添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
添削依頼増加中
最近、投稿論文が増加傾向にあり、大変うれしく思っています。口頭試験も佳境に入っており、令和5年度の受験も収束しつつあります。そのような中、令和6年度受験が本格化している表れだと思います。
現地点から取り組めば、あらゆる面で有利に働きます。私は、4月ごろから勉強を始めたので、ほぼ毎日、土日はだいたい勉強時間にあてるなど、余裕がありませんでした。余裕がないと、焦りにつながり雑な論文を作成してしまうといった現象が発生します。
技術士試験では、どれだけ質の高い論文を用意できるかがカギになります。時間をかけて国の施策を調べながら、論文を作成できます。このプロセスは、技術的な能力の向上に直結します。また、論文の推敲にかける時間もありますので、論文作成能力も高まります。
建設業の人材確保
投稿いただいた論文でも、人材不足を問題点として様々な取り組みが記述されています。このように、建設業の人材不足が深刻さを増すとともに、来年は2024問題が発生します。
このような状況から、厚生労働省と国土交通省が建設業の人材確保・育成に向けた取組を進めていく旨が12月25日に発表されています(報道発表はコチラ)。担い手の処遇改善、働き方改革、生産性向上を一体として進めていくことが示されました。
時事問題を背景に、令和6年度の出題として有力な候補と言えます。上記の3つの取り組みを課題とし、書きやすいトピックを選んで解決策を作成しましょう。もう、どんな論文にすれば良いかイメージできましたよね。
それでは、投稿論文を見てみましょう。
論文
課題
1)以下に課題とその内容を記す。①
①維持管理の観点から予防保全への本格的な転換をいかに進めるか②
③損傷が確認されてから行う事後保全では機能低下だけではなく、コストも過大になる。損傷が酷くなり鵜前に④メンテナンスを行う本格的な⑤予防保全への転換をいかに進めるかが必要である⑥
① 見出しとして記載する場合、文ではなく、「多面的な観点と課題」のように名詞化(体言止め)とした方が良いと思います。また、他の大見出しの付番はカッコ書きになっているので、(1)となります。
② 小見出しに下線を引くことは、見やすくなるので良いと思います。課題だけでなく、他の小見出しも、同様に下線を引きましょう。また、小見出しは(タイトル)は、なるべく1行に収まるように内容を端的にしましょう。よって、観点は本文中に記載し、「予防保全の転換」、「いかに予防保全の転換を進めるか」などが良いと思います。さらに、「維持管理の観点」としていますが、維持管理は題意ですので、観点としてふさわしくありません。文中では、コストを問題視しているので、「コスト面」の観点となりますが、観点が(2)と重複しています。どちらかの視点を変えるべきでしょう。
③ 文頭は、1マス空けましょう。
④ →「酷くなる前に」
⑤ 本格的という表現が抽象的で、どのような行動なのか分かりません。
⑥ 句点がありません。予防保全への転換とあるので、背景(前段)ではコストを問題視するのではなく、現状、事後保全が中心となっていることを述べるべきです(背景と結論がミスマッチ)。さらに、文末を「必要である」と表現していますが、ここは課題を書くパートです。何が課題なのか読み手にしっかりと伝えるため、文末は「課題である」としましょう。
②コスト縮減の観点⑦からメンテナンスサイクルの推進をいかに進めるか。
点検・診断・措置・記録といったメンテナンスサイクルを進める必要があるが、点検診断に多くの人の手がかかっており、省人化、効率化する必要がある。⑧
⑦ コスト縮減の観点としながら、コストの話が背景で触れられていません。内容からするに観点は、「人材面」ではないでしょうか。
⑧ 一文が長いです。課題パートでは、背景→観点→課題の順で書きます。構成は、前段に背景、後段に結論(これが結論と分かりやすく伝えるために、「よって」、「したがって」といった接続詞を用いると良いです)として観点と課題を記述すると良いでしょう。よって、最低でも2つの段落が必要と考えます。このケースですと何が背景で、何が課題なのか分かりにくいです。
③人材面の観点⑨からいかにアセットマネジメントを進めるか
インフラ施設の数が多いため、技術系の職員が少ない市町村では全てに対応することができない⑩。優先順位をつけて対応するアセットマネジメントを行う必要がある。
⑨ 背景は人手不足を書いていますが、課題はアセットマネジメント(AM)です。AMとは、「インフラを資産(アセット)として捉え、その情報をシステマティックに管理・活用してその価値を最大化する組織的活動」です。つまり、AMの目的は、資産価値の最大化です。問題と手段がちょっとずれています。よって、観点は「仕組み面」ですかね。
⑩ 背景は、⑨のとおりLCCの徹底や、優先順位をつけて取り組む必要性などを記載してはどうでしょうか。
解決策
(2)①を最も重要と考える課題として取り上げ以下に解決策を述べる。⑪
⑪ 選んだ理由があると良いと思います。
①インフラの集約・再編⑫
市町村合併により同種・類似のインフラ施設が存在する。地域の実情を鑑みて廃止を含めた集約・再編を行う。維持管理を行うインフラの絶対数の削減を図る⑬。なお廃止の際は地元説明会を開催するなどして合意形成を図る。
⑫ 課題は予防保全の促進です。集約・再編がなぜ予防保全につながるのか良く分かりません。点検対象が少なくなるから、予防に手が回るということですかね。いずれにせよ、関係性を説明すべきです。
⑬ 解決策なので、集約・再編及び削減を進めるための方法を書くべきです。例えば、公共施設総合管理計画、立地適正化計画などの策定が考えられます。これらの計画の特徴を示しつつ、効果なども書くと良いでしょう。
②新技術による維持管理の高度化・効率化
インフラの点検調査に多くの人力がかかっている。橋梁の近接目視からドローンによる調査にするなど点検調査にロボット等を導入し省人化を図る⑭。また大量の点検データ全てを人が判断・解析するのではなく、AIを導入し人の判断の支援を行うなどして効率化を図る⑭。
⑭ 課題は予防保全の促進です。解決策の目的が、省人化や効率化になっています(論点ズレ)。例えば、予防保全を進めるためには、日常点検が重要といった主張とし、そのための手法として、ドローンやAIを説明してはどうでしょうか。また、解決策は、やることを書くので、文末は「導入する。」、「支援をする。」といった具合に行動で終わりにしましょう。
③既存ストックの更新・機能向上
既存ストックの更新の際には、耐久性の高い部材に変更するなど施設の機能向上を図り⑮、長寿命化を推進する。
⑮ 耐久性が増しても、機能自体は変わっていないと思います。
新たに生じうるリスク
(3)上記のすべての解決策を実行しても新たに生じるリリスク⑯とその対応をいか⑰に述べる
①新たに生じるリスク
・人材の確保
新技術を導入しても維持管理に関する技術者が不足に陥るリスクがある⑱。
・財源の確保
今後膨大な数のインフラを維持管理するためにはコストが増大になるリスクがある⑲。②それぞれのリスクに対する対応
人材の確保
→建設業全体で研修会を実施し、維持管理に関する技術者の確保を図る⑳
・財源の確保
PPPやPFIを導入し、民間活力を活用㉑しコスト縮減を図る
⑯ →「リスク」
⑰ →「以下」
⑱ 提案した解決策は、効果がないといっているようなものです。さらに、新たに生じる問題になっていません。新たなという部分を充足するためには、例えば「新技術に対応できる技術者がいない」、「AIまかせになって技術力が低下」などが挙げられます。
⑲ これも、最初から存在しているリスクであり、新たに生じる問題になっていません。
⑳ 建設業界全体が人手不足の現状を踏まえると、この提案が解決になるのか疑義があります。
㉑ もう少し具体的に示した方が、技術力評価につながると思います(コンセッション、P-PFI、包括的民間委託など)。
要点・留意点
(4)㉒業務には常に社会全体における公益確保の観点で取り組む。構築しれ㉓終わりではなく、安全・安心な社会資本ストックを維持し続けていくという観点をもつ。
全世界において持続可能な社会の実現が求められているという観点㉔に留意する。
業務のすべての段階でこれらを意識することに留意する。以上
㉒ タイトルがありません。
㉓ →「して」
㉔ この観点は、問題に書いてある事柄です。
※ 合格するための前提として、解答用紙は全部埋めましょう