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【 技術士 二次試験対策】
みんさんお久しぶりです。試験前だというのに投稿を1週間近くサボってしまいました。お詫びの気持ちを込めまして、書き貯めた論文を一気に放出いたします。建設部門の都市及び地方計画を受ける人は必見ですよ。
選択科目の過去問分析は、これまで「Ⅱ-1」、「Ⅱ-2」と行ってきましたが、これに呼応する形で投稿いただいています。
まず、最初にご紹介するのは、「柔らかい土地区画整理」です。予想でも書きましたが、小規模で柔軟な土地区画整理は都市のスポンジ化対策として有効です。どのような形で出題されるかは不明ですが、市街地整備を検討するうえで土地区画整理の知識は必須といえるのではないでしょうか。
次なる投稿は、「地域公共交通確保維持改善事業」になります。本事業は、補助メニューになるので、どうやって地域公共交通を確保していくのかという国の考えを整理するうえで重要な情報となります。支援の背景や施策を理解すれば、Ⅱ-1、Ⅱ-2のどのパターンでも応用が利くと思います。
最後は、選択科目Ⅱ-2となります「防災まちづくり」です。防災は、必須・選択問わずどこかに出題されると推測します。そういう意味でも、防災関連の知識は備えて損はありません。
それでは、論文を見てみましょう。
【選択科目Ⅱ-1柔らかい土地区画整理】
(1)背景
人口減少社会により、既成市街地においては空き地等の低未利用地が小さな敷地単位で発生する都市のスポンジ化が進行している。生活利便性低下や居住環境が悪化し、都市のコンパクト化を推進する上でも障害となっている。都市の衰退化を防ぐために、スポンジ化が進む地域や既存ストックが集積したエリアで柔軟に制度を活用して区画整理を推進する必要がある①。
① 柔らかい区画整理を推進する背景を書くべきパートなので、この理由を書くべきです。スポンジ化を解消する必要性は書かれていますが、柔らかい区画整理の必要性が書かれていません(従来の区画整理ではなぜダメなのか等)。
(2)概要
既成市街地において、従来の区画整理における既成概念に捉われず柔軟に土地区画整理事業を活用して再整備を進める手法である②。「小規模・短期間・民間主導」型の区画整理によりスピーディな区画整理を行う。
② 柔軟に土地区画整理を活用するのではなく、柔軟な土地区画整理を活用するのではありませんか。また、下線の内容は抽象的であり、手法の説明になっていないように感じます。分かりやすい概要として、公益財団法人区画整理促進機構のHPにおいて『都市のスポンジ化対策として、「空間再編賑わい創出事業」や「敷地整序型土地区画整理事業」等の柔軟な区画整理手法を組み合わせながら、スポット的でも小規模かつ機動的に土地区画整理事業を実施し、賑わいの創出を図ることが有効です。』とありましたので参考にしてみてはいかがでしょうか。
(3)特徴とメリット③
短い事業期間:大規模な事業に比べて平均2年弱の事業期間が多く④、事業期間⑤の早期発現が期待できる。
合意形成が容易:大規模・中規模地区と比べて地権者の数が少なく、合意形成が図りやすい。
減歩負担が少ない:市街地における小規模な土地区画整理事業では、公共減歩が比較的小さい。また、小規模事業ほど事業負担に保留地を充当しない傾向にあり、土地の入れ替えや再編により利用増進が図れる⑥。
柔軟な利用:小さな区域において、敷地整序、集約換地、連続的に地区全体の整備を図る等、様々な土地区画整理事業を柔軟に活用できる⑦。 以上
③ 柔軟な区画整理とは、②のとおり「空間再編賑わい創出事業」や「敷地整序型土地区画整理事業」等の事業を指すものと考えられます。しかし、本論文で記載している内容がどちらなのか判然としません(「敷地整序型土地区画整理事業」かな?)。これは、柔らかい土地区画整理事業といったテーマを問題設定したためだと思います。断定はできませんが、この出題の仕方ですと答えが曖昧になので、二つの事業の違いを説明する、あるいはどちらか一方に絞ってくるといった出題になるのではないでしょうか。
特徴とメリットとありますが、何が特徴で、何がメリットなのか不明確です。
④ 期間なので「事業期間が多く」→「事業期間が長く」。さらに、文意は「平均2年弱と事業期間が短く」ですかね。
⑤ 「事業期間」→「事業効果」ですかね。
⑥ 分かりづらい表現です。「小規模な事業であるほど、土地の入れ替えや再編により利用増進が図られるため、保留地処分が最小限となり減歩率も小さくなる。」ですかね。
⑦ メリットのように見えますが、誰にとってのメリットなのか分かりません(活用できるのは誰ですか)。全体に言えることですが、メリットというと行政、地権者など対象者によって内容は変わるのではないでしょうか。主語を明確にしないと理解できないと思います。
【選択科目Ⅱ-1地域公共交通確保維持改善事業】
(1)事業が求められる背景
多くの地域で人口減少の進展に伴い、バス等公共交通の需要縮小や経営悪化で地域公共交通の維持・確保が厳しい状況にある。また、高齢者の運転免許返納が増加し、移動手段確保も重要な課題である。よって、地方自治体は地域公共交通計画を策定し、公共交通利用改善や移動手段確保への施策を構築する①必要がある。
① 「構築する」→「講じる」
(2)事業の概要②
本事業は大きく分けて次の3つの内容で構成される。
①地域公共交通確保維持事業:地域の実情に応じた生活交通の確保維持を目的とする。離島航路・空路の運行支援や自治体と交通事業者の協定締結によるエリアや一括運行事業を支援する事業である。
②地域公共交通バリア解消促進事業:公共交通のバリアフリー化を目的とする。交通事業者に対しバリアフリー化整備等の整備③を支援する事業である。
③地域公共交通調査等事業:地域公共交通計画の策定支援を目的とする。策定に必要な調査業務や法定協議会の運営に要する経費等に対して支援する事業である。
② 私の予想問題のせいだと思いますが、国の補助メニューを説明する出題は過去ありません。よって、地域公共交通の維持を図るために必要となる施策・制度の説明、及びその特徴を問われるのではないでしょうか。
③ 整備等の整備になってますね。
(3)特徴とメリット
特徴:法定協議会が定めた地域公共交通計画に確保又は維持が必要として掲載されていることが要件となる⑤。
メリット:社会実験を通じた新モビリティ導入の検討にも活用できる。地域の実情にあう移動手段を選定した上で、公共交通網の維持を図ることができる。 以上
④ 表現が分かりづらいです。「公共交通の維持が計画に位置付けられていることが要件」でどうでしょうか。また、特徴ではなく補助要件を書いてしまっています。
⑤ 生活に必要な公共交通が維持できるのは理解できますが、公共交通網が維持できる理屈がわかりません。
【選択科目Ⅱ-2防災まちづくり】
1.調査、検討すべき事項とその内容
(1)災害履歴の把握
調査にあたり、地域内の内水・外水氾濫等の発生状況を把握する。また、山岳側地域での土砂災害や下流側での河川氾濫の有無等、周辺の地形に起因して発生した災害の履歴を調査する。併せて、自然災害伝承碑等から被災の様相や被害状況等を確認する。
(2)人口構造及び都市機能の把握
国勢調査から人口密度等の人口構造を調査する。また、用途地域別の土地利用状況を把握する。これらを段丘面及び段丘崖毎に整理し、災害リスクが比較的大きい箇所に位置する都市機能を特定する。
① 人口構造は、性別や年齢などの属性による分類ではないですか。人口密度は、分布ではないでしょうか。
(3)地域別水害シミュレーションによる調査
山岳側、段丘崖等の地形別での浸水シミュレーションを行い危険個所の特定を行う。また、平野部の河川氾濫や山岳部での記録的短時間大雨等、パターン別の検討により、地域別の災害リスク②を抽出する。
② 地域別なのか、パターン別(雨の降り方?)なのか、どちらなのかよくわかりません。
(4)広域的な流域の確保③
水系上に連担する各自治体の防災計画を確認する④。また、災害時の支援体制やライフライン等の都市機能回復措置の内容を把握する。併せて、特定開発行為や盛土行為の有無及び排水設備整備状況を調査する。これらから、崩壊⑤による2次災害発生リスクを抽出する。
③ 流域とは、雨水が河川に流れ込む範囲なので「広域的な流域」との表現に違和感があります(広いも狭いもなく特定の範囲ではないでしょうか)。
④ 調査目的が良く分かりません。
⑤ 何が崩壊するのか分かりません。
2.業務を進める手順と留意点、工夫点
(1)検討組織の構築
河川・下水道管理者、学識経験者、隣接自治体及び都道府県知事⑥等の委員からなる検討組織⑦を設置する。流域・広域的観点から、上流・下流、本川、支川の治水バランスに留意し、各地域に位置する関係者を委員⑧にする。行政は横断的に委員を組織⑨する等工夫を行う。
⑥ 他は属性なのに、ここだけ限定的ですね。
⑦ 構成を特定するより、考えを示した方が良いと思います。例えば、「多様な関係者からなる横断的な検討組織」としてはどうでしょうか。
⑧ シンプルに言うと「地域ごとに委員を選出する」ということですかね。表現がまどろっこしいです。また、前段でも組織の構成について説明しているのに、また構成についての話なので、2つを端的にまとめたほうが良いですね。
⑨ これは行政内組織のことですか、それとも行政選出の委員のことを言っているのですかね。良く分かりません。
※ 検討組織の設置という導入STEPにも関わらず、説明が他に比べて多くバランスに欠きます。もっと大事なことに紙面を割くべきだと思います。
(2)防災まちづくりの目標設定⑩
抽出された水害リスクを踏まえ⑪、都市基盤整備を推進するための目標を設定する。設定にあたり、形骸化しないよう「いつまでに、どの程度」等、安全性を確保するための具体策を示すことに留意⑫する。
(3)方針検討と合意形成⑬
地域全体での方針と地区毎の方針を策定⑭する。策定にあたり、各地区における住民の能動的参加を促すため、まち歩きや懇話会等の導入により住民参加を図る⑮。
⑩ 目標設定の前に方針検討があるべきと考えます。(2)と(3)は順序が逆ではないでしょうか。
⑪ 方針検討の前には、課題設定が必要だと思います。リスク抽出がそのまま課題と読めなくもないですが、あくまでリスクなのでリスクヘッジする課題設定STEPが必要だと思います。
⑫ 「いつまでに・どの程度」を示す理由は、安全性の確保ではなく、進捗管理しやすくするためではないでしょうか。
⑬ 合意形成に関する記述がありません。
⑭ 全体と地区ごとに方針を策定する理由が分かりません。
⑮ 「住民の能動的参加を促すため、・・・住民参加を図る。」ねじれています。
(4)計画策定⑯
策定にあたり、流域内や連担自治体との連携を行う⑰ことに留意する。また、情報共有を図るため関係自治体や都道府県等との連絡会議を実施する⑱等工夫する。加えて、各自治体間での負担金等により持続的な取り組みが実施⑲できるよう工夫する。
⑯ 計画策定手順を書くべきなのに、小見出しが計画策定はおかしいです。内容は、3.関係者との調整方策に書くべき内容ですかね。また、方針や目標を達成するための施策検討STEPがありません。
⑰ 抽象的で何を連携させるのか分かりません。
⑱ これは、検討委員会とは別組織で、計画策定後の話をしているのでしょうか。そうであれば、計画策定手順ではないですね。
⑲ これも計画策定後の話ですか。
3.関係者との調整方策
関係機関等においては、客観的な情報に基づき協議を行う。住民に対しては、自治体の一方的な情報提供だけでなく、ワークショップやパブリックコメントを通じて双方向の意見交換を行い調整する。