添削LIVE
【 技術士 二次試験対策 】
防災・減災のデジタル活用
本日の添削LIVEは、建設部門 令和6年度 鋼構造及びコンクリート 選択科目Ⅲ 予想問題 「防災・減災のデジタル活用」になります。数々の推敲を重ね美しい仕上がりとなっています。これらのプロセスと完成論文は、この受験直前の皆様にとてもよい影響を与えると思います。分野に関わらず必見です。それでは、努力の軌跡を見ていきましょう。
論文①
問題文
課題
1.デジタル技術活用による防災・減災、国土強靭化
(1)デジタル技術を要した人材の確保(人材面)
生産年齢人口が減少し続ける中、自然災害は激甚化・頻発化している。労働力の低下により、防災・減災、国土強靱化の実現が難しくなっている。このため、デジタル技術を活用した防災・減災プロジェクトの強化が急務であり①、ITリテラシーを備えた人材の確保が必要である②。よって、人材面の観点から、デジタル技術を要した③人材の確保が課題である。
① 下線部は、すべて問題に記されている内容とほぼ同じです。デジタル技術を活用した防災減災対策を必要とする背景ではなく、デジタル技術者を必要とする背景を書きましょう。
② デジタル技術を活用するから、その技術者が必要との説明ですが、どうしても当たり前に見えてしまいます。建設業界にデジタル技術者が不足している、急速なデジタル技術の発展に知識やスキルが追い付いていない等、①の指摘のとおり人材を焦点化すべきです。
③ →「擁する」
(2)デジタル技術の地方への浸透(普及面)
デジタル技術は急速に発展し、防災・減災の手段として期待されている。しかし、導入・運用にはシステム開発や多大な資金が必要④であり、地方自治体によっては財政難のため、デジタル技術を導入したくても優先順位が低くなっている⑤。また、今まで大きな災害を経験していない地域は災害に対する意識が低い⑥。よって、普及面の観点から、デジタル技術の地方自治体への浸透が課題⑦である。
④ デジタル技術と言っても様々ですから、一概にシステムや資金が必要と言われても釈然としません。また、デジタル技術の活用は生産性を高める効果もあるので、事業全体で見るとコストダウンする可能性すらあります。
⑤ 前半と同じような主張が繰り返されているように見えます。
⑥ これまで自治体の話をしていますが、ここに来て地域を対象にしています)。しかも、見出しは地方です。対象を統一しましょう。また、災害意識が低いことがなぜデジタル技術と関係しているのかといった疑問が生じます。まとまりがなく、主張に一貫性がありません。
⑦ 普及面が良く分からないです。また、自治体への浸透とはどのような行動なのでしょうか。抽象的で何を問題視しているのか理解できません。背景も、ほとんど費用の話になっているにも関わらず、浸透が課題と言われてしまうと唐突であり、文脈が通っていない印象を持ちます。
(3)データの効率的な集積と活用(管理面)
我々の生活には道路(橋梁)、水道、電気、通信等のインフラ施設が欠かせない。災害発生時には上記インフラが破壊され、災害難民が発生する可能性がある⑧。防災・減災のために様々なデータを利用することは有効⑨だが、データを効率的・効果的に集積⑩し、活用する必要がある。よって、管理面の観点⑪から、データの効率的な集積と活用が課題である。
⑧ この内容は、ごく当たり前のことのように感じます。記述の必要性に疑義があります。これまでと同様、課題に関する背景を書くべきです。この場合は、データの集積と活用なのですから、これらに関する現状や問題点を書きましょう。
⑨ 何のデータだか分からないです。このため、なぜ有効なのかも分かりません。説明不足です。
⑩ 収集ではなく集積何ですよね。これもなぜ集積なのかも良く分からないです。
⑪ これも説明や示唆がない中、なぜ管理なのか理解できません。
解決策
2.最も重要な課題と解決策
公衆の安全確保の手段として期待⑫でき、早急に対応可能なことから、「データの効率的な集積と活用」を最も重要な課題に選定する。解決策を以下に示す。
⑫ 防災減災なのですから、すべての課題は安全確保に通じています。選定の理由として、疑義があります。
(1)ドローン・衛星等の活用(調査)
災害時の被害状況の把握の冗長化⑬、迅速化を図るため、新型の垂直離着陸型ドローン(VTOL)⑭等を活用する。例えば、災害時に職員が現場に近づけない危険な場所でも、迅速に現場状況を安全に確認できる。また、衛星画像をAIが自動判読し、土砂災害発生予測⑮を行い、避難経路の選定に利用する⑯。その他、異常検知センサー⑰で被災により損傷が生じた橋梁の通行不可の判断が迅速に可能となる。
⑬ 多様化ではありませんか。
⑭ 一般的なドローンは、垂直離着陸ではありませんか。VTOLは、ヘリコプターのように垂直離着陸ができ、かつ固定翼機のような高速巡航も可能な垂直離着陸型固定翼ドローンです。施策や事例は、正確にその特徴を示さないと逆にマイナス評価になってしまいます。
⑮ ここが技術力の見せどころです。AIで何をどうやって自動判読するのか、それをどのようなシステムを使って予測するのかといった内容まで書いた方が良いですね。選択科目Ⅲは技術力を示さないと得点できません。ここぞというところは、詳細に内容を記載することをお勧めします。
⑯ これも技術力をアピールしましょう。予測結果のフィードバックは様々に用途が想定されます。避難経路の選定と言った用途に限定する必要はないと思います。
⑰ これも同じですね。検知センサーはどのようなものなのか。どのような損傷を検知するのか。その閾値はどうなっているのか。書くべきことは沢山ありますが、この説明では淡白すぎます。
(2)BIM/CIMの活用(調査~維持管理、復旧)
関係者間での作業を迅速、効率的に行うため、BIM/CIMの3次元データを用いる。インフラ分野全体の合理化を図るため、3次元データを調査、設計、施工、維持管理段階までの全行程で共有する⑱。具体的には、落橋が発生し通行に支障が生じている場合、視覚的に3次元として全体像を把握することができる⑲。また、BIM/CIMモデルをバーチャルツアーに取り入れ、情報共有を行う。タブレット画面で被災状況を確認し、災害査定に利用する⑳ことで、迅速な災害復旧が可能となる。
⑱ 前の文と後ろの文は、ほぼ同じことを述べています。どちらか一方にしましょう(後半の方が良さそうです)。
⑲ 通行に支障が生じている状況説明は必要ですか。また、「視覚的に」、「3次元として」は同じような意味合いで使っていませんか(重複)。さらに、3次元で全体像を把握して、どのような効果があるのですか。その活用方法まで示さないと、有効であることを理解できません。加えて、BIM/CIMは設計や出来形データであり、被害状況を再現できるのですか。
⑳ ⑲のとおり、被害状況を再現できるのか疑義があります。被害状況の座標データはないのではありませんか。ドローン等でデータ収集するならば、それを書かないと飛躍しており理解できません。
(3)防災デジタルプラットフォームの構築
災害発生時の様々な情報を集積し活用するために、国や自治体、インフラ事業者が情報を共有するシステムを構築する。平常時の交通情報および気象情報や災害情報㉑を集積し、AIを用いて分析㉒・活用する。これにより、精度の高い降雨予測や災害予測が可能となり、二次災害の防止効果や避難ルートの指示が可能となる㉓。また、官民の災害対応機関と共有することで、早期救助やスムーズな災害復旧対応が可能となる㉔。
㉑ →「交通情報、気象情報、及び災害情報」
㉒ これも、これまでと同じく技術力アピールが足りません。活用方法は後述に具体例がありますが、分析については何も説明されていません。記述のデータをどのように分析するのか、なぜ精度の高い予測が可能になるのかといったことまで述べるべきです。
㉓ 「・・・可能となり・・・可能となる」との表現は、好ましくありません。また、解決策なので、可能性ではなくやることとして書きましょう。→「これらの分析結果を用いて、精度の高い降雨予測や災害予測を行い、二次災害の防止効果を図るとともに避難ルートを指示する。」
㉔ 官民の災害対応機関とは何ですか。また、抽象的で一般論を脱していません。
リスク
3.新たに浮かび上がる将来的な懸念事項と対応策
(1)新たに浮かび上がる懸念事項
デジタル技術を活用することで現場での作業が効率化される。しかし、技術者は機材やソフトの操作等の習熟が必要となり、操作方法を取得することが主となる。そのため、技術者(特に若手技術者)は現場で対応する機会が減り㉕、災害時に必要な初期行動や判断㉖、全般的な技術力が低下するリスクが考えられる。
㉕ 解決策は、発災時の対応が述べられています。建設現場のデジタル化の話ではないので、現場で対応する機会が減るとの説明は違和感があります。
㉖ 甚大な災害は多くの人が未経験ですので、経験不足によって初期行動や判断が低下するとの考えも腑に落ちません。
(2)懸念事項への対応策
ARやVRを教育分野に導入する。熟練技術者の目線㉗やチェックポイントを仮想的に体感する機会を増やすことで、より実務に近い技術教育を行う。また、組織においては、ナレッジマネジメントを導入し、個々のスキルアップを行う。これらにより、災害時に必要な行動や判断、新工法に対応可能な知識や技術を同時に習得する。 -以上-
㉗ 災害対応に熟練者など要るのですかね。通常の建設現場のデジタル化と混同していませんか。懸念事項、対応策とも見直した方が良いですね。
論文②
課題
1.デジタル技術活用による防災・減災、国土強靭化
(1)デジタル技術を要した人材の確保(人材面)
近年、自然災害は激甚化・頻発化している。南海トラフ地震や首都直下地震の発生確率は今後30年以内で約70%と高い。そのため、デジタル技術①を活用した防災・減災の強化が急務である。しかし、建設業界にはデジタル技術者が不足しており、デジタル技術を最大限に活用できていない。よって、人材面の観点から、デジタル技術を要した②人材の確保が課題である。
① 災害の頻度や確率が高まると、なぜデジタル技術が必要になるのですか。この因果関係を説明しないと読み手は理解できません。
② →「擁した」
(2)データの統合と環境整備(利用面)
デジタル技術は急速に発展し、防災・減災の手段として期待されている。しかし、データのフォーマットの違いや、データ量の膨大さが問題である。様々なセンサーや監視システムから得られるデータを効果的に利用するためには、これらのデータを統合し、利用可能な環境の整備が必要がある③。よって、利用面の観点④から、データの統合と環境整備が課題⑤である。
③ フォーマットの違いやデータ量の多さといった提起した問題に即した必要性に見えません。→「これらデータの規格統一や、ユーザビリティの向上といった環境整備が必要である」
④ 利用面の観点は分かりづらいです。利便性の観点でどうでしょうか。
⑤ 背景の問題を包含させるため「データ管理システムの構築が課題」としてはいかがでしょうか。
(3)データの効率的な集積と活用(管理面)
既存インフラの情報(図面、台帳)は紙ベースで管理されているものが多い。災害等の緊急時においては、インフラの構造や補強履歴等の情報を踏まえ対策を検討する。データがない場合、迅速な対応が困難となり、災害の拡大の原因となる。よって、管理面の観点から、データの効率的な集積と活用が課題である⑥。
⑥ 前項の内容と類似(ともにデータの取り扱い)しています。どちらかに一方にして、他の課題設定をした方が良いでしょう(多面的な観点という条件を満たせないと思います)。
解決策
2.最も重要な課題と解決策
災害時の迅速な対応により、公衆の安全確保に直結することから、「データの効率的な集積と活用」を最も重要な課題に選定する。解決策を以下に示す。
(1)ドローン・衛星等の活用
被害状況の把握の多様化、迅速化を図るため、新型ドローン(VTOL)等を活用する。例えば、被災箇所が遠方でも、高速巡行で現場に到着し、垂直飛行で安定したデータ収集が可能となる⑦。また、被災後の写真や衛星画像、過去の災害事例や雨量データを収集する。災害予測システムにより、AIが収集したデータを自動解析する⑧。これらの分析結果を用いて、精度の高い降雨予測や災害発生予測を行い、二次災害の防止効果を図ると共に避難ルートを指示する⑨。その他、異常検知センサーで橋台や主桁のズレを検知し、確認後、橋梁の通行不可の判断を迅速に行う。
⑦ →「・・・高速巡行によって速やかに現場に到着できるうえ、垂直飛行も可能であるため、迅速かつ安定したデータ収集ができる。」
⑧ 前文とのつながりを意識しましょう。また、AIがデータ収集するように読めてしまいます。→「収集したデータは、災害予測システムにより、AIで自動解析する」
しかし、この場合においても、何を自動解析するのか分かりません。
⑨ 私の指摘ですが、改めて見るとおかしいですね。防止効果は「図り」ませんね。→「防止するとともに」
また、二次被害のみになってしまいました。一義的には、二次ではなく被災そのものを防ぐことが目的です。さらに二次被害を防止といった論調にした方が良いと思います。時系列で整理しましょう。→「・・・行い、早めの避難行動を促す。また、避難指示に合わせ、解析に基づいた安全な避難ルートも情報提供する。さらに、発災後においても、リアルタイムデータを即時解析し、浸水範囲等の自動抽出や土砂移動状況の把握などにより、二次被害を防止するための措置を講じる。」
(2)BIM/CIMの活用
インフラ分野全体の合理化を図るため、3次元データを調査、設計、施工、維持管理段階までの全行程で共有する。具体的には、落橋した場合、ドローン等で収集した点群データをBIM/CIMに反映し、被害状況を3次元として全体的に⑩把握する。これにより、今後の対応を関係者間で迅速、効率的に行うことが可能となる⑪。また、バーチャルツアーにより、災害情報を共有することで、遠隔地での災害査定が可能となり、迅速な災害復旧を実施する⑫。
⑩ →「で」
⑪ 3次元で被害状況を確認できるとなぜ迅速で効率的になるのか分かりません。根拠を示したうえで効果を述べるべきです。例えば、点群データはリアルタイムで共有するである、3次元化により、施工条件が速やかに整理できる、多角的な検討が可能になるなどの理由を添えると良いでしょう。
⑫ 「可能となり、・・・実施する。」は少し構文が変ですね。→「迅速な災害復旧を果たすため、被災状況を共有するバーチャルツアーを用いて災害査定を実施する。」
(3)デジタルプラットフォームの整備
災害発生時の様々な情報を集積し活用するために、国や自治体、インフラ事業者が情報を共有するシステム⑬を構築する。平常時の交通情報、気象情報および災害情報を集積し、活用する。具体的には、災害情報を共有し⑭、専門家による⑮遠隔復旧対策を実現する。国、自治体、専門家等の関係者間で横断的な対策検討を行う⑯。人手不足が顕著な地方自治体においても迅速な検討、復旧が可能となる⑰。また、インフラ情報データが防災・減災に活用されるようにオープン化する。3次元都市モデルで災害リスクを可視化し、住民の防災意識を高める⑱。
⑬ 「を」が連続してしまうので、「・・・の情報共有を可能にするシステム・・・」としてはいかがでしょうか。
⑭ 前の文では、平常時の交通情報、気象情報および災害情報と述べていますが、具体例では災害情報のみです。何を集めて、どういう行動をとるのか整理整頓しましょう。
⑮ 専門家とは誰ですか。前段では、国や自治体、インフラ事業者が主体になっています。
⑯ ⑮のとおり専門家が突如として現れますね。また、横断的な対策検討が抽象的で何をやるのか分かりません。さらに、前の文では専門家のみで復旧対策を実現といっています。不整合です。もう少し整理しないと主体もやることもごちゃごちゃで混乱します。
⑰ これも⑯と同じですね。自治体は何の検討や復旧を行うのでしょうか。
⑱ プラットフォームとは関係ないように見えます。さらに、肝心のプラットフォームの構築については、説明がなされておらず、データ共有しか触れられていません。したがって、プラットフォームもデータプラットフォームなのか、組織体なのかも判然としません。
リスク
3.新たに浮かび上がる将来的な懸念事項と対応策
(1)新たに浮かび上がる懸念事項 上記の解決策では、衛星やドローンによる点群や映像取得・解析でデジタルデータ利用が増加する。そのため、ハッキングやマルウェアなどのサイバー攻撃のリスクが高くなる。多くのデータに問題が生じた場合、迅速な対応が出来ず、二次災害のリスクが高くなる⑲。
⑲ 二次被害に限定する必要はないと思います。→「迅速な対応ができなくなることが懸念される」
(2)リスクへの対応策
デジタルデータには、VPN接続やファイアウォール、電磁シールドなどの多重防護を実施する。また、BCP(事業継続計画)にシステム障害項目を加え、サイバー攻撃への対応を行う。 -以上-
論文③
課題
1.デジタル技術活用による防災・減災、国土強靭化
(1)デジタル技術を擁した人材の確保(人材面)
近年、自然災害は激甚化・頻発化している。南海トラフ地震や首都直下地震の発生確率は今後30年以内で約70%と高い。甚大な被害が想定されており、事前の防災・減災の強化が急務である。国はデジタル技術の活用を進めているが、建設業界にはデジタル技術者が不足している①。よって、人材面の観点から、デジタル技術を擁した人材の確保②が課題である。
① 下線部は、すべて問題に記されている内容とほぼ同じです。デジタル技術を活用した防災減災対策を必要とする背景ではなく、デジタル技術者を必要とする背景を書きましょう。また、背景には現状しか述べられていないように見えます。さらに、話題がいきなりデジタル技術者不足になっており、脈絡がありません。課題の構成は、現状→問題点→必要性→結論の順で書きましょう。例えば、現状(防災はハード・ソフト両側面で取り組んできた)→問題点(防災対策を飛躍的に向上させるには従来の対応のみでは限界があり人材も不足)→必要性(これらへの対応として(飛躍的な向上・人材不足への対応には)デジタル技術を活用した取組みが必要不可欠)→結論
② 観点と課題が類似していますので、表現を工夫しましょう。→「デジタル技術者の確保」
(2)データの統合と環境整備(利便性)
デジタル技術は急速に発展し、防災・減災の手段として期待されている。しかし、データのフォーマットの違いや、データ量の膨大さが問題である③。様々なセンサや監視システムから得られるデータを効果的に利用するためには、これらデータの規格統一や、ユーザビリティの向上といった環境整備が必要である。よって、利便性の観点から、データの統合と環境整備が課題④である。
③ データ量が多いのは問題ではなく、むしろ良いことではありませんか。問題ではなく障害として扱ってはどうでしょうか。→「・・・がデジタル技術活用の障害となっている」
④ データ規格が統一されるの合って、データが統合されるわけではないですよね。→「誰もが簡単にデータ利用できるAPI連携が課題」
(3)災害時対応の迅速化・高度化(技術面)
災害時は、避難情報や被害状況といった重要な情報の伝達が困難になる可能性がある。それにより⑤、避難の遅れや危険な場所に近づき⑥、二次災害を招く恐れがある。このため、デジタル技術を活用し、迅速かつ正確にわかり易い災害情報を提供・共有することが重要である。よって、技術面の観点から、災害時対応⑦の迅速化・高度化が課題である。
⑤ →「情報伝達が適切に行われない場合」
⑥ →「危険個所への接近などにより」
⑦ 背景では、情報共有をフィーチャーしていたのに、情報がどこかへ行ってしまいましたね。例えば、「迅速な災害対応を実現するための情報収集及び活用が課題」といった具合に、背景を受けた形で課題設定すべきだと考えます。
解決策
2.最も重要な課題と解決策
災害時の迅速で正確な対応は、公衆の安全確保に直結することから、「災害時対応の迅速化・高度化」を最も重要な課題に選定する。解決策を以下に示す。
(1)ドローン・衛星等の活用
被害状況の把握の多様化、迅速化を図るため、新型ドローン(VTOL)等を活用する。⑧高速巡行によって速やかに現場に到着できるうえ、垂直飛行も可能であるため、迅速かつ安定したデータ収集ができる。また、地球観測衛星の光学センサとレーダセンサを活用し、昼夜問わず、天候に影響なく、災害地域のデータ観測が可能となる⑨。その他、地上の通信インフラが被災した場合でも、衛星通信を使用することで広域の通信範囲や安定した通信環境が確保できる⑩。
⑧ 主語が欲しいですね。→「VTOLは、」
⑨ 解決策なので、やることとして書きましょう。→「・・・データを観測する」
⑩ 効果がごちゃごちゃになっていませんか。通信機器が被災した場合でも情報が入手できることと、広域の情報が入手可能ということは別問題ではありませんか。
(2)BIM/CIMの活用
インフラ分野全体の⑪合理化を図るため、3次元データを調査、設計、施工、維持管理段階までの全行程で共有する。具体的には⑫、落橋した場合、ドローン等で収集した点群データをBIM/CIMに反映し、被害状況を3次元で把握する。点群データはリアルタイムで共有でき、3次元化により施工条件が速やかに整理できる。多角的な検討が可能になるため、今後の対応を関係者間で迅速、効率的に実施する⑬。また、迅速な⑭復旧を行うため、被災状況を共有するバーチャルツアーを用いて災害査定を実施する。
⑪ →「インフラ分野全体における業務の」
⑫ 具体ではなく例示ですね。→「例えば」
⑬ 構文がおかしいです。→「これらの情報を用い関係者間で多角的に対策を検討することで、迅速かつ的確な災害対応を実現する」
⑭ 「速やか」、「迅速」は使ってしまったので、ここは「早急な」にしておきましょう。
(3)国土交通データプラットフォームの活用
国・自治体等関係者間での情報共有と予測を可能にする国土交通データプラットフォームを活用する⑮。統合災害情報システム(DiMAPS)は、災害発生時の現場のCCTVカメラや防災ヘリの映像情報、気象情報、道路交通情報等の災害情報を重ねて表示できる。リアルタイムで地図上に表示し、被害状況を迅速に把握、共有できる⑯。また、河川増水による橋梁の損壊の可能性が生じた場合、デジタルツインによる周辺への被害予測を実施し、住民への避難を促す。防災・減災の高度化により⑰二次被害を防止する。復旧にはプレキャスト製品で代用する等、迅速な災害復旧を実施する⑱。
⑮ データプラットフォームを活用は手段なので、活用して何をするかが大事です。解決策なので、やることを明確にしましょう。
⑯ できることを書くのではなく、課題を解決する行動を書きましょう。これでは、国の施策説明になっています。 ⑰ 手段がいきなり広くなりすぎです。これは課題なので、どの解決策にも当てはまります。
⑱ ここでの解決策は、国土交通データプラットフォームの活用です。全然関係ない話題ですね。
リスク
3.新たに浮かび上がる将来的な懸念事項と対応策
(1)新たに浮かび上がる懸念事項
上記の解決策では、衛星やドローンによる点群や映像取得・解析でデジタルデータ利用が増加する。そのため、ハッキングやマルウェアなどのサイバー攻撃のリスクが高くなる。多くのデータに問題が生じた場合、迅速な対応が出来なくなることが懸念される。
(2)リスクへの対応策
デジタルデータには、VPN接続やファイアウォール、電磁シールドなどの多重防護を実施する。また、BCP(事業継続計画)にシステム障害項目を加え、サイバー攻撃への対応を行う。 -以上-
論文 完成
1.多面的な課題とその観点
(1)デジタル技術者の確保(人材面)
これまで、災害に対しハード・ソフト両側面で様々な取り組みを行ってきた。しかし、激甚化・頻発化する自然災害に対し、限られた人材で防災対策を飛躍的に向上させるには従来の対応のみでは限界がある。このような状況の中、防災機能の向上や省力化を実現するICT技術の活用が求められている。よって、人材面の観点から、デジタル技術者の確保が課題である。
(2)データベースの環境整備(利便性)
デジタル技術は急速に発展し、防災の手段として期待されている。しかし、データのフォーマットの違いや、膨大なデータの無秩序な管理がデジタル技術活用の障害となっている。様々なセンサーや監視システムから得られるデータを効果的に利用するためには、これらデータの規格統一や、ユーザビリティの向上といった環境整備が必要である。よって、利便性の観点から、API連携とデータベースの環境整備が課題である。
(3)迅速な情報収集及び活用(技術面)
地震は他の災害と異なり、突発的かつ広範囲に発生する。災害時は、避難情報や被害状況の収集が困難になる。情報提供の遅延は、二次災害を招く恐れがある。災害情報を提供し適切な避難行動を促すためには、迅速な情報収集が必要である。よって、技術面の観点から、災害時の迅速な情報収集及び活用が課題である。
2.最も重要な課題と解決策
災害時の迅速で正確な対応は、公衆の安全確保に直結することから「災害時の迅速な情報収集及び活用」を最も重要な課題に選定する。解決策を以下に示す。
(1)ドローン・衛星等の活用
被害状況の把握の多様化、迅速化を図るため、新型ドローン(VTOL)等を活用する。VTOLは高速巡行によって速やかに現場に到着できるうえ、垂直飛行も可能であるため、迅速かつ安定したデータ収集ができる。また、昼夜問わず、天候に影響を受けない地球観測衛星の光学センサーとレーダセンサーを活用し、災害地域の状況を観測する。その他、地上の通信インフラが被災した場合でも、衛星通信を使用することで災害時でも安定した通信環境を確保する。
(2)BIM/CIMの活用
被災時における業務の効率化を図るため、調査・設計から維持管理までの全行程でBIM/CIMを導入し、3次元データを共有する。例えば、落橋した場合、ドローン等で収集した点群データをBIM/CIMに反映し、被害状況を3次元で把握する。点群データはリアルタイムで共有でき、3次元化により施工条件が速やかに整理できる。これらの情報を用い、関係者間で多角的に対策を検討することで、迅速かつ的確な災害対応を実現する。また、早急な復旧を行うため、被災状況を共有するバーチャルツアーを用いて災害査定を実施する。
(3)国土交通データプラットフォームの活用
関係者間での情報共有と被害予測を可能にする国土交通データプラットフォームを活用し、災害対応を行う。例えば、統合災害情報システム(DiMAPS)で、平時に集積した地形情報等に加え、災害発生時の現場の映像情報、気象情報、道路交通情報等の災害情報を重ねて表示する。リアルタイムで地図上にマッピングし、被害状況とその影響を迅速に把握、共有しpush型の情報提供を行う。また、河川増水による橋梁の損壊の可能性が生じた場合、デジタルツインにより周辺への被害を予測し、住民への避難を促すことで二次被害を防止する。さらに、災害情報をオープンデータ化し、誰もが迅速に災害復旧できる環境を提供する。
3.新たに浮かび上がる将来的な懸念事項と対応策
(1)新たに浮かび上がる懸念事項
上記の解決策では、衛星やドローンによる点群や映像取得・解析でデジタルデータ利用が増加する。そのため、ハッキングやマルウェアなどのサイバー攻撃のリスクが高くなる。多くのデータに問題が生じた場合、迅速な対応が出来なくなることが懸念される。
(2)リスクへの対応策
デジタルデータには、VPN接続やファイアウォール、電磁シールドなどの多重防護を実施する。また、BCP(事業継続計画)にシステム障害項目を加え、サイバー攻撃への対応を行う。 -以上-