添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
Ⅱー1は情報の選択
先日は、必須科目のチェックリストを公開しましたので、注意点はおおよそ明確になったと思います(前回の記事はコチラ)。それでは、選択科目はどのような点に注意すればよいのでしょか。本日は、選択科目Ⅱー1について考えていきましょう。
必須科目は部門全般の知識を示すのに対し、全ての選択科目は専門の知識をしっかりと示すことが求められます。必須科目Ⅱー1はその最たるもので、制度や用語の説明をします。題意や条件に従って、必要なことを漏れなく書くことが求められます。
論文の構成は、あまり考える必要はなく、問われた順に記載すればOKです。よって、Ⅱー1で最も注意すべき点は、何を記載するかです。この一文だけですと、至極当たり前なので、言い換えましょう。問われている制度や用語の解答に当たっては、数多の情報がある中で何を選択し記載するかが重要です。
例えば、令和6年度建設部門都市及び地方計画の選択科目Ⅱー1では、「PFI事業の特徴と効果を述べよ」とります。また、同年のもう一つの問題では、「空地を設けて建築物の容積率を超える制度を1つ述べ空地に期待できる効果を複数述べよ」といった内容が出題されています。
後者の空地&容積率突破は、「1つ」、「複数」といった条件が示されており、いっぱいある中のいくつかを示すこととなっています。一方、前者のPFIは数に関する条件は示されていません。この2つの問題の違いは何なのでしょうか。
PFIの場合は、数が条件化されていないので、すべての特徴と効果を漏れなく書くべきと理解するべきでしょう。空地&容積率突破は、条件さえ満たしていれば何を解答しても大丈夫であり、PFIと比べると自由度の高い問題といえます。
何を解答しても大丈夫なケースでは、当然、自分がもっとも造詣が深い情報を選択すべきです。また、複数書く場合においては、いっぱい書けば良いのか、一つ一つを詳細に説明した方が良いのか迷うところです。解答用紙は1枚しかないので吟味しないと、とてもじゃないですけど書ききれません。
複数といった条件の場合は、3つを目安にすると良いでしょう。また、選択の優先順位は、効果が最も高いものから順に書いていくと良いでしょう。最初は、考えられるものを問題用紙の余白に列記し、順位付けをしっかり検討することが大切です。
このように書くべき情報がたくさんあるケースにおいては、候補となる単語をあらかじめ整理し、何を選択するのか吟味してから、論文を書き始めることが大切です。いわゆる必須科目Ⅰでいう骨子に該当する行為です。
選択科目Ⅱー1においても、見る(理解)→考える(整理)→書く(言語化)というステップが必要になります(この3ステップの解説はコチラ)。
論文
本日の添削LIVEは、建設部門道路選択科目Ⅱー1を3本立ててお届けします。道路は、道路構造令などにより設計等の手順が明確になっているものがほとんどです。ポイントとしては、前述の通り漏れなく正確に説明することに尽きます。ただし、解答スペースが少ないので、些末なことに終始しては得点が伸びません。「重要なことを的確に」が肝ですね。それでは、早速論文を見ていきましょう。
交通需要推計手法
1 交通需要推計手法(4段階推定法)の概略手順
(1)生成交通量の予測①
人口一人あたり、一日何回移動するかを予測する。
(2)発生・集中交通量の予測
交通がどこで発生しどこへ集中するかを予測する。
(3)分布交通量の予測
どこからどこへの交通量を予測する。
(4)分担交通量の予測
自動車や鉄道など、どの交通手段をどのくらい利用するかを予測する。
(5)配分交通量の予測
どの交通手段のどの経路をどのくらい利用するかを予測する。
① 国交省の「将来交通需要推計手法(道路)」では、「人の移動(乗用車)と物の移動(貨物車)につい て生成交通量を推計したのち、発生集中交通量、分布交通量、配分交通量を推計する」とあります。物の移動についても言及すべきだと考えます。
2 4段階推定方法の課題と留意点
(1)課題②
・各段階のモデル③が複雑化していてデータの収集からモデルの作成と適用に一連の需要推定プロセスに要する作業や費用が膨大になる。
・モデルの各段階相互のフィードバックが不十分でそれらの間の整合性が取れていない。
② 記述されているものは、問題点です。問われているのは課題です。
③ モデルがどのようなものなのかの説明がないので何をさしているのか分かりません。手順でモデルについて言及すべきでしょう。
(2)留意点
・ネットワーク④の設定については、現況に加え、事業化済みの箇所を考慮する。
・有料道路事業の認可を受けた事業については、有料道路を前提とする。 以上
④ これもモデルと同じです。ネットワークの説明がありません。
設計時間交通量
1 設計時間交通量の概念
道路設計では、路線や地域による時間的な変動特性などのピーク特性を考慮する必要がある。
そのため、道路のピーク特性を考慮する設計時間交通量を基本と道路設計を行う①。
しかし、計画目標年次(10~20年先)のピーク特性を含めた交通量を予測することは困難である。
道路構造令の車線数決定では、計画交通量を用い、ピーク特性等を考慮して求めた設計基準交通量を勘案し、車線数を定めることされている。②
① 「基本と」→「基本として」
「道路のピーク特性を考慮する」という部分については、前段で述べているので不要です。
また、「設計時間交通量を基本として」とありますが、「基本とする」とはどのような行動なのですか(考慮事項なのか、基本事項なのかどちらですか)。ピークに合わせて道路構造を決定するということですかね。説明不足です。
② 計画設計における設計時間交通量の使い方の説明になっています。書くべきは、設計時間交通量の概念です。
2.設計時間交通量設定の考え方
1年間(8,760時間)の時間交通量を大きい順に並べると、30から50番目付近で曲線の勾配が緩やかになる。そのため、30番目時間交通量を設計の対象とすれば、年間を通じて29時間は設計値を上回る状態は生じるが、設計時間交通量をかなり小さくすることができるため、経済的な設計となる。
ただし、交通量の変動パターンは路線の性格によって異なる。特に季節的変動の著しい観光的色彩の強い路線では、ピーク特性がはなはだしくなり、30番目時間交通量が非常に大きな値となる。
このように、30番目を対象とすると著しく経済性を失うと考えられる場合には、状況に応じて80から100番目時間交通量を設計時間交通量とする考え方もある。 以上
曲線部における道路拡幅 チェックバック①
1 最小曲線半径の算定の考え方
自動車が道路の曲線部でも直線部と同様、安定した快適な走行ができるよう曲線部で最小曲線半径が定められている①。その算定の考え方は、道路の曲線部を走行する自動車に加わる遠心力などの横方向力が、タイヤと路面の摩擦によって与えられる限度を超えないようにすることと乗り心地の良さを考慮されている。②
① 問題文に書いてある内容とほぼ同じです。不要。
② 算定の考え方なので、概念だけでなく算定方法も書きましょう。例えば、「曲線半径は設計速度と横すべり摩擦係数及び片勾配の関係から求められる」といった内容が考えられます。
2 適用に当たっての留意点
(1)適用について
最小曲線半径は、曲線部分を安全で快適に走行できるよう定められているが、十分な安全率を見込んだ設計値ではない。
車両が車線を逸脱して起こした事故は、曲線半径が小さいほど死亡事故率が高くなる傾向にため③、最小曲線半径の安易な適用は避けるべきである④。
③ →「傾向であるため」
④ 留意点なので、避けるべきと断ずるのではなく、留意するといった表現が望まれます。
(2)第3種4級の道路について
運転者が突然急な曲がりカーブに遭遇しないように線形計画の段階から、徐々に曲線半径を小さくしたり、急な曲線部を前もって運転者に認知させるような⑤線形の配置を考えておくべきである⑥。
⑤ 「~たり」は繰り返しで使います。→「認知させたり」
⑥ ④と同様。
(3)積雪寒冷地域について
積雪寒冷地域では、雪氷路面時の屈曲部走行時の安全を確保するため、自動車の走行速度は1ランク下げたもので考える⑦。但し、最大で原則60/kmまでとする。 以上
⑦ 手元に構造令がないので、間違っていたら無視してください。積雪寒冷地では片勾配に特例値が設けられています。また、設計速度を1ランク下げると半径は小さくなり、危険度が増すのではないでしょうか。