添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
選択科目対策
そろそろ、必須科目Ⅰの「型」が身に付いてきたところではないでしょうか。投稿いただいてる方々もメキメキと実力をつけています。そうなると、次なるハードルは選択科目の攻略になります。選択科目Ⅲは必須科目と構成はほぼ同じなので、専門的学識をいかに織り込めるかが鍵です。この専門学識は、具体例という形でアピールすると良いでしょう。
選択科目Ⅱは2種類ありますが、その勉強方法は全くと言って良いほど異なります。選択科目Ⅱー2は、これまでも多く投稿いただいており、注意点としてはマニュアルを見つけて「パクる」が基本戦略です。このことから、ご自身が選択する専門科目に関連するマニュアル(手引き、ガイドラインなど)を見つけ出し、論文形式に再構築しまくれば対策完了です。
時間がない人は、時事問題、注目されているトピック、審議会・委員会等の話題に関連するものを中心に山を張ると良いでしょう。業務の手順を問われるので、ご自身の携わっている仕事から始めて徐々に話題を広げていくと良いでしょう。
はじめようキーワード学習
最後に残るのが、鬼門Ⅱー1です。これは、戦略もクソもないです。都市及び地方計画を選択する方は、テーマを予想してありますので参考にしてください(予想はコチラ)。専門が違う人は、当然使えませんし、都市及び地方計画もこれで十分かといったら、知識としては足りません。
私が受験したときにまとめたキーワードは、トップページのキーワードから確認できます。約50ほどのキーワードをまとめています。このように最低でも50くらいの関連キーワードは、頭に叩き込む必要があります。
しかも、「制度の概要を説明せよ」といった単純なものは少なくなっています。「制度を2つ挙げそれぞれの特徴を説明」、「制度の効果を説明せよ」、「概要を説明して留意点を述べよ」といった具合にプラスアルファを求められる傾向が強いです。
英単語を覚えるような学習方法だと十分とは言えません。概要、特徴、効果、留意点と言った要点で整理する必要があります。また、単に概要を知っているだけでは通用しないので、キーワードの周辺情報も体系的に整理する必要があります。
必須科目Ⅰや選択科目Ⅲは文章構成が重要になりますが、Ⅱー1は情報を漏れなく書くことが重要です。必須科目では、良く「総花的に書いてはいけません」といった指摘をさせていただきますが、Ⅱー1は最悪総花的な表現でも情報が漏れるよりマシです。ありったけの知識を注ぎ込むのがコツですね。
選択科目Ⅱー1の練習論文の作成にあたっては、Ⅱー2のように再構築すら必要ありません。そのまま、参考資料を転記する感じでOKです(下手にオリジナル要素とか要れなくていいです)。よって、Ⅱー1の勉強方法は、論文作成するというより多くのキーワードをまとめる方が重要と言えます。
ちょうど受験まで2か月前になりましたので、キーワード学習に取り組みましょう。
論文
本日の投稿論文は、予想問題第1弾でお届けした「まちづくりGX」になります。まちづくりGXの関連キーワードもたくさんありますので、必須科目Ⅰの対策に合わせてキーワード学習も進めると合理的に勉強ができます。この時期は、まだ時間を気にするタイミングではないので、ゆっくり時間をかけて論文を仕上げていきましょう。では、早速論文を見てみましょう。
課題
(1) まちづくりGXを推進するための課題
1)課題①
ネイチャーポジティブの実現に向けて、都市の緑化が進められている。しかし、2022年の東京の緑地の充実度は36%であり、世界主要都市と比べて低い問題点がある①。この原因は、都市の緑地は収益を生み出しづらく、民間企業が参入しにくいためである②。よって、緑化の迅速性の観点③から、「民間企業の緑化への参入」が課題④である。
① 主語が「充実度は」ですし、文末も冗長的なので「低い」で終わると良いと思います。
② これだけが原因のように見えます。これは、もう答えになっているので、結論のみで書けば良いでしょう(重複してしまう)。→「この原因の一つとして、緑地空間は収益が発生しないので、民有地において創出されにくい。」
③ 緑化の迅速性という表現が何を意味しているのか理解しづらいです。緑化が収益を生まないという仕組みを問題点として指摘してるので、「仕組み面の観点」ですかね。
④ ③の修正をした場合、仕組みを示唆する表現の方が良いですね。→「民間事業者が緑地空間を創出しやすい環境整備が課題」
2)課題②
カーボンニュートラルの実現に向けて、CO2排出量を実質ゼロにする必要がある⑤。日本におけるCO2排出量のうち、都市における社会活動(家庭部門、業務部門、運輸部門)が約5割を占めている。よって、ボリュームの観点から⑥、「都市部におけるCO2の削減と吸収⑦」が課題である。
⑤ 「カーボンニュートラルの実現に向けて」とあるので、後段はその手段を書くべきです。カーボンニュートラルの説明みたいになっています。例えば、横断的な取り組みが必要、都市部の排出抑制が必要といったことが考えられます。
⑥ これも、どのような立場、視点なのか良く分かりません。
⑦ まず、「吸収」について何も述べられていないので、唐突感があります。さらに、削減も題意そのものに近いので、もっと絞り込む必要があります。例えば、省エネ、エネマネなどの取組みなどが考えられます。
3)課題③
カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの導入が進められている。しかし、大規模開発の再エネ⑧は、電力系統を通じて都市に電力が供給されるため、エネルギー効率が低下する問題点⑨や、防災面での不安がある⑩。よって、エネルギーの観点⑪から、「都市部におけるエネルギーの再エネ化⑫」が課題である。
⑧ これはどのようなことを説明したいのでしょうか。意図が伝わりづらいです。大規模な再エネ施設は、地方に存在していることを言いたいのですかね。適切な表現が望まれます。
⑨ 送電ロスのことですかね。
⑩ 防災面の不安とは何ですか。説明がなく何を問題視しているのか分かりません。
⑪ この観点も良く分かりません。
⑫ 背景から推測すると、この課題はエネルギーの地産地消を言っているのですかね。再エネ化は十分とは言えませんが、実施されているものもあります。⑦と同様にもっと絞り込む必要があります。先に述べた地産地消、主電源化、導入の加速といった具合に現状を踏まえた表現が望まれます。
解決策
(2) 最重要課題と解決策
最重要課題は、「都市部におけるエネルギーの再エネ化」である。なぜなら、都市部の人口は増加する傾向にあり、より多くのエネルギーが必要になるためである。例えば、国連によると世界の都市部の人口は現在の約55%から2050年には68%に増加する⑬。
⑬ 理由が長すぎます。もっと端的に書きましょう。空いたスペースは、解決策を充実させると良いでしょう。→エネルギー消費が大きい都市部での対策が有効と考え「都市部におけるエネルギーの再エネ化」を最も重要な課題に選定し、以下に解決策を述べる。」
※ 解決策で最も気になる点は、解決策が少ないです。問題文には「複数の」とありますので、2つでは足りません。最低でも3つは述べましょう。そうなると、スペースの確保ですが、新たなリスク、要件でスペースを取りすぎており、バランスが悪いです。技術力が最も示せる解決策にスペースと心血を注ぎましょう。
1)解決策①
比較的土地に余裕がある地方都市を想定した場合⑭、「地域産業を活用した再エネの導入」がある⑮。具体的には、地元の森林から採取した間伐材から木質ペレットを生産して行うバイオマス発電や、近郊外の商業施設や工業地帯のスペースを活用した太陽光発電等を行う⑯。これにより、CO2を排出しないクリーンエネルギーの導入と共に⑰、経済の地域内循環や産業と雇用の創出により、地方の経済成長にもつながる。
⑭ 例示ならまだしも、解決策が限られた条件下でのみで実施可能なものは適切と言えるか疑義があります。また、課題選定の理由に人口が多いから、としているにも関わらず、人口が少ない地方都市についてのみ説明することにも矛盾を感じます。
⑮ 解決策なので、紹介するような表現ではなくやることとしてを書きましょう。→「地域産業を活用して再エネを導入する」
⑯ 発電を行う主体は誰かが良く分かりません。民間事業者の自発的な行動を期待しているのですか。行政が行うのであれば、その仕組み(補助、PPAなど)を書かないと技術的な解答と言えません。
⑰ 再エネなので、説明不要。
2)解決策②
建物が密集している大都市を想定した場合、「3D都市モデルの活用による効率的な太陽光発電の導入」がある⑱。具体的には、仮想空間の3D都市で建物の位置と日照の関係を分析し、設置コストと発電量が最適になるように建物の屋根や側面に太陽光パネルを設置する⑲。
⑱ ⑭⑮と同様。
⑲ 実施主体が良く分かりません。分析するのは誰ですか。太陽光を設置するのは誰ですか。公共施設に限ってしまえば、両方とも行政となりますが、都市全体の話であれば、民間事業者が3D都市モデルを用いて設置を検討するのでしょうか。そうであるならば、3D都市モデルの利用をもっと使いやすくするといった方策が必要ですよね。この表現のみですと、蓋然性が低いと判断されてしまいます。
リスク
(3) 解決策を実行しても生じうるリスクと対策⑳
労働人口の減少に伴い、新設した発電設備が適切に管理・メンテナンスされない状況の発生が想定される㉑。これにより、設備が破損して発電が長期間停止するリスクがある㉒。
1つ目の対策として、発電設備の設置時にセンサーを取り付けて状態監視する方法がある。これにより、自動かつ遠隔で管理でき、軽微な状態異常の時点で予防保全を行うことができるため、少ない人員で管理・メンテナンスができる。
2つ目の対策として、まちづくりの複数の関係者で面的にエネルギーを利用し、設備を共同管理する方法がある。これにより、管理体制の充実が可能になり、事業継続性が向上する。㉓
⑳ 前述の通り、長いです。リスクと要件で0.5枚程度のスペースを目安にしましょう。
㉑ 文末が冗長的です。→「リスクが生じる」
㉒ 管理が不十分というリスクに対しては、破損ケース(壊れたら直すと思いますよ、直せないのは人手不足というより資金不足ですよね)より発電効率が下がることの方が懸念されます。
㉓ もっと端的に表現しましょう。→「対策は、センシング技術を用いて設備を監視するとともに、共同管理を可能とする体制を構築する。」
要点・留意点
(4) 業務遂行に当たり必要となる要点と留意点
1)技術者倫理の観点
公衆の安全、健康、福利を最優先する意識が必要である㉔。例えば、都市部での発電設備の破損は人身災害に繋がる可能性が高いことから、最大級の地震や台風に見舞われた場合でも、人身災害が発生しないよう、最新の基準に準拠した設計に留意して業務を進める㉕。
㉔ 聞かれていることは、要点です。的確に解答しましょう。→「・・・ことが要点である」
㉕ これもダイエットしましょう。例示も不要だと思います。→「整備あたっては、最新の基準を用いるなど公衆災害の防止に留意する。」
2)社会の持続性の観点
再エネ施設の都市部への設置には、景観の変化に対する地域住民の理解が必要である。例えば、観光体験を通じて再エネについて学ぶエネルギーツーリズムを提案する㉖等、地域住民と再エネ施設の共存に留意する。これにより、SDGs11番「住み続けられるまちづくりを」に貢献できる。
以上
㉖ 景観への理解を得るための方策として、ツーリズムはピンときません。住民の意見を確認しながら計画立案するなど、もっとふさわしい対策があるのではないでしょうか。