試験対策は真なる理解と情報整理
【 技術士 二次試験対策 】
高難度化する問題への対応
前回の投稿で筆記試験の合格率を紹介しましたが、1%近くも下落していました。建設部門においては、試験問題のスタイルは大きく変わらないのですが、災害対応、都市づくりといった単純な問いからデジタル技術を活用した災害対応といった具合に、近年は一歩踏み込んだ内容が問われます。
この例でいうと、災害に加えデジタル技術という条件が加わりターゲット(論点)が絞られています。災害という条件だけであれば、課題や取り組みは多く存在しており、比較的容易に提案(解答)できます。しかし、条件が加わることにより、提案できることが限定されるため、解答の難易度は高まります。
当たり前ですが、災害というジャンルでは課題が10個存在していたものが、デジタル技術という条件が加わることにより、課題は5個になるといった具合に少なくなりますよね。このような傾向は、今後も続くのではないかと予想されます。このように解答の範囲が狭まった場合、どのように対応すればよいのでしょうか。
対応は簡単です。解答を考える際に以下の点を意識するだけです。この意識付けは、非常に大切です。筆記試験対策として有効であることはもちろんのこと、口頭試験においても大いに役立ちます。でも、たくさんのことを意識しろと言われても、実践できないですよね。しかし、意識することは、たったの3ステップなので簡単に取り組めます。
- よく見る(聞く)
- 考えを整理する
- 言語化する
文字にするとなんでもない普通のことに見えます。しかし、この普通のことが、私も含めなかなかできないのです。さらに、この意識すべきことが、習慣化されると仕事も人間関係もうまくいくという副次的効果もあるので、実践しない手はありません。
よく見る(聞く)
まずは、最も重要かつ多くの人が躓く要因となる「よく見る(聞く)」という意識です。なぜ、重要かというと相手が何を質問しているのか正しく理解しないことには、正しく解答することはできません。このことは何度も述べていますので、聞いていることや大事なこと(条件)には下線を引くなどで、みんさん対応していると思います。
しかし、これらの対応をしても論点ズレは多く発生します。なぜ多くの人がこの論点ズレに陥るかというと、確証バイアスが働くからです。確証バイアスとは、自分の都合の良い情報だけに目を向けてしまう人間の性質です。このことは、自分自身では気づきにくいので、強烈に意識する必要があります。
極端な例ですが、問題には災害とデジタル技術の2つの条件が示されているにもかかわらず、デジタル技術に苦手意識を持っている人は、このデジタル技術の視点を軽視した論文を書き始めてしまいます。これのような意識が論点ズレや、独りよがりな頓珍漢な(自分にとって都合の良い)解答になってしまうという仕組みです。
この確証バイアスは苦手意識が働く場合に発生するほかにも、問題で何を聞いているのか分かりづらい表現がある場合においても発生します。この文は何を言ってるのだ?と立ち止まらず、スルーして読み進め分かったような気になってしまうことが往々にしてあります。
これを防ぐためには、苦手をなくすこと、読解力を高めることが重要です。うわー結論が、当たり前すぎる…ということで、もう少し具体的に対策を考えてみましょう。一言でいうと、どちらも共通して真に理解することに尽力することです。
真に理解するということは、どういうことかを考えます。多くの受験者は、歴戦の兵どもですから多くの経験を持っています(ない人でも最低4年の経験があります)。経験は自分の武器になるのですが、実はこの経験が「分かっているつもり」という意識を働かせるマイナスの側面があります。
例えば、集約型都市構造という用語は耳にしており、その内容も説明できる状態であっても、第三者に「そんなに集約したら渋滞して大変じゃん」と言われてモゴモゴしてしまうようであれば、それは分かっているつもりになっていると言えます。
さらに、これは技術的な用語の理解に限りません。例えば、問題と課題の違いについて考えたことはありますか?この違いを意識したことがない人は、課題を書けと言っているのに問題点を書いてしまうのです。みなさん大人になって、辞書を使ってない人が多いのではありませんか。
一つ一つの言葉を改めて確認することは、技術用語、一般的な用語の区別なくとても重要なことなのです。少しでも不安に感じることが合ったらとことん調べるという習慣を身につけましょう(知ったかぶりで用語を用いるほど恥ずかしいことはありません)。このような積み重ねでしか真の理解は得られないのです。正に、技術士倫理綱領でいう「真実性の確保」にほかなりません。
考えを整理する
技術士 や会社で優秀だと言われている人たちの特徴は、話が分かりやすいということが共通事項の一つではないでしょうか。逆に、この人ダメだなぁ…、なんかイライラするなぁ…という人の特徴は、ダラダラと自分の主張ばかりを続けた挙句、結局何が言いたいのか分からないという傾向があると感じます。
技術士 試験(筆記、口頭とも)で、「ダメな人の特徴」が発現すると不合格へまっしぐらです。ダメな人は、単なるアホと切り捨ててしまってよいのでしょうか。当然良いわけはないですし、この人たちも優秀な人や技術士になることはできます(断定)。
自分の気持ちを理解してくれない、会社が自分を正しく評価してくれない、 技術士 に何度も挑戦しているのに合格できないといった人たちは、この要因を理解することで大変身を遂げることができます。では、この2者を分け隔てている要因は、一体何なのでしょうか?
実は、この要因も真に理解しているか否かの違いと言えます。技術士 や優秀な人たちは、物事への理解に時間を割きます。技術士 二次試験 の勉強方法を例にとって考えると、自分の知っている範囲で論文を書き始めるのではなく、テーマに沿ってまず関連資料を読み込むことに時間を費やすことです。
この時に注意しなければならないのは、表面上の理解ではなく深く理解することが重要です。この理解の深さと説明の分かりやすさは比例関係にあると考えてください。深い理解は、前述のとおり徹底的に調べることにほかなりませんが、これだけでは大変身を遂げることはできません。
前述までの行動は、情報を集めているにすぎません。理解は、たくさんの情報を持っているだけでは深まらないのです。深い理解とは、これらの情報を整理することと言えます。国の施策の多くは、根幹となる目的があり、その手段として存在しています。この目的に応じて、施策を整理すれば理解が深まります。
もちろん、目的ごとの分類のみが整理ではありません。省力化、仕組み、体制といったよく用いる観点ごとに整理するのも良いですよね。このように、一つの施策、用語でも多角的に捉え、多くの情報を体系化(整理)することによって、複雑化する問題にも対応できるようになります。
言語化する
理系や技術者は、文章作成が苦手だという人が多くいます。しかし、上記のプロセスを経た場合、言語化はそれほど難しくありません。だって、ここまでくれば、整理した情報の引き出しを引っ張り出すだけだからです。
そうはいっても、頭の中での理解はできていても、うまく表現できないという人は多くいます。そこで登場するのが私です。技術士試験における文章の書き方は、一定の型があります。これらは、ひな型として公開しているので、まずはこれに整理した情報を当てはめればOKです(ひな型Part1、Part2)。
さらに、何を書くべきかを事細かに解説した解体新書シリーズも用意しています(課題編、解決策編、リスク・要点編)。このひな型と解体新書シリーズを駆使すれば、必須科目は一定水準の文章を書くことができます。
しかし、選択科目はさすがにひな型を用意することはできません(選択科目Ⅲは必須科目と構成は同じ)。論文でよく見られるミスや分かりやすい表現テクニックは、ホーム上段にある【テクニック】ページにまとめてあるので、論文を書く際の注意点としてテクニックを意識すると良いでしょう。もう文章が苦手とは言わせませんよ。あとは、やるかやらないかだけです。
私自身、このような合格のみに傾倒したテクニックを公開してよいのか葛藤がありました。技術士をこのようなテクニックだけで量産することはいかがなものかという思いです。しかし、これらのテクニックが身に付けば、他の文書作成にも活用できるはずです。
ましてやこれらのテクニックだけでは、技術士に合格することは難しいです。当然、前述した真の理解があって、このテクニックが生かせるというものです。よって、遠慮なしで私の提供する情報をバンバン活用していただけると嬉しいです。