口頭試験への取り組み姿勢
【 技術士 二次試験対策 】
資質との適合
いよいよ10月に突入です。待ちに待った筆記試験の合否が、1か月もしないうちに発表されます。最終週は、きっと毎日ポストを覗くことになります。しびれるような緊張感!たまりませんね。自堕落に過ごしていては、決して味わうことのできない貴重な体験です。
そんな緊張を乗り越え、すばらしい結果を手にすることを心より願っています。来年度は、試験方式が変わる可能性がありますので、何としても今年で合格したいですよね。でも、筆記試験をパスしてもまだまだ試験は続きます。
次なる試練は、口頭試験です。これまで、いくつかの攻略方法をお届けしてきましたが、共通して言えるのは、「技術士の資質を備えているか」という試験官の意図に適切に回答することです。相手の意図さえ分かってしまえば、簡単に攻略できます。
それでは、口頭試験に臨むにあたって、最重要となるコンピテンシーとその留意点を改めて確認していきましょう(以前の記事も要チェック 倫理 実務能力① 実務能力②)。
専門的学識
- 技術士が専門とする技術分野(技術部門)の業務に必要な、技術部門全般にわたる専門知識及び選択科目に関する専門知識を理解し応用すること。
- 技術士の業務に必要な、我が国固有の法令等の制度及び社会・自然条件等に関する専門知識を理解し応用すること。
→ これは言わずもがなですが、専門知識が備わっているかの確認です。何だか難しそうですが、心配ありません。この専門知識は、筆記試験の論文や実務経験証明書に基いて、試問されますので準備は容易です。
問題解決
- 業務遂行上直面する複合的な問題に対して、これらの内容を明確にし、調査し、これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。
- 複合的な問題に関して、相反する要求事項(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)、それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮した上で、複数の選択肢を提起し、これらを踏まえた解決策を合理的に提案し、又は改善すること。
→ これは業務で発生した問題はあるか、どうやって取り組んだか、どのように解決したかといった質問が想像されます。この質問が来たら、コンピテンシーに記載されている内容を実務経験に即して回答することがポイントになります。
マネジメント
- 業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において、品質、コスト、納期及び生産性とリスク対応に関する要求事項、又は成果物(製品、システム、施設、プロジェクト、サービス等)に係る要求事項の特性(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)を満たすことを目的として、人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。
→ これは業務プロセス「いつ」、「何を」、「どうやって」といった事柄をコンピテンシーに記載されている条件に即して回答することがポイントです。すべてを満たす必要はないので、経験に合わせて組み合わせると良いでしょう。
評価
- 業務遂行上の各段階における結果、最終的に得られる成果やその波及効果を評価し、次段階や別の業務の改善に資すること。
→ これは、大きく二つの事柄に分類できます。一つは「評価対象」、もう一つは「評価活用」です。これを自分の記述した実務経験証明書の内容に当てはめて考えてみてください。
コミュニケーション
- 業務履行上、情報技術を活用し、口頭や文書等の方法を通じて、雇用者、上司や同僚、クライアントやユーザー等多様な関係者との間で、明確かつ包摂的な意思疎通を図り、協働すること。
- 海外における業務に携わる際は、一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え、現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。
→ ここで注目すべきは、情報技術・包摂性だと考えます。包摂性は説明しにくいですが調和の姿勢、情報技術は、BIM/CIM、i-Construction、PLATEAU、AIなどの情報技術をどのように業務に取り入れたのか説明できると最高です。
リーダーシップ
- 業務遂行にあたり、明確なデザインと現場感覚を持ち、多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
- 海外における業務に携わる際は、多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに、プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。
→ リーダーシップは、調整・とりまとめ能力ですから、目的と方法論を明確にして合意を得るというプロセスを経験談から引っ張り出してくるイメージです。
技術者倫理
- 業務遂行にあたり、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮した上で、社会、文化及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代に渡る社会の持続性の確保に努め、技術士としての使命、社会的地位及び職責を自覚し、倫理的に行動すること。
- 業務履行上、関係法令等の制度が求めている事項を遵守すること。
- 業務履行上行う決定に際して、自らの業務及び責任の範囲を明確にし、これらの責任を負うこと。
→ 倫理は、法(3義務2責務)+綱領(10項目)です。これらは、すべて憶えるとともに、その意味することをしっかりと理解することが何よりも大切です。
準備と自信
口頭試験は、前述のコンピテンシーの留意点にもあるように、実務経験証明書の内容を問われることがほとんどです。また、質問は、業務に携わった者にしか分からないような事実確認が伴うケースもあります。
例えば、事業を実施した場所、次期、事業費などを詳細聞いてきます。ウソ偽りがないかの確認になりますので、スムーズに応えられるよう実務経験証明書に関する詳細情報を改めてまとめておくと良いっでしょう。
この事業概要をスムーズに答えられるようにすることは、最低限の条件です。試験官は、コンピテンシーを確認することになりますので、実際はこれらの情報に加え、事業の問題点は?、その解決方法は?、リーダーシップを発揮した場面は?、住民とのコミュニケーションは?といった具合に次々に質問が襲い掛かってきます。
一定程度の逡巡はやむを得ないですが、ネット情報によるとどうやら口頭試験は加点方式らしいので、どんどん質問してもらいバンバン答えるのが最良のスタイルです。つまり、円滑な回答を行うためには、想定Q&Aを用意しておく必要があります。
当日は異常に緊張しますので、情報を突然忘れてしまうことも少なくありません。このようなド忘れを生じさせないためにも、自分はしっかり準備をしてきたという自信が必要になります。まさに、人事を尽くして天命を待つと言った心持が大切になります。
ド忘れ→パニック→わけわからない回答といった負のスパイラルに陥った場合、最悪の結果を生むことになります。聞かれることは、何度も言いますが実務経験証明書の内容ですので、あとは準備するかしないかの違いでしかありません。
明瞭かつ端的
準備の重要性は理解していただけたと思いますが、どのような準備(想定質問の作成)を作ればよいのでしょうか。まじめなみなさんは、試験官に分かってもらおうと必死に説明すると思いますが、結構、これが落とし穴になります。
どうしても分かってもらおうとすると、聞かれた質問以外にも説明したくなります。気持ち的にはとても良く分かりますが、ここはグッとこらえて聞かれたこと以外は答えないようにしましょう。例えば、「問題点は?」と聞かれたら、「本事業では、工期が問題点でした」で終わりです。
少しドライな感じがしますが、これでOKなのです。なぜなら、「工期が問題になったのはなぜですか」、「もう少し具体的に説明してください」、「問題となった背景を説明してください」といった具合に追加で質問されるからです。
イメージとしては、一問一答です。エピソードトークやその時の感情など余計なことは、一切話さなくてよいです。論文は、具体性を伴う解決策が求められましたが、口頭試験では聞かれたことをシンプルに答えることが肝要です。
ただし、聞かれたことに的確に答えることが大事です。長く話すと論点がズレていってしまう可能性が高まります。みなさんの周りにもいませんか?要旨を得ない人・・・ダラダラと説明し、結局なにが言いたいのか良く分からない人です。意外にたくさんいますよね。
口頭試験で、これをやると不合格の可能性が一気に高まります。説明が長いと試験官が効くべきことを十分聞けずに試験が終わってしまう可能性や、技術士のコンピテンシーの一つであるコミュニケーション能力が欠ける人物と評価される危険性があります。
極端な話、「はい」、「いいえ」で答えられる質問は、これだけでもOKです。試験官は、基本的に受験生の良いところを引き出そうと聞いてきてくれます。しかし、その好意を無にし、一方的にしゃべっては合格できるものもできなくなってしまいます。次々に答える環境をつくる姿勢が大事ですね。
こうなると、話が大好きな人、周りからおしゃべりだねと言われる人は急に不利です。友達としては好ましいのですが、口頭試験では望まい態度とは言えないので要注意です。最後に示した端的かつ明瞭は、口頭試験最大のポイントいっても過言ではないと考えます。
みんさんぜひご注意ください!