改訂コンピテンシーに備えよ
【 技術士 二次試験対策 】
口頭試験=コンピテンシーの確認
技術士第二次試験の筆記試験を突破された皆様、本当におめでとうございます。しかし、あえて厳しいことを申し上げます。
筆記試験合格はゴールではありません。口頭試験への入場券を手にしたに過ぎません。
毎年、多くの受験者が口頭試験を軽視します。
「論文は自分で書いたから大丈夫だろう」
「業務経験なら話せる」
「聞かれたことに答えればいい」
その結果、本来合格できる実力を持ちながら、不合格となるケースが少なくありません。
口頭試験は雑談ではありません。審査官はあなたの人格を見ているのではなく、
「技術士に求められるコンピテンシーを備えているか」
を確認しています。
そして令和8年度試験からは、そのコンピテンシー自体が改訂されています。日本技術士会は、文部科学省科学技術・学術審議会技術士分科会による改訂を踏まえ、令和8年度技術士第二次試験から改訂版コンピテンシーを適用するとしています。
改訂コンピテンシーに関する資料はコチラ(文科省のHP:「参考3 技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)改訂への対応について」を参照 )

つまり、
「去年の口頭試験対策」をそのまま流用することは危険です。
本記事では、令和8年度版コンピテンシーの変更点を踏まえながら、口頭試験対策の核心であるQ&A作成について徹底的に解説します。
口頭試験は「Q&Aの質」でほぼ決まる
まず結論です。
口頭試験対策とは、
Q&A作成そのものではありません。
Q&Aの推敲です。
多くの受験者が勘違いしています。100問作る人がいます。200問作る人もいます。ですが、
量産されたQ&Aに価値はありません。価値があるのは、
・質問の意図を理解しているか
・コンピテンシーを表現できているか
・論理に矛盾がないか
・深掘り質問に耐えられるか です。
たとえば、「なぜその解決策を選択したのですか?」という質問。多くの受験者は、「コスト面を考慮したためです」と答えます。
しかし、これでは不十分です。審査官が見たいのは、
問題解決能力
利害関係者調整
リスク評価
技術者倫理
などです。
つまり、単なる説明ではなく、コンピテンシーの証明が必要なのです。
令和8年度で何が変わるのか
今回の改訂で特に注目すべきポイントがあります。
① データ・情報技術の活用
問題解決の項目において、
必要に応じてデータ・情報技術を活用して定義し、調査し、分析すること
が追加されました。これは非常に重要です。
これまでなら、「現地調査を行った」だけで通用した話が、今後は
「どのデータを取得したのか」
「どのように分析したのか」
まで問われる可能性があります。DX時代の技術士としての視点が求められています。
② ステークホルダーの意見
問題解決の項目には、
多角的な視点を考慮し、ステークホルダーの意見を取り入れながら
という文言が追加されました。これは非常に大きな変更です。かつての技術士像は、「優秀な技術者」でした。
しかし現在は、「関係者を巻き込みながら合意形成できる技術者」が求められています。口頭試験でも、
地域住民
利用者
行政
事業者
などとの調整経験が問われる可能性が高まります。
③ 包摂的なコミュニケーション
コミュニケーションの項目では、
情報技術を活用し、明確かつ包摂的な意思疎通を図り、協働すること
に変更されました。単に説明できるだけでは足りません。相手の立場を理解しながら、関係者全員が参加できる形で進めることが求められています。
④ 技術者倫理の変化
技術者倫理では、従来の「社会、文化及び環境」から、「社会、経済及び環境」へ変更されました。
また、「社会の持続性の確保」から、「持続可能な成果の達成」へ表現が改められています。これは、
技術者が単に環境配慮を考えるだけでなく、経済性との両立を図りながら持続可能な成果を実現することが求められていることを示しています。
⑤ 継続研さんの位置付け
継続研さんについても、単にCPDを行うだけではなく、
コンピテンシーを維持・向上させ、新しい技術とともに変化し続ける仕事の性質へ適応する能力を高めること
へ変更されました。
今後は、何時間CPDを受講したかではなく、どのような能力向上につながったのかが問われる時代になります。
Q&A作成の基本原則
口頭試験で失敗する人には共通点があります。それは、質問に答えているだけ。ということです。
一方、合格する人は違います。どんな質問が来ても、コンピテンシーを語っています。
例えば、
Q. 業務において苦労した点は何ですか。
悪い回答
「住民説明会で反対意見が多く苦労しました。」
良い回答
「住民説明会では景観や騒音への懸念がありました。そこで資料を工夫し、複数回の対話を実施しました。また関係者の意見を整理し、事業への反映可能性を検討しました。その結果、理解促進と合意形成につながりました。」
この回答には、
・ステークホルダー対応
・コミュニケーション
・問題解決
・リーダーシップ
が含まれています。
つまり、一つの回答で複数のコンピテンシーを表現しているのです。
推敲こそが最大の差になる
Q&Aは初稿では使い物になりません。ほぼ例外なく、
・主語が曖昧
・論理飛躍
・コンピテンシー不足
・成果不足
・定量性不足
があります。
そのため、最低でも3回、できれば5回以上推敲してください。
推敲では次の観点を確認します。
① なぜそう考えたのか
② 他案と比較したのか
③ 利害関係者を考慮したか
④ リスクを評価したか
⑤ 成果を測定したか⑥ 次へ活かしたか
この確認だけでも回答品質は大きく向上します。
口頭試験対策で最も危険なこと
それは、模範解答の暗記です。審査官は毎年数百人を相手にしています。暗記回答はすぐ分かります。むしろ危険です。
想定外の質問が来た瞬間に崩壊します。重要なのは、回答を覚えることではありません。
自分の経験をコンピテンシーの言葉で説明できるようになることです。
ここに口頭試験対策の本質があります。
口頭試験は技術士としての未来を語る場
誤解されがちですが、口頭試験は過去の業務説明会ではありません。審査官が見ているのは、「この人を技術士として社会に送り出してよいか」です。
そのため、
課題発見
問題解決
倫理
継続研さん
リーダーシップ
などが問われます。
つまり、これまで何をやったかだけではなく、これからどう成長するかまで見られているのです。
油断禁物
筆記試験を突破した今、皆様は合格に最も近い位置にいます。しかし、ここで油断した人から落ちていきます。
口頭試験は短時間です。だからこそ、Q&Aの完成度がすべてです。そして、完成度を決めるのは作成量ではありません。推敲量です。
一問一答の裏側に、
論理性はあるか。
コンピテンシーは表現できているか。
深掘りに耐えられるか。
令和8年度からはコンピテンシー改訂も始まります。データ・情報技術の活用、ステークホルダーとの協働、包摂的なコミュニケーションなど、新しい観点を意識したQ&Aづくりが欠かせません。
もし今、
「Q&Aは作ったが自信がない」
「コンピテンシーが表現できているか分からない」
「深掘り質問に耐えられるか不安」
という方がおられるなら、一度第三者の視点を入れてみることをおすすめします。特に技術士試験を熟知した視点からの添削では、単なる日本語修正ではなく、
「なぜこの回答で評価されるのか」
「どのコンピテンシーが不足しているのか」
「どこを深掘りされるのか」
まで見えてきます。実際、口頭試験ではQ&A作成よりも、添削と推敲の質が結果を左右することが少なくありません。
本サイトでもQ&Aの推敲をお手伝いしております。少しでも不安のある方は、サービス活用をご検討ください。きめ細やかな指摘とソリューションをお届けしています。

※販売サイト(BASE)はコチラ(画像をクリックしても移動できます)
せっかく勝ち取った筆記試験合格です。最後の数週間を、なんとなく過ごすのか。それとも、一問一答を磨き抜いて万全の状態で本番に臨むのか。
その差が、合格発表の日に大きな違いとなって現れるはずです。技術士まで、あと一歩です。どうか最後まで走り抜いてください。

