添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
インフラメンテナンスは深い理解が必要
令和8年度の技術士二次試験では、インフラメンテナンスが最重要テーマの一つになると考えられます。国土交通省が公開している「インフラマネジメント戦略小委員会」の資料(資料はコチラ)を読むと、国が今後どの方向に舵を切ろうとしているのかが明確に示されており、論文作成において非常に有用です。
国が示す「インフラマネジメントの大転換」を理解する
資料では、インフラ老朽化が加速する中で、従来の「事後保全中心」から「予防保全・戦略的更新」へと大きく転換する必要性が強調されています。特に以下の点は論文で必ず触れておきたいキーワードです。
● 予防保全の徹底
点検結果に基づく計画的な補修・更新を進め、ライフサイクルコスト(LCC)最小化を図るという考え方です。
● ストック効果の最大化
既存インフラを賢く使い、地域の価値向上や防災力強化につなげるという視点が求められています。
● 人口減少時代の持続可能なインフラ
資料では、人口減少・財政制約下での行政運営のあり方が示されており、インフラの「選択と集中」や「最適化」が重要テーマとして扱われています。これらは技術士論文の背景説明(課題の俯瞰)で非常に使いやすい要素です。
現状の課題を「構造化」して示す
技術士論文では、課題を単に列挙するのではなく、構造的に整理して示すことが評価につながります。国交省資料では、以下のような課題が示されています。
● 老朽化の進展
高度経済成長期に整備されたインフラが一斉に更新時期を迎えている。
● 財政・人材の制約
自治体の技術職員数は減少し、維持管理に必要な予算も限られている。
● 点検・データ管理のバラつき
自治体ごとに点検水準やデータ形式が異なり、広域的なマネジメントが難しい。
● DX・ICT活用の遅れ
センサー、ドローン、AI診断などの技術が普及しつつあるが、現場への導入はまだ途上。
これらを「技術的課題」「制度的課題」「運用面の課題」などに分類して示すと、論文としての説得力が高まります。
解決策は「国の方向性」と整合させる
技術士論文で最も重要なのは、課題に対する解決策が国の政策と整合していることです。
国交省資料では、今後の方向性として次のような施策が示されています。
● インフラDXの推進
- 点検の省力化(ドローン、ロボット、画像解析AI)
- データの標準化・共有化(BIM/CIM、デジタルツイン)
- 維持管理の高度化(予測型保全)
● 官民連携の強化
- 民間技術の活用
- 包括的民間委託(包括管理方式)
- 地方自治体の広域連携
● スマートメンテナンスの実現
- センサーによる常時モニタリング
- 劣化予測モデルの活用
- 更新時期の最適化
● 地域特性に応じたインフラの最適化
- 施設の統廃合
- 多機能化
- 利用状況に応じた更新判断
これらの方向性を踏まえたうえで、自分の専門分野に即した解決策を提示することが、合格答案の必須条件になります。
技術士論文で押さえるべき「書き方の型」
インフラメンテナンスの論文では、以下の構成が最も安定して高得点につながります。
【1】背景・課題の俯瞰
- 老朽化の進展
- 人口減少・財政制約
- 点検・データ管理の課題
- DX活用の遅れ
などを国交省資料を踏まえて整理。
【2】課題の深掘り(原因分析)
- 点検の属人化
- データの非標準化
- 更新判断の不透明性
- 技術者不足
など、構造的に整理して示す。
【3】解決策(政策と整合)
- DX・ICTの導入
- データ標準化
- 官民連携
- 予防保全の徹底
- ストック効果の最大化
など、国の方向性と一致させる。
【4】期待効果
- LCC削減
- 安全性向上
- 維持管理の効率化
- 地域価値向上
など、定量・定性的に示す。
この「背景 → 課題 → 解決策 → 効果」の流れは、技術士試験で最も評価される構成です。
令和8年度の合格答案は「政策理解 × 技術的提案」
令和8年度の技術士試験では、インフラメンテナンスが中心テーマになる可能性が高いと考えられます。国交省の資料 を読み解くと、国が求める方向性は明確であり、論文では次の3点を押さえることが重要です。
- 国の政策(予防保全・DX・最適化)を理解していること
- 現場の課題を構造的に整理できること
- 政策と整合した実現性の高い解決策を提示できること
この3点を踏まえて論文を構成すれば、合格答案に必要な「専門性」「俯瞰力」「実務能力」を十分に示すことができます。
みなさんもインフラメンテンスの論文をすぐに用意して~
「労働力不足×維持管理」
ということで本日の添削LIVEは「労働力不足×維持管理」をお送りします(問題が掲載されている過去記事はコチラ)。インフラメンテンスは昨年度に出題されると思っていましたが、片割れの労働力不足の方だけでした。よって、もう一つのテーマ維持管理は令和8年度大注目というわけです。そのものズバリの出題でなくても、維持管理は誰しもが必要となる知識ですので、徹底的に理解しましょう。それでは早速論文を見ていきましょう。
(1) インフラ施設を適切に維持管理するための課題
1)広域的な視点での維持管理(体制面の観点)
我が国では、将来のメンテナンス費用削減①等を目的として、予防保全型の維持管理に転換②を図っているが、いまだ道半ばであり、事後保全段階にある施設も多数存在している③。一方で、現状の維持管理は、労働力が不足する中、自治体やインフラの分野ごとで個別の管理を行う非効率的な体制で行われている。よって、体制面の観点から、個別の施設や行政区域に捉われない、広域的な視点での維持管理が課題④である。
① 現状際限なく投資できるなら、将来の費用削減はいくらでも可能です。ライフサイクルコストの削減ではありませんか。
② →「予防保全による維持管理への転換」
③ 一文が長いです。主語が変わるところで一回分を切りましょう。
④ この課題であるなら、予防保全云々はあまり関係ないのではありませんか。結論を導く(関係の深い)背景を書きましょう。また、個別の施設に捉われないという意味が理解できません。おそらく分野横断の話をしたいのでしょうが、そうであるなら課題は広域的な視点と限定されており不整合になっています。
2)魅力的な職場環境づくり(労働力確保の観点)
インフラメンテナンスを持続的に行っていくためには、担い手となる新規就労者を継続して確保していく必要がある。一方で⑤、建設業の新規就労者は他産業と比較して少ない。これは、「きつい、汚い、危険」の3Kイメージが原因の一つである。よって、労働力確保⑥の観点から、魅力的な職場環境づくりが課題である。
⑤ 逆接ではありませんか。
⑥ 確保まで書いてしまうと解決策に見えます。
3)新技術導入の支援体制構築(効率化の観点)
労働力が不足する中、適切な維持管理を行っていくには⑦、効率化を図る必要がある。これを実現するには、維持管理の新技術を活用することが有効である⑧。一方で、技術系職員が5人以下の市区町村は約5割あり、自治体によって技術力に差異が生じている。そのため、新技術の有効的な活用方法⑨が判断できない場合がある。よって、効率化の観点から、新技術導入にあたっての支援体制の構築が課題⑩である。
⑦ 課題へのアプローチが前項と同じになっています。違う視点からのアプローチが望まれます。
⑧ 解決策を述べているように見えます。また、新技術との表現は曖昧です。新技術は効率化のみが効果ではありません。
⑨ 重複表現です。
⑩ 体制が課題なのに、効率化といわれても釈然としません。根幹は効率化なのでしょうが、あまりに課題とかけ離れています。効率化を図るのであれば、シンプルに新技術(←具体化の必要はあります)の導入で良いのではないでしょうか。
(2) 最重要課題と解決策
「広域的な視点での維持管理」が最も重要な課題と考える。なぜなら、増加する老朽化施設に早急な対応が必要であり、当課題の取組が維持管理に直接的に結びつく⑪からである。
⑪ なぜ直接的なのか、むしろ体制づくりは間接的に感じます。また、早急な対応とありますが、体制作りは時間がかかるのではないでしょうか。事柄と理由がミスマッチに見え、釈然としません。
1)自治体の連携
複数の自治体が連携して、インフラメンテナンスを実施する。連携体制としては、都道府県が主体となって複数の市区町村を束ねる垂直連携か、複数の市区町村が束となって連携する水平連携を組む⑫。これにより、技術系職員が少数の自治体でも、技術的な知見や維持管理の手法を補完することができ、効率的な維持管理計画の策定⑬が可能となる。
⑫ どういう体制なのかよく分かりません。また、「連携する水平連携」、「連携を組む」といった表現に違和感があります。
⑬ 解決策はメンテナンスを実施することであるにもかかわらず、いつの間にか計画策定になっています。また、効率化されるのは、技術系職員が少数の自治体のみに見えます。連携ですから、相互のメリットを示す必要があるのではないでしょうか。
2)他分野の連携
立地が近接⑭している他分野のインフラ施設を、一括で維持管理することで効率化を図る。例えば、道路・河川・公園等における草刈りや簡易舗装等の日常維持管理業務を、自治体が包括的に業務委託を行う。これにより、個々に発注する場合よりも効率化に繋がる⑮。
⑭ 重複表現です。
⑮ 効率化は、冒頭に書いてあります。発注事務の削減、安定的な体制、サービス向上、コスト縮減などもっと書くべき効果はあるのではありませんか。
3)集約と再編の推進
個々の施設に対してではなく、複数の施設を加味⑯してメンテナンス計画を立てることで、維持管理コストを縮減する。例えば、橋梁の老朽化対策において、利用頻度が低く老朽化の進行が著しい場合は廃止する。そして、近傍の利用頻度の高い橋梁にリソースを集中して維持管理を行う⑰。
⑯ この加味した結果が、上記に示された解決策なのではないのですか。同じことを繰り返し述べているように見えます。また、見出しの内容とも異なります(見出しの内容を説明すべき)。
⑰ 分かりづらいです。また、事例も具体性が乏しく、橋梁という施設だけを具体化しているにすぎません(当たり前の説明)。もっと、どんな場合に撤去するのか、2つ壊して一つ新たに作る(集約)、機能低下を図る(ダウンサイジング)など手法を具体的に説明しましょう。
(3) 新たに生じうるリスクとその対策
1)新たに生じうるリスク
広域的な視点で維持管理を進めるには、複数の自治体やあらゆる分野のインフラの情報を関係者間で共有する必要がある⑱。このため、関係者間の情報共有が円滑に進まず、維持管理業務が停滞する恐れがある⑲。
⑱ ここは新たなリスクを解答するところですので、必要性ではなくリスクを書きましょう。
⑲ 情報を関係者間で共有する必要があると、なぜ円滑に進まなくなるのですか。むしろ、解決策で連携を図るわけですから、情報共有は進むのではありませんか。全く理解できません。
2)対応策
関係者間で情報共有システムを活用する。例えば、現場での作業指示や、完了報告を、共有のシステムで管理することで、連携した自治体や受注者が進行状況を一括で確認できるようになる。
デジタルツインを活用し、インフラ情報へのアクセスを容易にする。例えば、情報を視覚的に分かりやすくするため、設備情報を付加したBIM/CIMを活用する。
(4) 技術者倫理と社会の持続性に関する留意点
技術者倫理に関しては、公衆の安全と健康及び福利を最優先にすることが要件である。数多くのインフラ施設の老朽化対応を急ぐがあまり、要求品質を損なわないよう留意する。
社会の持続性に関しては、環境や生態系への影響を最小限に抑え、将来世代にわたって持続可能な選択をすることが要件である⑳。維持管理にあたって、低環境負荷の技術㉑を積極的に採用することに留意する。以上
⑳ 社会の持続性の観点なので当たり前です。不要。→「・・・抑えることが要件である」
㉑ 抽象的です。

