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技術士 二次試験対策 筆記・口頭試験どちらにもお役立ち!「応用力を高める言語化手法②」

論文添削
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「ただの感想じゃん!」からの脱却

【 技術士 二次試験対策 】

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事実と意見

前回お届けした言語化手法において、技術者の書くべき情報は事実と意見のみということをお伝えしました。これは、こと技術者として書く文章には、心情的な要素は不要だからです。これらの心情を加えることで言いたいことがぼやけたり、あいまいになったりと百害あって一利なしです。

今回は、この事実と意見について、考察していきたいと思います。まず、事実と意見の違いについて、みなさん考えたことがありますか。これは、具体例をみてみるとすんなりと理解できると思います。次の例示を見て、どちらが事実で、どちらが意見かすぐに分かりますか。

  • 立地適正化計画は、2024年でちょうど10年を迎える
  • 立地適正化計画は、人口減少社会においてとても有用な計画である

まあ、すぐに分かりますよね。上が「事実」で、下が「意見」です。では、この違いは何なのでしょうかと問われるとなかなか答えが出てこないですよね。この違いは、証明できるかできないかだと考えます。10年であることは、計画の背景にある都市再生特別措置法の施行日を調べれば証明できますよね。

一方、下の意見は、有用だと考える人もいれば、そうでないと考える人がいます。どんなに効果を並べても、有用を証明することはできません。事実は、「Yes OR No」であるのに対し、意見は有用だ有用でない以外にも、地域によっては有効、どちらともいえないなどその捉え方は2つでないこともその特徴です。

技術士論文では、この二つを使い分けて記述すると説得力が倍増します。選択科目Ⅱは、知識が問われるので必要なことを書けばOKです。よって、これらの考えにあまりとらわれて書く必要はありません。しかし、必須科目や選択科目Ⅲは、意見を問われるのでこれらの考えに留意する必要があります。

意見のみではただの主観

問題は受験生の意見を聞いてはいますが、意見だけ書いても誰も納得はしません。これを認識することは非常に重要です。独りよがりな主張には、誰も耳を傾けてくれないものです。みなさんの意見に信憑性や蓋然性を感じて、初めて関心が湧くというものです。

ただの意見から脱却するためには、一体何が必要なのでしょうか。ただの意見は、主観でしかありません。よって、必要なものは「客観性」です。つまり、自分の意見に事実を添えることで、主張に説得力を持たせるのです!これは、これまで紹介した「ひな型」の中にも組み込まれています。

まずは、課題の構成を改めてみてみましょう。ひな型の課題は、現状→問題点(必要性)→課題といった順で構成することを勧めています。これらを意見と事実に分類すると、事実→意見→意見となります。現状という事実に立って意見を述べることで、後述の問題点や結論に客観性が生まれ、読み手は共感しやすくなるという仕組みです。

また、解決策の構成では、目的→やること(解決策)→具体例の順で構成します。これも、事実と意見に分類すると、意見→意見→事実となります。課題とは逆で、最初に意見を述べて事実をもって自分の意見を補強するというスタイルになっています。

必ずしもこれらの構成がもっとも正しいとは言いませんが、事実を織り交ぜることの必要性は理解いただけると思います。この客観性を生み出す「事実」は、前項の正しい理解のもと用いる必要があります。

技術者としてよくよく注意しなければいけないことは、「絶対」、「とても」、「・・・違いない」といった表現で、意見をさも事実かのようにのべることは慎まなければなりません。聞く人が聞けば、どんなに強い言葉を使っても、「単なる感想じゃん」、「それはあなたの意見ですよね(どっかで聞いたような・・・)」と思われてしまうのがオチです。

事実の書き方

このように重要な事実を書く上で、注意すべき3つのポイントがあります。

  • 明確に書く
  • 修飾語はなるべく使わない
  • 意見との相関が高いものを用いる

まずは、明確に書くです。事実であるにも関わらず、「・・・だと思われる」といった具合に不明瞭な書きぶりでは事実かどうか疑わしく感じてしまいます。これでは、事実が持つ客観性という効果が失われてしまいます。事実を書く場合は、「・・・である」と断定しましょう。

修飾語は主観を含む場合が多く、事実にあいまいさを加えてしまう可能性があります。例えば、「立地適正化計画は、2024年でちょうど10年を迎える」という内容に修飾する言葉を加え、「立地適正化計画は、2024で節目となる10年を迎える」とするとどうでしょう。

節目かどうかは人の捉え方によりますよね。せっかくの客観的事実が、なんだか意見を述べているように見えます。事実を書くときは、意見を混入しないように細心の中を払ってください(混ぜるなキケン)。

最後のポイントは、採用する事実の吟味です。これは、自分がこれから主張する意見の妥当性を証明するにふさわしいものとすることです。当たり前すぎる…ということで、事実の価値を高めるポイントについても紹介しておきましょう。

事実は、一般的なものでなく特別なもの(あまりみんなが知らない情報)であるほど価値が高いです。また、事実の内容が具体的であればあるほど、客観性は高まります。具体的に言うと、数字で表現することです。この数字の持つ破壊力は強力です。「人口は減少傾向にある」というより「2008年をピークに2011年以降、12年連続で減少している」とした方がより事実として認識しやすいですよね。

意見の書き方

意見の書き方は、論文の書き方とほぼ同じと捉えてもらって構いません。この書き方については、テクニックのページで紹介していますのでチェックしてみてください。また、このテクニックに加え、前回の記事で紹介した文をつなぐという意識が非常に大切になります。

あまりクドクド言ってもかえって逆効果ですから、違った視点で見ていきましょう。今回は、推敲するプロセスを自らに課すことの必要性を前回の記事で説明しましたので、書き方に問題がないかをチェックする方法について説明したいと思います。

これは、テクニック等にある技法が用いられているか、よくあるミスを犯していないかをもう一度確認することと同じです。結局、復習みたいになっちゃいます!?

  • 文は短く端的か?
  • 前後の文に関係性はあるか?
  • 主語・述語の関係はおかしくないか?
  • ねじれていないか?
  • 説明不足になっていないか?
  • 誤解を与える表現になっていないか?

全部で6つのチェックポイントがあるわけですが、上の5つはこれまでに繰り返し説明しているので、今回は省略します。最後の「誤解を与える表現になっていないか?」について、掘り下げていきたいと思います。

技術者の説明は、読み手に理解してもらうだけでなく、誤解を与えないことも重要であることを認識しましょう。つまり、どちらともとれる表現(複数の解釈が可能な表現)は、避けるべきです。ちょっと分かりづらいので、また例を挙げて考えましょう。

「豊かな緑あふれる地域」という表現は、「豊かな緑」とも読めますし「豊かな地域」とも読めます。このように修飾語が連続する場合は注意が必要です。私がオススメするのは、修飾語は1つ戦法です。これで迷わないはずです。

スペースを消費したい場合など、修飾語を増やしたくなると思いますが、足し算の思考だけでなく、引き算の思考を持つように意識しましょう。この意識を養うことは、自分を新たなステージに押し上げてくれること請け合いです。

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