技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)
【 技術士 二次試験対策】
試験前に二次試験の内容を確認しておきましょう。過去問も見たし、予想問題も論文作ったし、もう問題の内容は分かっているという人も、見逃しがちなのが「評価項目」です。評価項目を理解し、自分に何が足りていないのかを知ることは、孫子の「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という教訓を地で行くものです。
合格判定基準は、以下の表のとおりです。散々確認しているとは思いますが、例えば「専門知識」、「応用能力」・・・って何なのでしょう?
ズバリ、「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」です!
コンピテンシー???
聞きなれない言葉ですよね。でも、大丈夫です。わざわざ、「技術士第二次試験受験申込み案内」に記載してあります(P10)。以下に示すものは、案内の記載事項を転記したものになります。
技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)
専門的学識
・技術士が専門とする技術分野(技術部門)の業務に必要な,技術部門全般にわたる専門知識 及び選択科目に関する専門知識を理解し応用すること。
・技術士の業務に必要な,我が国固有の法令等の制度及び社会・自然条件等に関する専門知識 を理解し応用すること。
問題解決
・業務遂行上直面する複合的な問題に対して,これらの内容を明確にし,調査し,これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。
・複合的な問題に関して,相反する要求事項(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等),それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮したうえで,複数の選択肢を提起し, これらを踏まえた解決策を合理的に提案し,又は改善すること。
マネジメント
・業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において,品質,コスト,納期及び生産性 とリスク対応に関する要求事項,又は成果物(製品,システム,施設,プロジェクト,サー ビス等)に係る要求事項の特性(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等)を満たすことを目的として,人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。
評価
・業務遂行上の各段階における結果,最終的に得られる成果やその波及効果を評価し,次段階 や別の業務の改善に資すること。
コミュニケーション
・業務履行上,口頭や文書等の方法を通じて,雇用者,上司や同僚,クライアントやユーザー 等多様な関係者との間で,明確かつ効果的な意思疎通を行うこと。
・海外における業務に携わる際は,一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え,現地の 社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。
リーダーシップ
・業務遂行にあたり,明確なデザインと現場感覚を持ち,多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
・海外における業務に携わる際は,多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに,プロジ ェクト等の事業や業務の遂行に努めること。
技術者倫理
・業務遂行にあたり,公衆の安全,健康及び福利を最優先に考慮したうえで,社会,文化及び 環境に対する影響を予見し,地球環境の保全等,次世代にわたる社会の持続性の確保に努め, 技術士としての使命,社会的地位及び職責を自覚し,倫理的に行動すること。
・業務履行上,関係法令等の制度が求めている事項を遵守すること。
・業務履行上行う決定に際して,自らの業務及び責任の範囲を明確にし,これらの責任を負うこと。
継続研さん
・業務履行上必要な知見を深め,技術を修得し資質向上を図るように,十分な継続研さん (CPD)を行うこと。
このコンピテンシーを踏まえ、評価項目の内容を見てみると、次のような視点になるのではないでしょうか。このような視点を意識しながら、「テクニック」に記載している事項を実践できれば、かなりスムーズに書き進めることができると思います。練習論文の推敲や、試験本番のセルフチェックにお役立てください。
【必須科目Ⅰ】
❶専門的学識
・題意に沿ったキーワードを示したうえで、正しく使えているか
・自分の専門に頼った限定的な説明ではなく、広い視野で説明されているか(技術部門全般にわたる専門知識)
❷問題解決
・背景や問題点を示したうえで、建設部門に関わる幅広い観点から課題抽出が適切になされているか。
・複数の解決策が示され、それぞれが合理的な(課題に適合した)解決策になっているか。
❸評価
・解決策によって得られる成果が明記されているか。
・解決策によって生じる波及効果は適切に想定されているか。
❹技術者倫理
・業務遂行にあたり,公衆の安全,健康及び福利を最優先に考慮しているか
・社会の持続性の確保に努めているか
❺コミュニケーション
・分かりやすい説明になっているか
【選択科目Ⅱ-1】
❶専門的学識
・法規・制度・新技術などを正しく説明できているか(選択科目に関する専門知識)
❷コミュニケーション
・分かりやすい説明になっているか
【選択科目Ⅱ-2】
❶専門的学識
・業務遂行に必要となる問題認識が正しくなされ、必要な分析が行われているか
・業務上留意すべき点、工夫を要する点等について説明できているか
❷マネジメント
・与えられた条件に沿った説明になっているか
・要求事項の特性(必要性,機能性,技術的実現性,安全性,経済性等)を満たすための手順が示されているか
❸リーダーシップ
・多様な関係者の利害等を調整し取りまとめる方策が示されているか
❹コミュニケーション
・分かりやすい説明になっているか
【選択科目Ⅲ】
❶専門的学識
・題意に沿ったキーワードを示したうえで、正しく使えているか
・選択科目に関わる専門的な視点で説明されているか(選択科目に関する専門知識)
❷問題解決
・背景や問題点を示したうえで、選択科目に関わる観点から課題抽出が適切になされているか。
・複数の解決策が示され、それぞれが合理的な(課題に適合した)解決策になっているか。
❸評価
・解決策によって得られる成果が明記されているか。
・解決策によって生じる波及効果は適切に想定されているか。
❹コミュニケーション
・分かりやすい説明になっているか