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技術士 二次試験対策 令和8年度予想問題 「デジタル技術を活用したストック活用」

論文添削
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添削LIVE

【 技術士 二次試験対策 】

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論文を書くと、なぜか論理が迷子になる件について

前回は、令和8年度予想問題 「デジタル技術を活用したストック活用」を用いて、問題文の読み解き方を解説しましたが(前回記事はコチラ)、今回は添削LIVEにご投稿いただきまいした論文を参考に、より実践的に技術士論文で陥りがちな誤解と改善ポイントを徹底解説していきます。

技術士試験の論文を書いていると、「あれ、自分は今どこを走っているんだっけ?」と、急にマラソン中に地図を失ったような感覚に陥ることがあります。この感覚を覚えたら、要注意です。一旦立ち止まりまって、自分の位置を確認する必要があります。

特に、DX やインフラ維持管理、都市計画といった“広くて深いテーマ”になると、論理がふわっと浮き上がり、気づけば雲の上を散歩しているような文章になってしまうことも少なくありません。

今回の添削内容には、まさにその「よくある迷子ポイント」がぎゅっと詰まっていました。せっかくなので、読者の皆さまにも共有しつつ、学べる形で整理してみたいと思います。

①「DX は便利!でも高い!」と一括りにしがちな問題

DX 技術は魔法の杖ではありません。
そして、全部が高いわけでも、全部が便利なわけでもないのです。

ところが論文では、つい「DX は初期費用が高い」「導入格差が生じている」といった“ざっくり一般化”をしてしまいがちです。しかし実際には、技術の成熟度も費用構造もバラバラで、自治体のスキルやデータ整備状況も影響します。

つまり、
「DX が高いから格差が生まれる」ではなく、「格差の要因は複合的」
という視点が必要なのです。

このあたりを丁寧に書けると、論文の説得力がぐっと増します。

②「使えないのは現場が悪い?」という誤解

DX を導入したのに使われない。
これは全国どこでも聞く“DXあるある”ですが、原因は単純ではありません。

添削でも指摘されていたように、本質は

  • 要件定義不足
  • 運用設計の欠如
  • 現場教育の不足
  • データ標準化の不備

といった“仕組みの問題”です。

つまり、
「使えない現場」ではなく「使えるように設計していない仕組み」
が問題なのです。

この視点を持てると、技術士としての“構造的な理解”が文章ににじみ出ます。

③「俯瞰できない → LCC が考慮できない」は飛躍しがち

インフラ管理の話になると、つい「俯瞰できないから LCC が考慮できない」と書きたくなります。しかし、LCC は本来、個別施設の積み上げで算定するもの。俯瞰の有無とは直接関係しません。

本当に言いたいのは、
「複数施設を同時に扱う際の最適化ができない」
という話です。

ここを正しく書けると、論理の筋道が一気にクリアになります。

④「都市計画と維持管理を一体的に」と言いながら説明不足になりがち

都市計画と維持管理の連携は、最近の試験でもよく問われるテーマです。
しかし、抽象的に書くと「なんとなく良さそう」なだけで終わってしまいます。

例えば、

  • スプロール市街地の空洞化
  • 公共交通の弱体化
  • 低密度化による維持費の増大

といった“都市構造の変化の具体例”を示すだけで、文章の説得力は段違いです。

さらに、
「どのエリアを維持し、どこを縮退し、どこに投資するのか」
という“行動レベル”まで書けると、技術士らしい論文になります。

⑤「パッケージ化」「標準化」が便利ワード化しがち

DX の話を書くと、つい「パッケージ化」「標準化」「統一化」といった便利ワードを使いたくなります。しかし、添削でも指摘されていたように、パッケージ化と標準化は別物です。

さらに、

  • 何を統一するのか
  • 誰が整備するのか
  • どのレイヤーの話なのか

を説明しないと、読み手は「???」となってしまいます。

⑥ クラウドの利点を“性能”と誤解しがち

クラウドの本当の強みは、

  • スケーラビリティ
  • 初期投資の平準化
  • 運用負担の軽減
  • 共同利用のしやすさ

といった“運用面の合理性”です。

「クラウドだから大容量処理ができる!」と書いてしまうと、評価者は眉をひそめます。
ここは要注意ポイントです。

⑦ 解決策が“やること”ではなく“必要性の説明”になりがち

技術士論文で最も多いミスがこれです。解決策なのに、

  • 必要性
  • 有効性
  • 心構え
  • 抽象的な理念

を書いてしまうパターン。

解決策はあくまで「何を、誰が、どう実行するか」を書く場所です。

ここを押さえるだけで、論文の完成度は一段上がります。

論文は“論理の地図”を描く作業

今回の添削内容は、どれも技術士論文で頻出の落とし穴でした。しかし、裏を返せば、これらを避けるだけで論文の質は劇的に向上します。

  • 一般化しすぎない
  • 因果関係を丁寧に
  • 抽象語を使うときは具体例を添える
  • 解決策は“行動”を書く
  • 技術の本質を正しく理解する

このあたりを意識するだけで、論文はぐっと読みやすく、説得力のあるものになります。

大事なので、何度も言いますよ!
何より、論文は「技術の説明」ではなく「論理の説明」だということを忘れないことが大切です。

「デジタル技術を活用したストック活用」

(1)技術課題
①DX技術の普及
 DX技術は、インフラの状態把握や将来予測に有効である一方、初期導入の負担が大きく、自治体間で導入状況に格差が生じている。また、導入しても現場で使いこなせず、効果が十分に発揮されないケースも多い。よって、仕組み面の観点から、地域差なくDXを活用できる運用を構築することが技術課題である。


① DX技術と一括りにしては、有効なのかも、初期費用がかかるのかも一概には言えないのではありませんか。技術によって、性質も費用構造も成熟度も全く違うのに「DXは初期費用が高い」などと一般化するのは誤りだと考えます。また、「初期費用が格差の原因」とするのは短絡的です。技術者数の差、維持管理の優先度の差、データ整備状況の差、発注者側のスキル差など様々です。
② 導入しても使えないのは、ただの無計画にすぎません。書くなら、要件定義不足、運用設計の欠如、現場教育の欠落、データ標準化の不備など、本質的な問題点を指摘すべきです。
③ 「地域差がある→地域差をなくす」「使えない→使えるようにする」これはでは、議論が進んでいません。同じことを繰り返し述べているだけです。「運用を構築する」も日本語的におかしいです。「運用体制を構築する」ですかね?


②インフラ状態の可視化・一元化
 多くの自治体では、インフラ点検記録が分散管理されており、インフラ全体を俯瞰した把握が困難となっているこのため、劣化状況や更新時期に関して、LCCを考慮した戦略的な維持管理が行われていない。このような中、インフラの健全度や劣化進行を定量的に把握し、実効性のあるアセットマネジメントを行う必要がある。よって、管理面の観点からインフラ状態の可視化・一元化が技術課題である。


④ 俯瞰する必要性が説明されていないため、「俯瞰できないことがなぜ問題なのか」が読み手に伝わりません。
⑤ LCCは本来、個別施設の劣化、補修周期、更新費用を積み上げて算定するものではありませんか。よって、「俯瞰できない=LCCが考慮できない」という論理は成立しないと思います。言うべきことは、「複数施設を同時に扱う場合の最適化」という説明ではありませんか。
⑥ アセットマネジメントは「LCCを考慮した戦略的維持管理」なのではありませんか。LCCが考慮されていないからアセットマネジメントが必要では、「アセットマネジメントができていないからアセットマネジメントが必要」と言っているようなものです。
⑦ インフラ維持管理の高度化を推進するにあたっての課題なのに、その観点が管理面ではすべての課題に当てはまります。観点は、提示する課題固有の上位概念であるべきです。
⑧ 俯瞰できない → LCCが考慮できない → アセットマネジメントが必要という流れの後に、「可視化・一元化が課題」と突然言われても、なぜ可視化・一元化が必要なのか全く分かりません。


③立地適正化計画との一体的運用
 現状では、都市計画とインフラ維持管理が個別に運用されるケースが多く、非効率なインフラ整備が生じている。このため、人口減少や都市構造の変化を踏まえ、都市機能の集約化と整合した形でインフラ維持管理を進める仕組みの構築が不可欠である。よって、都市構造の観点から、立地適正化計画とインフラ維持管理を一体的に運用することが技術課題である。


⑨ 「都市計画と維持管理が個別に運用」とは何を指すのか不明です。「個別に運用される」とだけ書くのではなく、どんな状態なのかを説明する必要があります。
⑩ 非効率なインフラ整備になる「理由」が書かれていないので、理解できません。
⑪ 都市構造の変化」が抽象的すぎます。人口減少に伴う都市構造の変化とは、スプロール市街地の空洞化、中心市街地の衰退、公共交通の弱体化、低密度化によるインフラ維持費の増大など具体的な現象があります。これらを示さないと、都市機能を集約する必要性が伝わりませんよ。また、「整合した維持管理」とは何をすることなのか不明です。どの施設を優先的に維持するのか、どのエリアのインフラを縮退するのか、都市機能誘導区域に投資を集中するのかなどの説明が必要です。総じて説明不足です。
⑫ 「一体的に運用する」と言われても、何をどう統合するのかが全く分かりません。「行動として何をするのか」が書かれていないと課題として成立しないと思います。


(2)最も重要な技術課題とその解決策
 他の課題の実現を支える基盤的課題であり、維持管理の効率化に不可欠であるため、①DX技術の普及を最も重要な技術課題として、以下に解決策を述べる。


⑬ 「基盤的」「不可欠」と言うと、他の課題がDXなしでは成立しないように聞こえます。DXは“促進要因”ではあっても“前提条件”ではないと思います。維持管理の効率化に直結し、他の取り組みの効果を高める“横断的な課題”くらいにしておいた方が誇張なく表現できると思います。また、課題の見出しがおかしいのが問題なのですが、内容では「地域差なくDXを活用できる運用を構築することが技術課題」でありDXの普及ではありません。


①DX技術のパッケージ化・標準化
 導入負担を軽減するため、DX技術を個別導入ではなく、統一されたパッケージとして体系的に整備する。具体的には、データ形式やLOD、更新ルールを標準化する。これにより、自治体間格差を縮小し、導入時の設定作業やシステム選定の負担を大幅に低減できる


⑭ パッケージとは何か、何を統一するのか、どのレイヤーを指すのか(ソフト?運用?データ?)、誰が整備するのか(国?自治体?民間?)が全く説明されていないため、理解できません。
⑮ 具体的にはとありますが、LODやデータ形式の標準化は、データの互換性、交換性、再利用性を高めるためのものであり、パッケージ化とは別概念です。つまり、抽象(パッケージ)と具体(標準化)が論理的につながっていません。
⑯ 「自治体間格差が縮小される理由」が説明されていません。標準化しただけで格差が縮まるわけではありませんよ。
⑰ 標準化は互換性を高めますが、システム選定の負担を軽減するとは限りません。むしろ、要件定義、運用設計、データ移行などは標準化とは別の話ではありませんか。


②クラウド型サービスの活用
 専用ソフトウェアを自治体ごとに保有するのではなく、クラウド型DXサービスを活用する。これにより、初期投資や維持管理コストを抑制しつつ、点群データやBIMデータの大容量処理、将来予測解析を実施することができる。さらに、API連携により複数自治体での情報共有が可能となり、広域的なインフラ管理や都市計画における合理的な意思決定を促進できる


⑱ 「クラウドでなければ大容量処理や予測解析ができない」と読めますが、クラウドでなくてもこのような処理は可能です。クラウドの利点は性能ではなく、スケーラビリティ、初期投資の平準化、運用負担の軽減、複数自治体での共同利用といった運用面の合理性です。この表現では、クラウドの利点を誤認していると評価されます。
⑲ 設問は「インフラ維持管理の高度化」です。都市計画は課題③で扱うべき内容であり、ここで突然出すと論点がぶれているようにしか見えません。さらに、クラウド活用 → 広域連携 → 都市計画では、論理が飛躍しすぎており、因果関係が成立していません。


③研修・伴走支援の一体的提供
 DX技術の効果を引き出すには、導入だけでは不十分であり、現場で継続的に活用できる状態をつくることが不可欠である。そのため、操作研修に加え、専門事業者等による伴走支援をセットで提供し、実務プロセスとDX技術の使い方を一体的に整理することが有効である。さらに、業務フローやデータ更新の役割分担を明文化し組織内で共有することで属人化を防ぎ、持続的な運用体制を確保する。このように実効性を担保することで、導入時の心理的・技術的ハードルを下げる


⑳ 新たな課題を提示しているように見えます。
㉑ これも意味が不明です。何を整理するのか、誰が整理するのか、どのように整理するのか、なぜそれが地域差の解消につながるのかが全く説明されていない。それっぽい表現ですが、独りよがりの説明で読み手に全く伝わりません。
㉒ これも㉑と同様です。どのデータ?誰が更新?なぜ役割分担すると属人化が防げる?説明がないため、読み手は理解できません。
㉓ DX技術の効果を引き出すには〜不可欠、実務プロセスとDX技術の使い方を一体的に整理する、属人化を防ぐ、実効性を担保する、心理的・技術的ハードルを下げるとありますが、これらはすべて「課題の指摘」に見えます。解決策なので“やること”を明確化しましょう。必要性や有効性などを主張するのではなく、具体的な実施内容を書くべきです。実施内容はどれも抽象的であったり、説明不足であったり、論点がちらかったりしています。目的(地域差なくDXを活用できる運用を構築する)に直結し、行動が明確で、一貫性のある形が望まれます。


(3)将来的な懸念事項とそれへの対策
 クラウド型サービスの活用により、事業者の撤退や通信障害による運用停止に加え、情報漏洩やサイバー攻撃によるサービスの継続性も懸念される。対応策として、オープンAPI仕様を採用し可搬性を確保することにより、特定事業者への依存リスクを低減することが挙げられる。また、通信障害に対しては復旧時間を明示したSLAを設定し、停止時の影響を最小化する。さらに、ゼロトラストモデルを導入し、通信状況の常時検証、権限管理の細分化、アクセスログ監視を行うことで不正利用を防止する。加えて、データ暗号化と多重バックアップを組み合わせることで、災害時にも迅速に復旧可能なデータ管理体制を構築する


㉔ 「3つの解決策に共通する副作用」ではなく、「クラウド固有のリスク」だけを書いてしまっています。標準化にも研修にもクラウドにも共通するのは、「デジタル依存が高まること」であって、クラウド単体の話ではありません。
㉕ オープンAPI、SLA、ゼロトラスト、多重バックアップ、これらはクラウドの話であり、当然ですがDX全体の副作用への対策になっていないです。


(4)業務遂行に必要な要件
 倫理の観点では、DX推進に伴う社会的影響を適切に評価し、透明性の高い情報提供を行う姿勢が求められる。また、高度なデジタル技術を導入する際には、意思決定の根拠や想定されるリスクを丁寧に説明し、多様な関係者と包摂的に協働する姿勢が要件である。社会の持続性の観点では、LCAデータを活用した環境負荷低減、DX技術導入後の継続的なデータ更新等、持続可能な社会を支えるデジタル活用が要件である


㉖ 要件=やるべき行動なのに、求められる、姿勢が必要と書くと、抽象的な心構えの話になってしまいます。
㉗ 何を想定しているのか不明。
㉘ 「誰が誰に説明するのか」が書かれていないので、理解できません。
㉙ 「包摂的に協働」が唐突で、業務のどの場面か不明です。
㉚ 業務そのものがDX活用を前提としているのに、「デジタル活用が要件」と書くと循環論法になってしまいます。つまり、デジタル活用するのは業務そのものです。
㉛ 論文の最後には、「以上」を書きましょう。また、文字数がオーバーしています。文字数オーバーは一発アウトです。

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