難易度の定性評価
【 技術士 二次試験対策 】
合格率から見た難易度
最近、技術士に興味を持つ後輩ちゃんとお話しをしていたのですが、技術士試験のハードルの高さに恐れおののいている様子を目の当たりにしました。「技術士試験は難しい」といった固定観念が、受験に挑戦する思いを削いでいるんです。
その時は、チャレンジする大切さや勉強のプロセスで得られるもの多くあるといった激励をしたわけですが、このような励ましは挑戦への起爆剤になるか甚だ疑問です。やはり、技術士を目指したいけど、一歩が踏み出せない人たちに向け、やっかいな固定観念を取り除く必要がありますね。
そこで、技術士の難易度について、考えてみます。先日、合格率について分析しましたが、建設部門の合格率で言えばだいたい10%前後となります(過去記事はコチラ)。5大資格と言われている弁護士、公認会計士、不動産鑑定士、弁理士の合格率と比較してみましょう。
- 司法試験の令和6年度合格率 42.1%
- 公認会計士試験の令和6年度合格率 7.4%
- 不動産鑑定士試験の令和6年度合格率 6.3%
- 弁理士試験の令和6年度合格率 6.0%
「司法試験って簡単じゃん!」と思ってしまいますが、司法試験は予備試験(司法試験の受験資格を得るための試験)の合格者が受験していることが要因と考えられます。この予備試験の合格率は3~4%程度です。やはり、激ムズです。
これらの合格率を踏まえると、技術士の合格率がいかに高いものか一目瞭然です。5大国家資格の中では、相対的に取得しやすいお得な資格と言えます。国家資格全体で見れば難しい試験なのですが、難関資格と言われるものの中ではそんな及び腰になるほどのものではありません。
真の合格率
引き続き、5大国家資格の受験者数を見てみましょう
- 司法試験の令和6年度受験者数 3,779人
- 公認会計士試験の令和6年度受験者数 21,573人
- 不動産鑑定士試験の令和6年度受験者数 1,675人
- 弁理士試験の令和6年度受験者数 3,160人
- 技術士二次試験の令和6年度受験者数 23,043人(うち建設部門13,298人)
受験者数は、公認会計士以外はけた違いに少ないですね。技術士二次試験は、毎年2万人以上が受験しており、そもそも合格率の母数が大きいです。つまり、有象無象が多く紛れているのではないかと推察しています。
ここでいう有象無象は、会社からの圧力で嫌々受験する人、お試し受験をする人などなど意図的に準備をあまりしてこなかった人たちです。また、不本意ながら仕事が忙しすぎて、十分に準備できなかった人などもいるでしょう。
つまり、しっかりと準備してきた人の割合は実は非常に少ないのではないかと推測しています。その証左の一つとなるのが、受験申込者数と実際に受験した人の差が令和6年度で言うと約7,000人もいます。実に受験申込者数の23%にも及びます。
もちろん、当日体調不良等、不測の事態に見舞われた人も含めれていると思います。よって、やる気があまりない人というのが、全体の2割だと考えると建設部門の真の受験者数は約10,600人となります。さらに、準備が十分できていない人(できなかった人)が全体の半数と仮定した場合は、約5,300人となります。
これを母数と考えた場合、合格率めちゃ低い令和6年度の場合でも、合格22%になります。たぬきの皮算用ではありますが、実際、私が受験した時も午後になってすぐに会場を後にする人は少なくありませんでしたので、一定の信憑性はあるのではと考えています。
難易度を上げている要素
技術士受験を阻む要素は、この低い合格率だけなのでしょうか。自分に技術者としての自信があれば、合格率が低かろうが技術士取得の可能性を信じることはできるはずです。ここに、本質的な問題が潜んでいそうです。
技術者ですから、当然自分の専門分野においては、それなりの知識と経験があると思います。これがゼロという人は、1次試験を突破してきている人ですから、当然いないと思います。しかし、これらの知識と経験が、二次試験に最適化されていないこととに不安を覚える人は多いと思います。
この最適化こそが、難易度を挙げている要素と考えています。この最適化とは、自分の知識を国の政策や方針沿って表現することだと思っています。特に、理系の技術者が苦手意識を持っているこの「表現する」という部分が肝なのです。
自分ではしっかり理解している事柄でも、こと誰かに分かりやすく伝えるとなると上手にできない技術屋さんは多いのではないでしょうか。技術士試験においては、この技術者として求められる表現力が、難易度が高いと意識させている要素だと感じています。
相手が何を言っているのか正確に読み取る読解力と、相手に分かりやすく伝える文章作成能力が技術士取得に不可欠です。これをしっかりと身につけることは、技術士取得だけにとどまらず、技術者人生の中においても大いに役立ちます。
これらの求められる能力は技術士試験の難易度を上げるものではありますが、その反面、技術者としての価値を飛躍的に上げてくれます。このため、私はみなさんに技術士になることをお勧めしています。最初は大変でも、将来の技術者ライフをイージーモードに変えてくれますので、長い目で見ればタイパ抜群です。
では、この2つの能力を身につけるのは、そんなに大変なのでしょうか。答えは「いいえ」です。本サイトは、この2つの能力を身につけるために、様々なテクニックを紹介しています。また、それを実践しチェックする添削サービスもご用意しておりますので、臆することなかれです。
何もしないことで得られる「安全」よりも、挑戦から得られる「学び」や「成長」の方が価値が高いです。さらに、技術士の勉強は、その学びや成長を技術士取得という形にすることができます。もう、メリットしかありません。
さあ、一歩を踏み出しましょう。