添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
試験前最後の投稿論文
論文を投稿いただいた皆様、添削LIVEをご覧いただいた皆様、最後に感謝を申し述べたいと思います。みなさんの合格へのお手伝いをと考え、サイト運営をさせていただき、たくさんの論文を目にすることができました。添削を通じ、私も多くのことを学ばせていただき、新しい発見や知識を蓄えることができました。
皆様とのやり取りは真剣勝負そのものであり、共に切磋琢磨できたと感じております。また、これらの論文投稿を通じて、サイトをご覧いただいている皆様にも刺激を与えることができたのではないでしょうか。そのような意味で言うと、私、投稿者、閲覧者ともに成長できたと思っています。
もちろん、関与いただいた皆様全員が、良い結果を得られることを願ってやみませんが、ここまでの取組みは決して無駄になることはないと断言いたします。そもそも、困難な道を選択し行動に移していること自体が素晴らしいです。このような努力は、人としての成長を大きく促します。
この成長の証として、ぜひとも合格という成果を何が何でも持ち帰りましょう。投稿者の皆様においては、日々論文の質が高まり合格へ着実に向かっていることを感じております。私の添削は、細かすぎるところもあり、自信をなくすこともあったと思います。めげずにドンドン投稿、質問してくる姿勢には頭が下がるばかりです。
正直な感想を述べますと、推敲を重ね完成した論文は、私自身が受験時に用意した論文たちをはるかに凌駕していると思います。当時を振り返ると私自身の論文は、レベルが低かったなぁと感じます。私が皆さまに期待していることは、実はただの合格ではありません。採点者をうならせる圧倒的な論文を書いてもらうことです。
合格点など目指してはいけません。120点を取りに行きましょう。意気込みで負けてはいけませんよ。大丈夫です。皆様は、合格できる努力をしてきました。自信を持って解答しましょう。そして、採点者の度肝を抜いてやりましょう。
論文
最後の投稿論文は、建設部門 都市及び地方計画の選択科目Ⅱー2「防災移転まちづくり」、選択科目Ⅱー1を4本お送りします。選択科目は、予想が難しいので幅広く取り組む必要がありますが、施策同士は何らかしらの関係性を持っているので、体系的に理解すると対応力が上がります。予想を外しても、決してあきらめず、自身の知っている知識を関連づけて書くなどもがいて、あがいて、合格を手繰り寄せましょう。それでは、早速論文を見てみましょう。
防災移転まちづくり
問題:防災移転まちづくのうち、防災移転支援事業(居住誘導等権利設定等促進事業)について下記内容について記述せよ
①調査、検討すべき事項とその内容を説明せよ
②手順を列記しそれぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫する点を述べよ
③業務を効率的に効果的に進めるために関係者との調整方策を説明せよ
1 調査、検討すべき事項
(1)移転元地の住民の意向調査
移転元地の住民に対し、想定される災害リスク(土砂災害や水災害)を説明し、移転についての意向を調査する。
(2)移転先地の地権者の意向調査
都市機能誘導区域内の低未利用土地の権利者を対に①、今後の土地活用のヒアリングを実施する。その結果を踏まえ、移転候補地となる低未利用土地を抽出する。
① なぜ都市機能誘導区域のみが対象になっているのですか。安全なエリアであれば良いのではないでしょうか。また、意向確認の前に移転先の候補地の検討・調査が必要と考えます。
(3)移転に必要な情報の提供
移転元の住民に対し、移転に必要な費用の試算や移転後の跡地の処理方法等、移転の意向を決断させるための情報提供を行う②。
② 調査・検討事項になっていないですね。すべて、検討事項として記載すると良いでしょう。
(4)新たなコミュニティとなる移転先での受け入れ体制の検討 ③
移転先で安心して暮らせるよう、移転先での居住体験やモデル事業の実施を検討する。
③ 見出しが長すぎます。端的に書きましょう。また、内容は体制の検討になっていません。
2 業務を進める手順
(1)移転の計画・コーディネート
移転元より安全なエリア(移転先)を選定し、移転元の住民側に提案する④。この時、移転に要する費用や移転先の自治会などのコミュニティの状況など詳しい情報を提供することに留意する。
また移転先の低未利用土地の地権者の意向を把握し、移転元の住民と移転先の地権者のマッチングを行う④。この時⑤、固定資産税台帳や地籍調査票を利用して居住誘導・都市機能誘導区域内の土地等に関する情報を活用する。
④ 問われているのは、業務内容だけでなく手順も聞かれています。移転先の地権者の意向を確認しないまま、移転元の住民に提案して問題にならないのでしょうか。最初の手順は、移転先、移転元の選定と考えます。その次に、双方の意向確認ではないでしょうか。この双方の情報収集ののちに、初めてマッチングが可能になるのではありませんか。これらは、順番を明確にするため、項目立てした方が良いと思います。
⑤ マッチングの段階では、権利者が明確になっているのではありませんか。情報収集を必要とするタイミングは、権利者が不明な時ではないでしょうか。
(3)居住誘導等権利設定等促進計画の策定
同意を得た内容を計画に反映する⑦。計画内容は移転者の氏名、移転元の住所、移転先の住所、移転する権利の種類(所有権)⑧等を記載する。
⑦ 反映するというよりも、計画を策定するではないでしょうか。→「同意内容に基づき、居住誘導等権利設定等促進計画を策定する」
⑧ 括弧書きの意図が良く分かりません。権利の種類と書いてあるのに、所有権に限定しているように見えます。
(4)計画の公告・権利の移転 計画を策定した旨や内容を公報に掲載する等して、公告する。公告により複数の権利が一括に移転する⑨
⑨ これは、手順ではないです。公告の目的ですかね。
(5)登記・減税の適用
移転者に代わり、市町村が一括で登記を行う。登録免許税と不動産取得税が軽減される⑩。
⑩ これも、手順ではないです。
3 関係者との調整方策
(1)ワークショップ
移転計画に対する意向や要望を把握するため、行政 住民・企業、まちづくりの専門家で構成されるワークショップ⑪を開催する。計画の検討及び素案の各段階において住民意向を十分に把握・反映⑫する。
⑪ ワークショップは、体験型の講座です。協議会などと考え違いしていませんか。
⑫ 調整した後の行動を述べるのではなく、調整方策を答えるべきです。
(2)説明会
移転計画に対する合意形成を図るため、早期段階から地元説明会を複数回開催する。
以上
⑬ 「防災移転まちづくりガイダンス」に示されているモデルケースにおいては、「必要な相談体制」と明記されていますので、このような体制づくりを述べてはいかがでしょうか。
都市再生推進法人
問題:都市再生推進法人の概要と効果について述べよ
1.概要
市町村は、都市再生法①に基づき、まちづくり会社やNPO法人等のうち、人材・ノウハウ等の観点から、まちづくりに関連する業務を適正かつ確実に行うことができると認められる者を都市再生推進法人として指定する。②
① →「都市再生特別措置法」
② 市町村の役割のみでなく、制度の背景・目的、都市再生推進法人は何を行うのかといったことも書きましょう(効果以外の事柄をすべて書きましょう)。
2.効果
都市再生推進法人は、幅広くまちづくりに関連する以下の業務を行うことができる③。
・都市再生整備計画の区域内の都市開発事業
・居住誘導区域内の住宅整備に係る都市開発事業
・誘導施設や公共施設等の整備などの施設整備や公共施設等の管理
・都市利便増進協定に基づく都市利便増進施設の管理
・低未利用土地利用促進協定に基づく居住者等利用施設の管理
・跡地等管理等協定に基づく跡地等の管理や緑地、広場等の整備・管理④
③ 効果を書くのですよ。これは効果ではなく、業務内容です。この業務を行った結果得られる効果を書くべきです。
④ 論文なので、箇条書きは避けましょう。
3.効果⑤
都市再生推進法人は、自ら低未利用土地を利用する他、低未利用土地の利用に係る土地所有者等と、利用を希望する者とのコーディネートや、低未利用土地を一時的に保有・管理し、その土地を有効に利用できる者が現れた際に、その者に適切に引き継ぐことができるため、都市のスポンジ化対策に有効である。⑥ 以上
⑤ なぜ同じ見出しを並べているのですか。
⑥ これは、ちゃんと効果の説明になっていますね。しかし、一文が長すぎます。行動ごとに文を切り、順接の接続詞で結ぶと良いでしょう。
流域治水
問題:流域治水対策について述べよ
1 流域治水について
気候変動による水災害リスクの増大は、河川管理者だけでは軽減できない。そのため、集水域から氾濫域まで一つの流域と捉え、流域内のあらゆる関係者(国、県、市町村、住民及び企業)治水に取組む流域治水を実施する①。例えば、雨水浸透対策や避難体制の強化を組み合わせ②被害の軽減を図る。
① 「関係者治水に取組む」になっています。→「関係者が治水に取組む」
また、問題があまりに抽象的で、何を回答するのか判然としません。見出しから推察するに、流域治水の説明をするのだと思います。その場合、「流域治水を実施する」との文末は違和感があります。
② 何と組み合わせるのですか。また、具体的対策は、次の項目で述べるのではありませんか。
2 具体的な対策
(1)氾濫を防ぐ・減らす取組
頻度の高い洪水は、河川施設で守る③ことを基本とし、洪水を安全に流下④させるために、河川断面を大きくする⑤。洪水に対して安全な構造とするため、施設倒壊まで時間を稼ぐ堤防の整備を実施する⑥。
洪水を一時的に貯留⑦し、河道への流下量を減らす洪水調節施設の整備を実施する。
③ 「洪水は河川施設で守る」との表現は違和感があります。洪水は災害なので、「守る」ではなく防ぐではありませんか。
④ 「洪水を安全に流下」との表現は違和感があります。洪水としてしまっては、もう溢れている状況を指すと思います。超過降雨とかですかね。
⑤ 単なる河川事業の説明をしているように見えます。流域治水対策なので、もっと総合的・多層的な取り組みを述べる必要があります。
⑥ →「非難するための時間を稼ぐため、堤防は粘り強い構造を採用する」
⑦ 洪水は災害なので、、貯留しません。また、貯留浸透は家庭、田んぼなどあらゆる関係者が関与する施策を述べましょう。
(2)被害対象を減らす取組
地方公共団体は、独自に条例で、出水、高潮等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定する⑧。
指定されると、住宅建築の禁止や、その他建築物の建築に制限がかかる。
⑧ これはなんですか。抽象的で良く分かりませんし、書くべきことは国の制度(都市再生特別措置法や防災指針の作成など)に基づくものです。
(3)被害の軽減への取組
迅速・円滑な避難とするため、避難判断に必要な雨量や河川水位、河川カメラ映像等の観測情報や、洪水予報やダム放流通知、水防警報などのわかりやすい予報・警報を、SNSを通じて発信する。 以上
南海トラフ
問題:南海トラフ巨大地震対策計画の内容について述べよ
1 計画の基本的な記載内容
南海トラフ巨大地震対策計画で取り組むべき対策は初動体制などの応急活動計画と耐震対策などの戦略的に推進する対策の2本立てである。
(1)応急活動計画
地震発生直後から概ね7日~10日目までの間に、初動体制の立上げ、被災状況の把握、応急復旧の対応及び復興支援など、緊急的に実施する活動と、当該活動を円滑に進めるために、平時から準備しておくべき内容である①。
① 項目だけではなく、その具体的な内容、つまり準備しておくべき内容を書きましょう。
(2)戦略的に推進する対策
・住宅、建築物、宅地の耐震化を進める他、帰宅困難者・負傷者等を収容するための建築物の施設整備・機能強化行う。
・海岸・河川堤防、水門・樋門、排水施設等の地盤の改良等の耐震・液状化対策を行う。
・大規模火災の発生が懸念される密集市街地では、延焼遮断帯として機能する幹線道路等の整備、老朽建築物の除却及び耐火建築物等への共同建替え等を行う。
・必要な避難場所が確保するため、指定避難施設の指定及び協定避難施設に関する協定締結を行う。
・津波災害警戒区域の指定など津波防災地域づくりを推進する。
・防災訓練や防災教育などの防災力強化に向けた日頃からの備えを実施する。② 以上
② 箇条書きは、避けましょう。また、誰の行動なのか良く分かりません。基本は、国土交通省の取り組むべき予防的な対策だと思います。自治体や民間の施設管理者などが行うべきものが混在していませんか。国としての行動ならば、推進や促進といった行動になるのではないでしょうか。
災害時の交通対策
問題:災害時の交通対策を述べよ
災害時の交通対策
1 多重性・代替性の確保
災害直後から、救命・救助活動等を迅速に行うため、高規格道路のミッシングリンクの解消、暫定2車線区間の4車線化、高規格道路と代替機能を発揮する直轄国道とのダブルネットワークの強化を図り、多重性・代替性を確保する。
2 道路防災対策①
大規模災害時の救命活動や復旧支援活動を行うため、災害に強い国土幹線道路ネットワークを構築する②。
新技術による③土砂災害等の危険箇所の事前把握④、法面・盛土対策などの防災対策⑤、橋梁の耐震補強等の震災対策⑥、避難施設を有する道路施設への防災機能強化⑦を進める。
大規模地震に備えた道路啓開計画の実効性を高めるため、民間企業等との災害協定の締結や、道路管理者間の協議会による啓開体制の構築を図る⑧。
① ジャンルが広すぎます。他の対策も含んでしまいます。内容を整理し(道路啓開だけ体制なので異質に見えます)、見出しを検討しましょう。
② 1の内容と類似していますので、異なることを主張しているのであれば、その違いを明確にした表現にしましょう。
③ 新技術がどのようなものなのか、具体的に書きましょう。
④ 対策なので、把握した後の行動も書いた方が良いと思います。
⑤ これも抽象的です。
⑥ 耐震補強とあるので、地震対策であることは明確ですので「震災対策」は不要。
⑦ 抽象的です。
⑧ 前段は例示だと思いますので、2つの例示が体制構築にかかるようにしましょう。→「・・・協議会など啓開体制の構築・・・」
(3)無電柱化の推進
道路の防災性の向上や安全で快適な通行空間の確保するため⑨、沿道区域における無電柱化⑩を進める。
⑨ 災害対策なので、快適性は不要ですね。また、道路の防災というより、緊急車両等の通行機能確保が主な目的ではないでしょうか。
⑩ 沿道区域を無電柱化するわけではなく、道路を無電柱化するのではありませんか。さらに、場所を特定しないと道路全部を無電柱化するように見えます。
(4)円滑な支援物資輸送体制の構築
災害時の円滑な支援物資物流を実現するため、地方公共団体、物流事業者団体等の関係者が参画する協議会等で、物流専門家の派遣を含む都道府県と物流事業者団体との災害時協力協定を締結する⑪。 以上
⑪ 行動の主体が良く分かりません。協議会を設置するのは誰なのか分かりません。協定締結と協議会の関与も不明です。