添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
それぞれのスタート
筆記試験の結果がもうお手元に届いていると思います。合格、不合格はもとより、納得いく結果、悔しい結果など様々だったと思います。私も投稿者の報告を伺って感じたのは、不合格であったみなさんにおいては非常に惜しい結果ばかりということです。
何と言っても、4割未満のC判定は一人もいませんでした。また、A判定は必ずあるといった状況が散見されました。つまり、合格した人との差は少しだったと推測されます。これから、そのちょっとの差を分析できればと思いますが、総じて悔しくてなりません。
でも、このあと一歩が結構大変なのではないかと予想しています。大昔、塾の講師や家庭教師をやっていた時の話ですが、テストの成績を50点から70点に引き上げることは、比較的容易にできます。しかし、80点の人を90点に引き上げるのは、至難の業でした。
みんさんの結果を踏まえると、80点を90点に挙げる作業になりますので、工夫していかねばという訳です。てにをはを間違えても、その原点はたかが知れていますので、やはり題意に即した答えかといったところなのでしょう。技術や書く力が備わっているのであれば、あとは問題を正しく理解する能力を鍛えるといったことになるのではないでしょうか。
一方、合格した人は、とにもかくにも想定問答集を速やかに作成する必要があります。ただし、このQ&Aの作成を闇雲に行っても意味はありません。きちんと、質問者の意図を捉え的確に回答することを心掛ける必要があります。気を付けるポイントは、過去記事にまとめてあるので要チェックです(過去の記事はコチラ)。
また、ご自身が作成したQ&Aが口頭試験に通用するのか不安な人は、Q&Aの添削サービスもありますので、活用をご検討ください。当該サービスでは、極力ソリューションをお示ししていきたいと思っています。1%でも合格を高める準備をしましょう。
時間が少ないのでQ&Aを作成したら、通勤、休憩時間、寝る前など四六時中脳内で口頭試験をシミュレーションしましょう。私の体験記もありますので、シミュレーションにお役立てください。何度も、イメトレを繰り返していくと、自信が溢れ早く試験を受けたいとさえ思うようになりますよ。
それぞれ新しいスタートを切ることになりますが、勉強は楽しいものです。特に、技術士の勉強は、自分が成長していくことを強く感じることができる稀有なものと考えています。どのような立場であっても、楽しく気負わず取り組むことが大切です。
論文
さて、本日の添削LIVEは、建設部門 制度改正対策 旧制度 選択科目Ⅲ 「土地区画整理事業の見直し」をお届けします。どんな形式の問題であれ、前述のとおり問題を正しく理解することがまず何より重要です。何を聞かれているのか分からなければ、答えることはできないからです。理系の人は、思考が先行するケースが多いので、考えを巡らすうちに回答がズレていっていしまうことが多いです。意識するだけでかなり回避できるのでお勧めです。そうれでは、早速論文を見ていきましょう。
問題(H27):人口減少・⾼齢化の進む地⽅都市において、社会経済状況の変化に対応するとともに、持続可能な都市経営の実現を図るため、あなたが担当責任者として、当該都市全体としての都市施設の整備に関する事業⼜は市街地の整備に関する事業の⾒直しを検討するものとして、以下の問いに答えよ。
(1)⾒直しの対象とする事業を想定し、その⾒直しを検討しなければならない背景を説明せよ。
(2)上述した背景に対応して、事業の⾒直しの⽅策を具体的に提案せよ。
(3)事業の⾒直しによって⽣じる負の側⾯について説明し、その対応⽅策を論述せよ。
1 見直しの対象とする事業
見直しの対象とする事業は、狭小な道路が多く、建付け地が多い地区の土地区画整理事業とする。
2 ⾒直しを検討しなければならない背景
(1)事業実現性の低下
地区内の権利者の増加等から、事業化へ向けた合意形成が困難となっている①。また建物の移転補償費の増加が見込まれ、さらに不動産価値の低下など採算性の面からも事業化は厳しい状況となっている。
① 問題には、「事業の見直し」とあります。事業化へ向けてということは、未着手ということですよね。問題の条件を満たしているのか疑義があります。
(2)都市計画制限の長期化
事業化が不透明な中、長期に亘り都市計画法第53条の建築制限が、かかり続けている②。
① 問題には、「事業の見直し」とあります。事業化へ向けてということは、未着手ということですよね。問題の条件を満たしているのか疑義があります。
② 都決しているということは、公共団体の施行事業ですかね。事業主体が誰で、どこまで進んでいるのか良く分からないです。
(3)都市基盤整備の停滞
道路や公園③が脆弱なまま宅地化が進行している地区は、車の円滑な通行や歩行者の安全に支障を来すとともに、空き地の減少から④防災性の低下も懸念される。
③ 都市施設の例示に公園とありますが、後述の「車の円滑な通行や歩行者の安全に支障を来す」といった問題点との関係性が不明です。
④ 建築制限があるにもかかわらず、空地が減少するのはなぜでしょう。
3 事業の⾒直しの方策
(1)当該地区における将来都市像の検証
都市マスタープラン⑤や総合計画との整合性に留意しつつ、計画当時と現在での位置づけについて再整理し、将来の都市像を検証する⑥。
⑤ →「都市計画マスタープラン」
⑥ 既存計画との整合に留意して位置づけの再整理とは一体どのような行動なのでしょうか。変化を見つけるということですかね。また、将来都市像は、都市計画マスタープランに示されているのではありませんか。対象地区における将来ビジョンを再検証が言いたいことですかね。適切な表現を意識しましょう(ご自身の推敲、セルフチェックを習慣化すると良いでしょう)。
(2)当該地区の現況課題の整理
計画策定時から時間が経過していることから、現状を把握して課題を再整理する。
(3)当該地区における公共施設の整備レベルの検証
土地区画整理事業を見直す場合、別途手法によって、地区の課題に対し、一定の水準の改善が見込めることが必要である⑦。このため、例えば道路の幅員が4m以上とできるのか、消火活動に支障が出ない環境が整っているのかなど、現在の整備水準を整理⑧し、目標とする整備レベルを検討する。
⑦ 別途手法とは何か分かりません(見直しのことですか?)。また、一定水準の改善との表現も構文的におかしく何を言いたいのか理解できません。水準とは標準となる程度であり、効果を図る物差しのようなものです。事業効果の改善がいいたいことですかね。⑥と同様、内容云々の前に文章の構成や言葉の使い方などに問題がありますので、ここを意識して練習しましょう。
⑧ 整理というより検証ですかね。また、見直しですからもともとの土地区画整理事業としての計画があったわけですよね。そうなると、もともとの計画では道路幅員が4mない、消防活動もできないといった内容であったということであり、現計画があまりにもお粗末と言わざるを得ません。つまり、背景にあるような状況の変化による見直しというより、もともとある計画の整備水準が低すぎるので見直すという動機に見えてしまいます。
(4)地区の住民意向の把握
地権者層も計画当時から世代が大きく変わっていることが想定される⑨。このため、再度現地権者に意向調査を行い、地区の視点での課題などを把握⑩する。
⑨ どのくらいの期間、事業が停滞していたのか分からないため、この想定の妥当性を評価できません。
⑩ 地区の視点での課題整理は、(2)で行うのではありませんか。ここで言いたいことは、地権者の視点ではありませんか。
(5)協議会の設置
土地区画整理事業の施行区域の見直し⑪は、多くの関係者の合意形成が不可欠である。このため見直しの案の作成段階から、企業、NPO、自治会組織など多様な主体の参画により進めていく⑫。
⑪ 区域を見直すことが前提になっていますが、区域変更するならば何の課題解決のために行うのかなど、区域変更を提案したうえで協議会の必要性を述べるべきです。脈絡がありません。
⑫ なぜ多様な関係者の参画が必要なのか分かりません。土地区画整理事業の合意形成は、ステークホルダーがいれば十分ですよね。提案の意図を説明しないと、読み手は共感できません。
(6)まちづくり方針の明確化と都市計画の見直し
土地区画整理事業による市街地整備までは及ばないと判断した地区のうち、都市基盤整備が評価基準を充たしていない地区は、新たなまちづくり施策方針となる「地区マスタープラン」などを検討する⑬。
今後のまちづくりの方針を明確にして、地区計画の導入に合わせ⑭、土地区画整理事業を廃止する⑮。一方、都市基盤整備が評価基準を充たしている地区は、住民の意見を確認した上で、土地区画整理事業を廃止する⑯。
地区計画の導入意向が高いエリアがある場合は、住民主体の取組みを支援する⑰。⑱
⑬ 地区マスタープランなるものが何なのか説明がないまま検討すると言われても理解できません。地域の個別計画も都市計画マスタープランに記載があるのではないでしょうか。そのうえで、新たに地区の計画を定めるということは、地区計画か何かを定めるのでしょうか。手法が分からないため、どのような行動なのか全く分かりません。
⑭ 地区計画を策定するのすか。突然地区計画の導入に合わせてと言われても唐突すぎます。
⑮ 事業の見直しが問題の要旨なので、その事業を廃止するでは題意に沿っていないと思います。また、提示した課題の何を解決する行動なのかも判然としません。
⑯ 水準を満たしていようが満てなかろうが、結局のところ土地区画整理事業は廃止するのですね。そうであれば、水準を語る必要性が感じられません。そもそも、事業を廃止することについては、⑮のとおりです。
⑰ 土地区画整理事業の話であるはずなのに、地区計画の話になっていることに違和感があります。また、筋道が通っていたとしても「取組みを支援する」では抽象的で何をするのか分かりません。
⑱ 全体として、どの課題に対応する提案なのか分かりません。例えば、「建物の移転補償費の増加が見込まれ、さらに不動産価値の低下など採算性」といった課題に対してどのような解決策を講じるのかはっきりしていないです。
4 負の側⾯とその対応策
(1)負の側面:代替案の整備の担保性
地区マスタープランに記載された整備案は、そのままでは実効性が担保されない⑱。
⑱ 地区マスタープランが何なのか分からないこともさることながら、整備案も何か分からないので、実効性が担保されないのか判断できません。
(1)の負の側面に対する対応策
より実効性を高めるため、アカウンタビリティを確保しつつ、住民、議会への理解を深め予算措置を図る⑲。時間軸を考慮し優先順位を付しながら実行する。また計画の実現性を高めるため、地区計画に地区施設を定め⑳、公共施設の整備の担保性を高める。
⑲ ⑱のとおり、負の側面がなにを危惧しているのか分からないので、対応策の妥当性も判断できません。また、見直しによって生じる負の側面になっていないと思います(これは提案の問題点であり、以降の対策も本来提案の内容として述べるべきです)。
⑳ 見直しによって生じる負の側面ですよ。地区計画は、見直しとしてすでに定めるのではありませんか。
(2)の負の側面に対する対応策
特に中心市街地では、都市防災の観点から、整備の緊急性も高いことから沿道整備街路事業などにより都市の防災軸の整備が必要である㉓。
㉓ 必要性ではなく、対応策を書きましょう。
(3)負の側面:都市計画法第53条の制限に対する対応㉔
長期間建築制限を受けてきた事に対し、住民から補償を要求される懸念がある。
(3)の負の側面に対する対応策
検討当初から、関係者の理解を得る。 以上
㉔ 見出しが長すぎます。
53条による制限は、背景で述べたものであり、見直しによって生じる負の側面になっていないと思います。これらの対策は、見直し豊作で述べるべきです。