― 令和9年度試験で問われる水害対策の本質 ―
【 技術士 二次試験対策 】
令和9年度 技術士 試験は水害対策
近年、都市部を中心に「想定外の豪雨」による水害が急増しています。 令和8年8月の千葉豪雨では、アンダーパスが短時間で冠水し、車両の水没・人的被害が発生しました。
国土交通省はこの事態を重く受け止め、「アンダーパスにおける冠水事故防止に向けたガイドライン」を策定し、全国の道路管理者に対策強化を求めています(ガイドラインはコチラ)。
添付されたガイドラインには、技術士試験(必須科目・選択科目Ⅱ-2・選択科目Ⅲ)で問われる 「課題の構造化」「リスク評価」「対策の体系化」「フェールセーフ設計」 がすべて含まれています。
本記事では、ガイドラインの要点を整理しつつ、技術士試験での記述に使える論点を体系的にまとめます。
都市型水害の深刻化とアンダーパス冠水の特徴
都市型水害は、従来の河川氾濫とは異なり、短時間豪雨による内水氾濫が主因です。 アンダーパスは周辺地盤より低い位置にあるため、以下の構造的弱点を持ちます。
- 周辺道路から雨水が集中しやすい
- 排水ポンプの能力を超える流入が短時間で発生
- 停電・設備故障時に冠水が急激に進行
- 夜間・豪雨時は視認性が低く、車両が冠水に気づきにくい
添付文書にも次のような記述があります。
「アンダーパスは周辺の道路より低い位置に設けられていることから、周辺から雨水が集中しやすく、短時間で水位が急激に上昇するおそれがある。」 (添付PDFより)
この構造的弱点が、都市型水害の激甚化と重なり、近年の事故増加につながっています。
国交省ガイドラインの核心:多重防御とフェールセーフ
ガイドラインの最重要ポイントは、排水設備だけに依存しない多重防御です。
添付文書には次のように記されています。
「排水設備等による冠水防止のみに依存するのではなく、予防的な事前通行規制、冠水時の速やかな通行規制及び車両進入防止対策を組み合わせた多重防御により安全を確保することを基本とする。」 (添付PDFより)
つまり、技術士試験で問われるべきは 「設備 × 運用 × 情報 × 進入防止」の総合設計 です。
さらに、ガイドラインはフェールセーフを明確に要求しています。
「停電や設備故障、通信障害等により排水設備、車両進入防止設備の一部が正常に機能しない場合においても、安全側に移行できるようフェールセーフの考え方に基づき対策を講じる。」 (添付PDFより)
技術士試験の解決策記述では、この「フェールセーフ」を軸に論理を組み立てると評価が高くなります。
アンダーパスの冠水リスク分類(4区分)
ガイドラインでは、全国のアンダーパスを以下の4区分に分類し、区分ごとに対策レベルを変える方式を採用しています。
| 区分 | 特徴 | 対応 |
|---|---|---|
| ① 特に高い冠水リスク | 人的・物的被害あり、幹線道路で冠水履歴あり | 予防的な事前通行規制(物理的) |
| ② 高い冠水リスク | 幹線道路以外で冠水履歴あり | 冠水発生時に警告表示+物理的規制 |
| ③ 一定の冠水リスク | 内水浸水想定区域など | 冠水発生時に警告表示+物理的規制 |
| ④ 注意喚起・監視等リスク | 内水浸水想定区域外など | 警告表示による情報発信 |
この区分は、技術士試験の「課題の整理」で非常に使いやすい構成になっています。
予防的な事前通行規制 ― 都市型水害対策の最大の進化点
ガイドラインの最大の特徴は、冠水してから規制するのではなく、冠水前に規制するという発想です。
添付文書には次のようにあります。
「冠水のおそれが高まった段階で、予防的に事前通行規制を実施することを基本とする。」 (添付PDFより)
規制の発動条件
予防的規制は以下の条件で発動します。
- 警戒レベル4相当の防災気象情報(大雨危険警報等)
- 設定した時間雨量基準に達した場合(予測含む)
特に人的被害が発生した箇所は、警戒レベル4が出た時点で規制するという強い措置が求められています。
時間雨量基準の設定方法
技術士試験の「対策の具体化」で使える重要ポイントです。
基準設定には以下を考慮します。
- アンダーパスへの流入量
- 集水面積
- 排水ポンプ能力
- 下水道・水路の整備状況
- 過去の冠水実績
- 周辺地形・流域条件
この構造化は、技術士試験での「評価項目の提示」として非常に有効です。
車両進入防止対策 ― 多重防御の具体化
ガイドラインは、車両進入防止を「進入防止」「注意喚起」「監視」の三層で構成しています。
進入防止設備
区分①では、遠隔遮断機(自動含む)の設置が基本方針です。
添付文書より:
「予防的な事前通行規制を導入するアンダーパスについては、遠隔遮断機(自動含む)を設置することを基本的な考え方として考慮する。」 (添付PDFより)
その他の区分では、手動遮断機やバリケードで対応します。
注意喚起設備
- 道路情報板
- 赤色灯(水位センサと連動)
- 注意喚起看板
- 路面・側壁標示(100cmなどの水深表示)
夜間や豪雨時の視認性確保も重要です。
監視設備
- 水位検出器(水位センサ)
- 監視カメラ(CCTV)
- 雨量計
設備異常時のフェールセーフ運用も求められています。
排水機能の確保 ― 設備依存からの脱却
ガイドラインは排水設備の重要性を認めつつ、設備依存の危険性を強調しています。
添付文書より:
「排水設備等が正常に機能することのみに依存することなく、停電、設備故障その他の異常が発生した場合においても、通行規制等により安全を確保する。」 (添付PDFより)
技術士試験では、以下の論点が有効です。
- 非常用電源の確保
- ポンプの二重化
- 排水先の河川・下水道の能力向上
- 設備点検の強化
- 停電時の手動対応手順の整備
技術士 試験で使える論点整理
課題の構造化
課題設定で、もう迷う必要ありません。
- 都市型水害の激甚化
- アンダーパスの構造的弱点
- 排水設備依存の限界
- 夜間・豪雨時の視認性低下
- 車両進入による人的被害の重大性
- 情報伝達の遅れ
- 運用体制の不備
対策の提案
ガイドラインの「多重防御」をそのまま使えます。
- 予防的な事前通行規制
- 時間雨量基準の設定
- 遠隔遮断機の設置
- 水位センサ・赤色灯の連動
- 注意喚起標示の強化
- 監視カメラによる状況把握
- 地域住民・沿道施設との協力体制
- フェールセーフ運用の構築
解決策の体系化
- 設備(排水・遮断機・センサ)
- 運用(規制判断・準備・解除)
- 情報(気象情報・SNS・道路情報板)
- 体制(警察・自治体・地域住民)
この4要素で体系化すると、技術士試験の採点基準に合致します。
技術士 試験で問われるのは「総合的なリスク管理」
アンダーパス冠水事故は、単なる排水設備の問題ではありません。 「設備 × 運用 × 情報 × 進入防止 × フェールセーフ」 を統合した総合的なリスク管理が求められます。
国交省ガイドラインは、技術士試験の模範解答ともいえる構造を持っています。 令和9年度試験では、水害対策は確実に出題されるため、今回の内容を軸に記述力を高めていくことが重要です。

