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技術士 二次試験対策 建設部門 令和5年度選択科目Ⅲ 「空き家」チェックバック

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【 技術士 二次試験対策 】

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骨子の必要性

論文は、書き始める前に骨子を作成することをお勧めしています。骨子を頭の中で整理してしまうと、論点ズレのリスクが高まります。論文の構成を簡単にまとめる骨子は、様々なメリットがあります。

技術士 二次試験対策 骨子ひな型

メリット①:どこからでも書ける
何を書こうかなと逡巡した場合、アイデアが浮かび上がるのは最初の課題とは限りません。解決策がいっぱい思いつくのであれば、それを列記すればOKです。あるいは、書きにくい観点から考えるというのもアリです。書きやすいところ、苦手なところから埋めていくなど自由です。

メリット②:論点整理がしやすい
骨子は、問題を読んですぐに全体の構成を考えますから、論点の整理がしやすいです。骨子を作った後に題意を確認して、自分の言いたいことと聞かれていることがマッチしているか簡単にチェックできます。また、題意に沿っていない場合、論文と違ってすぐに直すことができます。

メリット③:文章の流れが一目瞭然になる
これは、メリット②と類似しています。骨子は端的にまとめられるため、表現に不整合がないか、課題と解決策がマッチしているか、重複がないかなどが簡単にチェックできます。

骨子の作り方

骨子の作り方は、人それぞれあると思います。私が好きな方法は、メリット①でも書きましたが、「解決策から考える」です。解決策は、技術力を示しやすく、合否を分ける特に重要な部分と言えます。このため、まずは思いつくまま解決策を書いていきます。

いくつか解決策が出てくれば、グルーピングします。そのグループの特徴・共通点が観点や課題になります。たくさんの解決策が思いつかなければ、国の資料や白書からキーワードを抜粋してきましょう。作業に夢中になると題意を忘れ、ドンドンずれていく可能性がありますので、この時に一度、問題を確認すると良いでしょう。

あとは、残り2つの課題を考えます。課題を考えるときは、他の課題と重複していないか、観点との関係性はおかしくないかチェックします。練習論文では完成を急がずに、課題と解決策の関係、観点と課題の関係など不自然さがないか良く見てください。

注意しなければいけないのは、「観点」です。観点は、書きすぎると解決策になってしまいますので、単語一つにする、○○面といった表現を採用するなど、立場や見方にとどまっているか(解決策になっていないか)必ず確認しましょう。

繰り返しになりますが、骨子は簡単に方向転換できるので、ここでしっかり考えてから、論文に着手しましょう。

論文

今回投稿いただいた論文は、以前投稿いただいた令和5年度建設部門都市及び地方計画の選択科目Ⅲ「空き家」のチェックバックになります。早速論文を見てみましょう。

課題

1 多面的な観点とその課題
(1)低未利用土地解消のためにいかに行政から住民へ働きかけを図るか
 地域の魅力を低下させる空き家や空き地などの低未利用土地の発生は、地権者の利用動機の乏しさに起因する。特に都市機能誘導区域内の中心市街地の低未利用土地は、行政から地権者をはじめとする地域住民へのより能動的な情報提供、働きかけが必要である。よって利活用の観点から、いかに行政から、住民へ働きかけを図るかが課題である。


① 文章が長いです。これは、修飾語が必要以上にあるからだと思います。言いたいことは、「都市機能誘導区域では、行政の情報提供が必要だ」とシンプルですので、分かりやすさに力点を置いた表現とすべきです。また、都市機能誘導区域で特に重要としている理由を説明しましょう。さらに、前段の記述では、利用動機の乏しさを問題点としており、これを解消するための行動として行政の情報提供となっています。情報提供がなぜ活用したいという動機につながるのか良く分かりません。

② 利活用の観点では、すべての課題に該当してしまいます。

③ この課題は、以下に示されている解決策とマッチしていないですね。観点や課題設定を見直しましょう。


(2)空き家を発生させないためにいかに所有者からの情報収集・利用希望者への情報提供を行うか 
 空き家の発生は、新たな所有者が適切な管理の方法や除却に係る情報を容易に入手し、相談できる環境が少ないためでもある。特に中心市街地内の空き家の発生は、地域の魅力の低下と合わせ、一定の人口密度に支えられる集約型都市構造の推進に対して障害となる
 よって情報把握の観点から不動産情報を一括管理するプラットフォームで、空き地・空き家となる前にいかに所有者からの情報収集及び利用希望者への情報提供を行うかが課題である


④ タイトルが長すぎます((1)も同様)。タイトル(小見出し)は、端的に内容を伝えるものです。他のタイトルと表現を合わせて「いかに○○するか」の形にすべきと考えます。よって、「いかに情報の収取・提供を行うか」になります。また、行動の主体に違いはありますが、情報提供という行動は(1)と同じです。多面性に疑義があります。

⑤ 主語述語がおかしいですね。「空き家の発生は、・・・環境が少ないためでもある。」となっています。文末は、(1)と同様に、「起因する」、「原因である」等になります。また、「も」は不要です。

⑥ シンプルな表現にすると良いと思います。→「集約型都市構造の推進に障害となる」

⑦ 情報把握は解決策になっていますね。観点とはい言えないと思います。また、課題も情報収集とありますので、観点と課題が同じになっています。

⑧ ⑦でも書きましたが、(1)と同じ課題です。ここでは、前半のプラットフォームに着目して、「体制面の観点から、空き家等の情報収集・提供を行うプラットフォームの構築が課題である」とした方がよいですね。


(3)いかに特定空き家を未然に防止するか
 空き家の放置が進むと、管理が不十分な状態から周囲に悪影響を及ぼし、倒壊の恐れのある特定空き家となる。特定空き家となってからの対応では、除却費用の確保や所有者との調整に時間を要し、環境悪化が続く状態となる。よって適切管理の確保の観点からいかに特定空き家を未然に防止するかが課題である。


⑨ 周囲への悪影響と倒壊の恐れは、並列表現にしましょう。また、悪影響を具体的に書くべきです。→「空き家の放置が進み管理が不十分になると、衛生環境や都市景観への悪影響や、倒壊の危険性などを有する特定空き家となる。」

⑩ 特定空き家であることが、除却費の確保や調整が難しくなる直接の原因ですか。特定空き家でなくても、内在している問題点ではありませんか。また、特定空き家に指定されることで、行政が介入できるので、空き家の除却や改善は主張とは逆に進むのではありませんか。

⑪ これも観点ではなく、解決策になっています。

⑫ 読点がなく、読みづらいです。⑩の通り、課題設定を再検討しましょう。まずは、論文を書き始める前に、国の施策を理解したうえで骨子を作成し、文章構成や相互の関連性などをチェックすることをお勧めします。


2.最も重要な課題
 地方都市の中心市街地における空き家等の低未利用地土地の解消は、地域の維持活性につながる可能性があるため(1)の「低未利用土地解消のためにいかに行政から住民へ働きかけを図るか」を最も重要な課題に選定し、以下に解決策を述べる。


⑬ この理由は、題意そのものであり、選択の理由になっていません。理由は、3つの課題の相対評価であるべきです。


3.解決策
(1)低未利用土地権利設定等促進計画
 空き家等の低未利用地は、地権者の利用動機が乏しく、また、小さく散在するため使い勝手が悪い。そのため、民間主体では利活用が進まない。よって「低未利用土地権利設定等促進計画制度」により、行政から地権者をはじめとする地域住民へのより能動的な情報提供、働きかけを行い、地方公共団体が一括して低未利用地の利用権を設定する複数の低未利用地を集約し、交流空間等に活用する


⑭ 制度の説明がなく、制度活用の目的、手順等がバラバラです。順序立てて説明しないと読み手は理解できません。目的、手順、具体例の順番で書くと良いと思います。制度活用をすべき原因は、「小さく散在するため使い勝手が悪い」からです。これに対応するための行動(土地の集約)を先に書きましょう。また、手順は、①住民意向の把握→②計画策定→③一括権利設定となります。

⑮ 「交流空間等に活用する」と断定していますが、土地利用は様々可能です。題意にある地域活性化を図る目的を達成するための“具体例”として書くべきです。具体的には「例えば、地域活性化を図るため、交流空間等に活用する。」となります。


(2)立地誘導促進施設協定
 空き家や空き地等の低未利用地の発生は、地権者の利用動機の乏しさに起因する。そのため行政と地域住民を主体とすする地域コミュニティの間で「立地誘導促進施設協定制度」を締結する地域コミュニティ等が空き家を地域交流センターなどの公共空間として自ら整備・管理する。行政から公認を受けることで、安定的に利用・管理できる。


⑯ 課題にて記述済み。削除。また、読点がなく読みづらいです。

⑰ 制度は締結しません。「制度」削除。

⑱ これも具体例なので。「例えば」といった接続詞を用いましょう。

⑲ ⑭同様、順序立てて書きましょう。目的、手順、具体例の順番で書くと良いと思います。また、課題は、「いかに行政が住民に働きかけるか」なので、行政の働きかけが何なのかを焦点化しましょう。


(3)誘導施設整備区を設定した土地区画整理事業の実施
 低未利用土地が、一定の区画内に小さな敷地単位で散在していると、使い勝手が悪く、なかなか利用が進まない。そのため立地適正化計画に定める都市機能誘導区域において、事業計画に「誘導施設整備区」を定め、同区域に空き地等を集約し、医療・福祉施設等の誘導施設の整備を図り、地域の維持活性を図る。


⑳ 何度も説明しています。不要。

㉑ 何の事業計画だか分かりません。おそらく区画整理の事業計画だと思いますが、そもそも、本文中に区画整理の説明がありません。

㉒ 課題は、「いかに行政が住民に働きかけるか」なのですが、行政の働きかけが何なのかが書いてありません。課題に対する解決策なのか判断できません。


4・新に発生する懸念事項をその対応策
(1)利活用が停滞する恐れ
 空き家の利活用を進めるには、建物用途変更等の建築基準法の行政との協議や、所有者との合意形成等、利活用までに各種調整が必要であり、利活用が停滞する恐れがある。
懸念事項(1)対する対応
①都市計画協力団体の活用
 地域の状況を把握している住民団体や商店街組合を都市計画協力団体に指定し、都市計画協力団体から所有者等に対し、土地利用の方法に関する提案や先進的取組事例の紹介を行う。
②専門知識を有する者の活用
 都市再生推進法人等のまちづくりの専門機関等と連携しノウハウや様々な補助金を活用する。  以上


㉓ 分かりづらいです。→「建築基準法に関する行政協議」

㉔ これは、解決策を行って生じる新たな懸念事項ではありません。お示しの問題があるので、上記の解決策を図るのではないのですか。これを書いてしまったら、自分の解決策を自分で否定しているようなものです。

㉕ (1)しかありませんよ。

㉖ 行政ではなく、都市計画協力団体になるとなぜ停滞が避けられるのかが分かりません。

㉗ この補助金は、何の補助金ですか。活用するのは、自治体ですかね。誰が、何をといった部分が判然としません。

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