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技術士 二次試験対策 建設部門 令和2年度 必須科目Ⅰ「担い手確保」完成 & 質問コーナー

論文添削
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【 技術士 二次試験対策 】

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必須科目の専門的学識

投稿者から寄せられた質問が、とても鋭くみなさん共通して悩んでいることと感じましたので、少しご紹介したいと思います。質問の内容は要約すると、必須科目Ⅰの解決策は「幅広い視点で書くべきか」または選択した「専門分野に特化して書くべきか」でした。

永遠の論争に思われがちですが、私が考えるところの答えは前者です。必須科目は、専門分野だけでなく、各部門における技術士として備えるべき見識が問われているものと考えてください。多様な視点で様々な提案をすることは、技術士のコンピテンシーにも以下の記述があり、この考えを裏付けるものと考えています。

技術士のコンピテンシー
<問題解決>

  • 業務遂行上直面する複合的な問題に対して、これらの内容を明確にし、調査し、これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。
  • 複合的な問題に関して、相反する要求事項(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)、それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮した上で、複数の選択肢を提起し、これらを踏まえた解決策を合理的に提案し、又は改善すること。

専門分野のみに偏った解決策は、評価されづらいと考えますので、ご注意ください。

しかし、注意が必要なのは、必須科目Ⅰの場合に限ります。問題形式が似ている選択科目Ⅲについては、ゴリゴリに専門的学識を書きまくりましょう(もともと専門性の高い問題ですしね)。なぜ、似たような問題形式をわざわざ出題するのか当初は疑問だったのですが、この違いは部門全般の知識か、専門的知識かの差です。

これらを意識して骨子を作成すれば、きっと適切な解答に近づけるものと考えます。

選択科目Ⅱー2の手順と留意点

次の質問紹介は、選択科目Ⅱー2に関するものです。選択科目Ⅱー2の出題形式は、最初に調査・検討事項、次に手順と留意点、最後に調整方策の構成になります。このうちの「手順と留意点」についての質問です。この手順と留意点は、論文の主たる部分で多くのスペースを要する重要記述です。

質問の内容は、『すべての手順において「留意点・工夫点」を示すべきか』というものでした。この質問に関する私の答えは、すべてに記述する必要はないと考えます。正直、手順は見出し付けて、1行というものもあります。例えば、以下のケースをイメージすると良いでしょう。

(3)施策の検討
 上記の内容を踏まえ、施策を検討する。

「ウソでしょ」と感じる人もいると思いますが、大事なのは手順(業務の流れ)を端的に説明することです。また、留意点も工夫点も、あるわけないでしょといったステップも想定されます。よって、無理して書く必要はありません。

むしろ、留意点と工夫点を両方書くことの方が重要です。留意点だけだと「工夫はないんだぁ」と評価者に感じさせてしまいます。減点されるかは不明ですが、良い印象を与えないことは明らかですよね。まあ、あまり細部にこだわりすぎて自爆しないよう注意しましょう。結局、文脈を重視することの方がどの論文でも求められます。

論文

今回の論文は、令和2年度の必須科目「担い手確保」の完成論文になります(前回の投稿はコチラ)。このチェックバクを経て完成となりました。注目の担い手確保、完成した論文はきっとみなさんのお役に立つと思います。ぜひ参考にしてくださいね。それでは、素晴らしい完成論文を見てみましょう。

完成

1.多面的な観点とその観点
(1)労働環境の改善(持続性)
 建設業は労働力に依存している。しかし、生産年齢人口の減少や3K(きつい、汚い、危険)、週休2日制の未実施といった劣悪な労働環境が影響し、人手不足が深刻化している。さらに、担い手となる若者から敬遠されやすく、建設業の存続も危惧される。よって、持続性の観点から労働環境の改善が課題である。

(2)適切な労務費等の確保(待遇面)
 労働者に建設業の魅力を感じさせるためには、適切な賃金の支払いや社会保険等の待遇を改善することが不可欠である。また、発注者が適切な積算を行わないと現場の品質低下や賃金の支払いへの影響が生じる。よって、待遇面の観点から適切な労務費等の確保が課題である。

(3)インフラ分野のDX化(生産性)
 近年の生産年齢人口の減少や、令和6 年からの時間外労働の上限規制により、労働力の低下が懸念される。このような状況の中、激甚化・頻発化する災害やインフラの老朽化への対応が求められており、生産性の向上は急務となっている。一方、デジタル技術は急速に発展しており、不足する労働力を補う技術として期待されている。よって、生産性の観点からインフラ分野のDX化が課題である。

2.最も重要な課題と解決策
 最も重要な課題は「インフラ分野のDX化」である。時間外労働の上限規制はすでに始まっており、早急な対応が必要だからである。以下に解決策を示す。

(1)i–Construction2.0の推進
 建設現場のオートメーション化を実現するためi–Construction2.0を導入する。具体的には、施工データを集約する基盤整備を行い、これらのデータを活用することにより施工管理の高度化・省力化を図る。また、高速ネットワーク環境を整備し、検査等をリモート化する。これらにより、生産性を1.5倍に高める

(2)BIM/CIMの活用
 関係者間での作業を効率的に行うため、BIM/CIMの3次元データを用いて、施工図の作成及び出来形管理を行う。さらに、インフラ分野全体の合理化を図るため、3次元データは施工のみでなく調査から維持管理までの全行程で共有する。また、技術的な情報だけでなく、コストや価格情報をBIM/CIMデータに付与する。これにより、コスト管理、資機材調達、労務管理の一層の効率化が可能となる。加えて、建設事業に関する様々な情報がBIM/CIMに関連付けされるシステムを整備する。

(3)ICT建機の導入
 安全性の向上及び省力化を図るため、ドローンやICTロボット等のICT(情報通信技術)建機を全面的に活用する。具体的には、ドローンによる平時の監視システムの自動化、ICT浚渫工、砂防堰堤の自動設置など自動化を推進する。また、発災時においても、無人化施工を導入することで、危険作業を代替するとともに、復旧作業を少人数かつ迅速に実施する。

3.新たに生じうるリスクと対応策
(1)新たに生じうるリスク
 上記の解決策では、衛星やドローンによる点群や映像取得・解析でデジタルデータ利用が増加する。そのため、ハッキングやマルウェアなどのサイバー攻撃のリスクが高くなる。多くのデータに問題が生じた場合、解決に時間と労力が必要となり、生産性が低下する。

(2)リスクへの対応策
 デジタルデータには、VPN接続やファイアウォール、電磁シールドなどの多重防護を実施する。また、BCP(事業継続計画)にシステム障害項目を加え、サイバー攻撃への対応を行う。

4.業務遂行上必要となる要点
(1)技術者倫理の観点:倫理の要点は「公衆の安全・健康・福利を最優先」することである。留意点はデジタル化により大容量の情報を扱うため、情報漏洩等に留意する。

(2)社会の持続可能性の観点:要点は「地球環境、経済の保全等、将来世代にわたる持続性の確保」である。留意点は将来世代を担う若手技術者の人材育成に努める。業務の各段階で常にこれらを意識する。以上

※赤字は修正箇所

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