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技術士 二次試験対策 「デジタル技術を活用したストック活用」 添削から見えた重要な視点

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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技術士試験の“本質”に踏み込んむ答案

技術士試験における「書くこと」の意味

先日公開した「デジタル技術を活用したストック活用」に関する記事(前回の記事はコチラ)に対し、読者の方から早速、論文を投稿いただきました。記事を読んで即座にアウトプットへ移し、ご自身の言葉で論文を構築してくれたことに、まず深い喜びを感じています。

技術士試験は、知識を蓄えるだけでは前に進めません。自ら書き、論理を組み立て、問いに向き合うことで初めて“技術士としての思考”が育ちます。今回の論文は、その挑戦を真正面から受け止めた力作であり、添削を通じて多くの学びがあります。

添削を進める中で、論文の随所に光る視点が見られました。一方で、技術士試験特有の“論理の落とし穴”も浮かび上がりました。技術士試験は、単に知識を並べる試験ではなく、課題の構造を読み解き、因果関係を整理し、社会的視点で再構成する力が問われます。

添削から見えた3つの核心 ― スケール・因果関係・構造的障害

まず最初に見えてきたのは、課題設定のスケールの問題です。論文では「地方自治体工事の多くは中小建設企業が受注している」といった書き出しがありましたが、今回の題意はインフラDX、ストック効果最大化、限られた人員・予算の中での戦略的維持管理といった“社会的視点”を求めています。

ここでスケールを中小企業に限定してしまうと、論点が一気に局所化し、題意から離れてしまいます。技術士試験では「どの視点で語るべきか」を正しく設定することが、論理の骨格を形づくるうえで極めて重要です。

次に顕著だったのは、因果関係の不足です。例えば「多能工で忙しいためDX導入に踏み切れない」という記述は、忙しいならむしろDXで効率化したいはずで、因果が逆転しています。技術士試験では、何が障害なのか、なぜそれが問題なのか、どの構造が原因なのかといった“課題の構造”を説明することが求められます。ここが抜けると、文章は単なる主観の羅列になり、読み手にとって説得力を欠いてしまいます。

さらに、解決策の章では、TLS計測やGNSS計測などICT活用の事例が多く挙げられていましたが、技術士試験で求められるのは事例紹介ではありません。本来必要なのは、「なぜ導入が進まないのか」という構造的障害を特定し、それを除去する解決策です。

基準がICTに対応していない、データ活用の仕組みがない、コスト構造が障害、人材・体制が不足、データ連携が不十分といった制度的・技術的障害に触れなければ、解決策としての説得力は生まれません。

リスクと要件の章でも、抽象論にとどまっている点が見受けられました。通信障害やデータ欠損は確かにリスクですが、DX化に伴う“新たなリスク”としては弱い印象です。本来書くべきは、リアルタイム依存による作業停止リスクの増大、モニタリングデータ欠損による品質評価の不確実性、維持管理データの蓄積に支障といったDX特有のリスクです。

また、対応策も技術対策に偏っていたため、フェールセーフ運用、代替手順の整備、障害時の責任分担、復旧手順の標準化、現場教育といった“非技術的対策”を加えることで、答案の厚みが大きく増します。

それでも、この答案には大きな価値がある ― ここから一気に伸びる

ここまで多くの指摘をしましたが、これは決して否定ではありません。むしろ、ここまで書き切ったこと自体が素晴らしいのです。技術士試験は、書いてみて初めて自分の弱点が見えます。そして、弱点が見えた瞬間から論文の質は一気に高まります。

今回の論文は、技術士試験の本質に迫るための大きな一歩です。スケールの設定、因果関係の橋渡し、構造的障害の特定、解決策の本質化、DX特有のリスクの理解。これらを押さえれば、論文は確実に“技術士レベル”へ近づきます。

このような挑戦は、他の受験生にも必ず良い刺激になるはずです。これからも、ぜひ積極的に論文を送っていただき私を含めみんさんと切磋琢磨してまいりましょう。一緒に、技術士試験の「本質」を掘り下げていきますよ!

「デジタル技術を活用したストック活用」

1.多面的な課題とその観点
(1)いかにDX技術を活用しやすい環境をつくるか
 地方自治体工事の多くは中小建設企業が受注している技術者不足の深刻化により受注者は多能工に追われ、DX技術の必要性を理解しつつも運用に踏み切れていない企業が多い。そのため、技術基準の拡大等により直接的な導入メリットを明確化することが重要である。よって、生産性向上の観点からDX技術を活用しやすい環境づくりが課題である。


① 中小企業にスポットライトを当てる必要がありますか。ストック効果最大化の本質からズレてしまうように感じます。問題文が求めているのは、インフラDX、ストック効果最大化、限られた人員・予算の中での戦略的維持管理、インフラの信頼性・安全性の確保です。これらは、建設業界全般の課題であり、スケールを小さくする意図が分かりません。
② 多能工で忙しいとなぜDX導入ができないのでしょうか。忙しいならむしろDXで効率化したいのではありませんか。なぜそう考えたのか、因果関係を説明しないと読み手は理解できません。DX導入を阻む環境を書かないと結論への橋渡しができませんよ。
④ 技術基準が何か不明。それがなぜメリットの明確化になるのかも不明。さらに、導入に踏み切れないとの因果関係も不明。さらに結論の環境づくりがメリットの明確化なら、もう答えが出ています。論理の橋渡しができていないとともに、説明不足が多すぎます。キーワードを並べるだけでなく、課題の構造をしっかりと説明することに力点を置きましょう。
⑤ 生産性向上が突如として出てきます。これまでの説明は、生産性を上げたいという目的ではなく、中小企業が導入に踏み切れないからです(理由は不明)。あるいは、メリットが明確化されていないからです。文脈を無視した観点です。しかも、課題もこれまでの説明を読んでも「環境づくり」がどのような行動なのか分かりません。


(2)いかに民間活力を活用するか
 地方自治体の技術者不足が深刻化する中、限られた人員でストック効果を発現することが求められているそのため、官民連携手法を活用し民間の技術力とデジタル基盤を社会資本に取り込むことが重要である。よって、運用面の観点から民間活力の活用が課題である。


⑥ 「地方公共団体では技術系職員の減少や財政制約が深刻化しており、・・・インフラの信頼性・安全性を確保することが求められている」と問題文にありますので、同じことを説明してしまっています。書くべきは、あなたの分析です。
⑦ これまた盛大に飛躍しています。「ストック効果」と「民間活力」が因果関係として成立していません。ストック効果とは本来、維持管理の効率化、長寿命化、ライフサイクルコスト削減などの話であり、民間活力の活用と直接結びつくものではありません。技術者不足 → 民間活力活用 の間に必要な論理の橋渡しがが必要です。技術者不足なら、まずは人材確保や業務効率化の話では?なぜ突然「民間活力」なのか?といった疑問が生じます。論理の接続が完全に欠落しています。
⑧ 運用面とありますが、何の運用なのでしょうか。課題の上位概念であることの説明がなく、どのような見方をしているのかが分かりません。また、この課題では、前述の内容を繰り返しているだけに見えます。「官民連携は重要である」だから「民間活力の活用が課題」では、ただの“言い換え”でしかありません。


(3)いかにICT人材を確保するか
 インフラへの信頼性・安全性の確保には、DX技術により省力化・省人化しつつ持続的に取り組むことが重要である。しかし、データを扱える人材がいないこと等から取り組めてない企業も多い。よって、体制面の観点からICT人材の確保が課題である。


⑨ これも「デジタル技術を活用してストック効果を最大化しつつ、インフラの信頼性・安全性を確保することが求められている」問題文の背景を別の言葉で言い換えただけで、新しい分析がゼロです。
⑩ 取り組めていない企業が多いとしていますが、なぜ人材がいないのか、なぜ育成できていないのか、なぜ採用できないのか、なぜ外部委託できないのかといった説明がないので、なぜ取り組めていないのかという“問題の本質”が完全に欠落しています。つまり、課題を説明せずに「課題である」と言っているだけに見えます。これでは、ただの主観でしかありません。
⑪ これも前項の課題と同じで、体制面の観点といわれても、前述にその示唆がなく、なぜ体制なのか、どんな体制なのか全く分かりません。さらに、人材がいないだから人材確保が課題では、議論が一歩も進んでいません。


2.最も重要な課題と解決策
 中小建設企業への普及促進が図られるため、「いかにDX技術を活用しやすい環境をつくるか」を最重要課題に選定し、以下に解決策を述べる。


⑫ なぜ中小企業への普及が図られると最重要になるのでしょう。これは、この課題の効果にすぎず、選択の理由になっていません。最重要課題を選ぶには、導入が進まない主要因である、他の課題より影響度が大きい、解決しないと他の施策が機能しないといった理由が必要です。


(1)出来形管理基準の適用拡大
 ICTを活用した新たな出来形管理基準を整備する。例えば植栽基材吹付工では、吹付前の現況法面と植生基材吹付完了後の出来形をTLSで面的に計測する。点群の差分から植栽吹付厚さを管理できることで、人力計測作業を省略する作業工数削減等の効果を明確化にすることで、導入機会を創出する。


⑬ 「出来形管理基準を設ける理由」が書かれていません。また、課題の上流にある題意「インフラストックの活用」と完全にズレてしまっています。
⑭ これも課題の上流にある題意「インフラストックの活用」と関連性が低い例示になっています。何のためにICTを使うと言っているのか?省力化は副次効果であって目的ではないのでは?つまり、省力化だけに焦点が当たり、題意の“維持管理の高度化”に全く触れていませんね
⑮ 本来、出来形管理基準の拡大は、点群データの蓄積、維持管理データとの連携、経年変化の把握、ストック効果の最大化といった 維持管理の高度化に直結するはずです。しかし、この解答では、「工数削減できる」だけです。これでは、本来の価値(維持管理の高度化)を完全に取り逃しています。また、導入が進まない理由は本来、基準が狭い、適用範囲が限定されている、データ活用の仕組みがないといった 制度的・技術的障害 であり、工数削減の説明だけで導入が進むわけではないと考えます。


(2)新たな品質管理手法の適用
 ICT技術に対応した品質管理基準と規格値を適用する。例えば舗装工では、プルフローリング時にGNSSアンテナや3次元カメラにより測定し、地盤の変形量をリアルタイム計測で帳票に自動記録する。従来、複数人におる目視確認等が求められていた作業がオペレーターとシステム管理者の2名で実施できるため、小規模な建設企業でも導入可能となる


⑯ これもなぜ適用するのか理由がないですし、題意「インフラストックの活用」ともズレています。「品質管理」と「維持管理の高度化」の因果関係を示すべきです。
⑰ これは、技術の種類(TLS→GNSS/3Dカメラ)と工種(法面→舗装)が違うだけで、論理構造は完全に同じです。これは「別の工種で同じ話をしているだけ」で、課題の深掘りにも解決策の多様化にもなっていません。
⑱ また、省力化の話になっています。課題は省力化ではなく、DX技術を活用しやすい環境づくりですよ。導入が進まない理由は本来、基準がICTに対応していない、データ活用の仕組みがない、コストが高い、技術者がいないといった構造的な障害ではありませんか。人数が減るだけで導入が進むわけではありません。結局、これら(最初の解決策を含む)は、ICT技術の活用事例にすぎず、DX技術を活用しやすい環境づくりといった課題に対する解決策になっていません。


(3)インフラ通信環境の整備
 バックオフィスからの遠隔支援や遠隔安全管理を円滑に行えるようローカル5Gを整備する。これにより、現場監督員の省力化が図られるとともに、工数や作業員のバイタルチェックなども可能となる。さらに、3次元モデル等の大容量データを円滑に利活用できるよう、長距離伝送用の光ファイバー網に 100Gbps 対応の伝送装置を増設し、高速ネットワークを構築する。4K動画をリアルタイムでやりとりできるようになることで、遠隔支援や品質管理の高度化を図る


⑲ これはようやく環境づくりに関する解決策と言えるのですが、行動の目的を書くべきです。
⑳ また省力化になっています。さらになぜそれらのチェックが必要なのでしょう。繰り返しになりますが、解答すべき解決策は、DX技術を活用しやすい環境づくり、インフラストックの活用(維持管理の高度化)です。にもかかわらず、ここでもまた、人が減る、工数が減るという “省力化の話” にすり替わっています。
㉑ 手段は異様に詳細なのに、目的の説明が浅いです。なぜ3次元なのか、なぜ4K動画なのか、品質管理の高度化とは何かが書かれていません。設備の話に偏重し、本来説明すべき“DX環境整備”が書かれていないのは、論理構造として致命的です。


3.新たなリスクとその対応策
 通信障害の発生により、建機等の操作が不可能となり作業が停止するリスクがある。また、同期不良により温度や深度等のモニタリングデータが途切れ品質が判断できなくなるリスクが生じる。
 対応策として、データ管理の冗長化を推進する。具体的には、現場データ等はローカル保存とクラウド保存を併用し復旧後に自動同期できるようにする。データサーバはRAID構成とし、冗長性の向上を図る。通信については、5Gと衛星通信の併用やメッシュネットワークにより安定的な通信を実現させる。 以上


㉒ 全体的に良い感じなのですが、通信障害の発生により作業が停止するリスクは、従来から存在するリスクです。「DX化により施工・品質管理がリアルタイムデータに依存するため、通信障害は従来以上に作業停止リスクを高める」「モニタリングデータの欠損は、施工品質の客観評価や維持管理データの蓄積に直接的な支障をきたす」といった具合に新たなリスクに書き直す必要があります。
㉓ 対応策が「技術対策」に偏りすぎに見えます。もちろん良いのですが、DXのリスク対応は本来、運用面(データ欠損時の代替手順、フェールセーフ運用)、体制面(通信障害時の責任分担、復旧手順の標準化)、教育面(現場職員への障害対応訓練)こうした“非技術的対策”を1つでも入れると良い仕上がりになると思います。
㉔ 誤記?


4.必要な要件と留意点
技術者倫理の観点
 DX環境の整備に際し、公衆の安全・健康・福利を最優先とすることが要件である。また、情報技術の活用にあたり、関連法令やガイドラインを遵守する。工期やコストを優先するあまり、不完全なシステムや技術基準を構築し、公衆に不利益をもたらすことがないよう留意する
社会の持続性の観点
 環境の保全を最優先とすることが要件である電源には再エネ電力の活用を推進し、温室効果ガスの排出を抑制する。また、留意点は、クラウド等の電力消費量を算出・可視化し、省エネや節電対策を強化することで、CN社会の構築に貢献することである。 以上


㉕ これは正しいのですが、上記の業務とどう関係するのかが書かれていません。もう少し、シーンを具体化すると良いでしょう。
㉖ これも正しいが、抽象的すぎます。リスク情報の開示、システムの検証・妥当性確認、フェールセーフ設計、第三者レビューの実施など、行動レベルの指針があると加点が狙えます。
㉗ これも㉕と同様。
㉘ これも、なぜDX環境整備で必要なのかの説明が不足しています。つまり、要件の“必然性”が弱い です。
㉙ 「社会の持続性」の論点が環境に偏りすぎています。社会の持続性は本来、環境、経済、社会(地域・人材・公平性)の3本柱です。しかし、ここでは「環境」だけに偏っているので、DX導入による地域格差・デジタルデバイド・人材育成といった社会的持続性の論点を書くとより良いでしょう。

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