添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
リアル予想問題第2弾の投稿論文
先日、お届けしました令和7年度リアル予想問題 怒涛の第2弾「労働力不足×維持管理」の論文が投稿されました(問題文はコチラ)。本日は、同一人物による添削論文2本をお届けしますが、この予想問題は、結構人気の問題であり、他の方からも論文投稿いただいているものです。
維持管理は陥没事故を契機に大注目となったわけですが、それと同時に建設業の人手不足も深刻です。ちょっと古いデータですが、建設業の技術者、技能者ともに大幅に減少しており、社会全体が人手不足である中、建設業はさらに惨憺たる有様です。
○建設業就業者: 685万人(H9) → 498万人(H22) → 482万人(R3)
○技術者 : 41万人(H9) → 31万人(H22) → 35万人(R3)
○技能者 : 455万人(H9) → 331万人(H22) → 309万人(R3)
仕事に対する価値観が多様化する中、建設業は特に不人気のようです。昔から言われていますが、キツイ、汚い、危険と3拍子揃っていますから、不人気であるのもうなずけます。さらに、上位下達、体育会系といった軍隊みたいなイメージが根強く、今の若者からは毛嫌いされているのでしょう(安全を確保する上でやむを得ない部分もありますよね)。仕事は結構、面白いんですけどねぇ・・・
ということで、この環境を建設業界が乗り越えるためには、新たな三拍子が必要になります。それらは、担い手の処遇改善、働き方改革、生産性向上の3兄弟です。人手不足がでたらまずこれをすぐに思い浮かべると、課題設定が容易になります。内容を含め、ぜひ憶えておいてください。
この大注目の2つのテーマが複合したこのよう問題は、トレンディ・イシューです。みなさんも、トライしてみてください。それでは、3兄弟をどのように料理し課題を設定しているのか、さっそく論文の方を見ていきたいと思います。
労働力不足×維持管理(初稿)
(1)インフラ施設を適切に維持管理するための課題
1)多様な人材が働きやすい職場環境の構築
女性の就労者の割合は、全国平均の約45%に対して、建設業は約17%と低い。一方、55歳以上の高齢者の割合は、全国平均の約32%に対して、建設業は約37%と高い。また、在日外国人の数は年々増加傾向にあり、建設業への就労者の割合は約12%である。このような環境で労働力を確保するには、女性の入職者を増やすことや、高齢者や外国人を活用することが必要である。よって、人材面の観点から、いかに多様な人材が働きやすい職場環境①を構築するかが課題である。
① 背景が現状の説明ばかりになっており、なぜ職場環境なのかが分かりません。現状の説明を少なくして、問題点(多様な人が働きづらい環境である旨)を説明しましょう。
2)省力化・省人化の推進
建設から50年を経過する施設の割合は、今後加速度的に増加する。例えば、道路橋は現在が約37%、20年後は約75%になる。港湾施設は現在が約27%、20年後は約68%になる。このように急激に増加する老朽化インフラを維持管理するためには、点検や補修・補強を効率的に行う技術が必要②である。よって、技術面の観点から、インフラ施設の維持管理をいかに省力化・省人化するかが課題③である。
② 効率的に進めるための必要性は、問題文ですでに述べられています。技術とありますが、もう少し技術について踏み込んだ記述がほしいところです。デジタル技術の活用、i-construction、IoTなどなど
③ これも②と同じです。少ない労働力で維持管理とありますので、問題の条件と重複しているように見えます。「おいしい料理を作る方法は?」と聞かれているのに「おいしく作ることです」と答えているようなものです。省人化・省力化の方法をもう少し具体化すれば良いと思います。
3) 地域インフラ群の再生戦略マネジメントの展開
維持管理が必要なインフラは、全国の市町村等に広範囲に分布しており、その種類も多種多様である。一方、約50%の市町村が、土木系職員が5名以下になる等、施設を管理する人材が不足している。このような状況の中、少ない人数で、広範囲かつ多種多様なインフラを計画的に維持管理する必要がある④。よって、計画面の観点⑤から、地域インフラ群の再生戦略マネジメントの展開が課題である。
④ これもこれまで同様、人材が不足していること、少ない人数で維持管理する必要性は問題文に書いてあります。群マネを結論とするなら、行政界にとらわれず広域で管理すること、多分野のインフラをまとめて管理すること、更新や集約・再編、新設も組み合わせることなどを必要性として述べた方が良いと思います。
⑤ 計画面とはどのような立場、見方なのかよく分かりません。この場合ですと、広範囲や行政界を超えてといった側面があるので、「広域性の観点」などいかがでしょうか。
(2)最重要課題と解決策
最重要課題は、「多様な人材が働きやすい職場環境の構築」である。選定理由は、技術や計画を充実させるためにも、まずは人の確保が優先と考えたからである。以下に解決策を示す。
1)育児と両立できる職場づくり
25歳から49歳の離職者は、男性が男性離職者全体の40%、女性が女性離職者全体の60%である。このため、以下に示す育児と両立できる職場づくりを行う。
⑥ ここは解決策を書くところなので、現状を詳細に述べるよりも、解決策(具体例)にスペースを割いた方が良いと思います。→「女性の離職を防止するため、育児と仕事を両立できる職場づくりを行う。具体的には・・・」
①施工時期の平準化、適正な工期設定⑦:公共工事においては、債務負担行為を活用して複数年にまたがる契約を行う。これにより、4~6月の閑散期に工事を行い、繁忙期の負荷を軽減する。また、余裕期間制度を活用し、受注者が工期を選択しやすくする。
⑦ 職場の話になっていません。これは、制度や仕組みといった事柄であり、課題と不整合になっています。また、育児との関係も不明確です。
②遠隔化による現場環境の改善:ICT施工により⑧、建機の操作や現場検査を遠隔化する。これにより、リモートワークで現場作業の対応が可能になり、子供の送迎等の子育てに費やす時間を創出する⑨。
⑧ 「・・・により・・・。これにより」と続いてしまうので、「ICT施工を導入し」としてはいかがでしょうか。
⑨ 「・・可能となり・・・創出する」は構文がおかしいですね。→「現場作業をリモート化することで、」
2)建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用
CCUSに保有資格や就業履歴を登録・蓄積する。これにより、企業が外国人や定年退職後のベテラン技術者等の能力・経験を客観的に把握できるようにし、雇用の機会を創出する⑩。また、登録する技能者は、能力・経験に応じた処遇を受けられるようになるため、離職の防止に繋がる。
⑩ 目的が、雇用機会の創出になっています。働きやすい職場環境の構築が課題ですから、良好な職場環境を作るうえでCCUSを活用することとしないと論点がずれているように見えます。外国人や高齢者でも能力にあった適切な処遇を実現することにより、職場環境を改善するといった論調にすべきでしょう。つまり、後述にある部分(「また」以降)が本論になると思います。
3)多様な人材に適した業務の創出
働きがいの向上が離職防止に繋がる。そこで、雇用した多様な人材に適した業務を創出する。例えば、風車の維持管理では、海外の風車メーカーと協議が必要になる場面があるため、語学堪能な外国人をその部署に配属⑪する。
⑪ 「多様な」とありますが、語学が堪能な外国人と条件が付いていることに違和感があります。また、ただの人事であり、業務を創出していません。さらに、建設部門の技術者としてのアピールがなく、一般論に見えます。
(3)新たに生じうるリスクと対応策
1)災害発生リスクの増加
現場の遠隔化による現場経験の不足や、外国人の採用による言葉や文化の壁、身体能力が低下している高齢者の再雇用等により、補修・補強工事等の現場作用時の災害発生リスクが増加⑫する。
対策は、女性や高齢者に対して、パワーアシストスーツを導入し、作業負荷を軽減する。ARグラスを導入し、現場の危険個所や作業手順をリアルタイムで可視化する⑬ことで、作業者に注意を促す。
⑫ これを言ってしまっては、解決策に問題があるように見えてしまいます。人材の多様化が引き起こすリスクは、例えば、「仕組みが複雑になる」、「業務手順等の見直しが必要になる」、「勤怠管理や評価制度が複雑化する」などが考えられます。
⑬ 多様な人材が働きやすい職場環境の構築という課題の解決策ではありませんか。むしろ、これらを解決策として述べるべきと考えます。
(4)業務遂行の要点・留意点
必要となる要件は、技術者倫理の観点では、公益・安全・健康・福利の優先である。社会持続性の観点では、環境・経済・社会における負の影響の低減である。業務遂行においては⑭、これらに留意する。 以上
⑭ 「業務として遂行するに当たり」とあるので、「業務遂行において」では当たり前です。例えば、「業務の各段階で、常にこれらを意識するよう留意する。」といった具合に場面設定を的確に示しましょう。
労働力不足×維持管理 チェックバック①
(1)インフラ施設を適切に維持管理するための課題
1)多様な人材が働きやすい職場環境の構築
建設業における女性の入職者の割合は、全産業平均の約45%に対して約17%と低い。この原因の1つが、現場対応が多い建設業では、仕事と育児の両立が難しいことである。また、建設業に比較的多い高齢者に関しては、身体機能の低下により労働災害が発生しやすくなるため、年齢とともに活躍が難しくなる。その他、近年増加傾向にある外国人就労者に関しては、言語や文化の壁が、職場において問題となる①。よって、労働力を確保するために、人材面の観点から、いかに多様な人材が働きやすい職場環境を構築するかが課題である。
① ちょっと背景が長すぎますね。個々の問題点を一つずつ説明するより、すべてを包含した問題提起とした方が良いと思います。例えば、維持管理に必要な人材が不足してるけど建設業は人気がない【現状】→労働者の働き方が尊重されないから(長時間労働、ワークライフバランスが確保できない、公正な待遇の欠如などを問題視)【問題点】→ 柔軟な働き方を実現する環境整備が必要【必要性】→【結論】
2)新技術の活用
建設から50年を経過する施設の割合は、今後加速度的に増加する。例えば、道路橋は現在が約37%、20年後は約75%になる。このように急激に増加する老朽化インフラを維持管理するためには、人力による維持管理手法から、ロボットやデジタルデータ等の新技術②を活用した手法に転換する必要がある。よって、効率的な維持管理を実現するために、技術面の観点から、いかに新技術を活用するかが課題③である。
② 結論と重複していますね。違う用語を用いましょう。
③ これも技術面の観点から新技術では重複しています。課題はもっと絞り込んだ方が良いです(観点>課題)。また、②の重複もありますから、以下のように整理してはどうでしょうか。
→「人力による維持管理手法から、ロボットやデジタルデータ等を活用したDX化を図る必要がある。よって、効率的な維持管理を実現するために、技術面の観点から、ICTの活用が課題である。」
3) 地域インフラ群の再生戦略マネジメントの展開
維持管理が必要なインフラは、全国の市町村等に広範囲に分布しており、その種類も多種多様である。広域の施設を限られた労働力で適切に維持管理するためには、行政境界にとらわれずに管理を行う仕組みが必要である。また、多種多様の施設をまとめて管理することや、施設の集約・再編も必要になる④。よって、広域性の観点から、地域インフラ群の再生戦略マネジメントの展開が課題である。
④ 必要性の前段で、問題点を指摘した方が、必要性の説得力が増します。また、必要性はもう、群マネの意義を書いてしまった方が、端的に表現できると思います。→「・・・である。【←現況】人員や予算が不足している中、局所的な対応では、複数・多分野のインフラを適切に管理することはできない。【←問題点】。このため、一団のインフラを群として捉え、総合的かつ多角的な対応が必要である。【←必要性】よって、・・・」
(2)最重要課題と解決策
最重要課題は、「多様な人材が働きやすい職場環境の構築」である。選定理由は、技術や計画を充実させるためにも、まずは人の確保が優先と考えたからである。以下に解決策を示す。
1)育児と両立できる職場づくり
女性の離職を防止するために⑤、育児と両立できる職場づくりを行う。具体的には、ICT施工を導入し、建機の操作や現場検査を遠隔化する⑥。現場作業をリモート化することで、子供の送迎等の子育てに費やす時間を創出する。⑦
⑤ 離職を防止は少々消極的な印象を受けます。→「雇用機会を創出するため」
そもそも論として、記述の内容は、多様な働き方を実現する取り組みであり、女性(育児)に限った話ではないと思います。
⑥ ICT施工の導入は建機の操作のみにかかっていると思います。そうなると、現場検査には遠隔化の手段が示されていません。→「ウェアラブルカメラ等によって取得した映像及び音声を利用し、現場検査」
⑦ 課題をもう少しコンパクトにして、解決策に厚みを持たせた方が、技術力をアピールできると思います。このパラグラフの場合、場所の制約解除のほかにも、短時間労働制やフレックスタイムなど働く時間を柔軟にすることや、保育所の充実(保育所等を都市公園に占用により設置する)なども考えられます。
2)建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用
CCUSに保有資格や就業履歴を登録・蓄積する。これにより、技能者は、能力・経験に応じた処遇を受けられるようになるため、離職の防止に繋がる⑧。例えば、CCUSにより、産休・育休の取得者は、復職時に休職前のキャリアから再スタートできる。また、ベテランの技能者や外国人は、自分の技能と経験を雇用主に客観データとして示すことができる。
⑧ 記述にもあるように、転職したり、離職して独立したりしても、適正な処遇が受けられるといったことがCCUSの効果ですよね。よって、若い世代の技能者の方がキャリアパスや処遇の見通しをもてるので、離職防止というより、建設業界からは離れないといったニュアンスではないでしょうか。
3)デジタル技術による現場の作業環境の改善⑨
女性や高齢者でも、現場作業に従事しやすい環境を整備する⑩。具体的には、パワーアシストスーツ⑪を導入し、作業負荷を軽減する。
新規入職者や外国人に対して、安全に現場作業が行える環境を整備する。具体的には、ARグラスを導入し、現場の危険個所や作業手順をリアルタイムで可視化することで、作業者に注意を促す。⑫
⑨ この見出しですと、ICT施工も含まれるように見え、重複した解決策を示しているように感じます。よって、作業環境の改善ではなく、現場作業の支援としてはいかがでしょうか。
⑩ ⑨の通り、環境ではなく支援が望ましいと考えます。
⑪ これはデジタル技術なのでしょうか。国交省のホームページでは、人間拡張技術として紹介されています。
⑫ このパラグラフは、現場作業の支援という視点で、個別の事案ごとに記述するのではなく、目的→やること→具体例といった再構成した方が良いですね。→「多様な人材が現場作業に従事できるよう、新技術により現場作業を支援する。具体的には、パワー・・・・。さらに、新規・・・・。」
(3)新たに生じうるリスクと対応策
1)仕事に対する価値観の違いによる品質のばらつき
多様な人材を集めることにより、仕事に対する価値観の違いが生じる⑬。これにより、成果品の品質にばらつきが生じるリスクがある⑭。
対策は、客観的データに基づく成果品の品質管理である。例えば、打音検査では、技術者が音で構造物の状態を判断するのではなく、音による振動をスペクトル解析し、数値データに基づき状態を判断する。また、コンクリート壁の補修工事では、完了時に壁の状態を写真に撮り、出来高をAIが画像から判断する。
⑬ 仕事に対する価値観ですから、お金を重視する人、趣味を大切にする人など仕事に対する考え方の違いを言っているのですよね。そうであるなら、そのために多様な働き方を実現する、つまり職場環境を改善するのではないのですか。本末転倒に見えます。
⑭ これはCCUSで解決しているのではありませんか。新たに生じるリスクなのか疑義があります。
(4)業務遂行の要点・留意点
必要となる要件は、技術者倫理の観点では、公益・安全・健康・福利の優先である。社会持続性の観点では、環境・経済・社会における負の影響の低減である。業務の計画、実施、完了、振り返り等の各段階において、これらを意識することに留意する。 以上