コンピテンシー理解こそ最重要
【 技術士 二次試験対策 】
コンピテンシーとは何か、なぜ重要か
技術士二次試験は、単なる知識試験ではありません。技術士法に基づき、技術士は「高度な専門的応用能力を有する者」と定義されます。その能力を具体的に示す枠組みが コンピテンシー(能力要件) です。
コンピテンシーは以下の要素から構成されます。
- コミュニケーション:多様な関係者と明確かつ効果的に意思疎通を行う能力
- リーダーシップ:利害を調整し、方向性を示して取りまとめる能力
- マネジメント:人員・設備・金銭・情報を適切に配分し、品質・コスト・納期・リスクを管理する能力
- 評価:業務遂行の各段階で結果や成果を分析し、改善に資する能力
- 技術者倫理:公衆の安全・健康・福利を最優先に考慮し、法令遵守と持続可能性を確保する能力
これらは単なる理論ではなく、技術士として社会に出た際に必ず問われる実務能力です。試験官は「知識を持っているか」ではなく「技術士として責任を果たせるか」を見ています。したがって、筆記試験・口頭試験の双方において、コンピテンシー理解が最重要となります。
口頭試験におけるコンピテンシーの問われ方
令和7年度技術士試験合否決定基準によれば、口頭試験では以下の項目が明確に定められています(合格基準はコチラ)。
- コミュニケーション・リーダーシップ 60%以上
- 評価・マネジメント 60%以上
- 技術者倫理 60%以上
- 継続研さん 60%以上
つまり、どれか一つでも60%未満であれば不合格となります。
このことは、単に一部の能力を強調するのではなく、バランスよく全てのコンピテンシーを示す必要があることを意味します。
口頭試験は筆記試験に比べ、さらにコンピテンシー色が濃くなります。試験官は「この人を技術士として認めてよいか」を直接判断します。質問は以下のような形で出されます。
- 「業務でリーダーシップを発揮した例は?」
- 「失敗から何を学び、どう改善しましたか?」
- 「倫理的に重視していることは?」
ここで重要なのは、コンピテンシーを理解していることを前提に、具体的な事例と成果を簡潔に述べることです。単なる経験談ではなく、「技術士としての資質を理解している」と試験官に伝えることが合格への鍵となります。
コンピテンシー理解を深めるための実践法
1. 業務をコンピテンシーの切り口で整理する
自分の業務を以下の観点で整理します。
- 誰と、どのようにコミュニケーションしたか
- どのような利害対立を調整したか
- 人員・設備・金銭・情報をどう配分したか
- 成果や波及効果をどう評価したか
- 安全・法令遵守・持続可能性をどう考慮したか
この整理を行うことで、答案の骨格が自然に「技術士らしい」ものになります。
2. 成果と改善を必ずセットで述べる
「工夫した → 成果が出た → 次に活かした」という流れを意識すると、単なる経験談ではなく「技術士としての成長の証明」になります。
3. 倫理観を前面に出す
技術士倫理は試験官が最も重視する要素です。安全・法令遵守・持続可能性を常に意識し、それを答案や口頭試験で明確に示すことが必要です。
4.結論
技術士二次試験は、知識だけでは突破できません。コンピテンシー理解こそが筆記試験・口頭試験の最重要ポイントです。
- 筆記試験では「業務をコンピテンシーの切り口で整理」
- 口頭試験では「成果と改善をセットで説明」
- 倫理観を常に前面に出す
これらを徹底すれば、試験官は「この人なら技術士として安心して任せられる」と判断します。
技術士試験は知識の競争ではなく、技術士としての責任と資質を示す場です。コンピテンシー理解を深めることが、合格への最短距離であり、技術士としての第一歩となります。

