PR

技術士 二次試験対策 「複合災害」の本質 一般論を脱し構造を捉える思考法

論文添削
PR
PR

添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

PR

技術力を論理的に示す

本日の添削LIVEは、令和8年度予想問題 「複合災害」 をお届けします(問題文はコチラ)。こうやって、すぐに予想問題を解いてくれるなんて、なんともありがたいことです。そんな、投稿者に感謝を込めて、ガッチリ指摘させていただいております。

また、そんな添削結果を踏まえ、複合災害の本質と、技術士試験で問われる「構造的課題の抽出」の観点から、受験生が必ず押さえるべき注意点を整理します。

近年、地震・豪雨・土砂災害・停電などが連鎖的に発生する複合災害が全国で増えています。単独災害とは異なり、複合災害では「広域同時被災」「相互依存性の破綻」「優先順位の衝突」など、構造的に避けられない問題が次々と発生します。

この複合災害と単発災害の違いを理解して、そこをしっかりと指摘しないとただの災害対策になってしまいますからね。ここが複合災害の難しいところです…

1. 複合災害の本質は“広域同時被災 × 連鎖的被害 × 相互依存性”

複合災害では、次のような現象が同時に起こります。

  • 広域同時被災:複数自治体・複数インフラが同時に被災
  • 連鎖的被害:地震→斜面不安定→豪雨で土砂災害、など
  • 相互依存性の破綻:停電→排水機場停止→内水氾濫
  • 人員・資機材不足:広域対応のため分散
  • 優先順位の衝突:どこから手を付けるべきか判断不能に

つまり、複合災害では「現場に行けない」こと自体は本質ではなく、“全体像が把握できない構造”が本質的な問題です。 添削にもある通り、単発災害でも起こり得る一般論ではなく、複合災害特有の構造を示すことが重要です。

2. なぜ被災状況把握が最重要課題なのか

複合災害では、後発災害が短時間で迫る中、限られた人員で判断を迫られます。 このとき、被災状況の把握が遅れると、連鎖的被害の拡大を止められません。

  • どの斜面が危険か
  • どの道路が寸断し、どのルートが生きているか
  • どの施設が機能停止し、どこに応急対応を集中すべきか

これらが分からなければ、優先順位付けが破綻し、後発災害の被害が増幅します。

つまり、被災状況把握は「最も効果が高いから重要」なのではなく、 “これが崩れると他の対策がすべて機能しなくなる”ため最重要なのです。選択理由を書く時は、このように他の課題の前提になることや相対評価になるように留意しましょう。

「〇〇が最も効果がある」これは最も重要の言い換え、「〇〇に効果がある」これは課題の効果を説明しているだけといった具合に選択理由になっていないものが多くあります。
みなさんの論文はどうなっていますかね?要チェックです。

3. 技術士試験で落とし穴になりやすいポイント

添削から特に重要な点を整理すると、以下の誤りが多く見られます。

① 一般論を書いてしまう

「現場に行けない」「情報が不足する」などは単発災害でも同じ。 複合災害では、広域同時被災・連鎖的被害・相互依存性を必ず書く。

② “評価手法がない→作る”という単純な論理

課題とは本来、

  • なぜ必要なのか
  • ないと何が起きるのか
  • どの構造が阻害しているのか

を示すもの。

③ 空間スケールと組織構造の混同

「自治体間の広域連携」と「省庁内の縦割り」を同列に扱うのは誤り。
論理の軸を揃えることが必須。

④ 解決策が“後工程”になっている

情報が取得できないことが課題なのに、 「情報共有基盤整備」「API連携」など“情報取得後の話”を書いてしまうケース。

⑤ キーワード羅列で論理がない

SAR、ドローン、3Dモデルなどを並べるだけでは評価されない。 “何をどう改善するのか”を必ず書く。

4. 技術士として示すべき「本質的な解決策」

複合災害の構造を踏まえると、解決策は次のように整理できます。

① 広域同時被災を前提とした“全体像の把握”

  • 衛星画像・航空写真・ドローンを組み合わせ、 “到達できない場所の情報を補完する”という目的を明確化
  • 変状箇所の自動抽出、危険度推定など、 人員不足を補う仕組みとして説明する

② 連鎖的被害を止めるための“優先順位付け”

  • どの施設が壊れると連鎖が起きるか
  • どのインフラが他の機能を支えているか → 相互依存性を踏まえた判断軸を示す

③ 分野横断の意思決定体制

  • 河川・道路・下水・砂防・危機管理などの部局横断
  • 影響評価と優先順位付けを統合する体制 → 空間スケールではなく組織構造の課題として整理

5. 受験生が押さえるべき“書き方の型”

複合災害の答案は、次の型で書くと論理が崩れません。

  1. 複合災害特有の構造的問題を提示
  2. その構造がなぜ問題を引き起こすか因果を説明
  3. その結果として発生する課題を明確化
  4. 課題を解決するための行動を、構造に対応させて提示

この「構造 → 因果 → 課題 → 解決策」の流れが技術士試験では最重要です。

複合災害の答案は“構造”を書けるかで決まる

複合災害は、単発災害の延長ではありません。 広域同時被災・連鎖的被害・相互依存性・優先順位の衝突という複雑な構造が、被災状況把握を最初に崩壊させます。

だからこそ、技術士試験では 「なぜそれが最重要なのか」 「どの構造がそれを阻害しているのか」 を論理的に説明できるかが評価の分かれ目です。

「複合災害」 初稿

 (1)多面的観点からの課題
(1)-1.防災インフラの整備(ハードの観点)
 複合災害による被害拡大を防ぐためには、防災インフラがその影響を低減する機能を発揮することが求められるしかし、一級水系で気候変動を考慮した治水計画への見直しが2025年3月末時点で109水系中27水系に留まるなど、整備が不十分である。よってハードの観点から、防災インフラの整備推進が課題である。


① 当たり前すぎてただの一般論です。技術士試験では、“複合災害特有の構造的問題”、“人員・予算制約下でのボトルネック”を抽出する必要があります。しかしこの文章は、単独災害でも同じことが言える一般論であり、複合災害の特徴(連鎖・同時多発・相互依存性)を扱っていません。

② なぜ突然「水系」の話になるのか、なぜ治水計画の見直しが複合災害の課題に直結するのか、そもそも複合災害は“河川だけの問題ではない”という点で論理が破綻しています。さらに、前段は「機能発揮(ストック効果)」の話なのに、後段は「整備不足(フロー効果)」に飛んでいます。論理の軸が変わってしまっています。加えて、「しかし」とありますが、前段と後段が因果関係を持っていないため、逆接が成立していないです。

③ これも至極当たり前で、技術的深度ゼロです。複合災害の課題として“インフラ整備”を挙げるのは浅すぎます。技術士試験では、どのような複合災害特性が、どのようにインフラの機能発揮を阻害し、どの部分がボトルネックになるのかを論じる必要があります。


(1)-2.複合災害のメカニズムの研究(技術の観点)
 複合災害の発生の防止や影響低減には、正確なリスク評価が不可欠である。しかし、洪水時の土砂や流木の挙動、家屋の倒壊などに及ぼす影響などについては未解明な部分も多い。よって技術の観点から、複合災害のメカニズムの研究推進が課題である。


④ 何のリスク評価なのかが不明です。複合災害では本来、連鎖リスク、同時多発リスク、相互依存性による機能障害リスク、広域同時被災リスクなど、評価すべきリスクは複数の階層に分かれています。しかし、ここでは「リスク評価」というだけで、評価対象・評価指標・評価目的が書いていないです。

⑤ これらは、何に対する影響なのか、何の階層なのかが読み取れないです。文脈上、洪水 → 土砂挙動 → 家屋倒壊という因果関係を言いたいのかもしれませんが、文章として成立していないです。つまり、「影響を及ぼす」の目的語がない、複合災害の連鎖構造(階層)が示されていない、「土砂・流木・家屋倒壊」が並列で書かれているといった点が、この問題の要因ですね。

⑥ 未解明だから研究が課題では論理として弱すぎます。技術士試験で求められるのは、何が未解明で、なぜ未解明で、それが複合災害対応にどう支障し、どの部分を研究すべきかという構造的説明です。そもそも「複合災害のメカニズム」は既に把握されているのではありませんか。複合災害のメカニズムは、「地震 → 斜面不安定化 → 豪雨で土砂災害」「洪水 → 道路寸断 → 物流停滞 → 医療機能低下」「豪雨 → 停電 → 排水機場停止 → 内水氾濫」など、既に体系化されています。未解明なのは、連鎖の発生確率、連鎖の時間スケール、相互依存性の定量化、広域同時被災時の優先順位付けなどの「定量評価」であり、メカニズムそのものではないと思います。ここを誤解していませんか。


(1)-3.先発災害後の応急対応(ソフト面の観点)

 後発災害による被害を防ぐには、先発災害発生後の迅速・適切な応急対応が必要である。しかし、令和6年能登半島地震では、エリア全体のリスク把握や対策の優先順位の決定といった対応が不十分な面があった。将来、広域・甚大な災害が発生した場合、応急対応が十分に実施されず後発災害の被害が拡大する事態が懸念される。よってソフト面の観点から、先発災害後の効果的な応急対応の実施が課題である。


⑦ これは単なる事例紹介であり、なぜ不十分だったのか、何が構造的なボトルネックなのか、どのような複合災害特性が応急対応を困難にしたのかが一切書かれていないです。つまり、「現象」だけ書いていて、「原因」も「構造」も書いていないですね。

⑧ 複合災害では、応急対応が遅れる理由は構造的に存在します。たとえば、      広域同時被災で人員が分散、  道路寸断で現場に到達できない、     停電で情報が入らない、   データ連携がないため全体像が把握できない、  物流停滞で資機材が届かない、        相互依存性により優先順位が衝突するなど、これらが「応急対応が実施されない構造」です。しかし、これらを一切書かず、“不十分だった”という結果だけを述べています。これでは、技術士論文で書くべき構造的な課題抽出とは言えず、だれでも言える一般論を脱していません。

⑨ 「応急対応がなぜ“ソフト面”なのか」が説明されていないです。応急対応には、人員配置、資機材調達、情報共有、優先順位付け、指揮命令系統、体制構築など、制度・組織・運用の要素が絡みます。しかし、「ソフト面だから応急対応」というラベル貼りだけで、分類の根拠が背景にはないので、ハードの応急対応もあるのに何でソフトなの?となります。

⑩ これは、冒頭の文章を言い換えただけであり、課題抽出になっていないです。課題とは本来、何ができていないのか、なぜできていないのか、どの構造が阻害しているのかを明確にするものです。これでは「応急対応が必要」という一般論を繰り返しているだけです。


(2).最も重要と考える課題と解決策
(2)-1.最も重要と考える課題とその理由
 私は(1)-3に示した「先発災害後の応急対応」の課題が最も重要だと考える。理由は、複合災害の実態は未解明な部分が多いため、ソフト面での解決が人命優先に対して確実で早急な効果を発揮するからである


⑪ この内容は因果関係が成立していないです。「未解明」「ソフト面が良い」「早急に効果が出る」これらは全くつながっていないです。複合災害の実態が未解明なら、本来は、連鎖の発生確率が読めない、どのインフラがどの順番で壊れるか不確実、広域同時被災の規模が読めないという意味であり、研究やデータ整備の必要性につながりますが、ここではなぜか、未解明 → ソフト面が良いと飛躍しています。さらに、ソフト面(応急対応・情報共有・避難誘導など)が「早急に効果を発揮する」と断定していますが、ソフト面がその役割を果たすためには、情報が入手できる、通信が生きている、道路が通行可能、人員が確保できる、指揮命令系統が機能しているといった環境が必要です。しかし、複合災害では、これらが同時に崩壊するのが特徴です。つまり、「ソフト面が早急に効果を発揮する」という主張は、複合災害の本質と矛盾しているように感じます。理由になっていないです。


(2)-2.解決策
1)迅速かつ広範なリスク把握:先発災害発生後、複合災害リスク把握のため、迅速・広範な地形・施設の変状確認を行う。具体的には、発災直後に衛星やヘリコプターを活用した被災の全体像把握、ドローンやカメラ、センサ等による個別箇所の対応を行う。また、リモートセンシングによる堤防等の変状や流下能力変化の確認といった被災状況把握の高度化も図る。これらにより、限りある人員・資機材を優先度に応じて配分し、効率的・効果的な応急対応を実施する


⑫ 「ソフト面」と言いながら、やっていることは完全に“ハード・調査技術”です。「ソフト面の解決策」としては成立しておらず、分類が破綻しています。また、繰り返しになりますが、複合災害のリスクには複数の階層があります。しかし、ここでは、「リスク」という言葉があるだけで、何のリスクを指しているのか不明です。つまり、ここで言いたいのは、おそらくリスクの把握ではなく、応急措置が必要な施設の把握ではありませんか。

⑬ 「個別箇所の対応」とは何か不明です。しかも、冒頭は「全体把握」とあるのに、その途中では「個別対応」に変わっており、論理に一貫性がありません。

⑭ この解答は、変状確認、流下能力の確認など、河川の一部機能に限定されています。これでは、具体的な行動ではなく、例示ですね。また、「高度化」と言いながら、何が高度化されているのか不明です。

⑮ 冒頭の目的は、「複合災害リスク把握」です。しかし、結論は、「効率的・効果的な応急対応を実施する」に変わっています。つまり、目的が途中で“リスク把握 → 効率化”にすり替わっていおり、論理に一貫性がありません。


2)関係者間の連携:リスク把握後の対応を迅速化するため、関係者間の連携を強化する。具体的には、高度な専門性を持つ民間企業、研究機関や学識経験者、自治体間で事前に連携体制を構築する。発災時、協働して地域の安全度評価や応急対応を行う。また、砂防部局による河道閉塞の把握、河川部局による流下能力の算出・安全度評価といった、山地から河口の全体を俯瞰した関係部局の連携を図る。これらにより、後発災害発生までの限られた時間で対策実施を行う


⑯ “関係者間の連携”はあまりにも抽象的で、何をどう改善するのか不明です。また、なぜ迅速化につながるのかが説明されていないので、その仕組みが読み手には理解できません。しかも、ただの単発災害の対応に見えます。複合災害の特徴を踏まえた解決策になっていないです。

⑰ どの専門性?なぜこの3者?どの役割を担う?が一切書かれていない。“高度な専門性”という言葉が上滑りしています。

⑱ これも具体的と言っているのに、「連携体制とは何か」が説明されていないです。共同会議?情報共有プロトコル?データ連携基盤?指揮命令系統?何を指しているのか全く不明です。

⑲ 協働して地域の安全度評価や応急対応を行うと言われても、なぜ協働が必要なのか、協働しないと何が起きるのか、どの部分が協働で改善されるのかが一切書かれていないです。これでは、共感を得ることは難しいです。

⑳ 民間企業・研究機関・学識・自治体→ 連携→ 砂防部局・河川部局の連携となっており、連携対象が途中で変わっています。これは論理構造に一貫性がありません。しかも河川に限定されており、複合災害の視野が狭すぎます(先ほども河川)。これでは、具体的な説明と言えません(例示になっている)。

㉑ これでは、何の具体性も、技術的示唆もないですね。技術士試験では、どの対策を、どの順番で、どの基準で、どの体制で実施するのかを書く必要があります。


3)避難体制強化:複合災害発生リスク切迫時、迅速な避難を促すため、正確で効果的な避難情報発信・共有体制を構築する。具体的には、土石流発生感知装置、水位計、監視カメラ等を活用して、より切迫度が伝わる情報を住民の早期避難に繋げる。また、スマホやアプリによるタイムリーな情報発信を行う。さらに、避難開始の判断基準や対象範囲の考え方をあらかじめ具体化しておき、自治体へ助言を行う。これらにより、複合災害発生時の人的被害を最小化する。


㉒ これも単発災害の避難対応であり、複合災害の特徴を踏まえた解決策になっていないです。そもそも、避難体制は「ソフト」ではありますが、応急対応の枠組みではないですね。課題と解決策がミスマッチです。

㉓ 具体例も同じで、複合災害の特徴を踏まえていないです。複合災害特有の対応を示さないと題意に即していない解答と判断されてしまいます。複合災害の避難では本来、地震で家屋損壊 → 豪雨で避難困難、道路寸断 → 避難経路喪失、停電 → 情報伝達不能、通信障害 → スマホ通知不能、広域同時被災 → 避難所不足、高齢者の避難能力低下 → 避難開始基準を下げる必要など、複合災害特有の構造的問題に対応した解決策を書かないと評価されません。

㉔ 誰が助言を行うのですか。しかも、先発災害の状況把握なしに考え方をあらかじめ具体化できるのかも疑義があります。

㉕ 災害対応なのですから、当然の内容です。これでは、技術士として解答ではなく、ただの一般論です。


(3).リスクと対策
1)生じうるリスク:災害対応や連絡・連携に使用する情報技術が、被災時に通信障害、システム障害で機能せず、被害の発生・拡大を防げないリスクがある
2)リスクへの対策:通信障害に備え、複数のネット回線や衛星通信を用意しておく。また、電源喪失に備え、発電機等の代替電源を用意する。システム障害には、複数サーバーの分散配置と定期的なデータバックアップを実施する。これらにより通信・システムの冗長性、バックアップシステムを確保する。


㉖ これは「解決策を講じた結果として新たに生じるリスク」ではなく、単なる“災害時一般のリスク”です。解決策(応急対応・連携・避難体制強化)を実施した結果として発生する“副作用”を述べる必要があります。


(4).業務遂行に当たり必要となる要件・留意点
1)技術者としての倫理の観点:公益の確保が要件である。関係者の責任を明確にすることに留意して、迅速・確実な応急対応を確立する
2)持続可能性の観点:災害による人的被害の低減が要件である。これを実現するために、SDGsのNo.11の「住み続けられるまちづくり」に留意し、予防的アプローチを重視した業務の推進を図る。


㉗ 「責任を明確にする」と「迅速・確実な応急対応」は因果関係がありません。そもそも、倫理の本質がズレています。倫理綱領の「責任の明確化(越権行為をしないの意)」と、答案の「責任の明確化」では意味が違います。また、これは解決策実行時の注意事項(オペレーション)であって、倫理(行動規範)ではないです。

㉘ 人的被害の低減は安全性、防災、リスク低減の話であり、持続可能性(サステナビリティ)ではありません。人的被害低減=短期的効果、持続可能性=長期的視点この解答は両者を混同していますね。

㉙ SDGs11「住み続けられるまちづくり」は便利ワードとして使われがちですが、引用しただけでは評価されないです。本来は、災害後の生活再建、コミュニティの維持、社会基盤の長寿命化、維持管理体制の持続性、人員不足下での運用継続、データ基盤の継続的更新など、記述の内容に接続した持続可能性の具体的内容を書くと良いでしょう。

㉚ 論文の最後には「以上」を書きましょう。

「複合災害」 チェックバック①

(1)多面的観点からの課題
(1)-1.被災状況把握の高度化(情報の観点)
 先発災害で広域が被災し、職員が道路の寸断等により被災現場に到達できない場合、被災の全容把握や安全度の評価・共有が滞る。その結果、複合災害の発生リスクの高い箇所の応急復旧工事が遅れ、被害の拡大を招くと懸念される。よって情報の観点から、被災エリア全体の変状把握と安全度評価や情報共有を迅速・効率的に実施する被災状況把握の高度化が課題である。


① これは “起こるかもしれない”仮定であり、問題提起としては弱いです。「起こるかもしれない」ではなく複合災害では、必ず起こる構造的問題を書いた方が良いと考えます。さらに、現場に行けない問題は、複合災害特有の問題ではなく、単発災害でも起こりえます。複合災害の本質は、広域同時被災、連鎖的被害、相互依存性による判断の複雑化、人員不足・資機材不足、優先順位の衝突、このような複合災害特有の問題を指摘すべきです。この場合は、広域同時被災、連鎖的被害などに置き換えると題意に即すると思います。

② この表現ですと、単発災害にも当てはまってしまいますので、「後発災害の被害が増幅する」「連鎖的に被害が拡大する」と書いてはどうでしょう。

③ 迅速は背景から読み取れますが、効率化の理由がどこにも書かれていません。効率化を主張するなら、人員不足、広域同時被災、優先順位の衝突、現地確認の遅延などの“効率化が必要となる構造”を書く必要があります。


(1)-2.複合災害の発生確率の評価(技術の観点)
  複合災害は、地震と高潮、火山降灰と豪雨等、様々な発生パターンが考えられる。しかし、現時点では地震と大規模な河道閉塞以外の組み合わせの複合災害については、人的被害や家屋被害に繋がる可能性を評価する手法は十分に確立されていない。よって技術の観点から、複合災害毎に発生確率の定量評価を高度化する研究開発を進めることが課題である。


④ これらの内容は、すべて現状として書かれています。現状を踏まえ、構造的に何が問題で、なぜ問題なのかといった点を示し、問題点を明確化しましょう。

⑤ 評価手法がないだから評価手法を作るでは、同じことの繰り返しです。④のとおり、「なぜ評価手法が必要なのか」「評価手法がないことで何が起きるのか」だから、これが課題といった構造が必要です。また、「評価を高度化する必要性」が背景から読み取れません。背景では「手法がない」だけなのに、課題では高度化する研究となっています。これでは、論理がつながっておらず、飛躍した結論になっています。しかも、研究を進めるは技術士の実務と離れており、研究機関に丸投げしているようにも見えます。


(1)-3.連携体制の構築(体制の観点)
 複合災害では、地域や地理的区分を超えて連鎖的に被害が拡大する。しかし、従来の縦割りの防災体制では、担当区域外の影響を考慮したスクリーニングが十分にできない。その結果、限りある人員・資機材の効果的に配置できないことが懸念される。よって体制の観点から、地方公共団体や関係部局の垣根を越えた広域的な連携体制の構築が課題である。


⑥ 地域や地理的区分を超えることと、縦割りがミスマッチです。前者は自治体間・広域ブロック間の空間的な区分の話、後者は一つの自治体や一つの省庁の中の部局間(河川・砂防・道路・下水・危機管理など)の縦割りの話です。ここを同一文脈でつないでいるので、「空間スケール」と「組織構造」がごちゃ混ぜになっていますね。

⑦ この懸念点なら、縦割りの話が言いたいことですかね。そうであるなら、本来は「分野横断・部局横断で、影響評価と優先順位付けを統合できる意思決定体制」の話に落とす方が自然です。しかし、結論は、広域的な連携体制の構築となっており、空間スケールの話に飛んでしまっています。ノイズとなっている広域連携を外して、分野横断に絞って説明してょうが良いでしょう(もちろん逆でも可)。


(2).最も重要と考える課題と解決策
(2)-1.最も重要と考える課題とその理由
 私は(1)-1の課題が最も重要だと考える。理由は、後発災害が迫る短い時間と限られた人員の下では、状況把握が適格なリソースの投入を可能にし、被害の連鎖拡大防止に最も直結するからである。


⑧ これは解決策の効果を述べているだけで、なぜ他の課題より優先すべきなのか、なぜ最重要なのか、なぜ複合災害ではこれが“最初に崩れると致命的”なのかという “相対的な重要性の根拠” が書かれていないです。「被害の連鎖拡大防止に直結する」といっていますが、課題3(連携体制)も連鎖拡大防止に直結すると思います。どちらがより効果があるのか判然としない中、「最も」と言われても、その根拠がない以上それは主観にすぎません。


(2)-2.解決策
1)変状把握手法の高度化:デジタル技術を活用して被災エリア全体の変状を迅速かつ遠隔で把握する。具体的には、全天候型のSAR衛星解析やドローンの3次元モデル生成、航空レーザー測量を活用する。国は技術手引き等で地方自治体での導入を支援する。これにより、災害担当職員が現場に到達できない初動期においても、精度の高い被災実態の把握を可能にする。


⑨ これらは単なるキーワードであり、“どう使うのか” “何が改善されるのか” “どの構造的問題を解決するのか”が書かれていません。これでは、どう高度化されているのか全く分かりません。キーワードに頼るのではなく、論理的な説明が求められます。

⑩ 国が支援するは、冒頭の解決策の具体例ではありません。

⑪ どうして精度の高い被災実態の把握が可能になるのか説明もないまま結論だけが書いてあります。結論だけが唐突に置かれており、論理的説明になっていないです。


2)安全度評価の迅速化:デジタル空間で被災状況を評価し、複合災害発生リスクを判定する。具体的には、PLATEAUと変状データを統合し複合災害の発生確率や影響の程度を評価する交付金や補助金制度を通じて、自治体での導入を支援する。これにより、複合災害の複雑な安全度評価を迅速化する


⑫ デジタル空間で被災状況を評価とありますが、なぜデジタル空間なのですか。しかも、現場に行けないことが課題の背景ですよ。情報もないのにデジタル空間にどう表現するのですか。

⑬ これも基本的に⑫と同じなのですが、評価の高度化が課題ではなく、現状把握するための行動が解決策ですよ。これは、情報を入手したあとの行動です。

⑭ 補助金は誰が出すのか、なぜ補助金の話を突然するのか、脈絡がありません。しかも、問題には予算に限りがあると言われているのですから、補助金という手段に頼るのは危険です。

⑮ どうして迅速化されるのか説明していないのに、迅速化すると言われても理解できません。


3)情報共有基盤整備:被災状況や安全度情報を一元化し、関係機関がリアルタイムで意思決定に活用できる情報共有基盤を整備する 。具体的には、国土交通データプラットフォームを活用し、API連携で多種多様な被災情報を集約する産学官連携のSIPやガイドライン整備により社会実装を促す。これにより、関係者間のシームレスな情報共有を実現する。


⑯ これも被災情報の把握という行動ではありません。情報を集めた後の話です。被災状況を把握できないことが問題なんですよね。しかし、「情報共有基盤整備」は、           情報を取得した後にどう共有するかという“後工程”の話です。課題と解決策のフェーズが一致していません。

⑰ API連携とは、既に存在するデータを別のシステムに自動で流し込む仕組みです。データが存在しない状況(=現場に行けない)では何もできません。つまり、データがないのにAPIで集約するという論理は成立しません。

⑱ なんで産官学なのですか。何を実装するのでしょう。情報基盤は国のプラットフォームを使うのでは?

⑲ 「関係者間」が曖昧で、誰と誰なのか不明です。


(3).リスクと対策
1)生じうるリスク:被災状況の把握を高度化させるためには、デジタル技術がその核となる。しかし、これらの技術への依存を深めると、災害時における停電・通信障害の影響がより深刻化し、技術そのものが複合災害の発生要因の一つとなるリスクがある
2)リスクへの対策:通信障害に備え、複数のネット回線や衛星通信を用意しておく。また、電源喪失に備え、発電機等の代替電源を用意する。システム障害には、複数サーバーの分散配置と定期的なデータバックアップを実施する。これらにより通信・システムの冗長性、バックアップシステムを確保する。


⑳ これでは、「解決策の副作用」ではなく「解決策そのものの否定」になっています。デジタル技術を使うと危険であ、デジタル技術が複合災害を悪化させるといっているのと同じです。つまり、自分で提示した解決策を自分で否定しているように見えます。複合災害の発生要因は、先発災害による脆弱化、相互依存性の破綻、広域同時被災、連鎖的被害であり、デジタル技術が災害を発生させることはありません。よって、深刻化することはあっても、発生要因になることはありません。


(4).業務遂行に当たり必要となる要件・留意点
1)技術者としての倫理の観点:公益の確保が要件である。複合災害の発生リスクの高まった状況においては、最悪のシナリオを想定した安全側の判断を行う。また、中立の立場からの評価を行うとともに、判断基準についてのリスクコミュニケーションや丁寧な説明を行う
2)持続可能性の観点:現世代の利益のために、将来世代に負の遺産を残さないという視点が必要である。被災状況把握の高度化において、環境負荷や維持コスト等も総合的に考慮し、システムを最適化することが責務である。 以上。


㉑ これらは行動であり、要件でも留意点でもありません。「要件」「留意点」は、判断の基準、行動の前提、守るべき原則、価値判断の軸であり、具体的行動を書く場所ではありません。「要件」「留意点」に当てはまるように表現しましょう。

㉒ 聞かれていることは要件です。視点ではありません。

㉓ 責務も聞かれていません。「・・・が要件である」「・・・に留意する」といった具合に、問いに対して的確に回答しましょう。また、時速可能性も倫理と同様に、業務手順を書いているように見えます。視点は間違っていないので、表現を注意すれば良いと思います。

タイトルとURLをコピーしました