添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
完成作品をバンバンお届け
本日の添削LIVEは、建設部門 令和6年度 都市及び地方計画 選択科目Ⅲ 予想問題 「流域治水2.0」の完成版をお届けします(以前の投稿はコチラ)。当たり前ですが、試験前なので論文がどんどん完成していきます。質の高い論文を目にすることで、良いイメージが持てるのではないでしょうか。この終盤は、良い論文を多く目にすることが効果的だと思います。時間は限られていますが、これらを参考に自分の論文を確認&遂行するとよいでしょう。もちろん、手書きで復習ですよ!
論文
1.多面的な課題とその観点
(1) いかに防災まちづくりを推進するか
近年の気候変動により、降雨量の増大や海面水位の上昇等が発生している。このような状況を踏まえると、現在の治水計画による整備が完了しても、実質的な安全度が確保できないことが懸念される。そのため、氾濫した場合を想定して、被害を最小限にするためのまちづくりが重要である。よって、都市づくりの観点から、被害対象を軽減させるための対策が課題である。
(2)いかに地理空間情報を活用するか
昨今の治水対策は、河川管理者による事業に加え、氾濫域も含めた流域全体での取り組みが活発化している。この取り組みの拡大に伴い、対策に関連する有益な情報は増加しているものの、効果的にその情報を活用できていない。このため、取得情報を可視化し、有効な対策につなげていくことが重要である。よって、技術面の観点から、地理空間情報の活用が課題である。
(3)いかに横断的に水害対策を行うか
激甚化する水災害は、たびたび施設能力を超過し甚大な被害をもたらしている。このように、ハード面の対策のみでは限界があり、日々の暮らしや事業活動の中で水災害に備える必要がある。また、あらゆる関係者による備えや取り組みを有機的に推進することで、対策の効果を向上させることができる。よって、体制面の観点から、横断的な水害対策が課題である。
2.最も重要な課題と解決策
人命の確保に直結するため「いかに防災まちづくりを推進するか」を最も重要な課題に選定し、以下に解決策を述べる。
(1)都市構造
①防災指針の策定
災害ハザード区域における開発抑制、移転の促進、防災施策との連携強化などを計画的かつ着実に講じるため、立地適正化計画に防災指針を定める。策定にあたっては、災害リスク分析によって課題を抽出する。その上で、河川の掘削や護岸改修等の対策による氾濫防止と、立地誘導による被害対象の減少を同時に取り組み、流域の安全確保を総合的かつ多層的に進める。
②高台まちづくり
低地帯においては、氾濫が発生しても命の安全や最低限の避難生活水準が確保できるよう、高台まちづくりを推進する。例えば、地区計画等を活用し、民間開発による高台の拠点形成を誘導する。具体的には、地区計画を定め、浸水深さ以上に建物の床面高さを確保するとともに、高度利用地区の指定により、容積率の緩和を行い、建物内での緊急一時避難場所や高台広場、避難経路等の空間を形成する。
(2)市街地再編
氾濫が発生しても被害を最小限に抑えるため、水災害リスクがより低い区域への誘導・住まい方の工夫を促す。具体的には、自治体が主体となって移転者等のコーディネートを行い、移転に関する具体的な計画を作成し、手続きの代行等を行う。また、地域コミュニティを維持しながら、安全な場所へ移転する場合には、集団移転促進事業を活用し、自治体が移転先の整備 や移転者への助成などを行う。他方、住まい方の工夫においては、水害が予想されるエリアの建物をピロティ構造にするなど、改修に必要な費用を支援する。
(3)グリーンインフラ
社会資本整備や土地利用に併せて、自然環境が有する機能を活用する。例えば、雨水貯留浸透機能を有する緑地を特別緑地保全地区として指定する。市街地では、緑化協定制度を活用し民有地での緑化を推進する。併せて、レインガーデンや屋上・壁面緑化の整備により雨水を一時的に貯留する。グリーンインフラは、このような災害リスクの低減に加え、生態系の保全や地球温暖化防止といった波及効果も期待できる。
3.新たなリスクと対応策
防災指針の策定やハード整備に伴い、水害ハザードが変化する。その結果、既存のハザードマップや地域防災計画が有効に機能しないリスクが生じる。対応策として、各段階において、マップや計画の見直しを図る。見直しにあたっては、PLATEAIU等の3D都市モデルを活用し、整備完了に合わせてシミュレーションを行うことで、対策の見える化を図る。 以上