-働き方改革-チェックバック③
【 技術士 二次試験対策】
先日に引き続き、「働き方改革」のチェックバック(前回とは異なる投稿者です)をお届けします。働き方改革が着目されていますね。なぜ、着目されているのかを掘り下げてみましょう。
以前にも述べましたが、担い手三法(公共工事の品質確保の促進に関する法律、建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律)の改正が背景にあると思います。
では、この担い手三法と働き方改革にはどのような関係が存在しているのか見てみましょう。国土交通省では、働き方改革の推進に必要な環境を整えるため、次の観点で改正を行っています。
<品確法>
○発注者の責務
・適正な工期設定 (休日、準備期間、天候等を考慮)
・施工時期の平準化 (債務負担行為や繰越明許費の活用等)
・適切な設計変更(工期が翌年度にわたる場合に繰越明許費の活用)
○受注者(下請含む)の責務
・適正な請負代金・工期での下請契約締結
<建設業法・入契法>
○工期の適正化
・中央建設業審議会が、工期に関する基準を作成・勧告
・著しく短い工期による請負契約の締結を禁止(違反者には国土交通大臣等から勧告・公表)
・公共工事の発注者が、必要な工期の確保と施工時期の平準化のための措置を講ずることを努力義務化
○現場の処遇改善
・社会保険の加入を許可要件化
・下請代金のうち、労務費相当については現金払い
これらの改正で、建設業の労働環境が改善されると嬉しいのですが、依然にもお話ししましたように普通になっただけに感じます・・・ダイバシティの実現といえるのかなぁ?
1.多面的な観点からの課題
(1)いかに新技術を導入するか
生産年齢人口の減少、過酷な就労環境、及び建設業の需要拡大などにより、建設技術者不足は深刻さを増している①。また、熟練技術者の退職で経験者の数も減少している状況であり、少ない人数と日数で社会資本の整備・維持管理、災害対応、都市・地域開発を進めなければならない。
よって、人材面②の観点から、建設技術者不足を補うための新技術導入③が課題である。
① (1)~(3)すべてに当てはまる背景です。新技術が必要とされる背景を書くべきです。
② (3)の観点も人材面の観点となっています。記載されている解決策を勘案すると、デジタル化の進展を背景で述べ、人材面を技術面に変えると良いともいます。
③ 技術面とすることによって、観点と被ってしまうので新技術をICT化に変えると良いのではないでしょうか。
(2)いかにイメージアップをするか④
建設業は、労働時間が長いことや、週休2日制が徹底されていないこと、3k(きつい、汚い、危険)のイメージがある⑤ことなどから、業界としての魅力が不足しており、新たな技術者の確保が難しい。
よって、制度面⑥の観点から、いかに建設業のイメージアップをするかが課題である。
④ 表現は異なりますが、(3)と同じことを述べていませんか。
⑤ 「ある」→「定着している」
⑥ 制度面の観点とありますが、前段で触れられていないです。また、制度とイメージアップがどうつながっているのか分かりません。国交省の「建設業働き方改革加速化プログラム」では給与や社会保険に関する取り組みがありますので、背景でこれらに触れ制度改革によりイメージアップを図るといった論調で整理すると良いともいます。
(3)いかに入職者を増加するか
建設業は、地域の担い手・守り手として、地域経済を支えてきた。しかし、少子高齢化の影響により、今後10年で多くの熟練技術者が離職し、若手の入職者の減少傾向⑧がみられる。
よって、人材面の観点から、いかに入職者を増加するかが課題である。
⑧ すべての課題で建設業の人で不足が背景で語られています。視野が狭い印象を与えかねません。熟練技術者の対象離職は良い視点だと思いますので、人材確保につなげるのではなく教育や技術の継承方法といった内容でアプローチしてはいかがでしょうか。
※課題をまとめると以下のようにしてはどうでしょう
(1)人手不足とデジタル化の進展→技術面→ICT化が課題
(2)能力に見合わない薄給と社旗保険の加入率が低い→制度面→処遇改善が課題(3)熟練者リタイヤ→人材面→技術継承が課題
2.最も重要な課題
前述の課題の中で、「いかに新技術を導入するか」を最も重要な課題に選定し、以下に解決策を述べる。
3.複数の解決策
(1)BIM/CIMの導入
i-constructionを全面的に活用することで、業務の効率化を図る。一例として、三次元測量結果から三次元の設計図を作成し、その情報をICT建機に取り組み自動制御するICT土工の普及拡大を進める。
具体的には⑨、すべてのフェーズ(調査・計画・設計等)において三次元モデルを導入する。
例えば、三次元測量結果から三次元の設計図を作成し、その情報をICT建機に取り組み自動制御するICT土工などがある⑩。
さらに、維持管理においても⑪点検・補修情報を追加しながらデータベース化や⑫、ライフサイクル全体での⑬効率化を図る。
このように、事業全体で共有することですべての段階で省力化を図ることができる⑭。
⑨ 前の段落は、十分具体的な内容です。接続詞は、「加えて」ですかね。
⑩ 最初の段落と同じことを述べています。
⑪ 「三次元モデルに」を追記。
⑫ 「や」→「し」
⑬ 「全体での」→「における」
⑭ 解決策なので、やることを書きましょう。よって、すべての段階という視点があるので、2段落目の前に目的を持ってくると良いでしょう。つまり、「省力化を図るため、すべてのフェーズにおいて三次元モデルを導入し、データの共有化を図る。」でどうでしょう。
※このパートは、言いたいことがバラバラになっている感じを受けます。よって、三次元モデルの活用ケースを次の順で述べていくと良いと思います。
1)計画・設計→様々な検討(シミュレーション)
2)施工→ICT土工
3)管理→LCCの最適化
(2)ICT活用工事の発注⑮
ICT建機の活用を推進する⑯。よって、発注者の積算には、マシンコントロール建機等の導入費用やリース料を組み入れる。また、ICT建機の活用の提案では、総合評価落札方式に加点、ICT建機の実績では、施工成績評価に加点する。
さらに、3次元データを監督・検査で使用し提出書類の簡素化を進める。
⑮ 内容からするに「ICTを加味した発注と評価」としてはどうでしょうか。
⑯ 手段が限定的ですし、前項でたっぷり述べているのでワンパターンな印象を受けます。発注フェーズではICTの活用を前提とした性能発注や総合評価制度の拡大、検査フェーズではICT技術を高く評価する仕組みづくり、納品フェーズでは3次元データを含め電子納品の拡大といった具合に整理すると良いと思います。
(3)ICT点検の推進
ICT点検を推進する。それは、大型構造物の点検業務において、少ない労力でより高い精度の点検を行うためである⑰。
具体的には、ICTドローン等を用いた非破壊による赤外線検査を実施する。また、取得した大量のデータから、AIによる自動診断を実施する。さらに、レントゲン技術の応用により、内部のひび、鉄筋の腐食等を発見する⑱。
⑰ ⑭同様に目的を前に持ってくると良いと思います。「大型構造物・・・点検を行うため、ICT点検を推進する。」でどうでしょうか。
⑱ 発見して終わりではないので、「・・・把握し、予防保全に取り組む。」とかいかがですか。
4.波及効果並びに新たなリスクとその対応策
(1)波及効果
上記の解決策を遂行することにより、労働力の省力化で建設コストが圧縮されることや、施工精度など品質も向上するといった波及効果が期待できる。
※端的で分かりやすいです。
(2)懸案事項とその解決策
業務が簡略化されることにより、技術者の技術力低下が懸念される。よって、OJTやOFF-JTを組み合わせ、普段の業務をOJTで行い、倫理観や技術をOFF-JTによって学ばせるといった技術力の低下を防ぐ⑲。
⑲ 解決策なので文末は、「・・・教育・指導を徹底する。」でどうでしょうか。
5.必要となる要件と留意点
業務を遂行する際には、常に社会全体の公益を確保する観点と、安心・安全な社会資本ストックを構築して維持し続ける観点とを持つ必要がある。業務の段階で、これらを常に意識するよう留意する。 以上