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技術士 二次試験対策 電気電子部門 必須科目Ⅰ 完成版×2 & 気になった点②

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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文脈

論文添削で気になった点、第2弾をお届けします。論文の構成は、これまでひな型の公開(Part1Part2)、解体新書シリーズ(課題編解決策編リスク・要点編)などでご紹介してきました。必須科目Ⅰや選択科目Ⅲは、この構成が非常に重要になります。

簡単におさらいしておきましょう。課題パートでは、現状→問題点→必要性→結論の流れでしたね。他方の解決策は、目的→やること→具体例の順です。みんさん、結構この流れを意識して書いてくれます。しかし、この流れをもってしても、文章がバラバラな印象を与えるものもあります。

この要因は、前後の文のつながりが悪いからです。課題の例で見てみましょう。「〇〇が現状だ→△△が問題点だ」とした場合、流れは上記のルール通りです。しかし、〇〇と△△に関係性が無いと支離滅裂な文章になってしまいます。

具体的にみると一目瞭然です。「近年、気候変動により、災害は激甚化・頻発化している。このような状況の中、デジタル技術を活用した災害対策ができていない。」といった例が良く見られます。災害が激甚化・頻発化していることと、デジタル技術の活用に因果関係がなく唐突です。率直な感想は「えっ、何で?」です。

良い例の場合は、「近年、気候変動により、災害は激甚化・頻発化している。このような状況の中、災害によって生じる外力は、既存構造物の許容応力を超える場合がる。」といったように、前後の関係が明確です。

では、どのように文を組み立てていけば良いのでしょうか。答えは、課題からの逆算です。前後の関係性を改善したら、ゴールにたどり着けないでは本末転倒です。例えば、前項の例で言うと、「強靭化が課題」であればすばらしい前振りになりますが、「ICT化が課題」の場合ではあらぬ方向へ向かってしまいます。

繰り返し述べていますが、論文を書く時は骨子を書くことが重要です。すなわち、課題は論文を書き始める時には決まっています。よって、結論(課題→観点)→必要性→問題点現状といった順で書く内容をイメージします。ほんとに、連想ゲームみたいです。

例えば「ICT化が課題」という結論に向かう思考の過程を見てみましょう。『観点は「生産性」・「省人化」といったところかなぁ→必要性は生産性を向上がいいなぁ、そうすると観点と被るから、観点は省人化だな→生産性が必要との主張に結び付く問題点は・・・人手不足か!→現状は、人口減少と少子高齢化でいいね』といった検討を素早く行います。

まあ、この思考がたどれるように練習論文で訓練するわけですが、今このタイミングでは完璧にこなすのは無理な人もいると思いますので、そんな人は是非前後の関係が成り立つことに意識を向ければ、細い糸でもつながっていくと思います。

論文

本日の添削LIVEは、電気電子部門 令和5年度の必須科目Ⅰ「開発するうえで重要な『手法』」と令和4年度必須科目Ⅰ「技術者確保」の2本立てになります。どちらも、完成版になりますので、電気電子部門の受験生は必見です。お手元の論文と見比べて、更なる推敲を目指してみてはいかがでしょうか。それでは、早速論文を見てみましょう。

開発するうえで重要な『手法』

1.手法を活用する際に生じる課題
1.1手法とハードウェアの整合性向上
 現状、市場に流通している製品は、手法とハードウェアの組み合わせが不適切なものがある。組み合わせが不適切な製品は、想定外の挙動を起こすことに繋がる。例えば、ロボット暴走や回転機脱輪など機器が想定外の挙動を示し、人間に危害を加える可能性がある。
 そのため、安全の観点から手法とハードウェア技術の整合性向上が課題である。

1.2明確な機能定義に基づくシステム設計
 システム完成直前に手直しが発生すると、初期段階での手直しに比べ、時間、コスト、労力といったリソースが大幅に消費される。大規模かつ複合的なシステムは分業作業となるため、関係者が多く最終段階で障害を起こす可能性が高い。よって、システム設計の初期段階において、必要な機能・目的・納期を関係者間で共有することが重要である。
 そのため、マネジメントの観点から明確な機能定義に基づくシステム設計が課題である。

1.3 分野横断的な取り組みの実施
 デジタル技術、ハードウェア技術はこれまで独自に発展してきた。ゆえに、デジタル技術、ハードウェア技術を組み合せた際、それぞれのポテンシャルを最大限発揮させることが難しい。よって、組み合わせ検討時に、様々な関係者と連携することが重要である。
 そのため、体制面の観点からシステム開発の分野横断的な取り組みが課題である。

2.最も重要と考える課題と理由
 安全性の確保を優先すべきと考え、「手法とハードウェア技術の整合性向上」を最も重要な課題に選定し、以下に解決策を述べる。

2.1アジャイル開発による設計サイクルの加速
 手法とハードウェア技術の整合性を小単位で確認する。確認にあたっては、PDCAサイクルを機能ごとに実施するアジャイル開発を導入する。これにより、システム設計の迅速化と整合性の確保を図る。アジャイル開発においては、ソフトウェア計画段階で概略仕様と要求水準を定めシステム設計を進める。
 その結果、開発途中の仕様や設計の変更に柔軟に対応が可能となるとともに、設計期間の短縮もできる。

2.2仮想化技術による成果物の精度確認
 システム構築の途中段階で成果物の完成度を確認できれば、大幅な手戻りを減らすことができる。そのため、設計の節目においてVR・デジタルツイン技術により成果物の妥当性および問題点評価を行う。
 例えば、建設機械の組み立てやメンテナンス時の作業性を、VR技術を用いて、開発設計段階で事前検証する。種々の作業を、サイバー空間上で実寸大の工具を持ちながら評価し、動作の最適化を図ることができる。

2.3ブラックボックスの可視化
 システム開発において、業務の一部がブラックボックス化すると、変更やトラブルの際、システムを円滑に更新することが困難となるため、開発プロセスを可視化する。具体的には、業務フローのマニュアル化、進捗状況の共有を推進する。情報共有には、ビジネスチャットを活用し、第3者の目線でチェックする機会を増加させる。この仕組みづくりにより、業務改善や業務効率化、さらには業務自動化を実現する

3.新たに生じうるリスクとそれへの対策
3.1 新たに生じうるリスク
 短期間で開発し何度も確認・修正を繰り返す場合、全体スケジュール、及びコストの管理に悪影響が生じる。加えて、全体の方向性を見失うリスクがある。

3.2それへの対策
 小単位ごとにKPI 設定したプロジェクトロードマップを作成する。このロードマップに基づき、プロジェクト全体をマネジメントするため、チームリーダーや統括責任者を配置し明確な指揮の元管理を行う。

4.業務遂行における必要な要件
4.1技術者としての倫理
 要件は、国際安全規格に則ったシステム開発を行う。また、業務に当たり常に公共の安全確保に留意する。

4.2社会の持続可能性
 要件は、安全な設備を構築することである。SDGs「つくる責任 つかう責任」の実現に留意する。  以上

技術者確保

1.技術者確保に向けた課題
1.1(観点①)マッチングを可能にする見える化
 現状、電気電子分野における技術は、専門分野の細分化が進んでいる。これにより、実務で求められるスキルと個々の技術者が持つスキルとの間に齟齬が生じ、現場が求める人材確保ができない。そのため、実務で求めるスキルと技術者が有するスキルの適正なマッチングが重要である。
 以上、スキルと現状との不一致の観点から適正なマッチングを可能にするスキルの見える化が課題である。

1.2(観点②)業務プロセスの細分化と連携
 近年、電気電子分野が携わる問題は、多様化・複雑化している。しかし、現状は特定分野の技術者のみで問題解決にあたっており、専門外の業務に多大な時間と労力を要する事態となっている。よって、品質や効率性を高めるためには、様々な専門家と連携して取り組むことが重要である。
 そのため、実務の生産性の観点から、業務プロセスの細分化と連携が課題である。

1.3(観点③)働き方改革の実現
 現状、電気工事士をはじめとした厳しい労務環境により、電気技術者の新規入職者は減少している。一方、再エネ等の導入拡大に伴い技術者の需要は増加している。これらの状況を踏まえると、技術者不足は今後深刻化していくことが懸念される。そのため、柔軟な働き方の実現、魅力ある労働環境の整備が必要である。
 以上より、専門分野の魅力や発展性の観点から働き方改革が課題である。

2.最も重要と考える課題
 電気電子分野のみならず、他分野との相乗効果も期待できるため、「業務プロセスの細分化と連携」を最も重要な課題に選定し、以下に解決策を述べる。

2.1アジャイル手法による課題解決の加速(ソフト)
 急速に変化・多様化する価値観(ニーズ)に素早く対応するため、アジャイル手法を導入する。具体的には、小単位で各機能を切り分けてPDCAサイクルを回し、取り組み途中に発生する条件変更に素早く対応する。加えて、この機能細分により修正を最小化するとともに、業務改善や業務間連携の検討を短期間で実施する。

2.2仮想化技術による成果物の精度確認(ハード)
 実務の途中段階で成果物の完成度を確認できれば、大幅な手戻りを減らすことができる。そのため、業務の節目においてVR・デジタルツイン技術により成果物の妥当性および問題点評価を行う。
 例えば、モータ機器に関し、VR上で設計段階のモータを動作させ、構造と配線それぞれの技術者が相互に検証を行う。構造技術者は、振動がモータにダイレクトに伝わらないか設置面の強度を検証する。一方、配線技術者は、モータへの電源ルートが最小となる設置位置を検証する。このように、細分化された分野間における設計結果をサイバー空間上に再現することで、精緻な評価・検証を行い、成果物の品質向上を図る。

2.3 デジタルデータの活用による業務連携(ソフト)
 特定の業務だけでなく事業全体の効率化や、プラント・社会インフラの保全のため、IoT、AI、ビッグデータ分析などのデジタルデータ技術を活用する。
 例えば、ドローンを用いた送電設備の自動点検において、設備をカメラ撮影し異常の有無をAIで自動判定する。また、膨大な補修データを蓄積し機械学習を進めAIの自動判定精度を高める。
 その結果、従来の設備点検班と分析班での業務をデジタルデータ技術により連携させ、生産性を高める。

3.解決策を実行しても新たに生じうるリスク及び対策
 業務が細分化された場合、スケジュール管理が困難となることや、本来の目標を見失うことが懸念される。
 対策としては、小単位ごとにKPI 設定したうえで、プロジェクト(PJ)を立ち上げる。また、PJ全体をマネジメントするため、統括責任者となるチームリーダーを配置し明確な指揮の元業務を実施する。

4.業務遂行における必要な要件・留意点
 技術者倫理の観点においては、国際安全規格に則ったシステム開発を行うことが要件である。また、持続可能性の観点においては、3RやLCCに配慮した機器を用いることが要件である。業務の各段階でこれらを常に意識しながら進めることに留意する。 以上

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