出題予想ランキング 国交省R5予算を詳細に分析します
【 技術士 二次試験対策】
過去問と国交省R5予算を分析し、出題問題を予想したところですが、大反響がありましたので第2弾やります。今回は、結局どれが出るんだよという書きぶりでしたので、国交省予算額・前年度比、過去問の傾向、社会背景等を踏まえ、出題予想をランキング形式でまとめてみました。
ランキングの前に、その根拠となる国交省R5予算を見ていきましょう。前回は基本方針しか解説していませんでしたので、今回は予算額を確認しながら予想を立てていきましょう。
3本柱の1本目「安全・安心」を見てみましょう。
予算額で一番大きい数字は、「(4)地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援(防災・安全交付金)」の項目になります。ただし、括弧書きにあるように、この予算は自治体への交付金(補助金)なので、国の”やる気”を見定めるパラメーターにはなりません(補助金は無視)。
次に大きい数字は、「(3)インフラ老朽化対策等による持続可能なインフラメンテナンスの実現」の7,388億円です。インフラの維持管理費なので大きい数字になるのは理解できますが、補正込みの伸び率は1.24倍と微増です。
インフラメンテナンスに次いで、防災・減災カテゴリーにある「(a)あらゆる関係者により流域全体で行う「流域治水」の本格的実践」に5,406億円が計上されています。インフラ整備が伴う予算なので、予算額が大きくなるのは当たり前なので、重要性を額だけで評価するのは危険ですが、R4補正額と合わせると前年比1.4倍となっておりことから、力を入れている事業とみて間違いないでしょう。
3本柱の2本目「経済社会活動」はどうでしょうか。
この分野で(補助金を除いて)一番大きい額は、ストック効果カテゴリーにある「(a)効率的な物流ネットワークの早期整備・活用」の3,627億円です。しかし、補正を合わせても1.06倍と前年と同様といった額になっています。
一方で、大きな伸びを見せているのが、GXカテゴリーにある「(a)ZEH・ZEBの普及や木材活用、ストックの省エネ化など住宅・建築物の省エネ対策等の強化」です。R5予算額は小さいものの、補正と合わせる2.55倍の予算となっています。また、土木と建築それぞれに関係する事業なので、出題しやすいと考えられます(都市及び地方計画における選択科目でも、建築よりの問題は一つは出題されます)。さらに、木材活用は、令和6年度からは森林環境税(1,000円)が課税されるので、社会背景からいっても出題されやすいと考えます。
「経済社会活動」の続きになります。後半は、予算規模が小さいものが列記されています。しかし、この中にも、着目すべき事業が潜んでいます。
大注目は、観光立国の復活カテゴリーにある「(a)地方経済・雇用を支える観光立国の復活に向けた施策の推進」です。伸び率が8.43倍と他を寄せ付けないほどの高い数値です。額自体も、大きなインフラ整備が伴わないことを勘案すれば、破格の金額ではないでしょうか。ポストコロナを見据え、国が本気で力を入れている事業とみて問題ないでしょう。
同じように、DX関連事業が大きな伸び率(補正を含めたもの)を示しています。しかし、R5の当初予算分のみで見れば0.77と下降気味であること、もともと額が小さいので伸び率に過度な注目をするのは危険であることから、次点といったところですかね(昨年も出題されていますし・・・)。
最後の柱は、「分散型国づくり」です。
ここで着目すべきは、デジタル化による地域活性化関連が重要と考えられます。
予算額は、小さいですが「(d)スマートシティの社会実装の加速」が伸び率も高く、国の意気込みが感じられます。ただし、これも予算額が小さいので、出題されるかと言われると信憑性が低いと考えます。また、必須課題Ⅰでの出題となると、話題として狭すぎるといったことも気になります。
このカテゴリーで予算額が群を抜いているのが、「(f)地域・拠点の連携を促す道路ネットワークの整備」です。これは、整備費になるので額が大きくなるのは当たり前ですが、この額の大きさと共に伸び率も1.43倍を示していることから、重要な事業と考えて良いと思います。ただ、これもスマートシティー同様、ちょっと話題として狭すぎるかなぁ・・・。カテゴリーを一つ上げるとデジタル化ですし、地域活性化という枠組みでくる可能性はありますね。
では、これらの状況を踏まえ、ランキングを作って見ましたので、解説していきます。
第1位 「観光立国」
●国交省予算額・前年度比
インフラ整備が少ない中で、2,000億円弱の予算を持っている。
前年度比8.43倍と驚異的な伸び率をマークしている。
●過去問トレンド
産業関連問題は、しばらく(2年間)出題されておらず、満を持して登場の可能性が高い。
2年間はコロナ禍だったので、観光を見送っていた可能性が高い。
●社会背景
ポストコロナを迎え、観光産業の回復は経済復活の起爆剤になり得る。
オーバーツーリズムといった懸念事項も抱えており、問題にしやすい。
第2位 「GX」
●国交省予算額・前年度比
2,500億円と予算額は中位であるが、前年度比2.55倍となっている。
木材利用を促す森林環境譲与税の効果を考えれば、予算以上の推進体制である。
●過去問トレンド
環境関連の問題が3年連続して出されるのかが唯一引っかかる点である。
●社会背景
ウクライナ危機によりエネルギー供給不足であり、省エネ等の取り組みが求められている。
白書も脱炭素社会に関する記載が多い。
第3位 「防災(流域治水)」
●国交省予算額・前年度比
防災合計の予算額は、ぶっちぎりのトップである。
流域治水単独で見ても、7,500億円と上位クラスである。
伸び率も1.41倍と堅調に増加している。
●過去問トレンド
1年おき出題に根拠はないが、重要な施策であることは疑いの余地がない。
流域治水に絞った出題でも、トピックがたくさんあるので限定してくる可能性もある。
●社会背景
水害に関する被害は、年々頻発化・激甚化している。
流域治水の機運が高まっている。
盛土による土砂災害が注目され、規制強化が進められている。
第4位 「持続可能なインフラメンテナンス」
●国交省予算額・前年度比
小項目事業としては、9000億円弱と最大規模の予算額である。
伸び率は、他と比較すると1.24倍と地味な印象である。
●過去問トレンド
過去に出題されており、しばらく(2年間)出題されていない。
ICT関連とミックスして出題される可能性もある。
●社会背景
国交省では、インフラメンテナンスは第2フェーズに入ったと見解を示している。
ICT関連技術により、メンテナンス技術も飛躍的に進化している。
以上が、私の所見になります。必須科目は2問の中から選択するので、この4つはどちらかには出題されると思います。無理やりプライオリティーをつけてみましたが、結論は変わらず全部論文を作っておきましょう!です。