白書を「見える化」します
【 技術士 二次試験対策 】
テキストマイニング
技術士 の二次試験対策においては、国の取組みを把握することから始まりますよね。この情報を把握するためには、以前の記事でもご紹介しましたが、白書、予算、審議会・委員会の資料が有効です。これらの資料を読み込むことが必要ですが、まずは国がどのような考えを持っているのかざっくり掴むと、資料を理解しやすく、情報がしっかりと頭に入ってくると思います。
そこで、大量の情報を整理するために、テキストマイニングという分析手法を使ってみようと思います。テキストマイニングは、大量のテキストデータから有益な情報を抽出するものです。アンケートの自由記入欄などの情報整理によく使われます。
テキストマイニングのアウトプットは、スコアが高い単語を複数選び出し、その値に応じた大きさで図示します。テキストマイニングには、様々なツールがありますが、今回はUser Local のAIテキストマイニングを使用します。
AIテキストマイニングは、無料で利用できるほか、除外ワードなどのカスタム設定も容易なのでとても使いやすいです。また、テキストをブラウザに入力する、ファイルをアップロードするといったいずれかの方法で簡単に分析が可能です。
最大200,000文字、10MBまでと制限はあるものの、取り扱う形式はテキスト形式(.txt)、CSV形式(.csv)、Word形式(.docx)、Excel形式(.xlsx .xlsm)、 PowerPoint Text形式(.pptx)、PDF形式(.pdf)と多様です。誰でも簡単に使えるので、気になる資料があれば分析してみると役立つ情報が手に入るかもしれません。
国土交通分野の現状と方向性
それでは、早速、国土交通白書を丸裸にしていきたいと思います。白書をダウンロードして、ファイルをアップロードします。しかし、さすがにファイルサイズが大きすぎで、読み込み失敗です。そこで、Ⅰ部、Ⅱ部に分けてアップロードしますが、やはり文字数オーバーです。
そこで、今回は、第Ⅰ部第2章第1節「国土交通分野の現状と方向性」を例に分析してみましょう。このセクションは、国の動向をつかむのに最適です。どんな結果がでるのか、ワクワクしながらドラッグします。ものの数秒で、結果が表示されました。
おおーーーそれっぽいのが出てきました。文字の大きさは、スコアが高いことを表し、単語の色は品詞の種類で異なっています。青色が名詞、赤色が動詞、緑色が形容詞を表しています。確かに、見やすいですし、直感的に大事なものが分かります。
図の真ん中に鎮座するのは、「地域」です。汎用的な言葉ではあるものの、その近くには「交通」という言葉が添えられているので、地域交通などが想起されます。それを裏付けるように、左下には大きく自動運転の文字が見えます。
また、物流、ドライバー、トラックといった用語からは、2024年問題などが浮かび上がってきますよね。さらに、子ども、子育て、働きやすい、住みやすいといった用語は、こどもまん中社会などがイメージできます。これらを踏まえると、働き方改革や生産性の向上といったテーマが予想できます。
DX及び技術研究開発の推進
「国土交通分野の現状と方向性」のアウトプットは、少々汎用的な用語が多くぼんやりとしすぎていますね。テーマを予想するのには、想像力が求まられます。そこで、テーマを絞って分析すれば、より精緻なキーワードが示されると考え、今度は第Ⅱ部第9章「DX及び技術研究開発の推進」を例に見ていきます。
テーマが絞られているので、示される情報も具体的でイメージしやすいですね。中心には、「技術」、「活用」、「推進」、「取組む」といった汎用的な用語が並ぶ中、注目すべきはちりばめられた具体的な技術です。具体的な技術のスコアは低いものの、抽出されていること自体で評価できます。ピックアップすると「BIM」、「PLATEAU」、「地理空間情報」が示されています。
このような用語を用いて、必須科目の解決策などが示せれば高得点ですよね。よって、「BIM」、「PLATEAU」、「地理空間情報」については、どのような内容なのか?、適用シーンは?、特徴は?といった具合に知識を深めるとよいでしょう。
テキストマイニングの可能性
上記に示したアウトプットは、「ワードクラウド」と言われるものになります。このほかにも、「単語出現頻度」、「共起キーワード」、「2次元マップ」、「係り受け解析」、「階層的クラスタリング」といったアウトプットも示されます。
例えば、「共起キーワード」は、文章中に出現する単語の出現パターンが似たものを線で結んだ図で、キーワードの関係性が一目で分かります。「DX及び技術研究開発の推進」のアウトプットは、次のとおりです。
「ワードクラウド」より単語同士の関係性が明確であり、考えを整理するための手助をしてくれます。提示されるアウトプットを上手に活用し、情報把握や整理に活用すると良いでしょう。今回は、白書という資料を用いましたが、審議会の議事録などをマイニングすると面白いかもしれませんね。上手に活用できれば、試験対策の強力なツールになるでしょう。
こんなすばらしい技術が無料で使用できるなんて、すごい世の中になったものです。このようなAIツールを上手に活用できる人と、できない人では大きな差を生みそうです。積極的に活用し、次世代技術者を目指しましょう。