指摘になりますが、なぜハザードエリアに資産が移動するのですか。

㉟ 何を低減させるのですか。ハザードエリアに資産を持ってこないことですか、それとも避難行動を促すことによる被害リスクですか。いずれにせよ説明不足です。


(4)業務遂行にあたり必要となる要件と留意点
技術者としての倫理の観点:以下へ示す。
必要となる要件は、常に安全第一に努めることである。公益の確保に繋がる。必要となる留意点は、公衆の安全とともに関係法令を遵守することである。
社会の持続性の観点:以下へ示す。
必要となる要件は解決策で示した事項に対して周辺生物との調和を図ることである。課題解決によって得た知見は後世へと確実に継承することに留意する。以上。


㊱ 番号の付記は、大項目ですね。→「4.」

㊲ 課題・解決策を業務として実行した場合の要件を書くのですが、安全第一との要点が業務のどのような場面で求められるのかイメージできません。

㊳ 問題には、解決策等を業務として遂行するにあたってと条件化されているので、「解決策で示した事項に対しては」の部分は不要。

㊴ 生物との調和を図るとはどのような行動なのでしょうか。自然環境に配慮するということですかね。表現がわかりづらいです。

㊵ この主語は、「知見は」になっています。継承するのは人であり、「知見を」継承するのですよ。

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