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技術士 二次試験対策 建設部門 令和5年度 選択科目Ⅱー2 予想問題 「点検困難部の損傷推定」 完成まで一挙公開 & 気になった点①

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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的確な解答

試験までの残された時間を使って、これまで論文を数多添削してきて気になった点をご紹介していきたいと思います。本日は、最も重要な要素である「的確な解答」について、考察してみましょう。技術士倫理綱領には、「真実性の確保」という項目があります。その内容は、次の通りです。

(真実性の確保)
5.技術士は、報告、説明又は発表を、客観的で事実に基づいた情報を用いて行う。
(1)技術士は、雇用者又は依頼者に対して、業務の実施内容・結果を的確に説明する。
(2)技術士は、論文、報告書、発表等で成果を報告する際に、捏造・改ざん・盗用や誇張した表現等をしない。
(3)技術士は、技術的な問題の議論に際し、専門的な見識の範囲で適切に意見を表明する。

これらの内容は、論文の書き方を表していると言っても良いと思います。その中にある最初の項目には、「的確に説明する」とありますので、技術士の持つべき資質として重視されるわけです。では、的確な解答とは、一体どのような表現なのでしょうか。

【題意に沿った答え】
よく生じてしまうパターンは、大きく2つあります。「料理をおいしく作るにはどうしたら良いですか」と聞かれているのに、「おいしく作ることです」と解答してしまうパターンです。そんな馬鹿なとお思いでしょうが、論文を一生懸命書いていると問われていることが何かを忘れてしまい、問題と同じような解答になってしまいます。
もう一つのパターンは、「リンゴの色は何色ですか」と聞かれているのに、「丸です」と解答してしまうパターンです。こんな分かりやすい間違いは実際のところ無いのですが、問題はこんなに単純ではありません。複雑化した問題を単純化し、聞かれていることを明確にしないと、このような的外れな解答になってしまいます。

【課題に対応した解決策】
次は、課題と解決策の関係性です。例えば、自分で設定した課題が「ICT技術の活用」とした場合、解決策にICT技術のことを書き進めていくと、いつの間にか「働き方改革」に変わっていくという現象です。これは、ICT技術→生産性の向上→働き方改革を実現するといったように、だんだんと論点が外れていくものです。文章の構成とそれらの関係性は、題意>課題>解決策といった形になります。自分が書いているこの文章の上流には何があるのか常に意識する必要があります。

このようなミスは、致命的なものになります。誤字脱字や、具体性の欠如と言ったものは、その場限りのミスですが、これらの論点ズレは論文そのものの評価を著しく低下させます。よって、これらのミスは、本番では絶対に避けなければなりません。

このミスを防ぐ方法は、3つあります。
① 問題の主旨に下線を引く
② 骨子を書く
(書き方はコチラ
③ 問題・課題を頻繁に見直す

この3つを実践できれば、上記のようなミスはしないと思います。ぜひ、お試しください。

論文

本日の添削LIVEは、建設部門 令和5年度 鋼構造及びコンクリート 選択科目Ⅱー2 予想問題 「点検困難部の損傷推定」になります。今回も、完成まで一気に見ていきたいと思います。Ⅱー2はおそらく、みなさんが通常業務で行っている内容に近いものが出ると思います。ただし、マニュアル等が存在するものが出題される可能性が高いので、マニュアルのステップを省略することがないように注意しましょう。それでは、早速論文を見てみましょう。

論文①

1.調査、検討すべき事項とその内容
  点検困難部の具体例として、鋼H桁橋の床版部を挙げる。床版部全面に剥落防止シートが施工されており、コンクリート床版の損傷の目視確認ができない。部分的に剥げている箇所はうき、剥離・鉄筋露出が確認できることから、不可視部においても同様の損傷が発生していると想定される。

(1)書類調査・ヒアリング調査
 構造物の竣工年、適用設計基準、設計図書、施工記録、過去の点検調書、補修・補強記録等の確認を行う。


① ヒアリングに関する記述がありません。


(2)コンクリート品質試験
 コンクリートコアを採取し、「中性化試験、塩分濃度試験、ASR試験、一軸圧縮試験」を行う。これにより、うき等の損傷原因を推定する。

(3)詳細調査
 床版について行う。具体的には、打音調査で損傷範囲を確認し、同時にサーモグラフィー法によるシート内部の空隙調査を行う。その他、橋面防水層の有無を確認するための舗装厚調査も同時に実施する。また、部分的なはつり調査を行い、実際の損傷の確認を行う。


② 不要。


2.業務を進める手順と留意点、工夫点
(1)調査
 上記1で挙げた調査を実施する。コア採取の際は、構造鉄筋を損傷させないよう、電磁波レーダーで鉄筋位置を把握してから作業するよう留意する。

(2)劣化要因の推定
 コンクリート品質試験、はつり調査、非破壊試験等の結果から劣化要因の推定を行う。塩分濃度が1.2kg/m3以上の場合は、塩害による鉄筋腐食と推定でき、鉄筋腐食状況と併せて確認する。なお、損傷範囲については、打音検査とサーモグラフィー法による結果を比較検討するよう留意する。


③ 要因の推定が、「塩害」のみとなっているのが気になります。「塩害」、「中性化」、「化学的侵食」、「アルカリ骨材反応」などの劣化機構に加え、物理的作用による「疲労」、「凍害」などについても触れた方がよいのではないでしょうか。


(3)損傷程度の推定
 試験結果、調査結果等及び劣化要因の推定を踏まえ不可視部分の損傷程度を推定し、健全性の判定を行う。補修対象は足場の必要範囲に留意し、健全性はⅡの部材(地覆)でも併せて補修対象とする等工夫する。また、NETISに登録されている新技術を検討候補に加える等工夫する


④ 問題に示されている業務範囲は、健全性の判定までではありませんか。補修の検討に関しては業務範囲外だと思います。判定評価の際は、補修を見据え記載のような所見を添えると言った論調で述べてはいかがでしょうか。


3.効率的・効果的な関係者との調整方策
(1)発注者:調査結果報告時、健全性の判定時等必要に応じて協議を密に行い、設計方針への理解を図る。また、打合せ記録簿を作成し手戻りを防ぐ。


⑤ 設計は業務範囲外です。調査方針ですかね。

⑥ 理解は「図る」のものではなく「促す」ものではないでしょうか。または、「合意形成を図る」ですかね。


(2)施工業者橋梁の施工業者から構造物の図面や施工写真等を取得する。具体的には、あらかじめ取得したい情報や理由を連絡し、迅速に入手する


⑦ 書くべきは「調整内容」ではなく、「調整方策(どうやって調整するか)」です。題意に沿っていないですね。


(3)周辺住民施工時の騒音や振動へのクレーム対策として、必要に応じて住民説明会を実施する。3次元モデル(CIM)を使用する等視覚的にわかり易く説明し、工事の内容理解と合意形成を図る。以上


⑧ これも業務外ですね。施工方法等は決定していないのですから、上記のような説明はできないと思います。

論文 完成

1.調査、検討すべき事項とその内容
 点検困難部の具体例として、鋼H桁橋の床版部を挙げる。床版部全面に剥落防止シートが施工されており、コンクリート床版の損傷の目視確認ができない。部分的に剥げている箇所はうき、剥離・鉄筋露出が確認できることから、不可視部においても同様の損傷が発生していると想定される。

(1)書類調査・ヒアリング調査
 構造物の竣工年、適用設計基準、設計図書、施工記録、過去の点検調書、補修・補強記録等の確認を行う。書類が残っていない場合は、関係者へ聞き取りを行う。

(2)コンクリート品質試験
 コンクリートコアを採取し、「中性化試験、塩分濃度試験、ASR試験、一軸圧縮試験等」を行う。これにより、うき等の損傷原因を推定する。

(3)詳細調査
 打音調査で損傷範囲を確認し、同時にサーモグラフィー法によるシート内部の空隙調査を行う。その他、橋面防水層の有無を確認するための舗装厚調査も同時に実施する。また、部分的なはつり調査を行い、鉄筋腐食等の確認を行う。

2.業務を進める手順と留意点、工夫点
(1)調査
 上記1で挙げた調査を実施する。コア採取の際は、構造鉄筋を損傷させないよう、電磁波レーダーで鉄筋位置を把握してから作業するよう留意する。

(2)劣化要因の推定
 コンクリート品質試験、はつり調査、非破壊試験等の結果から劣化要因の推定を行う。鉄筋位置における中性化深さや、塩分濃度に留意する。また、ASR試験の結果により、残存膨張量試験を追加する等工夫する。なお、損傷範囲については、打音検査とサーモグラフィー法による結果を比較検討するよう留意する。

(3)損傷程度の推定
 試験結果、調査結果、及び劣化要因を踏まえ不可視部分の損傷程度を推定し、健全性の判定を行う。判定評価の際は、足場が必要となる範囲を明示することや、健全性Ⅱの部材(地覆)でも併せて補修対象とすることが合理的である旨など、補修を見据えた所見を添えるといった工夫を行う。

3.効率的・効果的な関係者との調整方策
(1)発注者:調査結果報告時、健全性の判定時など各段階で協議を行い、調査方針への理解を促す。協議に当たっては、定量的なデータを用いて客観的に説明を行う。また、手戻りを防ぐため、合意事項をまとめた打合せ記録簿を作成する。
(2)周辺住民:調査時に騒音や振動等の騒音が予想される場合、住環境に影響を及ぼす作業内容、日時を示したお知らせ文等により周知する。また、影響が大きい場合は住民説明会を実施する。 以上

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