Q&A作成の難所をクリア
【 技術士 二次試験対策 】
Q&Aの重要性
技術士 口頭試験の最大の敵は、試験本番のプレッシャーです。試験当日は、心臓はバクバク、手に汗がじっとり、まともに試験官の顔すら見ることができないといった具合に、緊張のボルテージは最高潮に達します。
もちろん、緊張をもろともしない最強メンタルの持ち主もいるとは思いますが、少数派でしょう。普通は、極度の緊張を味わうものです。この緊張の最中、自分の実力を100%出し切ることは至難の業です。ましてや、思いもよらない質問などが来た場合、取り乱しわけのわかない発言をしかねません。
このように緊張に飲み込まれてしまっては、良い結果は望むべくもありません。しかし、緊張しないなんて無理だよと思いがちです。安心してください、緊張をゼロにすることはできませんが、やわらげるすべは確実に存在するのです。
その方法とは、万全の準備にほかなりません。本番までに人事を尽くして天命を待つ状態に持っていくのです。ここに到達できると、むしろ口頭試験が待ち遠しくなります。どんな質問が来るのだろうといった不安な気持ちは霧散し、「なんでも来ーい!」といった心持に変化します。
では、この自信を養う万全の準備とは一体どのような行動なのでしょう。そうです、これまで何度も準備を促してきたQ&Aの作成です。このQ&Aを最低50個(基本的な想定質問はコチラ)用意しましょう(安心レベルは100問)。ただし、やみくもにたくさんの想定問答を作っても意味がありません。
回答の質が極めて重要になります。回答の質とは、技術士にふさわしい態度や考えを示すものと言い換えられます。もっと、具体的に言えば、コンピテンシーに沿った回答をするということです(回答の作り方:倫理 実務能力① 実務能力②)。これを踏まえたQ&Aが手元にあれば、怖いものなしです。
得点方法
口頭試験は、加点方式です。どんどん点数を重ね合格水準を満たすことが求められます。シュート(得点)をバンバン決めるためには、的確なパスをもらう必要があります。パスは、誰が出すのでしょうか?みんさんもご理解の通り試験官です。
このことから、パスが試験官の質問であることは説明不要ですよね。よって、シュートを決めるためには、試験官からたくさんの質問をしてもらうことが大切です。ここで注意をしなければいけないのが、試験時間が有限だということです。
試験の時間は20分程度です。少し延長する場合もあるようですが、延長した場合は危険信号だと思ってください。合格水準に達していない場合、時間を延長し何とか合格に導こうとする試験官の助け舟と言えるからです。すなわち、延長している場合は、20分の段階で不合格の水準にあるということです。
このような状況を招かないためにも、限られた時間の中で多くの質問に答え、得点を積み重ねることが肝要です。そのためには、端的に回答することが重要になります。口頭試験において最も重要な留意点と言えるでしょう。
聞かれてもいないことをダラダラと述べられては、印象も悪いですし貴重な時間が損なわれてしまいます。聞かれたことのみを的確に回答することを意識しましょう。説明不足かなといった不安にかられることもあると思いますが、もっと詳しく聞きたいと試験が感じたら、追加で質問してくれますので、それを待って回答すると良いでしょう。
また、的確性のある回答とするためには、これまでの論文と同様に一文を短くすることをお勧めします。技術者は、とかく頭でモノを考えすぎる傾向が強く、思考が先行してしまうことから、最初で言っていることと最後で言っていることが違っていることが良くあります。これを防ぐ手段として、短文は有効です。
このように、どんどん質問してもらって、バンバン答えるというのが基本戦略になります。
Q&Aの難所
Q&Aの作成に当たっては、いくつかの難所があります。技術士倫理は、必ず聞かれるのですが、答えをつくるのにそれほど苦労をしません。技術士法や倫理綱領に即して回答を作成すればよいので、悩み無用です。変にオリジナリティとかを入れないようにしましょう。
やはり問題になるのは、実務能力です。実務能力は、これまでにも説明してきたコミュニケーション、リーダーシップ、評価、マネジメントです。コミュニケーションやリーダーシップは、どうやって関係者と意思疎通を図ってきて、どのように調整してきたかということです。
これらのコンピテンシーは、筆記試験の選択科目Ⅱー2なんかでも問われてきたので、何を書けばよいのか比較的に分かりやすいです。「技術情報を活用する」、「明確なデザインを示す」といったポイントをおさえる必要はありますが、これも書きやすいです。難所と言われるのは、評価・マネジメントです。
しつこいですが、技術士 第二次試験実施大綱に示されている口頭試験の試問事項と配点をもう一度確認しましょう。以下のとおり、実務能力の配点は「コミュニケーション、リーダーシップ」で30点満点、「評価、マネジメント」で30点満点です。
何が言いたいかというと、「コミュニケーション、リーダーシップ」でどんなに得点を稼いでも30点を超えて得点することはできないということです。すなわち、バランスよく得点することが合格の条件と言えます。ということで、苦手をなくすことが合格への最短距離になります。
Q&Aの添削は個人情報が多いので内容を公開することはできませんが、傾向として「評価・マネジメント」に苦労している印象です。よって、この難所で平均点以上をたたき出すことこそが、合格を確実なものにする特効薬です。
以前も評価・マネージメントについて解説していますが、それでもお困りの方が多数いらっしゃるので、要点を絞ってメチャクチャ分かりやすく伝えたいと思います。小難しく考える必要なしです。以下のポイントを意識すればOKです。
評価のポイントは、改善点とその活用です。どんなにうまくいった業務でも、改善点を必ず見つけ、それを次の業務に生かすという視点が技術士には不可欠です。よりよく、もっとよくという取り組み姿勢により、社会貢献を果たしていくんだという意気込みを見せつけましょう。
「マネジメント」は、少々難しいです。まずは、技術士のコンピテンシーで言うマネジメントを正しく理解することが重要です。シンプルに言うとマネジメントは、「目的達成のために人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること」です。目的は、「要求事項、又は成果物に係る要求事項の特性を満たすこと」です。
要求事項が分かりにくいので、具体例を述べますが「年内までに、予算5億円のオフィスビルを設計せよ」です。要求事項は年内という期限、成果物は設計、成果物の要求事項は予算5億円といった具合になります。
上記の例に当てはめて言うと「時間がないので人的リソースを集中させました」という回答例が多く寄せられます。時間がないから、人を充てるという単純明快な答えですが、これが簡単にできるのなら誰も苦労はしませんよね。
時間が有限であるのと同時に人も有限ですから、マネジメント手腕をアピールするためには、再配分という考えを持つ必要があります。例でいえば、どこかの業務をカットして人を持ってくるという「犠牲」を説明しないことには、マネジメントしたころにはなりません。
つまり、要求事項に対して、どのようにリソースを再配分して問題をクリアしたかを述べる必要があります。再配分の具体例を用いて、目的達成のためのソリューションを示すことが回答に求められます。もっと簡単に言うと、リソースのでっこみひっこみを説明するということです。よく見られる回答は、でっこみの部分しか説明されていなのです。
みんさんのQ&Aをもう一度確認してみてください。どうですか、的確な回答になっていますか。時間が許す限り、コンピテンシーとにらめっこして、回答を推敲してください!