添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
新しい年度と目標
早いもので、あと三日もすれば4月に突入です。人事異動や転職され新しいスタートを切る人も中にはいるのではないでしょうか。逆に、マンネリ化した仕事内容に辟易する人もいると思います。どちらも重要になるのは、新しい目標を立て日々を充実させることです。
ご覧になっている方は、技術士を目指すという大きな目標を持っていると思いますので、否応なしに3か月間は充実します…ただし、技術士資格というのは単なるツールですから、社会活動における目標は別に定めると良いと思います。
目標は大きければ大きいほど良いのですが、大きな目標は一朝一夕に達成することはできないですから、その大きな目標を達成するための小さな行動(目標)から始めると良いと思います。私たち技術者一人一人が、小さな目標を達成できれば大きな潮流となり、社会に与えるインパクトが大きくなるというものです。
今回投稿論文は、労働力不足が一つのテーマになっています。このように、一人でできないことはみんなで協力してやることが大切です。労働力不足のテーマになるとどうやって担い手を確保するかということを考えがちですが、建設業界が人を集めたらどこかの業界がまた人手不足という問題を抱えることになります(技術士論文の担い手確保を否定するものではありません)。
業界同士で人の取り合いをするのではなく、スキルや人材を都合しあえる社会システムが欲しいところです。所属する会社以外でも副業・兼業などにより、技術者のスキルをもっと活用できる仕組みづくりが必要です。つまり、シェアリングエコノミーの拡大が、人手不足を解消する一つのカギになると思います。
よって、我々技術者は、持っているスキルを磨き上げ、いつでも社会に提供できる準備をしておくことが肝要です。単にタスクをこなす日々から脱却し、社会に役立つ技術者を目指しましょう。与えてもらう人から、与える人になれるようがんばるということですね。
論文
本日の添削LIVEは、令和7年度 建設部門 必須科目Ⅰの予想問題「労働力不足×維持管理」をお届けします(問題文はコチラ)。労働力不足と維持管理は、どちらも注目テーマです。これらが詰まった問題に取り組むことは、試験当日において必ずやみなさんの助けとなることでしょう。それでは、早速論文を見ていきましょう。
1.多面的な観点と課題
①マネジメントの観点:「群マネ」の推進
技術系職員数5名以下の市町村が、全体の約半数を占めるなど、地方自治体の維持管理体制は脆弱である。また、維持修繕業務は、小規模・分散型であり、受注者の利益向上も難しいため、担い手の確保が進まない。そこで、行政区域や施設の種別を超え、インフラを群として捉え、官民双方のスケールメリットや効率化を図ることが重要である。よって、マネジメントの観点から「群マネ」の推進が課題である①。
① パラグラフの構成、構文とも申し分ないです。ただ、観点がマネジメント、課題が地域インフラ群再生戦略マネジメントになっているので、結論が重複気味です。もう少し広くとらえて、「仕組み面の観点」としてはいかがでしょうか。
②量の観点:インフラの集約・撤去
建設後50年を超える施設の量は、今後加速度的に増加する。他方、人口減少や、まちづくりの変化により、役割を終えた施設、住民ニーズと合わない施設も存在する。そのため、これら施設の必要性を見直し、維持すべき施設量の適正化を図る必要がある。よって、量の観点から、インフラの集約・撤去が課題である②。
② これも構文は良いのですが、課題設定が重複していると思います。国交省による群マネの定義には、施設の更新や集約・再編、新設を組み合わせた検討により効率的・効果的にマネジメントするとされています。よって、集約・再編(撤去含む)は最初の課題に含まれると考えます。
③官民連携の観点:住民参加型の維持管理
維持管理は、行政の体制や予算の制約に応じた計画に沿って実施されるため、要望や苦情等の住民ニーズに、行政が十分対応できない面がある③。そこで、施設の見守りや、清掃活動等を両者が協働し、効果的にインフラを維持④する必要がある。よって、官民連携の観点⑤から、住民参加型の維持管理の構築が課題⑥である。
③ 一文中に異なる主語が存在しているので、一回切ると良いと思います。→「維持管理は、行政の体制や予算の制約に沿って実施される。このため、行政は要望や苦情等の住民ニーズに、十分対応できない面がある」
④ 足りない労働力を住民のボランティアで補っているようにしか見えず、なぜ効果的なのかよく分かりません。住民による管理は素早く対応できる、不具合を早期発見できるなど住民が管理することによる効果、目的を背景で示唆した方が良いと思います。
⑤ 官民連携というと、民間事業者・企業が想起されます。住民参加ということであれば、「体制面の観点」ですかね。
⑥ 維持管理の構築との表現に違和感があります。構築するのであれば、維持管理体制まで言うべきでしょう。しかし、⑤のとおり体制面を観点とした場合、重複してしまうので見出しにあるように「住民参加型の維持管理が課題」としてはいかがでしょうか。
2.最も重要な課題と解決策
国が主導するモデル地域での取組成果を、同様の課題を抱える自治体へ、展開・波及させることができるため⑦、「群マネ」の推進を最も重要な課題とする。
⑦ 理由というより、課題に対する解決策に見えます。多様な分野に応用可能、取り組みやすい、短期間で効果が発現など他の課題と比べて優位な点を理由とすると良いでしょう。
解決策①:発注者の広域連携
自治体の業務発注負担を軽減するため⑧、広域連携を進める。施設点検や、長寿命化計画といった、自治体共通の業務を、代表自治体が一括発注する⑨。また、連続性や管理水準の類似性がある道路施設などの補修設計・工事発注を近隣自治体で一括化する⑩。なお、形態⑪は、市町村同士の水平連携、都道府県と市町村の垂直連携等を、業務内容や地域特性に応じて検討⑫する。
⑧ 代表自治体の負担は増えませんか。代表自治体のメリットも考えると、目的はコスト縮減ですかね。
⑨ ⑧のとおり代表自治体の負担だけが増えてしまうように見えます。連携は、双方にメリットがないと実現しないと思います。やってもらう方は、事務費として負担金を払うなどの仕組みを説明しないと説得力に欠けます。
⑩ 業務の内容や代表自治体を設定するといった違いはあるものの、⑨と同じような内容に見えます。
⑪ 体制ですかね。
⑫ ちょっと抽象的で、これらが体制を決めるうえでどのような影響を与えるのかよく分かりません(特に地域特性)。体制を決定する上での要素は、連携を図る目的(コスト、人手不足、技術力、人材育成、)や対象となる施設の管理者(県含む、市町村のみ)も影響するのではないでしょうか。
解決策②:分野横断連携の推進
業務の規模拡大による効率化を図るため、施設の分野横断連携を進める。具体的には、種別の異なる施設を対象に、包括的民間委託を導入する。例えば、道路・河川・公園の維持工事に、照明灯修繕や樹木剪定業務等を加え、建設・電気・造園業のJVによる包括契約を行う⑬。これにより、業務発注の省力化に加え、人員や資機材の応援など、受注構成員の相互協力による業務の効率化が図られる。
⑬ 管理者が異なる施設の横断連携なのか、異なる工種を一括することを横断連携としているのかよく分かりません。「具体的には」以降の内容を踏まえると前者のように感じます。連携とありますので、さすがになんでもかんでも混ぜこぜにして、発注規模を大きくするでは乱暴だと思います。包括委託するにしても、施設や業務内容に一定の類似性が必要ではないでしょうか。
解決策③:性能規定化、複数年契約の導入
上記①、②を効果的に進めるため、性能規定化、複数年契約を導入する。施設管理水準の確保を求める性能規定化により、個別現場の協議時間や、出来型図書等の作成・確認時間を縮減する。また、複数年契約の導入によって、受注者が将来の業務量を見通せるため、新たな人材確保への意欲が向上する⑭。これらを上記①②と組み合わせ、より効率的、効果的な維持管理へと転換する。
⑭ なぜ新たな人材確保なのでしょうか。新しく確保するというより、人員や機械の計画的な確保が可能になるといった側面が事業者にとってのメリットではないでしょうか。また、仕様発注ならその通りなのですが、性能発注にするのであれば業務量は不確定要素ではありませんか。
3.新たなリスクと対応策
自治体の連携による一括発注では、規模の大きい自治体が発注者となるため⑮、小規模自治体の技術力が更に低下するリスクが発生する。対策として、連携自治体間の維持管理プラットフォームを構築する。具体的には、施設点検・診断・補修技術の研修等により、ノウハウの共有を図る。加えて、点検・診断・補修履歴のデータベースを共有し、劣化予測や補修対策の検討に活用する⑯。これにより、小規模自治体における予防保全の技術力向上を図る。
⑮ 特定の対策に対するリスクではなく、すべての課題を実行して生じるリスクとして記述しましょう。例えば、「発注機会の減少により」、「他自治体や事業者の技術力に大きく依存するため」など共通化した理由にするなどが考えられます。
⑯ データベース化するとなぜ技術力が向上するのか、その仕組みがよく分かりません。
4.術者倫理と社会持続性の要件・留意点
業務にあたっては、社会全体の公益確保と安全・安心な社会資本ストックの構築が、技術者倫理の要件である。例えば、性能規定の導入では、管理瑕疵や事故件数の推移・原因等を調査し、管理水準の検証と適切な設定に留意する⑰。また、社会持続性の観点では、環境への配慮を要件とする。例えば、予防保全による施設の長寿命化や、LED等の低環境負荷製品への更新、再生可能エネルギーの活用などに留意する⑱。以上
⑰ これは要件の例示として記述しているのですよね。いつの間にか留意点に変わってしまっています。接続詞を「例えば」ではなく、「このため」にしてはどうでしょうか。
⑱ ⑰と同様。