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技術士 二次試験対策 必須科目Ⅰ「維持管理×DX活用」

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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脱炭素化の動きが活発化

最近、国土交通省の報道発表資料をぼんやり眺めていると、脱炭素に関する記事のなんと多いことか。直近の数日間を見るだけでも、脱炭素に関する多くの情報が提供されており、国全体で真剣に取り組んでいることがうかがえます(国交省の報道発表はコチラ)。

9/19
・グリーンインフラの今後の方向性について議論します~第4回グリーンインフラ懇談会を開催~ 
・「道路法等の一部を改正する法律」の施行に伴う関係政令を閣議決定~安全かつ円滑な道路交通の確保と道路分野の脱炭素化の推進に向けて~
・「港湾法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」等を閣議決定~気候変動に対応した港湾の保全及び災害時の港湾の円滑な利用の確保~
9/18
・「鉄道脱炭素施設等実装調査」を実施する鉄軌道事業者等を募集します!~鉄軌道事業者等によるカーボンニュートラル実現に向けた取組を促進~
9/16
・「鉄道分野のGXに関する基本的考え方」を公表します~2040年を見据え、鉄道分野のGXに関する考え方や目標を策定~
・水素を燃料とする船舶の安全基準が合意されました~国際海事機関(IMO)第11回貨物運送小委員会(CCC 11)の開催結果概要~
・空港脱炭素化の推進に向けた取組を支援します~令和7年度 空港脱炭素化推進事業費補助金(設備導入支援)の2次公募を開始~

このように脱炭素化の動きが活性化しているということは、やはり試験問題としても取り扱われやすくなります。まずは、ご自身が興味あるものから、どんな動きになっているのか把握すると良いと思います。根底にあるものは同じなので、手段も必然的に類似します。

いくつかの取組みを把握すれば、共通項が見えてきます。共通項を理解すれば、応用力も高まります。また、必須科目Ⅰでは、、社会の持続性の観点から要件や留意点を聞かれますので、脱炭素化はこの設問に対しても、大きな助けになるでしょう。

「維持管理×DX活用」

本日の添削LIVEは、建設部門 必須科目Ⅰ「維持管理×DX活用」をお届けします。上記の脱炭素に加え、防災、維持管理が社会問題の3兄弟といえるでしょう。その一角を担う維持管理をDXという視点で論述したものです。令和6年度には災害復旧×DXが出題されておりますので、注目のテーマと言えます。早速、論文を見ていきましょう。

「維持管理×DX活用」初稿

1.インフラメンテナンスにおけるDX活用の課題
(1)先端技術の維持管理業務への応用
 インフラのメンテナンス業務は、近接目視・打音点検に代表される人手と時間を要する業務割合が高い一方で熟練技術者の減少、就業者の高齢化、老朽施設の加速度的な増加は不可避の状況である。従って技術の観点から、より効率的な点検・診断等を可能とする先端技術の維持管理業務への応用が課題である。


① 構文が少しおかしいですね。シンプルに「インフラのメンテナンス業務は、近接目視・打音点検に代表されるように人手と時間を要する」または「インフラのメンテナンスは、近接目視・打音点検に代表される人手と時間を要する業務の占める割合が高い」ですね。読みやすいのは前者です。
② 一方でとありますが、何に対するもう一つなのでしょうか。前後の文のつながりを踏まえ、適切な接続詞を選択しましょう。また、「メンテナンスは人も時間も必要」だけど「人は少なくなるは、メンテナンスするものは増えるはでもうできない」といった論調を表現したいのだと思いますが、うまく表現できていないですね。→「しかし、生産年齢人口の減少に加え、メンテナンスを必要とする社会資本は増加する一方であり、今後、適切な維持管理ができない恐れがある」
③ 「技術の観点から先端技術の維持管理」では観点と課題が重複しているように見えます。観点は、課題のジャンルを示すイメージで書くと良いです。また、課題を示す表現が冗長的で非常に分かりづらいです。先端技術が何なのかよく分からないうえ、それを導入するのではなく応用するのですよね。どのような行動なのか理解できません。しかも、なぜ効率化する必要があるのかが、前述の背景から読み取ることができませんので、順序だてた説明になっておらず飛躍しています。加えて、先端技術との表現も気になります。AI技術やICT技術(問題はDX活用なのでデジタル技術はNG)といったジャンルにしておかないと、先端とは何かはその時々で変わってしまいまし、DXなのかも判然としません。分かりすく、かつ適切な表現に努めましょう。


(2)データ利活用の環境整備
 インフラの維持管理を効果的・効率的に進めるには、必要な情報を必要な時に、必要な人が即座に取得できることが重要である。一方調査・測量、設計、施工、維持管理までのあらゆる過程で取得されるデータの標準化や連携・オープン化が不十分なため、現状データの利活用が十分に進んでいない。従って情報の観点から、国土のデジタルツイン化を進め技術者がよりデータを利活用しやすい環境の整備が課題である。


④ ②と同様。文の前後の関係を見ると逆接ではないでしょうか。
⑤ 脈絡もなく、急にデジタルツインとい言われても、読み手は何でと思ってしまいます。デジタルツインというゴールを目指すなら、そこに到達するためのステップを踏みましょう。デジタルツインの必要性、その背景となる問題点・現状といったことがらを背景で説明すべきです。これまでの説明は、データの利活用の必要性のみで、なぜデジタルツインという環境が必要なのか一切説明がありません。見直しましょう。


(3)デジタル技術に精通した技術者の育成
 DXを推進するためにはデータの取得、整形、分析、管理等に関する高度な技術力が必要だが、建設産業にはデジタル技術に精通した人材が不足している。一方インフラの維持管理業務を変革するためには、現場経験で養われた業務理解が不可欠で、デジタル技術だけに精通した外部人材を活用するだけでは困難である。従って人材の観点から、リスキリング、リカレント教育等を通じ社内にデジタル技術に精通したメンテナンス技術者を育成することが課題である。


⑥ 言いたいことはなんとなく分かるのですが、変革したいのに昔の知識が不可欠という文脈は、一見矛盾しているようにも見えます。変革という言葉のチョイスがあまりよくないのだと思います。シンプルに、「維持管理業務を進めるためには」で良いのではないでしょうか。
⑦ 主語が判然としません。何が困難なのでしょうか。
⑧ これも分かりづらい表現です。修飾語が多すぎます。「社内にデジタル技術に」と同じ助詞が連発していることに加え、「リスキリング、リカレント教育」という手段を限定していることも引っかかります。もっと、端的に表現することを意識しましょう。例えば、上記のケースですと「メンテナンス技術者のリスキリングが課題」、あるいは「デジタル技術に精通したメンテナンス技術者の育成が課題」といった表現が考えられます。


2.先端技術の維持管理業務への応用に向けた解決策
 先端技術の維持管理業務への応用は将来的なコスト縮減や点検作業の安全性向上にも寄与することから最重要課題としてその解決策を示す。

(1)画像・点群データの取得と活用
 UAVや車載カメラ、レーザー計測装置等の活用により、構造物等の画像・点群データが従前よりも安全、低コストに高頻度で取得可能となっている。また取得したデータから画像解析技術を活用して、変状の自動抽出、二時期比較による変状の進行量把握の技術開発も急速に進んでいる。画像・点群データの取得と活用により、従来限られた時間で目視による点検が中心であったトンネルや舗装、砂防施設等における点検業務の効率化が期待できる。


⑨ ここは、解決策を書くところなので、技術の現状を説明するようりやること(解決策)を書きましょう。例えば、「維持管理業務に活用しやすいよう、測量、調査にあたっては点群データを取得する」といった具合に目的→やることの順で書くと分かりやすい構成になると思います。なお、UAVや車載カメラ、レーザー計測装置云々といった具体のやり方は、「具体的には、・・・」といった接続詞で繋ぎ、手法を示すと良いでしょう。この具体例が、解決策のパラグラフでは重要な要素になります(技術力アピールはここです)。
※ これ以降すべて同じ。状況説明や効果を書くのではなくやることとして書きましょう。
⑩ 画像・点群データの取得と活用により」とさらりと書くのではなく、前述の通り具体的に書いた方が良いです。具体例=技術力だと思ってください。ここを具体化することで、効率化できるとの主張に説得力を与えることができます。


(2)数値データの取得と活用
 通信環境の整備やセンサーの普及に伴い、構造物等の状態を遠隔監視できるモニタリングが低コストに実現可能となっている。また取得したデータから機械学習の技術を活用し、劣化予測や予兆把握に用いる技術開発も急速に進んでいる。数値データの取得と活用により、これまで危険箇所で人手による計測が必要であった岩盤や斜面、橋脚の固有振動数等のモニタリングが可能となり、異常箇所の早期発見等が期待できる。


⑪ 取得したデータとは何ですか。抽象的です。
⑫ これも同様に、何をどう学習させるのですか。機械学習と表現する前にAIの説明が必要ではありませんか。
⑬ これも同様に、何の劣化予測をするのか、予兆とは何か、といったことが曖昧で浅薄な印象を受けてしまいます。
⑭ 可能となりとありますが、危険でしたが人の手でも計測は可能だったと読めます。説明すべきは、モニタリングが可能になったことではなく、安全性の向上や迅速なデータ取得といった効果ではありませんか。


3.新たなリスクと対応策
 インフラの維持管理業務は、経験工学的な判断を必要とするが、変状の発生が低頻度かつ進行が緩やかなため、経験を蓄積する機会が少ない。デジタル技術の活用に伴うリスクとして、現場経験で養われる技術力の低下、ひいては異常時や災害時等限られた時間における判断の質の低下が考えられる


⑮ これはどういう意図で書いているのでしょうか。機械学習の機会が少ないということなのか、そもそも人材育成が難しいということが言いたいのか判然としません。
⑯ ひいてはとありますが、これは前述にある技術力の低下というリスクに内包されているのではないでしょうか。また、その少ない気かだからゆえにAIに機械学習あるいは暗黙知をAIという技術を使って形式知に変えていくのではないのですか。


 対応策として、「選択と集中」の考え方のもと、残すべき技術と人からシステムへ置き換えるべき技術を明確にしたうえで、新技術の導入と技術継承に取り組む。また熟練技術者の正しい判断を基にした良質な「教師データ」を整備し、AIを活用してメンテナンス技術者のサポート体制を構築する。


⑰ 選択と集中とありますが、選択しているだけに見えます。集中がどのような行動なのかを明確にしましょう。
⑱ デジタル技術を活用したら、技術力が下がるとの主張であったにもかかわらず、AIを活用するとの解決策に違和感があります。また、この教師データがあるなら、そもそも人の技術力の低下はAIでカバーできてしまうのではありませんか。


4.技術者倫理と社会持続性の必要要件と留意点
(1)技術者倫理
 公益の確保を最優先に業務遂行することが要件である。特にデジタル技術の活用に際しては、技術がブラックボックス化するリスクを常に念頭に置き、データの改ざん等が行われることがないよう留意する。
(2)社会の持続性
 安全・安心な社会資本を確実に維持・継承することが要件である。先端技術は導入すること自体が目的ではなく、業務を効果的・効率化に行うための手段である管理するインフラとあわせて、常に業務の見直しが必要であることに留意する。 以上


⑳ 当たり前の記述に見えますし、前述の要件との関係性もよく分かりません。
㉑ インフラに合わせるとは一体どのような状況なのでしょうか。よく分かりません。

チェックバック①

1.インフラメンテナンスにおけるDX推進の課題
(1)点検・診断業務への活用
 インフラのメンテナンスサイクルは、点検・診断を正確に行うことから始まるが、近接目視・打音点検のような人手と時間を要する業務が多い。しかし老朽設備は加速度的に増加する中で熟練技術者は減少し、人海戦術による業務継続は困難となっている。従って技術の観点から、デジタル技術の点検・診断業務への活用が課題である。


① 技術の観点からデジタル技術では重複しているように見えますし、さらにDXの推進と問題にあるにもかかわらずデジタル技術の活用では解答になっていないと思います。これは、「おいしい料理を作る課題は」と聞かれているのに、「おいしく作ることです」と答えているようなものです。デジタル技術ではなく、もう一歩踏み込んだ提案が望まれます。AIの活用、IoTの導入などが考えられます。加えて、結論でいきないデジタル技術(AIやIoTにしても同じ)といわれても唐突です。背景で、デジタル技術の有効性や必要性を示唆すべきと考えます。


(2)データ利活用の環境整備
 インフラの維持管理では、必要な情報を必要な時に、必要な人が即座に取得できることが重要である。しかし調査・測量、設計、施工、維持管理までのあらゆる過程で取得されるデータの標準化や各機関の連携が不十分なため、データの利活用が十分に進んでいない。従って情報の観点から、プラットフォームの整備・充実を図り、技術者がよりデータを利活用しやすい環境の整備が課題である。


② 利活用しやすい環境の整備とはプラットフォームの整備・充実を指しているのですよね。同じことを何度も説明しているように見えます。→「技術者がデータを利活用しやすくするためのプラットフォームの整備・充実が課題」


(3)デジタル技術に精通した技術者の育成
 DXの推進にはデータの取得、整形、分析、管理等の高度な技術力が必要だが、建設産業にはそのような人材が不足している。一方インフラの維持管理業務を進めるには、現場経験を含む業務理解が不可欠である。そのためデジタル技術に精通した外部人材を活用するだけでは、維持管理業務のDXを推進することが困難である。従って人材の観点から、デジタル技術に精通したメンテナンス技術者の育成が課題である。

2.点検・診断業務への活用に向けた解決策
 デジタル技術を点検・診断業務に活用することは、コスト縮減や点検作業の安全性向上にも寄与することから最重要課題として以下に解決策を示す。


③ 問題には解決策を複数示せといった条件が付されます。2つは複数ですが、少ないといった印象を与えてしまいます。できる限り、3つ以上の解決策の記述が望まれます。


(1)画像・点群データの取得と活用
 維持管理業務への活用を行うため、画像・点群データの取得を進める。具体的には、鉄道や道路の点検・営業車両にカメラやレーザー計測装置等の搭載、UAVを用いた空撮等によってトンネルや舗装、砂防施設等のデータを取得するまた取得したデータから画像解析の技術を用いて、変状の自動抽出や二時期比較による進行量の把握を行う。上記の取組みによって、従来は供用しながら限られた時間の中、目視で行っていた点検・診断業務の高頻度化・効率化が期待できる


④ 何を活用するのですか。また、維持管理業務としていますが、課題で設定しているのは「点検・診断業務」のみです。
⑤ 対象物、使用場面、手法が整理されておらず、何をしたいのか理解できません。また、具体的とあるので、それぞれの場面に応じて手法を説明しないと、総花的で浅薄なものに見えてしまいます。
⑥ 点群データの取得の話ではなかったのですか。いきなり違う話題になっています。画像解析の話は、解決策も少ないので別途項目建立てをした方が良いでしょう。また、おそらくAI処理になると思うので、ここら辺もしっかりと書くと良いでしょう。
⑦ 点検診断業務を説明する修飾部が長すぎます。従来がどうであったか(修飾部)は、課題に書いてありますので不要です。


(2)モニタリング技術の活用
 遠隔による状態監視を行うため、センサーによるモニタリングを行う。具体的には、河川橋脚や橋りょうの支点部、要注意箇所の岩盤等に加速度センサーを設置することで、固有振動数やひずみ、変位の測定を行う。近年長期間に渡り無給電、クラウド送信可能な低コストのIoTセンサーが数多く開発されており、それらの活用を図る。上記の取組みによって、従来は危険箇所で人手による測定が必要であった点検・診断業務の高頻度化・効率化が可能となる


⑧ 何を監視するのかを書きましょう。
⑨ 支承ですかね
⑩ 具体的に書きましょう。
⑪ ⑤と同様にケースごとに詳細を書きましょう。
⑫ 良いセンサーがあるからそれを使うでは、一般論です。もっと、特徴を生かした活用シーンなどを書くべきです。
⑬ 前述と同じような結論になっていることが気になります。おそらくこの結論はモニタリングの効果というよりDXの効果なのでしょう。波及効果ならもっと、センサーに特化したものを書かないとどれも同じになってしまいます。


3.新たなリスクと対応策
 デジタル技術を維持管理業務に活用した後も最終的な技術判断は、人が行う必要がある。特に維持管理に関する技術力は、周辺環境の影響や構造物の壊れ方に対する理解等、実際の現場経験で養われる要素が大きい。デジタル技術を過信することで技術力が低下し、判断の質が低下するリスクがある。
 対応策として、「選択と集中」の考え方のもと、残すべき技術と人からシステムへ置き換えるべき技術を明確にしたうえで、デジタル技術の活用と技術継承を行う。特に残すべき(技術者が養うべき)技術については、手順ではなく基礎理論やメカニズム、過去の事例等を整理したうえで技術継承を図る


⑭ 聞かれているのは、新たなリスクです。経験の必要性は書かなくても、リスクは理解できます。このスペースを使って、解決策を一つ追加した方が良いです。
⑮ これらは、人とデジタル技術の役割分担の話であり、リスクである技術力と判断の質の低下を防止する措置になっていません。
⑯ リスクは「技術力と判断の質の低下」です。技術承継ではありません。


4.技術者倫理と社会持続性の必要要件と留意点
(1)技術者倫理
 公益の確保を最優先に業務遂行することが要件である。特にデジタル技術の活用に際しては、技術がブラックボックス化するリスクを常に念頭に置き、データの改ざん等が行われることがないよう留意する。
(2)社会の持続性
 安全・安心な社会資本を確実に維持・継承することが要件である。業務遂行にあたり、常に長期的な視点を持ち、デジタル技術の活用と技術継承による人材育成の両立を図るよう留意する。 以上

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