誤読を防ぐ最強テクニック
【 技術士 二次試験対策 】
技術士試験で最も差がつくのは“読解力”
技術士二次試験の合否を分ける最大の要因は、専門知識でも文章力でもありません。
実は、もっと根本的な能力――
「問題文を正しく読み解く力(読解力)」です。
特に必須科目Ⅰでは、背景文が長く、キーワードが多く、文脈が複雑です。
そのため、表面だけ読むと“整備の話”にも“維持管理の話”にも見えてしまい、受験者の多くが迷います。
令和8年度リアル予想問題第1弾を例に見ていきましょう(リアル予想問題の紹介はコチラ)。この問題の背景文には次のような記述があります。
「デジタル技術を活用した点検・診断の高度化、予防保全への転換、データに基づく戦略的な維持管理が求められている。」
「限られた資源でインフラの価値を最大限に引き出す『ストック効果の最大化』を進めている。」
この“ストック効果の最大化”という言葉が、受験者を迷わせる最大のポイントです。
- これは整備の話なのか?
- 観光や経済効果まで含めるのか?
- DXで交通流を最適化する話なのか?
- それとも維持管理の話なのか?
こうした迷いは、技術士試験では“あるある”です。
しかし、この迷いこそが読解力を鍛える絶好のチャンスなのです。
ストック効果の本質を理解する ― 読解の第一歩
まず押さえるべきは、ストック効果の正しい定義です。
ストック効果とは、「インフラが中長期的に発揮する、安全性・生活の質・生産性向上などの効果」です。ここで重要なのは、ストック効果は“整備(フロー効果)”ではなく、“維持管理によって持続させる効果”であるという点です。
つまり、
- 新しく作る → フロー効果
- 今あるものを長く価値を発揮させる → ストック効果
という構造です。
しかし、自治体計画や国の資料ではストック効果が広く使われるため、
「観光振興」「地域活性化」「交通利便性向上」など、整備効果と混在して語られがちです。
そのため、技術士試験でも“整備の話”に読み違える受験者が続出します。
しかし今回の問題文は、明らかに維持管理の話に寄っています。
- 老朽化
- 技術系職員の減少
- 財政制約
- 点検・診断
- 予防保全
- 維持管理能力の格差
背景文のキーワードは、ほぼすべて維持管理に関するものです。つまり、出題者の意図は明確です。
「維持管理DXを前提に、ストック効果を最大化するための課題を考えよ」
これを読み取れるかどうかが、読解力の分岐点です。
設問(1)〜(4)の“構造”を読み解く ― 読解力の核心
背景文の意図をつかむと、設問の構造が一気に見えてきます。
技術士試験の読解力とは、まさにこの“構造を見抜く力”です。
(1)は「維持管理DXの課題を多面的に整理せよ」
観点例:
- 技術(データ整備・点検高度化)
- 人材(DX人材不足)
- 組織(属人化・標準化不足)
- 財政(予防保全投資の優先度)
- 地域格差(自治体能力差)
(2)は「その中で最重要課題を選び、解決策を示せ」
例:
- データ基盤の未整備
- DX人材不足
- 自治体間格差
(3)は「解決策を実行したときの副作用・リスク」
例:
- データ依存リスク
- 標準化による地域特性の軽視
- DX導入コストの増大
(4)は「技術者倫理・社会の持続性の観点から総括」
例:
- 公正性
- 説明責任
- 将来世代への配慮
- 情報の透明性
このように、設問(1)〜(4)はすべて
「維持管理DXでストック効果を最大化する」という一本の軸
でつながっています。この軸を見抜けるかどうかが、読解力の真価です。
技術士試験で使える“読解テクニック”5選
① 背景文を「物語」として読む
背景文は情報の羅列ではなく、問題の世界観を説明するストーリーです。
ポイント:
- 主語と動詞を明確にする
- 「しかし」「一方で」などの転換点を意識
- 最後の一文に注目(出題者の意図が凝縮)
今回の問題でも、
「ストック効果を最大化しつつ、インフラの信頼性・安全性を確保することが求められている。」
という一文が背景文の“結論”です。
② 設問文を「前提・立場・アウトプット・数」に分解する
設問文は長く、読み飛ばすとズレます。
そこで、次の4つに分解します。
- 前提条件(DX、人員・予算制約など)
- 立場(技術者として)
- アウトプット(課題?解決策?リスク?倫理?)
- 数(いくつ書くか)
これだけで、設問の要求が一気にクリアになります。
③ 設問(1)〜(4)を「30秒で説明」してみる
読解の最終チェックは、
「この問題は何をさせたいのか」を30秒で説明できるか
です。
説明できれば読解成功。
できなければ、どこかの設問の役割が曖昧です。
④ キーワードを「整備系」と「維持管理系」に分類する
ストック効果の誤読を防ぐ最強の方法です。
- 整備系:交通利便性、観光、地域活性化
- 維持管理系:老朽化、点検、診断、予防保全、DX、人材不足
今回の問題は、維持管理系キーワードが圧倒的多数。
分類するだけで、問題の軸が見えてきます。
⑤ 「これは整備の話か?維持管理の話か?」と自問する
迷った瞬間にこの質問を投げると、読解が深まります。
理由はシンプルで、技術士試験の背景文は 整備と維持管理が混ざりやすい構造 をしているからです。
- 整備 → フロー効果
- 維持管理 → ストック効果
この2つは似ているようで、論じるべき論点がまったく違います。
しかし、背景文には「整備っぽい言葉」も「維持管理っぽい言葉」も混在しているため、
読解が浅いと整備方向に引っ張られるという罠が発生します。
そこで、
「これは整備の話か?維持管理の話か?」と自問することで、背景文の“軸”を強制的に一本化できる
というわけです。
読解力を鍛えるための“実践トレーニングメニュー”
●背景文要約トレーニング(週3〜5問)
- 背景文だけを読み、3〜5行で要約
- 要約後に元の文を見直し、抜けた要素をチェック
- キーワードをグルーピング
●設問分解トレーニング(1日1問)
- 設問を「前提」「立場」「アウトプット」「数」に分解
- 絶対に外せないキーワードを丸で囲む
●問題全体の30秒説明トレーニング
- 設問(1)〜(4)を通して「何をさせたい問題か」を説明
- 録音して聞き返すと理解の曖昧さが分かる
●答案構成までつなげる練習
- 読解→分解→構成の流れをセットで行う
- 観点と課題を見出しレベルで書き出す
●読解の“違和感”を大事にする
「なんか違う気がする」という感覚は、読解力が育っている証拠。
違和感を放置せず、必ず言語化してみることが大切です。

