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技術士 二次試験対策 【口頭試験】実務能力の対策①

口頭試験
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コミュニケーション・リーダーシップの攻略

【 技術士 二次試験対策 】

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実務能力は実務経験証明書の内容

先日、口頭試験対策として技術者倫理を解説したところですが、本日はコミュニケーション・リーダーシップについて見ていきたいと思います(技術者倫理はコチラ)。まずは、技術士 第二次試験実施大綱に示されている口頭試験の試問事項と配点を復習しましょう。

技術士 第二次試験実施大綱 口頭試験の試問事項と配点

本日のテーマである「コミュニケーション・リーダーシップ」は、最初の項目として挙げられており、その重要性が伺えます。大見出しには、「技術士としての実務能力」とあります。このことから理解できることは、「実務」に基いた能力を確認されるということです。

技術士 二次試験の受験資格には、経験年数4年以上が求められています。つまり、この期間に経験した業務に関することを問われるという訳です。申し少し具体的に言うと、試験申し込みの際に提出した実務経験証明書の記載事項について諮問されます。

技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)

何を問われるかが分かったところで、次に考えるべきことは、「相手が望む答えが何か」ということに尽きます。では、技術士に求められるコミュニケーション・リーダーシップとは、一体どのようなものなのでしょうか。

その答えは、科学技術・学術審議会技術士分科会で発出している「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」に記述されています。科学技術・学術審議会は、文部科学省の諮問機関で「技術士法及び国際卓越研究大学法の規定に基づく事項」を調査・審議する組織です(この下部組織の技術士分科会は試験情報が満載です)。

技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)に記載されているコミュニケーション・リーダーシップの説明は以下の通りです。

コミュニケーション
・業務履行上、情報技術を活用し、口頭や文書等の方法を通じて、雇用者、上司や同僚、クライアントやユーザー等多様な関係者との間で、明確かつ包摂的な意思疎通を図り、協働すること。
・海外における業務に携わる際は、一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え、現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。

リーダーシップ
・業務遂行にあたり、明確なデザインと現場感覚を持ち、多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。
・海外における業務に携わる際は、多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに、プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。

海外の経験がある人は、それぞれ2つ目の項目も考慮する必要がありますが、大抵の人は1つ目の項目のみ意識すれば、その攻略方法は見えてくると思います。まさに、「相手が望む答えが何か」という答えになっています。コミュニケーション・リーダーシップを一般の定義で捉えないことが重要です。

コミュニケーション

まずは、コミュニケーションです。前項に示されたコンピテンシーをもう少し分解して、必要な解答の条件項目として整理してみましょう。

  1. 情報技術を活用しているか
  2. 明確な説明(意思疎通)か
  3. 包摂的な説明か
  4. 協働しているか

このように分解してみると、何に注意しなければならないのか明確になりますよね。この条件を満たすことを意識して、回答することが望まれます。もちろん、すべてを満たせればよいのですが、一つでも構いません。解答がダラダラと冗長的になる方が、リスキーと言えます。これは、自分がどんなに「明確な説明をしてきたと」アピールしても、その説明が長ったらしいかったら説得力は皆無です。

ここで注目すべきは、情報技術・包摂性だと考えます。技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)が令和5年1月25日に改訂されており、この改訂のポイントが情報技術・包摂性だからです。改定の趣旨として以下の内容が示されています。

2021 年 6 月に IEA (国際エンジニアリング連合)により「GA&PC の改訂(第 4 版)」が行われ、国際連合による持続可能な開発目標(SDGs)や多様性、包摂性等、より複雑性を増す世界の動向への対応や、データ・情報技術、新興技術の活用やイノベーションへの対応等が新たに盛り込まれた。

コミュニケーション能力があることをアピールするためには、この新しい視点を追加することが大切と言えます。包摂性は、説明しにくいですが調和の姿勢と言い換えると分かりやすいかと思います。これを経験的に説明するのは難しいので、お勧めは情報技術の活用を説明すると良いでしょう。

情報技術は、BIM/CIM、i-Construction、PLATEAU、AIなどの情報技術をどのように業務に取り入れたのか説明できると最高です。かすっているだけでも構いません。情報技術を活用したエピソードトークを用意しておきましょう。

また、包摂性については、説明を求めてくるというよりも、口頭試験での受け答え方を見られる可能性があります。前述のとおり、調和の姿勢が受験者に備わっているのかを見られます。例えば、試験官があなたの意見に反論してくるケースなどがそれにあたります。

試験官は包摂性を確認するため、意図的に反論してくるわけですから、むきになったり、反抗的な態度を示してはいけません。「そういう考え方もありますね」、「今後の参考にする」など華麗にいなしましょう。

リーダーシップ

次は、リーダーシップです。リーダーシップの項目は、先に述べた改訂時点での修正はありません。よって、新たな視点はないものの、技術者最高資格である技術士はリーダーシップが強く求められますので、試問される可能性も高いものと推測します。

現に私が口頭試験を受けたときも、いの一番でバッチリ尋ねられました。私の答えは「事業全体の年次計画の立案や進行管理などを行い、俯瞰的な視点により事業マネジメントを行ってきた部分がリーダーシップを発揮した場面であったと考えています。また、トラブルや問題が発生したときに、問題の解決案や、関係者との調整を主体的に行ったことでリーダーシップを発揮できたと考えています。」でした。

うーん、今見ると60点ですね…
リーダーシップで答えるべき条件をコミュニケーションと同様に整理してみましょう。

  1. 明確なデザインを示したか
  2. 現場感覚に基いた考え方を示したか
  3. 多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることができたか

こりゃまた抽象的ですね。3番以外は、ハッキリ言ってイメージしづらいです。まず出てくるのが、明確なデザインです。これは、目的や方針といった旗印に加え、それを達成するための方法論・考え方といったところでしょう。リーダーシップは、調整・とりまとめ能力ですから、目的と方法論を明確にして合意を得るというプロセスを経験談から引っ張り出してくるイメージですね。

さらに分かりづらいのが、現場感覚です。なんだよ感覚って、とボヤキたくなるくらいの表現です。現場ですから、真っ先にイメージされるのは施工現場でしょう。ただし、計画業務に従事している人はどうすんだよということになりますが、現場を計画対象エリアなどに置き換えるとよいでしょう。

つまり、現場に即したイメージを関係者に共有する能力と言えるのではないでしょうか。設計であれば、完成イメージを図面化・言語化する能力、計画であれば将来都市像などになると考えます。このようなイメージを相手にきちんと伝え、合意形成を図っていったことが説明できればOKです。

上記の私の答えですと、「事業全体の年次計画の立案や進行管理」や「問題の解決案」≒明確なデザインに当てはまると考えます。ただし、どれも抽象的ですね。ここに具体性があるとより高得点が狙えると思います。

また、最後に「関係者との調整を主体的に行った」と述べています。これは、技術士の資質として必要となるリーダーシップがどのようなものであるかを理解していることを伝えています。これが結構重要です。

頓珍漢な答えの例としては、「困っている後輩を手伝った」、「皆の先頭に立って取り組んだ」などチームへの貢献などを語り出すケースです。一般論としては正解かもしれませんが、技術士のコンピテンシーからみると的外れであると感じます。

このように、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」です(孫子すごい!)。相手が望む答えを用意することが必勝法です。

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