PR

技術士 二次試験対策 今年もやります予算から予想問題

キーワード
PR
PR

予算から見る令和6年度出題傾向

【 技術士 二次試験対策 】

PR

令和6年度予算が決定

予算は国の動向を把握する上で最も有益な資料と言えます(令和6年度予算はコチラ)。このため、概算要求の段階ですでに解説したところですが、その予算が決定したので項目ごとに出題の可能性を評価していきます(概算要望の解説はコチラ)。

令和6年度予算では、国民の命と暮らしを守り抜くとともに、GX・DX の推進、デジタル田園都市国家構想の実現等による「新しい資本主義」の加速、こども・子育て政策の抜本的強化や経済安全保障の強化、新たな国土形成計画に基づく「新時代に地域力をつなぐ国土」の実現を図るため、以下の3本柱を示しています。

・国民の安全・安心の確保
・持続的な経済成長の実現
・個性をいかした地域づくりと分散型国づくり

この3本柱ごとに、必須科目Ⅰの出題の可能性について考察していきましょう。

1.国民の安全・安心の確保

(1)東日本大震災や相次ぐ大規模自然災害からの復旧・復興
(a)東日本大震災からの復興・再生 → ×
(b)大規模自然災害からの復旧・復興 → ○

東日本大震災の復興は未だ続いているものの、東日本大震災という限定した問題は出題されにくいと考えます。一方で、能登半島地震、線状降水帯といった被害を受けた事実は記憶に新しいです。災害関連の問題は、これまで国土強靭化、風水害対策、巨大地震と頻繁に出題されていることを踏まえると、これまでに出題されていない復旧・復興という視点は重要と考えます。

(2)災害に屈しない強靱な国土づくりのための防災・減災、国土強靱化の強力な推進
(a)気候変動による水害や土砂災害の激甚化に対抗する「流域治水」の加速化・強化 → ○
(b)南海トラフ巨大地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震対策等の推進 → ×
(c)密集市街地対策や住宅・建築物の耐震化の促進 → 選択科目
(d)災害対応能力の強化に向けた線状降水帯等に関する防災情報等の高度化の推進 → 解決策
(e)災害時における物流・人流の確保 → 解決策
(f)盛土の安全確保対策の推進 → ×

最初に出てくるのは、国がかなり力を入れている流域治水です。流域治水は、グリーンインフラやカーボンニュートラルに対応しており、まちづくりGXに通じていることからも注目度は高いです。
次の巨大地震は、令和5年度に出題済みなのでスルーで良いでしょう。続いての密集地対策や耐震化は分野が狭すぎますね。これらは都市及び地方計画の選択科目として、扱うのが妥当でしょう。防災情報、災害時の物流・人流は、防災関連の解決策としてのポジションですね。盛土も注目度は高いのですが、昨年度都市及び地方計画の選択科目で出題済みです。

(3)インフラ老朽化対策等による持続可能なインフラメンテナンスの実現 → ×

インフラメンテナンスも令和5年度に出題済みです。

(4)地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援 → ×

これは防災・安全の補助枠なので無視でOKです。

(5)交通の安全・安心の確保
(a)運輸分野の各モードにおける総合的な安全対策の推進 → ×
(b)通学路等の交通安全対策の推進 → ×

交通安全は、道路分野に特化しすぎていますね。必須科目としては、やはり視点が狭いです。

(6)海上保安能力の強化等 → ×

海上保安は安全保障分野なので、建設部門で出題されることはまずないでしょう。

(7)国民保護・総合的な防衛体制の強化等に資する公共インフラ整備 → ×

同じく安全保障ですね。

2.持続的な経済成長の実現

(1)ストック効果を重視した社会資本整備の戦略的かつ計画的な推進 → ○
(a)効率的な物流ネットワークの早期整備・活用 → 解決策
(b)地方都市のイノベーション力・大都市の国際競争力の強化  → 解決策
(c)航空ネットワークの充実 → ×
(d)整備新幹線の着実な整備  → ×
(e)鉄道ネットワークの充実 → ×
(f)国際コンテナ戦略港湾の機能強化 → ×
(g)成長の基盤となる社会資本整備の総合的支援(社会資本整備総合交付金) → ×

ストック効果を重視した整備の推進は、捉えどころの範囲が広く必須科目にふさわしいテーマと言えます。時事的な要素が少し弱い感じがしますね。事前候補ですかね。小項目については、物流、イノベーション力といった内容は解決策に使用すると良いでしょう。その他の項目も、それぞれの専門分野に応じて解決策として使用可能ですね。ただし、小項目は、それ自体が問題になることはないと思います。

(2)脱炭素社会の実現に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)の推進 → ◎
(a)ZEH・ZEB の普及や木材活用、ストックの省エネ化など住宅・建築物の省エネ対策等の強化  → 解決策
(b)グリーンインフラ、まちづくり GX 等のインフラ・まちづくり分野における脱炭素化の推進 → ◎
(c)カーボンニュートラルポート(CNP)の形成、持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進等の交通分野における脱炭素化の推進  → 解決策

GXは本サイトで何度もオススメしているテーマです。脱炭素社会の構築は、地球温暖化問題やエネルギー問題を考えると待ったなしです。国際的な要請も強く、2030年までの目標もすでに設定されています。過去問では、循環型社会、カーボンニュートラルとテーマを変えながら、頻出されています。本質的な背景は、GXも同じです。次世代の発展のカギは、このGXとDXと言えます。

(3)国土交通分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)や技術開発、働き方改革等の推進  → ◎
(a)DX の推進等 → 解決策
(b)i-Construction、建築・都市の DX 等の「インフラ分野の DX アクションプラン」の推進  → 解決策
(c)経済安全保障にも資する造船・海運の国際競争力強化や海洋開発等の推進 → ×
(d)運輸業、不動産鑑定業、造船・海運業、宿泊・観光業等における人材確保・育成 → ◎

見出しで注目すべきは、働き方改革です。DXももちろん重要なのですが、令和4年度に出題されているので、直接的な問題にはなりにくいと考えます。しかし、DXは解決策として万能なのでいくつかの施策を把握しておくと良いでしょう。さて、本命の働き方改革ですが、人口減少、2024年問題と注目に値する背景にあふれています。時事的にバッチリなので、約束された問題と言えます。必ず練習論文を作成しましょう。

(4)持続可能な観光の推進 → ○
(a)持続可能な観光の推進 → ○
(b)社会資本の整備・利活用を通じた観光振興 → 解決策

次に登場するのは、昨年から推している持続可能な観光になります。アフターコロナ、円安、インバウンド、地方創生など観光の活性化を必要とする環境は整っています。また、多様な観光としてワーケーションなどの施策は、働き方改革にも通じていますので注目の施策と言えます。幅広い視点を持つ観光も必須科目にふさわしいテーマですよね。

(5)「2024 年問題」の解決等に向けた物流の革新、持続可能な建設業の実現  → ◎
(a)担い手の確保・育成や物流の効率化等による物流の革新 → 解決策
(b)担い手の確保・育成や生産性向上による持続可能な建設業の実現 → 解決策

働き方改革に続いて、持続可能な建設業の実現は大注目です。ただし、このテーマは、先に説明した働き方改革と同じ対策になるので、どっちのパターンで来ても回答内容は大きく変わることはないでしょう。予算項目でも2つもあるなんて、国の力の入れ方が分かります。すなわち、出題されやすいと言い換えても良いでしょう。

(6)民間投資やビジネス機会の拡大 → ○
(a)ビジネスでの利活用に向けた地籍整備等の推進やデータ基盤・提供環境の整備 → 解決策
(b)PPP/PFIの推進 → 解決策
(c)インフラシステム海外展開の戦略的拡大 → ×

次は、民間投資の拡大です。人口減少社会の中で、行政主導の事業実施では限界を迎えています。そこで、民間と互恵関係を構築して、上手に社会資本整備を進めていこうという考えはこれからのスタンダードとなります。この互恵関係をどのように構築するかといった問いになると思います。官民連携は様々な分野に浸透してきているものの、ちょっと計画よりかなぁと感じています。結局は、都市及び地方計画のⅢあたりに落ち着きそうですが、必須科目としても練習論文を用意すると安心です。

(7)2025 年大阪・関西万博や 2027 年国際園芸博覧会に向けた対応 → ×

最後は、万博とグリーンエキスポですね。まあ、問題になることはないでしょう。

3.個性をいかした地域づくりと分散型国づくり

(1)共生社会実現に向けたバリアフリー社会の形成と活力ある地方創り
(a)地域公共交通や観光地・宿泊施設等のバリアフリー化の推進とユニバーサルデザインのまちづくりの実現 → ×
(b)空き家対策、所有者不明土地等対策及び適正な土地利用等の促進 → 選択科目
(c)離島、奄美群島、小笠原諸島、半島、豪雪地帯等の条件不利地域の振興支援 → ×
(d)民族共生象徴空間(ウポポイ)を通じたアイヌ文化の復興・創造等の促進 → ×
(e)首里城の復元に向けた取組の推進 → ×

最初のバリアフリーに関しては重要な事柄であるものの、すでに広く社会に浸透しており、昨今問題提起もされていないので出題されにくいのではないでしょうか。ただし、ユニバーサルデザインについては、観光や働き方改革といったテーマの解決策につながるものと考えられます。
空き家対策については、昨年度都市及び地方計画の選択科目で出題済みです。他方、所有者不明土地は、今年ガイドラインが改定されるなど国の動きが活発です。しかし、空き家と同様選択科目の可能性が高いです。
その他の項目は、課題が局所的なのでスルーで良いでしょう。

(2)デジタル田園都市国家構想の実現に資する分散型国づくりや持続可能な地域活性化
(a)新たな国土形成計画の推進 → 選択科目
(b)地方への人の流れを創出する二地域居住等の促進・個性ある多様な地域生活圏の形成 → ○
(c)コンパクトでゆとりとにぎわいのあるまちづくりの推進 → 解決策
(d)スマートシティの社会実装の加速 → 解決策
(e)次世代モビリティの普及促進 → 解決策
(f)地域・拠点の連携を促す道路ネットワークの整備 → 解決策
(g)地域の暮らしと産業を支える港湾整備の推進 → 解決策

国土形成計画は、とても重要な計画であり令和5年7月に閣議決定されています。時事的に注目が高く重要な計画であることから、出題の可能性はあります。以前の国土形成計画の内容は、令和2年度に出題されています。しかし、これも都市及び地方計画の選択科目で出題となっていますので、同様に選択科目扱いとなるでしょう。
次の項目の二地域居住は、分散型国づくりを実現するための有効な手段です。これは、要チェックと言えますので、論文の用意をオススメします(投稿論文はコチラ)。
コンパクトなまちづくりは、もう何年も前から言われ続けられているテーマであり、最近その在り方が再び議論されています。議論の結果はまだですし、様々な課題に対応できる万能な解決策として用いると良いでしょう。
スマートシティは、GXのまちづくりに通じるものがあります。少し、デジタル技術に偏っている印象を受けます。これに自然の持つ力を活用したまちづくりGXの方が、幅広い視点で解答を求められるので、必須科目にふさわしいと考えます。やはり、解決策の一つとして捉えるのが無難ですかね。
次世代モビリティもライドシェア、グリーンスローモビリティと話題が豊富ですが、分野が狭すぎます。これも、解決策で使用する項目と考えます。また、道路ネットワークや港湾整備も、モビリティと同様に分野が限定的です。

(3)デジタル田園都市国家構想の実現に資する交通のリ・デザイン → 選択科目

地域公共交通はコロナ禍以降、経営が大幅に悪化しています。このような状況を脱するため、GX、DX、共創などにより、公共交通を再構築するものです。課題の重要性は高いのですが、やはり分野が交通に限っていることから必須科目ではなく、選択科目での出題が濃厚です。

(4)「こどもまんなかまちづくり」の推進等こども・子育て政策の抜本的強化 → △

令和5年6月に「こども未来戦略方針」が閣議決定されており、力のはいった施策であることは間違いありません。ただし、都市基盤整備でみると子供の遊び場、親同士の交流の場、子育て世代の居住支援と限定的であるように感じます。このテーマは、悩みどころです。余裕のある人は、論文を作成しておくと安心です。

(5)安心して暮らせる住まいの確保と魅力ある住生活環境の整備 → ×
(a)多様な世帯が安心して暮らせる住宅セーフティネット機能の強化 → ×
(b)既存住宅流通・リフォーム市場の活性化 → ×

これは住宅分野に特化しすぎていますね。必須科目としては、やはり視点が狭いです。

(6)豊かな暮らしを支える社会資本整備の総合的支援(社会資本整備総合交付金) → ×

補助金の項目のため、無視で良いでしょう。

いかがでしたか、本命は「働き方改革」、「まちづくりGX」ではありますが、練習論文は多様な視点で5~10程度用意しておくべきでしょう。まだ、申し込みも始まっていないので、余裕で作成可能です。ここから4か月は、合格レベルの論文をいくつ用意できるかが重要です。

さあ、頑張って書きまくりましょう。

タイトルとURLをコピーしました