技術士 試験の論理構成術
【 技術士 二次試験対策 】
「構造化テンプレ」と論理のつまずき防止術
技術士 二次試験 の論文は、多くの受験生にとって「最後の壁」です。
知識はあるのに書けない、書いても評価されない、何が悪いのか分からない——。
こうした悩みは、実は知識不足ではなく“論理構成の弱さ”に原因があります。
私はこれまで数多くの論文添削を行ってきましたが、落ちる人の論文には共通点があります。
それは、
- 理由が書かれていない
- 因果関係が曖昧
- 論理の橋渡しが不足している
- 観点と課題が混ざっている
- 解決策が“やること”になっていない
という点です。
逆に言えば、これらを改善するだけで論文の完成度は劇的に上がります。
本記事では、 技術士 二次試験 の論文を「書ける」ようにするための構造化テクニックと、最近の添削で特に多かった“つまずきポイント”を徹底的に解説します。
技術士論文は「型」を守るだけで難易度が下がる
まず最初に強調したいのは、論文は自由に書くほど難しくなるという事実です。
技術士 試験は「自由記述」ではありません。
むしろ、決められた型に沿って書くことで評価される試験です。
■ 推奨する基本構成(王道テンプレ)
設問(1)【課題】
現状 → 問題点 → 必要性※ → 結論(観点と課題)
※必要性はなくても可
設問(2)【解決策】
最重要課題(理由を書く)
↓
目的 → やること(解決策) → 具体例
設問(3)【リスク】
解決策全てに関わる副作用(リスク) → 対応策
設問(4)【要件】
倫理 → 持続性
この構成を守るだけで、論文の論理は自然と整います。
しかし、添削をしていると、この「型」を守っているつもりでも、実は論理が飛躍しているケースが非常に多いのです。
課題の背景は「状況説明」ではなく“理由”を書く場所
課題に示す背景(現状・問題点・必要性)で最も多いミスは、単なる状況説明で終わってしまうことです。
例:
「近年、施設の老朽化が進んでいる。」
——これだけでは背景として不十分です。
背景は本来、「なぜその課題に取り組む必要があるのか」を説明する場所です。
■ 良い背景の書き方
背景は次の3ステップで書くと論理が通ります。
- 現状を書く
- その現状がなぜ問題なのかを書く(理由)
- その結果、課題が生じているとつなげる(因果の橋渡し)
例:
「近年、施設の老朽化が進んでいる一方で、自治体の技術系職員が不足している。このため、老朽化対策が遅れ、安全性が低下し事故リスクが高まることが懸念される。このため、体制面の観点から、少ない人員で対応できるよう維持管理の効率化が課題となっている。」
このように、背景=理由+因果で構成すると、全体がつながり論文全体の論理が安定します。
観点と課題を混同すると論文が崩れる
添削で良くする指摘が、以下の3点これです。
- 観点が課題と重複している
- 観点が課題の上位概念になっていない
- 課題が背景と同じ説明になっている
この現象が起きると、論文の骨格が崩れます。
■ 観点と課題を正しく理解する
観点とは「どこから見るか」で、課題のジャンルをイメージして書くと良いでしょう。
例:
- 人材面の観点
- 維持管理面の観点
- 防災の観点
課題とは「何をするか」で、問題を解決するための行動を書きます。
例:
- 人材育成を強化する
- 維持管理計画を見直す
- ICTを導入する
■ 課題は山の頂点
課題と観点が同じになったり、背景と課題が同じようになっていたりするのは、下図の構造を理解していないからです。課題は、いままで積み上げてきたものを土台にあるべき、結論なのです。この結論にふさわしい、場所を背景や観点を使って作り上げるのです。

課題選択には理由を
技術士 二次試験 においては、すべての考えに理由を書くことが求められます。この理由がないと、単なる主観、感想に見えてしまうからです。課題のパラグラフでも、その重要性を説明しましたが、課題選択においても理由が必要です。
しかし、添削ではこの理由が弱い、あるいは書かれていないケースが非常に多いです。
■ 良い理由の書き方
理由を書く際のポイントは以下のとおりです。
- 相対評価で書く
- 安全性・実現性・緊急性のいずれかで説明する
- 1行で端的に書く
例:
「短期間で改善が期待できるため、「ICT導入」を最重要課題とした。」
理由はこれで十分です。長く書く必要はありません。
解決策は“やること”を書く場所
解決策で多いミスは、課題で書いた理由を再度説明してしまうことです。
解決策はあくまで実施内容を書く場所です。
■ 良い解決策の書き方
- 動詞で始める(実施する・整備する・導入する)
- 手順や方法を具体的に書く
- 理由はではなく、行動の目的を書く(・・・のため、・・・)
- 必要に応じて効果を補足する
例:
「点検の効率化と精度向上を図るため、ICTを導入し点検データを一元管理する。具体的には・・・」
解決策のパラグラフは、最も技術力を示すことができる重要なところです。技術力=具体性と心得て、これを意識しましょう。
具体例として「ドローンで点検する」といった表現はNGです。具体的な記述とは、どういうシーンで、どうしてドローンなのか、どんな効果があるのかを書くことです。ただ単にキーワードを列記するのは評価につながりません。
新たなリスクは共通の副作用
技術士論文で求められる「新たなリスク」は、あなたが提示した複数の解決策を実施した結果として“共通して”発生する副作用です。つまり、
- 解決策Aだけに発生するリスク
- 解決策Bだけに発生するリスク
これでは不十分です。解決策すべてに共通して生じる“副作用”を抽出することが最重要ポイントです。一つの解決策にフォーカスすると、“新たなリスク”ではなく“個別の注意点”になってしまいます。3つの解決策に共通する副作用を1つにまとめると、論文の完成度が一気に上がります。
■ 良いリスクの書き方
- 3つの解決策の共通点を示す
「これらの解決策はすべて○○を促進する施策であるため、・・・」 - 共通点があるからこそ生じる副作用を示す
「・・・ため、共通して△△が生じる。」 - 副作用がなぜ問題なのか(理由)を書く
「△△が発生すると□□のリスクが高まる。」
この型は、技術士論文で最も評価される 因果の三段論法 を自然に満たしています。この流れがあると、「なぜそのリスクが生じるのか」が明確になり、論理の飛躍が完全に消えます。
要件はコンピテンシーと技術士倫理綱領の内容を書く場所
倫理・持続可能性の要件は、コンピテンシーや倫理綱領 に基づき書くのが基本。しかし、これだけでは評価されません。
■ 受験生がつまずく“よくある間違い”
✕ コンピテンシーと倫理綱領を“丸暗記してそのまま書く”
→ 抽象的で評価されない。
✕ 解決策と無関係な倫理・持続可能性を書く
→ 「環境に配慮する」などのスローガンはNG。
✕ 理由が書かれていない
→ 「なぜそれが倫理なのか」が説明されていないと減点。
✕ 実務に落ちていない
→ 評価者は“現場を知らない文章”をすぐ見抜く。
倫理・持続可能性は 「コンピテンシー × 倫理綱領 × 解決策の実務 × 理由」 で書くと評価されます。
おめでとうございます!これで合格ですね
技術士二次試験の論文は、知識よりも論理構成が評価されます。
理由を書く、因果でつなぐ、橋渡しを入れる——。
これらを意識するだけで、論文の完成度は驚くほど上がります。本記事で紹介した構造化テンプレとつまずき防止策を活用し、ぜひ合格に向けて論文力を高めてください。

