添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
最初の10分が勝負の分かれ目
いよいよ7月に突入です!いきなり暑い日が続いているので、体調管理だけは十分注意してくださいね。最高のコンディションで、最高のパフォーマンスを発揮しましょう。試験直前は、早く自分の実力を示してやりたいとワクワクする気分まで持っていけると120%の力を発揮することができます。
本日は、このプロセスの話は一旦置いておいて、試験当日のテクニックについてご紹介したいと思います。試験当日は、とても緊張しますので、冷静さを失い焦りや不安が押し寄せます。これに飲み込まれると実力の半分も出せません。これを防ぐためにも、初動は機械的な行動を意識すると良いです。
具体的に言うと、必須科目Ⅰは何も考えずに以下のタスクをこなしましょう!
- すべての問題をナナメ読みする
★ガッツリ読まないで題意だけを確認! - 練習論文に類似している問題をチョイスする
★練習論文をチョイスして合理的に論文作成! - 選択した問題をガッツリ読む(分かりづらいところは繰り返し読む)
★問題を正しく理解することが何より重要! - 問われていること、問題の条件に下線を引く
★作業が伴うことで理解が促進される! - 余白に骨子を5分で書く(観点&課題×3、解決策×3、キーワード)
★骨子は思考を整理する補助作業、サクッと書く! - 骨子が題意を外していないかチェックする
★骨子の段階でチェックして手戻り防止! - 論文を書く!
このタスクを10分でこなします。この10分にどれだけ集中できるかが合格へのカギです。ここで10分を超える時間を費やすと、時間切れ、最終チェックができない、時間に追われ焦るなど試験を難しくする状況に陥ります。
ただし、10分にこだわるあまり、問題文をよく読まない、骨子も思いつくままでは本末転倒です。このため、この10分に全力を投じ、持てる限りの集中力を発揮しましょう。まさに、初動が正念場と言えます。正しい理解と思考の整理、これこそが勝利のカギです。
「労働力不足×維持管理」 初稿
本日の添削LIVEは、建設部門 必須科目Ⅰ 予想問題「労働力不足×維持管理」を2本立てでお送りします。このテーマの論文は、もう用意してありますよね。まだの人は急いで~、もう書いたという人は本投稿と見比べて、ご自身の論文をさらに推敲してみましょう。少しでも違和感を感じたら、目を皿のようにして改善策をひねり出しましょう。改善策が分からない人は、投稿をお待ちしています。それでは、早速論文を見ていきましょう。
1.インフラ施設を適切に維持管理するための課題
1.1 マネジメント体制の構築
市区町村の内、技術系職員が0人の割合は全体の25%を占める。慢性的に土木技術系職員が不足している中で市区町村単独での維持管理は①困難な状況にある。このため近隣自治体や民間との連携を強化する必要がある②。従って、連携の観点から、マネジメント体制の構築が課題③である。
① 細かい話ですが、何を維持管理するのかをしっかり描きましょう。→「・・・中で、市区町村が単独でインフラを維持管理することは」
② 「連携」は結果で使うので、意味を変えずに別の言葉に変えてしまいましょう。→「協力関係を構築する必要がある。」
③ マネジメントが何かよく分からないです。文脈から読み取ると、観点と課題は逆にした方が良いのではないでしょうか。→「体制面の観点から、多様な関係者との連携が課題」
1.2 新技術の活用促進
我が国のインフラは、今後20年間で建設後50年を迎える施設が加速度的に増加する。一方、高齢者の大量離職が見込まれているなど担い手不足は深刻である④。少人数で多くのインフラを維持管理する必要があり、効率化⑤が必要不可欠である。従って、効率の観点より、新技術の活用促進が課題⑥である。
④ これらの内容は、問題文と重複していませんか。結果が新技術なら、この背景を記述すべきではないでしょうか。
⑤ 何の効率化ですか。明確にしましょう。
⑥ 新技術では、さすがに抽象的です。もう一歩踏み込んだ技術を提起しましょう。例えば、デジタル技術、ICT技術、無人化技術などが考えられます。また、①のとおり、突然新技術がでてくるため、なぜ新技術なのかという疑問が生じ説得力に欠けます。
1.3 施設の集約・再編
人口減少に伴い税収も減少する中で、既設インフラの全てを維持・更新することは困難である。限りある財源や技術者の中で⑦適正な維持管理を実行し、安全・安心を確保するためには、管理する必要のある施設を見極めることも重要である⑧。従って、量の観点⑨から、施設の集約・撤去が課題⑩である。
⑦ →「財源と技術者で」
⑧ 一文が長く、読みづらさを感じます。また、「施設を見極める」との行動も分かりづらく、見極めて終わり?という印象を持ちます。→「・・・で、今後も安心安全を確保するためには、人口規模等に応じたインフラ施設の適正配置が求められる」
⑨ 量の観点がよく分かりません。将来にわたって、安心安全というニュアンスがあるので、「持続可能性の観点」などいかがでしょうか。
⑩ 見出しと異なっています。見出しの表現が好ましいですね。
2.最も重要と考える課題と複数の解決策
他の課題と比べ、多様な分野に応用可能で効果が大きいため⑪、「マネジメント体制の構築」を最も重要と考える。
⑪ 他の課題でも、他分野にも応用可能です。また、なぜ効果が大きいと考えたのでしょうか。ここを書くべきです。主観的な理由になっており、釈然としません。
2.1 広域・分野横断的な連携
広域連携、他分野連携を推進し、効率的・効果的な維持管理を実行する。広域連携には、都道府県と連携する垂直連携、近隣自治体と連携する水平連携がある⑫。水平連携を有効なものとするため、代表自治体を選定し司令塔機能を設ける⑬。他分野連携では、道路・河川・公園など一般的に管理部署が複数に跨っている施設を、一体的に維持管理する⑭。これにより、持続的に管理できる体制を構築する⑮。
⑫ 連携手法を紹介する必要はなく、やること(解決策)を書きましょう。やることは、前述にあるように連携を進めて業務の効率化を図ることです。
⑬ この内容は解決策としての記述になっているものの、水平連携を有効にすることが目的になっているのが気になります。水平か垂直かは状況に応じて選択すればよく、ここで必要なのは連携機能を確実に発揮させるために司令塔を設けるといったことを主張すべきではありませんか。また、もう少し具体的な連携事例が欲しいところです。
⑭ これも理屈は分かりますが、ではどうやって一体的な管理を行うのかといった記述がなく、具体性(技術的視点)が欠けています。
⑮ これを目的にした解決策なのですから、当然の帰結と言えます。不要。
2.2 包括的民間委託
包括的民間委託を行い、官民双方の効率化を推進する。従来、各担当課で発注していた複数の業務・施設を包括することで発注業務が効率化される。加えて、発注にあたり性能規定を設けることで、受注者が効率化するインセンティブが生まれる⑯。これらにより民間活力を最大限に生かしたマネジメント体制を構築⑰する。
⑯ ここは、解決策を書くパートです。効果や仕組みをメインに書くのではなく、やること(解決策)として書きましょう(効率化する、インセンティブを付与する)。解決策のパートは、目的→やること→具体例といった流れで書くと良いでしょう。前項もそうですが、具体的な手段や例示がないですね。技術力を示すためには、この具体的な記述が重要になります。
⑰ この内容は、体制構築の話なのでしょうか。発注方式の変更なので、仕組みや制度のように感じます。
2.3 共通データベース整備
広域連携や包括的民間委託を推進するにあたり、関係者が閲覧・利用できる共通データベースを整備する。道路・橋梁・舗装等各種台帳、完成図や点検結果を同一様式で保管・記録する。データ品質の偏りを最小化できる⑱ことに加え、技術開発のスケールメリットが生まれる⑲。これにより、データを最大限活用したマネジメント体制を構築する。
⑱ なぜデータ品質の偏りが小さくなるとは一体どのようなことなのでしょうか。データ品質とは何かもよく分かりませんし、仕組みも説明がありません。
⑲ これも⑱と同様、技術開発とは何の技術なのか、スケールメリットとは何か、なぜこのメリットが発生するのかといったことが分かりません。
3.新たに生じうるリスクと対策
(1)代表自治体の負担増
水平連携では代表自治体に発注者機能を集約するため⑳、代表自治体職員の負担が増加するリスク㉑がある。この対策として、事前のリソースの取り決めが挙げられる。参画自治体は対象施設数等に応じ、費用や人材を負担し、持続的に運営できる組織を構築する。
⑳ 説明もされていないことがいきなり前提になっていることに違和感があります。
㉑ 個別の解決策のリスクを設定していることに違和感があります。全体としてのリスク設定であることが望まれます。この内容であれば、解決策のパートに織り込むべきです。例えば、調整や意思決定に時間がかかる、責任分担が不明確になる、地域ごとの課題解決が不十分にあるなどが考えられます。
(2)業務不履行の見過ごし発生
包括的民間委託では㉒、仕様規定ではなく受注者の裁量が大きいことに加え、他分野の施設を業務対象物とする。このため受発注者双方とも業務不履行に気づかず見過ごすリスクがある。この対策として、モニタリング手法の確立が挙げられる。受注者によるセルフチェック、定例会議、第三者モニタリングなどチェック機能を多重化することで、適正な業務履行を実現する。
㉒ ㉑と同様。
4.業務遂行にあたっての要件・留意点
4.1 技術者倫理の観点:幅広い領域から事業者が参画することが予想される㉓。公正かつ誠実な履行が最優先である㉔ことに留意し、事業者は自社の利得を優先しないことが要件である㉕。
4.2 社会の持続可能性の観点:持続的な社会の繁栄には科学技術のイノベーションが必要である。社会インフラは民間技術開発のフィールドであることに留意し、維持管理のデータは極力オープン化することが要件㉖である。以上
㉓ 何への参画なのか、なぜ予想されるのか、説明不足で何を言いたいのかよく分かりません。
㉔ 技術士の倫理上、これは最優先事項ではありません。
㉕ あなたが業務を遂行する上での要件であって、事業者の要件は聞かれていません。
㉖ 解決策ではオープンデータ化に言及しています。この解決策(業務)を遂行する上での要件を書きましょう。
「労働力不足×維持管理」 チェックバック①
(1)課題の抽出
1)多様な関係者との連携
市区町村の内、技術系職員が0人の割合は全体の25%を占める。慢性的に土木技術系職員が不足している中で、市区町村単独でインフラを維持管理することは困難な状況にある。このため近隣自治体や民間との協力関係を構築する必要がある。よって、体制の観点から、多様な関係者との連携が課題である。
2)デジタル技術の活用促進
限られた人員で多くのインフラを維持管理していくためには、維持管理の効率化・高度化が必要不可欠である①。その際、ICT・AI等のデジタル技術の活用は有効②である。しかし、インフラの点検・診断への新技術導入状況③は、政令市を除く市区町村では40%程度と低い。よって、効率の観点より、デジタル技術の活用促進が課題④である。
① いきなり、効率化・高度化が必要と言われても「何でですか」となってしまいます。順序だてて説明する必要があります。課題のパラグラフは、①現状→②問題点→③必要性→④結論の順で述べると良いと思います。また、限られた人員で維持管理が必要であることは、問題文中に述べられています。結論を踏まえると、もっとデジタル技術の進展からアプローチしてはどうでしょうか。
② なぜ有効だと考えたのですか。また、結論がデジタル技術の活用促進なので、ここは別の言葉を使った方が良いと思います。よって、デジタル技術は不要。
③ 新技術とは何ですか。デジタル技術のことですか。
④ 観点も課題も背景と重複しており、何度も同じ説明をしているように見えます。
3)施設の集約・再編
人口減少に伴い税収も減少する中で、既設インフラの全てを維持・更新することは困難である。限りある財源と技術者で、今後も安心安全を確保するためには、人口規模等に応じたインフラ施設の適正配置が求められる。よって、持続可能性の観点から、施設の集約・再編が課題である。
(2)最も重要と考える課題と複数の解決策
地方自治体の自立を促す持続的な取組であるため⑤「多様な関係者との連携」を最も重要な課題と考える。以下に解決策を示す。
⑤ 連携するとなぜ自立するのですか、持続的な取り組みとはどのような行動なのですか。理解できません。仮にこれの意味が理解できたとしても、これは多様な関係者との連携の効果であり、最も重要だと考えた理由には見えません。
1)メンテナンスセンターの設置
効率的・効果的な維持管理を実行するために広域連携、他分野連携を推進する。この連携機能⑥を確実に発揮させるための司令塔機能⑦として、県や中核市にメンテナンスセンターを設置する。具体的には、橋梁点検等自治体共通の業務をセンターへ委託し、センターが一括で発注する⑧。この際、参画自治体は対象施設数等に応じ、費用や人材を負担し、持続的に運営できる組織を構築する⑨。
⑥ この機能とは、何を指しているのでしょうか。
⑦ 「機能を発揮させる・・・機能」という構文に違和感があります。
⑧ センターは、組織なのでしょうか。誰が委託するのですか。センターは何をやるのですか。センターへ委託しセンターが発注では、ただ点検等を横流し(丸投げ)しているように見えます。説明が不十分で誰が何をやるのかが分かりません。
⑨ 「参画」とは何に参画しているのですか。委託なのに人材を負担するのですか。この際とあるので、ここでいう組織とはメンテナンスセンターとは別の組織なのですか。説明不足で、全く理解できません。さらに、分野横断はどこへ行ってしまったのですか。
2)包括的民間委託
官民双方の効率化を推進することを目的とし、包括的民間委託を行う⑩。従来、各担当課で発注していた複数の業務・施設を包括し発注することで発注業務を効率化する。発注にあたり性能規定を設け、受注者が効率化するインセンティブ⑪を設ける。具体的には、要求水準が達成されれば実施数量を問わない総価契約を適用し、受注者の創意工夫や技術開発を促す。
⑩ 以前にも指摘しましたが、これは観点にある体制の話ではありません。また、解決策も関係者との連携となっていますが、これは連携(互いに連絡をとり協力して物事を行うこと)ではなく発注方式の話です。
⑪ インセンティブとは動機ですよね。性能発注ですから、ガチガチに仕様で業務を縛るのではなく、工夫できる余地や裁量を与えるといったことではありませんか。
3)共通データベース(DB)整備
現状、台帳や点検・補修結果等の様式や保管方法は、自治体や担当部署ごとにさまざまであり、一元的な管理ができない⑫。広域連携で活用することを目的とし、共通DBを整備する⑬。DBは既に整備が進んでいる国土交通DPFやX-ROADを活用し、必要に応じ各管理者のニーズに応じ追加整備⑭する。共通DBに登録するデータは、道路基本施設情報、センサー等により取得した点検データ、措置を講じた後の写真や点群など補修データなどが挙げられる⑮。
⑫ ここは解決策を書くところです。現状や問題点の記述は、好ましくないです。不要。
⑬ 共通データベースというより、多様な関係者との連携ですから、インフラ情報のオープンデータ化といった解決策としてはいかがでしょうか。インフラの点検・維持管理データをオープン化することで、民間企業、研究機関、大学など自治体に限らずデータを活用することができれば、より効率的なメンテナンス手法を開発できる可能性もあり、新たな連携の促進につながると思います。
⑭ 何を追加整備するのですか。
⑮ 課題は連携ですから、何をデータベース化するかではなく、データベースをを使ってどのように連携するかといった記述が必要だと考えます。この記述だけですと、なんでこのデータの登録が必要なのかが分かりません。
(3)新たに生じうるリスクと対策
1)情報漏洩元の特定困難リスク
施設管理者、受注者、研究機関と多様な関係者がインフラメンテナンスに参画するため、情報漏洩した場合、漏洩元が特定しづらくなるリスク⑯がある。この対策として、アクセス管理の徹底が挙げられる。オープンデータ化するもの、アクセス制限を設けるものを仕分けする。加えて、制限付きデータはログイン制とし、アクセス管理を徹底する⑰。⑱
⑯ 仮定の条件下におけるリスクであることに違和感があります。また、後述の責任の所在不明リスクと同じような印象も受けます。
⑰ 前述の内容と重複しています。不要。
⑱ これらの対策は情報漏洩の防止対策であり、漏洩元を明確にするための対策に見えません。
2)責任の所在不明リスク
広域連携により点検・補修した施設で、崩落⑲などトラブルがあった際、責任の押し付け合いが発生するリスクがある⑳。この対応策として、広域連携主体間で事前に、管理主体・維持管理費用負担・緊急対応責任を明確に取り決めることが挙げられる。
⑲ 対象施設も例示されていないのに崩落といった現象だけが例示されていることに違和感があります。
⑳ 責任の所在は、点検・補修の発注者や受注者ではありませんか。どのようなシチュエーションなのかよく分かりません。
(4)業務遂行にあたっての要件・留意点
技術者倫理の観点で必要となる要件は、公益・安全・健康・福利の優先である。社会持続性の観点で必要となる要件は、環境・経済・社会における負の影響の低減㉑である。業務の各段階において、これらを意識することに留意する。 -以上-
㉑ 負の影響とはなんでしょうか。