添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
またまた投稿者による予想問題です
本日の添削LIVEは、「Society5.0×国土強靭化」(以前の投稿はコチラ)に続き、投稿者自らが問題を作成し、その論文を添削したものになります。設定テーマは、「持続可能な社会の実現」になります。一瞬、漠然としたテーマだなぁと感じましたが、読んでみると担い手確保や生産性の向上といった人手不足対応になっています。
人手不足は、社会全体が抱える問題ではあるものの、建設業界はその傾向が顕著です。以前にも述べましたが、きつい、きたない、きけんと3拍子そろってますから、人が集まらないのもうなずけます。これらの問題を解決し、魅力ある業界として変貌を遂げる必要があります。
先日、恩師の最終講義を受けに行った際、とても興味深い言葉を示していただきました。論語の「知之者不如好之者、好之者不如楽之者(これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず)」というものでした。
これは、あることを理解している人は知識があるけれど、そのことを好きな人には敵わない。あることを好きな人は、それを楽しんでいる人に及ばないものであるといった意味です。恩師の生き方そのものといった内容でした。嫌な仕事、つまらない仕事、大変な勉強も、自分の見方で楽しくもなるものです。
投稿者のように積極的に問題を作成し、これ出題されるのではないかとワクワクしながら取り組めば、きっと「楽しんでいる人」になれるはずです。建設業も構造物が出来上がった時の満足感、達成感は他に類を見なものです。この魅力をどうやって、社会に伝えていくのかといったことが重要だと思います。
私は、我々技術者が、楽しく仕事や勉強に取り組み、その姿をみなさんにお披露目することが、魅力を伝える最大の宣伝だと思っています。自分が楽しくないことを、人に勧めることなどできません。さあ、みんなで「楽しんでいる人」になりましょう。
「持続可能な社会の実現」
少子高齢化・人口減少は、我が国の未来を左右する。2024年には、我が国の出生数が初の70万人を割る公算であり、人口減少に歯止めがかからない状況である。また、高齢化も進行し、65歳以上の人口割合を示す高齢化率は、2020 年の28.6%から、2070年には38.7%へ上昇すると推計されている。
こうした少子高齢化・人口減少の進展により、経済成長の供給面の源泉の一つであるマンアワーベースの労働投入量の減少が懸念されている。産業を支える労働力の不足が懸念される中、我が国の持続的な経済成長に向けては、担い手確保に向けた取組みや生産性の向上が求められている。
こうした状況を踏まえ、持続可能で豊かな未来につながる社会を実現するための方策について、以下の問に答えよ。
(1)持続可能で豊かな未来につながる社会を実現するにあたり、建設部門の技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し、それぞれの観点を明記したうえで、課題の内容を示せ
(2)前問(1)で抽出した課題のうち、最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について、専門技術を踏まえた考えを示せ。
(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するにあたり、技術者としての倫理、社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。
論文
1.多面的な課題とその観点
(1)いかにデジタル化を行うか
少子高齢化に伴い、建設業に従事する作業員の高齢化率は高い水準が続いている。また、令和6年度から時間外労働の上限規制が適用となり、更なる労働力の低下が懸念される。このことから、建設業におけるデジタル化を加速させ、不足する労働力を補う必要がある①。よって、技術面の観点から、デジタル化の推進が課題である。
① 課題と同じようなことを述べてしまっています。デジタル化のもっと上流側の視点で必要性を述べましょう。例えば、「不足する労働力を補うため、情報通信技術等を活用した生産性の向上が急務である。」といったことが考えられます。
(2)いかにダイバーシティを推進するか
女性や高齢者の労働参加が拡大する中、ライフスタイルに合わせた就業環境の整備が求められている②。他方で、建設業では男性の就業者が多く、就業環境が女性や高齢者に配慮した設計ではない場合が多い③。そのため、個々人の性別や国籍、年齢等に関わらず建設分野で働ける環境整備が重要である④。よって、仕組み面の観点から、ダイバーシティの推進が課題である。
② 構成上、最初は現況にとどめると良いともいます。→「近年、我が国では女性や高齢者の労働参加が拡大している。しかし、建設業においては、・・・」
③ 設計との表現に違和感があります。→「配慮されていない場合が多い」
④ 働きにくいのであって、働けないわけではないです。また、何にとって重要なのかを明確にすると良いでしょう。→「建設業の担い手を確保するためには、個々人・・・働きやすい環境整備が重要である。」
(3)いかに歩いてくらせるまちづくりを行うか
高度経済成長期以降、拡散型の車社会によって都市が形成されてきた⑤。しかし、人口減少や高齢化が急速に進む中で産業や経済の持続的な発展を進めるためには⑥、車に過度に依存せず職住や医療等の諸機能が近接した都市構造を形成していくことが求められる⑦。よって、都市環境の観点から、歩いてくらせるまちづくりの推進が課題である。
⑤ 「拡散型の」が車社会にかかっているように見えます。→「車社会によって拡散型の都市が形成されてきた」
⑥ 発展を進めるとの表現に違和感がわります。→「・・・経済を持続的に発展させるためには」
⑦ 産業や経済を発展させることと、車に依存しないことが結びつきません。おそらく、集約型の都市構造をイメージしているのだと思いますが、集約することで持続性を確保していこうとの考えですので、車に依存することとまた異なるのではないでしょうか。また、都市構造まで述べてしまうと、歩いて暮らせるまちづくりと少し離れているように感じます(観点も都市環境です)。また、人口減少もあまり関係ないですね。さらに、必要性の前に問題点を明確にした方がよいでしょう。
→「これにより、車がないと生活できない地域も多く、高齢者の運転事故等が多発している。高齢化が進む中、人々の快適で安心した暮らしを維持するためには、都市機能や居住を集約し車に依存したライフスタイルからの脱却が必要である。」
このようにまとめてみたものの、担い手確保に向けた取組みや生産性の向上を踏まえた持続可能社会の実現なので、ちょっとずれちゃってますかね。労働力に見合った社会資本の集約再編といった論調に変えた方が良いと思います。
2.最も重要な課題と解決策
上記の内、「いかにデジタル化を行うか」は、他分野との相乗効果が期待できるため、最も重要な課題に選定し、以下に解決策を述べる。
(1)i-Construction
①ICT施工
ICT施工を導入し、施工管理の作業時間を短縮する⑧。例えば路面切削工では、事前に地上型レーザースキャナにより測量を行い、取得した点群データを基に3Dモデル化を行う。設計データを路面切削機に入力したTSにより機械位置を追尾し、設定した切断厚さで切削した後3Dデータから出来形管理を行う
⑧ 「省力化を図る」の方が的確ではないでしょうか。
②BIM/CIM
複雑な地形や複数の支障物が存在する工事現場では、施工計画の検討に時間と労力を要する。そこで、UAVにより得られた点群地形データを3Dモデル化し現地形状を再現する⑨。例えば、高架橋の支保工計画を検討するにあたり、高低差や施工位置を同時に可視化することで、精密な検討を短時間で実施する。これにより、計画業務の質・量を共に向上させる
⑨ 把握することが解決策ではなく、施工計画の検討が提案事項ではありませんか。また、ここは解決策を示すパラグラフなので、現状を書くのではなく、目的と解決策をいきなり書いてしまいましょう。→「複雑な地形や複数の支障物が存在する工事現場において、施工方法の検討を容易にするため、UAVで点群地形データを取得し、3Dモデル化したうえで施工計画を検討する。」
(2)人間拡張技術の活用
高齢化した建設作業員でも、安全に現場を推進させるため⑩、身体的な作業の負担を軽減させるパワーアシストスーツを導入する。例えば、人力除雪や土のう積工等の身体的な負担が大きい維持系作業⑪において、中腰姿勢の維持や重量物の持ち上げ等のかがみ込み等の動作を補助することで、作業員の身体への負担軽減を図る⑫。このように、安全に作業できる環境を整えることで、高齢作業員の活躍の場を維持し、持続的に建設現場を推進させる⑬。
⑩ 現場を推進との表現に違和感があります。→「安全に作業させるため」
⑪ 維持に限定する必要はないと思います。単純に、作業で良いと思います。
⑫ 冒頭、「身体的な負担が大きい維持系作業において」とあるので、端的に「軽減を図る」で良いと思います。
⑬ 最初の目的と同じことが書かれています。不要。書くなら、波及効果などを書くべきですね。
(3)生成Aiの活用
少子高齢化に伴う労働力不足を補うため⑭、生成Aiを活用する。例えば、設計初期段階⑮において、スケッチや3Dモデルからファサードデザインを自動生成する。環境条件や発注者の要望を建築基準法に適合させた建物のボリュームや平面計画を作成するにあたり、即座にデザインの提案が行えることで、迅速な合意形成が可能となる⑯。これにより、設計フェーズ⑰の時間短縮と効率向上が期待できる。
⑭ これは題意そのものであり、もう一歩踏み込んだ目的にしましょう。
⑮ 何の設計ですかね。ファサードなので、建築物ですかね。
⑯ 誰との合意形成ですか。
⑰ フェーズが入ると分かりづらいです。不要。
3.新たなリスク
ICT技術に頼り仕組みを理解せずに現場が完成することで、若手技術者の技術力が低下するリスクがある。対応策として、熟練技術者とのOJT教育や技術検定を実施する。また、ECI方式により社外技術者と意見交換を行うことで、技術力の向上を図る。
4.必要な要件と留意点
業務にあたっては、常に社会全体における公益を確保する観点と、安全・安心な社会資本ストックを構築して維持し続ける観点を持つ必要がある。業務の各段階で常にこれらを意識するよう留意する。 以上