改訂コンピテンシーで問われ方が変わる令和8年度口頭試験の要点
【 技術士 二次試験対策 】
改訂版コンピテンシーが口頭試験の“問われ方”をどう変える?
前回のブログでも言いましたが、令和8年度の技術士二次試験は、制度上の大きな転換点となります(前回の記事はコチラ)。理由は明確で、令和5年1月25日に改訂された「技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)」が、令和8年度から正式に適用されるためです。
文科省の資料では「令和8年度技術士第二次試験より改訂版コンピテンシーを適用した試験を実施する」と明記されています(文科省の資料はコチラ)。つまり、今年の受験者は、従来のコンピテンシーではなく、改訂版コンピテンシーに基づく評価を受けることになります。
この改訂は、単なる文言修正ではありません。技術士の役割をより明確化し、社会的責任、ステークホルダーとの協働、情報技術の活用、持続可能性への配慮など、現代の技術者に求められる能力をより具体化した内容へと進化しています。
したがって、口頭試験対策においては、改訂版コンピテンシーの理解が不可欠であり、従来の対策をそのまま踏襲すると論理構造がズレる危険性が高いといえます。以下では、改訂版コンピテンシーの内容を、口頭試験でどのように問われるかという観点から体系的に解説します。
改訂版コンピテンシーの適用背景と口頭試験への影響
改訂版コンピテンシーは令和5年に改訂され、令和8年度から適用されます。その理由として、「試験を受けようとする者への周知期間を考慮(1年間確保)」と記載されています(文科省資料より引用)。つまり、受験者が新しいコンピテンシーに対応できるよう、十分な準備期間を設けたうえでの適用です。
しかし、ここで重要なのは、試験問題や評価方法は大きく変わらないという点です。文科省資料には、 「現行の筆記試験問題、評価方法及び口頭試験試問事項等について検討した結果、これらは全体として改訂版コンピテンシーの内容を含んでおり、変更の必要は無い」 と明記されています。
つまり、試験形式は変わらないが、評価の基準が変わるということです。 この「形式は同じだが評価軸が変わる」という点が、口頭試験対策において最も重要です。
改訂版コンピテンシーの全体像
改訂版コンピテンシーは、従来の構成を維持しつつ、現代の技術者に求められる能力をより具体化しています。特に改訂が大きいのは以下の領域です。
- 問題解決
- コミュニケーション
- リーダーシップ
- 技術者倫理
- 継続研さん(CPD)
これらは、口頭試験で必ず問われる領域であり、改訂内容を理解していないと、面接官の質問に対して論理的に回答できません。
以下では、改訂部分を中心に、口頭試験でどのように問われるかを詳細に解説いたします。
問題解決(改訂の核心)
改訂版コンピテンシーの中で最も大きな変更が加えられたのが「問題解決」です。
添付文書では、改訂後の内容として次のように記載されています。
「必要に応じてデータ・情報技術を活用して定義し」 「多角的な視点を考慮し、ステークホルダーの意見を取り入れながら」 (引用)
従来は、問題の明確化・要因分析・選択肢提示・合理的提案という流れでしたが、改訂後は次の要素が追加されています。
データ・情報技術の活用
問題を定義する際に、データや情報技術を活用することが求められます。 これは、単なる経験則ではなく、客観的な根拠に基づく問題定義を行う能力を問うものです。
技術士 口頭試験では、
- 「その問題をどのように定義しましたか」
- 「どのデータを使って判断しましたか」 といった質問が想定されます。
多角的視点の考慮
従来は技術的観点が中心でしたが、改訂後は社会的・経済的・環境的視点など、多角的な視点を考慮することが求められます。
技術士 口頭試験では、
- 「技術的観点以外に、どのような視点を考慮しましたか」 と問われる可能性が高いです。
ステークホルダーの意見の取り込み
改訂後の文言には、ステークホルダーの意見を取り入れることが明記されています。 これは、技術者が独断で判断するのではなく、関係者との協働を前提とした問題解決を求めるものです。
技術士 口頭試験では、
- 「関係者との調整はどのように行いましたか」
- 「反対意見があった場合、どのように対応しましたか」 といった質問が想定されます。
コミュニケーション(包摂性と情報技術の活用)
改訂版コンピテンシーでは、コミュニケーションの領域にも大きな変更が加えられています。
添付文書には、 「情報技術を活用し…明確かつ包摂的な意思疎通を図り、協働すること」 と記載されています(引用)。
従来は「明確かつ効果的な意思疎通」でしたが、改訂後は次の要素が追加されています。
情報技術の活用
オンライン会議、デジタルツール、共有プラットフォームなどを活用したコミュニケーションが求められます。
口頭試験では、
- 「情報技術を使ったコミュニケーションの工夫はありますか」 と問われる可能性が高いです。
包摂的コミュニケーション
包摂性(インクルーシブ)が明記された点が重要です。 これは、多様な関係者を排除せず、協働を促進するコミュニケーションを求めるものです。
口頭試験では、
- 「異なる立場の関係者をどのように巻き込みましたか」 といった質問が想定されます。
リーダーシップ(デザインと現場感覚)
改訂版コンピテンシーでは、リーダーシップの領域において、次の文言が追加されています。
「明確なデザインと現場感覚を持ち、多様な関係者の利害等を調整し取りまとめる」 (引用)
ここで重要なのは、「デザイン」と「現場感覚」という二つの要素が明記された点です。
デザイン
プロジェクトの全体像を描き、方向性を示す能力です。
現場感覚
現場の状況を理解し、実現可能性を踏まえた判断を行う能力です。
技術士 口頭試験では、
- 「プロジェクトの全体像をどのように描きましたか」
- 「現場の状況をどのように把握しましたか」 と問われる可能性が高いです。
技術者倫理(持続可能性と文化的価値)
改訂版コンピテンシーでは、技術者倫理の領域において、次の文言が追加されています。
「次世代にわたる社会の持続可能な成果の達成を目指し」 「文化的価値を尊重すること」 (引用)
従来は「社会・文化・環境への影響を予見し、持続性の確保に努める」でしたが、改訂後は「持続可能な成果の達成」というより積極的な表現に変わっています。
口頭試験では、
- 「あなたの業務は社会の持続可能性にどう寄与しましたか」
- 「文化的価値への配慮はどのように行いましたか」 と問われる可能性が高いです。
継続研さん(CPDの強化)
改訂版コンピテンシーでは、継続研さんの領域において、次の文言が追加されています。
「新しい技術とともに絶えず変化し続ける仕事の性質に適応する能力を高める」 (引用)
従来は「十分な継続研さんを行う」でしたが、改訂後は「変化への適応」が明記されています。
口頭試験では、
- 「どのようなCPDを行い、どのように業務へ活かしましたか」 と問われる可能性が高いです。
口頭試験での回答構築のポイント
改訂版コンピテンシーを踏まえた口頭試験対策として、回答構築のポイントは次のとおりです。
コンピテンシーを“構造化して語る”
単なる経験談ではなく、
- 問題定義
- 要因分析
- 選択肢提示
- 合理的提案
- ステークホルダー調整
- 持続可能性への配慮 など、コンピテンシーの構造に沿って説明します。
改訂部分を必ず盛り込む
特に以下は必須です。
- データ・情報技術の活用
- 多角的視点
- ステークホルダーの意見
- 包摂的コミュニケーション
- デザインと現場感覚
- 持続可能な成果
- 文化的価値の尊重
- 変化への適応(CPD)
面接官の質問意図を理解する
面接官は、あなたが 技術 士としての判断基準を持っているかを確認するために質問します。 したがって、回答は「 技術士 としての視点」で語る必要があります。
さあ、改訂コンピテンシーを攻略しよう
令和8年度の 技術士 二次試験は、改訂版コンピテンシー初年度であり、口頭試験の評価軸が大きく変わります。形式は変わらないものの、評価基準が変わるため、従来の対策では不十分です。
改訂版コンピテンシーの理解は、口頭試験対策の中心であり、これを踏まえた回答構築が合否を左右します。 本サイトでは「口頭試験 想定質問(10問まで)添削(非公開)」 サービスをご用意しています。不安な人はご検討ください。


