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技術士 二次試験対策 選択科目Ⅲの書き方 & 建設部門 選択科目Ⅲ「オーバーツーリズム対策」チェックバック①

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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選択科目Ⅲの書き方

本日の投稿は、選択科目Ⅲ「オーバーツーリズム対策」のチェックバックになります。選択科目Ⅲは、必須科目Ⅰと似たような問題形式です。違いは、要点・留意点いわゆる倫理関連の問いが無いことです。でも、なぜ、出題者は、選択科目Ⅲを必須科目と同じような問題形式にするのでしょうか。

この出題者の意図を理解しないことには、選択科目Ⅲを攻略できません。必須科目と同じような感覚で書くと失敗する可能性は大です。この違いを理解するためには、 技術士 試験合否決定基準を確認するとよいでしょう。同基準には次のような記載があります。

<必須科目>
「技術部門」全般にわたる専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力 に関するもの
<選択科目>
「選択科目」についての専門知識及び応用能力に関するもの
「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの

これが最初の疑問に対する回答になります。同じような問題でも求められている答えは異なっています。必須科目は、「建設部門全般」つまり幅広い知識が求められています。よって、ポイントを絞って深く解答するのではなく、知見の広さが求められます。簡単に言うと「あんなことやこんなことも知っています」アピールです。

専門科目は、同基準にあるように求められている知識は「選択科目」に限定されています。これも簡単に言うと、選択科目が「都市及び地方計画」なのに「道路」に関する技術をアピールしても得点にならないということです。必須科目が知見の広さであるのに対し、選択科目は知見の深さと言えます。

次に気になるのが、知見の深さとは一体何かということです。これに関しては、「技術士第二次試験
受験申込み案内」に記述されています。選択科目Ⅲは次のように記載されています(その他の項目も要チェックです:掲載ページはコチラ

Ⅲ 選択科目
「選択科目」についての問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの
記述式
600 字×3 枚[ 30 点 ]【2 問出題 1 問選択解答】
【概 念】
社会的なニーズや技術の進歩に伴い、社会や技術における様々な状況から、複合的な問題や課題を把握し、社会的利益や技術的優位性などの多様な視点からの調査・分析を経て、問題解決のための課題とその遂行について論理的かつ合理的に説明できる能力
【出題内容】
社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象として、「選択科目」に関わる観点から課題の抽出を行い、多様な視点からの分析によって問題解決のための手法を提示して、その遂行方策について提示できるかを問う。
【評価項目】
技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち、専門的学識、問題解決、評価、コミュニケーションの各項目

この赤字部分が、選択科目Ⅲに求められる知見です。いいですか、要注意事項は手法や方策に限らず、課題も「選択科目」に関わるものである必要があります。つまり、都市及び地方計画であれば、これに関する課題でないと得点できません。

具体的に言うと、道路を選択しているにもかかわらず、防災減災の課題として治水という課題を述べてもダメということです。さすがに、解決策において、このようなミスを犯す人はいないと思います。やってしまうのは、繰り返しになりますが「課題」のパートでこのミスを犯しがちです。

みなさん注意してくださいね!

論文

それでは、本日の添削LIVEに行ってみましょう。本日の投稿は、先にも述べたように、選択科目Ⅲ「オーバーツーリズム対策」のチェックバックになります(前回の添削はコチラ)。観光は、私も予測していたのですが、オーバーツーリズムに限定されると難易度が一気に上がります。キツキツの条件下で、専門技術をアピールするのは結構難しいです。テーマを見て、5~6個の施策がぱっと思い浮かばないようでは苦しいです。この時期を使って、知識を広げましょう!それでは、早速論文を見ていきましょう。


1.多面的な課題
(1) いかに観光マネジメントを推進するか
 コロナ禍を経て国内外の観光需要は増加しつつある。観光客の増加に伴い、エリア内では住環境悪化等の影響が生じている従来のハード整備のみでは限界が生じつつあり、地域の様々なステークホルダーと共にオーバーツーリズ対策に取り組む必要がある。よって、体制面の観点から地域と行政による一体的な観光需要マネジメントの取り組みが課題である。


① 観光マネジメントではマネジメントの範囲が広すぎます。肝は需要のコントロールですから、需要という用語を用いるべきでしょう。→「いかに観光需要をマネジメントするか」
② 「コロナ禍を経て」と表現してしまうと、あたかもコロナ禍が需要を増加させた要因のように見えます。これは要因ではなく、きっかけではないでしょうか。→「コロナウイルス感染症が5類になったことを契機に」
③ これらの文は、問題文に記載されている背景とほぼ同じ内容です。不要。
④ 従来のハード整備とはどのようなものか、なぜステークホルダーと共になのか、このように考えた背景が記載されていないので唐突感があり、読み手は賛同できないと思います。②のとおり、問題文と同じ背景を書くのではなく、これまで何に取り組んできたのか、その取り組みでは限界である要因、ステークホルダーが果たす役割などを背景として記し、順を追って説明すべきです。
⑤ 地域と行政が一体とありますが、共に対策するのはステークホルダーではないのですか。地域=ステークホルダーではありませんよ。不整合です。また、需要マネジメントについては、何も説明されておらず唐突です。背景・必要性・課題の関係が希薄で、支離滅裂になっています。


(2)いかにインバウンドに対応するか
 国際社会において、SDGsの考え方が浸透しており、人種、文化、宗教等の違いに寄らない多様な観光活動が行われている。一方で、地域固有の地元ルールや観光に関する案内が十分に理解されないために、外国人旅行客の迷惑行動に発展する事例が増加しつつある。そのため、外国人旅行客のマナーを向上させる取組が重要である。よって、多様性の観点から、誰もが地元ルールを順守する環境づくりである


⑥ 見出しと内容が合っていません。
⑦ 重複表現です。→「地域固有のルール」
⑧ 案内としてしまうと観光案内のように見えますので、問題を明確化するためにはここもルールで良いのではないでしょうか。
⑨ ⑧の修正をした場合、地元ルールに限りませんので単に「ルール」で良いと思います。
⑩ →「が課題である」


(3)いかに省人化して取り組むか
 これまでの観光業は、サービスを人的労働によって生み出す労働集約型産業であるしかし、生産年齢人口の減少を迎える中、観光地経営だけでなく、オーバーツーリズム対策にも多くの人的リソースが求められている。よって、人材面の観点から省人化の推進が課題である。


⑪ 「これまでの」とあるので、過去形にすべきです。→「あった」
⑫ 「しかし」とありますが、逆接になっていません。まずは、人手不足であることを述べ、さらに対策に人手が必要といった文脈にすると分かりやすくなると思います。→「観光業は、サービスを人的労働によって生み出す労働集約型産業であるにもかかわらず、人手不足が顕著である。生産年齢人口が減少を迎える中、さらなる人手不足が懸念されることに加え、オーバーツーリズム対策にも多くの労働力が必要である」
※常にもっと分かりやすくできないかといった視点で、推敲する練習をすると良いと思います。


2.最も重要な課題と解決策
 地域の安全、健康及び福利に直結するため「いかに観光マネジメントを推進するか」を最重要課題に選定し、以下に解決策を述べる。

(1) 集約型都市構造の構築
 公共交通を用いて効率的に観光できる都市環境を構築することで、渋滞発生等を抑制する。具体的には、地域公共交通計画を策定し、都市施設間を結ぶように公共交通網を再構築する。公共交通を利用した移動を実現することで、過度なレンタカー利用を抑制し、渋滞の発生を抑制する。加えて、MaaSを導入し、観光施設の利用券と公共交通の乗車券がセットになったパスを発行する。予約時には、公共交通事業者と施設管理者の協力のもと、各観光施設の混雑状況をリアルタイムで表示することで、移動の分散化を図る


⑬ 修正していますが、まだよく分かりません。おそらく都市環境を構築するという表現が理解を妨げていると思います。小見出しには、都市構造とあります。都市構造と都市環境は同義ではありませんよ。それぞれの意味をしっかりと理解したうえで用いましょう。また、そもそも論として、課題は「地域と行政による一体的な観光需要マネジメントの取り組み」です。地域との取り組みでもなければ、需要マネジメントでもないと思います。
⑭ ⑬のとおり、課題を踏まえた解決策とするためには、観光による交通需要と生活に伴う交通需要を一体的に削減することとして整理すべきではないでしょうか。これを実現するための手段として、「ウォーカブルなまちづくり」やこれらの拠点を公共交通で結ぶ「多極ネットワーク型の都市構造」といった行政の取り組みと、モビリティマネジメント(MM)など住民の協力による取り組みを組み合わせ論述展開すると良いと思います(課題は体制面なのに記述には住民の行動がないです)。
⑮ これは、地域との関わりと需要コントロールに関する施策になっておりよく書けていると思います。ただし。この取り組みは、都市構造とは関係ないですね。そうなると、見出しが内容と合っていないと思います。提案している取り組みに共通していることは、交通に関する事柄なので、見出しは「交通需要マネジメント(TDM)」ではないでしょうか。


(2) 観光地マネジメント
 地域の多様な関係者により観光需要をコントロールするため、DMOを組成する。例えば、観光情報の多言語表記化等に取り組むことで、インバウンド層が効率的に移動できる観光ルートを計画できるようにする。また、組成にあたっては、1次・2次産業等のノウハウも取り入れ、農業や製造体験を組み込むことで観光需要分散化を図る。さらに、DMOを中心に宿泊施設等と連携した観光データの収集や分析を行う。観光地域づくりの司令塔として、地域受益効果の可視化等の地域経営の視点に立った取り組みを推進していくことで、効果的なオーバーツーリズム対策を推進する。


⑯ 多言語化表記はDMOでないとできないことなのですか。DMOと取り組みの関係性がよく分かりません。
⑰ 「組成にあたっては」とは「DMOを作るときには」という意味ですよね。そうであるならば、DMOを作るときに必要となる1次・2次産業のノウハウとはいったいどのような知見なのでしょうか。そもそも組成なのですから、ノウハウを取り入れるのではなく1次2次産業を担う者を構成員として取り込むことが言いたいことですかね。このような組織構成によって、観光造成の際にそのノウハウが活用できるといった流れではないでしょうか。さらに、農業や製造体験を組み込むことで観光需要の分散化を図ることができるのかもよく分かりません。飛躍しており、説明不足です。体験型の観光を造成することによって、新たな観光拠点を創出することができるため、分散化が図られるといった仕組みをきちんと説明しましょう。
⑱ 宿泊施設と何が連携するのですか。DMOとの連携だと思いますが、そうであるなら「DMOは宿泊事業者と連携し」となります。また、宿泊施設の関係者はDMOに組み込まれることも予想されますので、宿泊施設との連携ではなく、観光情報の一例として宿泊情報の収集を述べた方が分かりやすいと思います。→「DMOは、宿泊情報をはじめとした観光に関するデータの収集や分析を行う」
⑲ 地域活性化が目的ではなく、オーバーツーリズムを防ぐ観光需要のマネジメントが課題です。樹液効果ではなく、需要調整が必要な場所、時間などを明らかにするために分析するのではありませんか。目的がずれているように見えます。
⑳ これだけだと主観的に見えます。具体的な事例が欲しいです。


(3)地域の魅力の最大限化
 地域に潜在する資源有効活用し、観光客の分散化を図る。例えば、普段訪れることのないインフラ施設の見学を実施し、周辺観光地やイベント等を組み合わせ、地域交流を促す。また、地域に潜在する小規模な公的不動産については、スモールコンセッションを導入する。例えば、廃校等の空きスペースを小規模事業者に提供し、宿泊施設として運営することでエリア価値の向上を図る。このように、地域資源を活用した新たな観光地を創出により観光客の分散化を図り、従来の観光箇所のピークを緩和させる


㉑ 内容と見出しが合っていないように感じます。
㉒ 「を」追記
㉓ 地域交流が目的になっていませんか。目的は需要の分散です。
㉔ これもエリア価値の向上が目的に見えます。目的は需要の分散です。
㉕ →「観光地の創出」または「観光地を創出することにより」
㉖ これまでの事例では、観光客の分散化を図れるのか判然としません。ピークがずれることが分かる事例を示しましょう。


3.新たなリスクと対応策
 地域の魅力が向上することで、宿泊施設の乱立等の開発圧力が高まる。そのことによるスプロール化現象の発生等、自然生態系への悪影響が懸念される。対応策として、特別緑地保全地区制度を設定する。一定の建築行為や宅地の造成等の土地の形質変更を制限することで、現状凍結的に地区を保全する。これにより、豊かな緑を将来に継承するとともに将来のインフラ投資の抑制といった波及効果も生じる。また、市民緑地制度を併せて活用することにより、地域の自然とのふれあいの場として活用することができ、地元住民の交流促進にも寄与される。  以上


㉗ 地域の魅力が高まることを既成事実のように述べていますが、やっていることは地域の魅力向上対策ではなく、観光需要の適正化対策です。よって、順を追った説明が求められます。→「観光需要の適正化により地域の魅力や価値が高まり」
㉘ 制度は設定するものではありません。→「特別緑地保全地区を設定」または「特別緑地保全地区制度を活用」
㉙ インフラ投資の抑制がなんだかよく分かりません。開発に伴い整備されるインフラ施設の維持管理コストの抑制を指しているのでしょうか。説明不足です。
㉚ リスクは「開発によるスプロール化現象の発生と自然生態系への悪影響」なんですよね。市民緑地がこれらのリスクにどう対応できているのか全く分かりません。

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